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63589 のレビュー-
私は蛇の餌を辞めた三匹の雄蛇と少し歪で爽やかな恋をさせてくれる、独自の世界観ながら人間の女性の恋心をうずかせる一作です。 想像していたよりもずっと傷のつかない優しい作品でした。 人間は「蛇の餌」という格差が存在する世界の中で、ヒロインである美人(みひと)が餌としてではなく個として認められ、性的な対象としても見られます。 餌を辞めるという決意をした私が『特別』になり、甘やかでちょっぴり刺激的な恋を体験できます。 彼らの皮をぺりぺりと擦って脱皮を手伝う行為を少しいやらしいと思い始めたら、この世界観に浸かっている証拠なのだと思います。 どの蛇に気に入られる選択をするかによって性格の異なる雄蛇とのエンドを迎えられるのですが、どの蛇ルートでも甘い気分に浸れます。 男友達としての気軽い関係「冬牙」 雌蛇の憧れ、お金持ちで容姿端麗「鱗」 ぶっきらぼうだけど優しい「締太郎」 どの蛇も大変魅力的で素敵な物語ですので、全ルートを味わってみて下さい。 @ネタバレ開始 ①鱗end 全員魅力的ですが、特に萌えたのは鱗会長です…。 出会ってすぐ蛇との初恋は彼にすると決めていたので、すぐに脱皮の手伝いを申し出たのですが、他蛇攻略ルートで断ると実はもう脱げていたと知って悶えました。 ……ずるい蛇です。 君を食べたいと言った鱗会長の「食べたい」が食料としてのソレではないのが嬉しいと感じます。 あの世界では鱗会長は特殊性癖と言われてしまうのかもしれませんが、餌の人権について真剣に考えてパートナーを探してくれたりと公正な蛇であるという印象を受けました。 後書きで下着手錠拘束プレイを望んでいたSっぷりにも萌えましたね…。 ②冬牙end あとにょろにあったように、美人への好感度が元から高いのが伝わってくるのが良かったです。嫉妬万歳。蛇装束着てきたら焦っていたのが可愛いです。 美人がすっかり餌のつもりでいるのをイヤに思う気持ちと、美人(みひと)が美人(びじん)で動揺したのかな?とも思いました(ダジャレですみません…) 性行為への移行が最も爽やかで微笑ましかったです。 ③締太郎end 医者に「お友だち同士?」と聞かれて 美人の「いえ、ただの餌です」と答える一方で「あ、はい」と即答する締太郎に好感度がぐっと上がりました。 餌であるとされる『人間』を迷わず友人と認める彼の心優しさ。 小突いて力加減をミスって謝って少し笑う彼…。 恋に転げ落ちそうですが、冷静な美人は強いですね。 締太郎「じゃあな」これからずっと。 美人「え、……うん」これからずっと、さよなら。 こちらの台詞と地の文の組み合わせが大変お上手だなと思いました。 エンド後吐き出したと信じてるぞ締太郎!と思っていたら、後書きで分かって良かったです。体質に悩む所がお人好しで良いですね。 @ネタバレ終了 蛇が這っているような演出や、オシャレなBGMもお洒落で刺さりました…。後書きの「あとにょろ」に世界観の補足や、エンド後の雄蛇についても書かれているのでお見逃しなく。 素敵な作品をありがとうございました…! 何度もプレイしたくなる大好きな作品です。 出会えて良かったです!
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パーソナル・スペース少しずつパズルのピースを集めて、物語の全貌を解き明かしていく構成が巧みな作品です。 通常プレイ時の進行と時系列順での進行の2パターンでシナリオを読むことができ、何度も楽しめます。 作品全体にひとつのテーマがあり、最後まで読み進めることで、そのテーマやメッセージを強く受信できる作品です。
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還る男が家に帰るために、得体の知れない場所を歩いていく掌編です。基本的に文字のみで構成されており、選択肢はなく10分弱で読了しました。 @ネタバレ開始 最初は「なんだろう?」と思いながら読み進めていきましたが、明かされた真実に(良い意味で)どんよりとした気持ちになりました。ある意味、主人公の生き様を表現した世界観と言いますか⋯⋯。自己中心的で、都合の良いことばかり考える人間の末路を表現した、救いようのない世界なのかなと考えてしまいました。シンプルなタイトルもすごく秀逸でした!
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小さなおくりものVOICEROIDを語り部にした、鬼の兄妹たちの物語です。5分程度で読むことができます。 読み終わった後、とても温かい気持ちになりました。時間は短いですが、一場面ごとに柔らかいタッチの絵が挿入されているので、上質な紙芝居を観ているような感覚になりました。とても満足感の高い物語でした。ありがとうございました!
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僕らの一歩シンプルなノベルゲーム。 ゲーム制作とはまた難度の高い挑戦を……と思ってしまう制作者モドキでした(^^; @ネタバレ開始 エンディングのその後が気になりますね……! 果たして二人は再会したのか、そもそも木山くん(?)に三田だと打ち明けたのか、作ったゲームは公開、はしたでしょうけどどうなったのか。 引きこもりならでは、なのか時間感覚がぼんやりしてたり、腫れ物に触るかのような、ただ心配は伝わる両親との言葉少ないやり取りとかが、らしいなと思いました。 @ネタバレ終了
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Sea glass(シーグラス)背景の色遣いが作品の雰囲気に合っていてとても美しかったです。 品を感じさせる文章も素晴らしい。 シーグラスごしに映像を眺めているような、不思議な気分にさせてくれました。 @ネタバレ開始 有名になればなるほど、皆の理想の自分に首を絞められてしまったのかな。食べたいものも食べずに、最期まで皆の理想の自分であり続けようとしたのがただただ悲しかった。 @ネタバレ終了 プレイできてよかったです。素敵な作品をありがとうございました。
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空の果てからこんにちは重力に逆らい続ける物語です。 最初は日本のリンゴ産地が舞台かと思いましたが、読み進めるとファンタジー小説のように壮大な設定が少しずつ見えてきました。 笑いが多めのラブコメが好きな方に、特にオススメできる作品です。
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地下監獄ESCAPEクリアした後、記憶を消してもう一度プレイしたくなる作品です。 作品の至る所にヒントや伏線が散りばめられていて、ゲームオーバーになっても繰り返しプレイすることでクリアできる適度な難易度設定です。 約30分ほどで、映画のようなクールな脱獄を体験できます。
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鳥籠の嘘かわいい絵柄とうらはらな微サイコホラー短編ノベル。 さくっと読める掌編でした。 タイトルの「鳥籠の嘘」って凝ってましたし、 画面、サイドストーリーも凝ってました。 個人的にとても好みです!かわいいと微サイコ、素敵でした。
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かみかくしの夜本格的なゲームをプレイさせていただきました。 ありがとうございます。 数十年前のハマりにハマったゲームとリンクしながらプレイしました。 懐かしかったのと、斬新さも感じました。 何だか、また十数年前のゲームもプレイしたくなりました。 なんせ、3作目までやりこんでました(笑) 作品の感想ですが。 私の大好きな、おまけがあること! そして、キャラクターの一人一人に個性があること! そして、深刻な場面にも笑いがあること! ヒントが豊富なこと! どうしても、全てのエンディングが見たくなること! 本当に諸々楽しかったです♪ ありがとうございました。 そして、あとがきを読んで、自分も共感する部分が多く頷きながら読んでいました。 ほんとに、こちらを運営してる方々に感謝ですよね。 もっと語りたいけれど・・・。 ネタバレになるといけないのでこの辺で失礼します(笑)
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ぼくのえにっき絵日記の雰囲気がとても子どものそれらしくあり、その効果もあって書かれている内容の奇妙さ、歪さ、破綻していく下りなどが生々しく感じられました。
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たとえ明日が晴れなくても。普通の高校生であるはずの一輝が、「あなたは凶悪犯罪を犯す」と告げられるところから始まる物語。僕は1時間ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 本作品のクライマックスには、完全にやられてしまいました……。特に、明日晴が感情を爆発させた時は、こちらもウルッときました。 本作品は冒頭から不吉な雰囲気があり、一輝と共に不安になってしまうシーンが繰り返されます。そんな中、明日晴の優しさと温かさはひときわ輝いていて、プレイヤーとしての自分も彼女に支えられ、救われていたと感じます。だからこそ、彼女との別れは自分もつらかったし、一輝には大いに感情移入してしまいました。 前に進む決意をした一輝は立派だと思います。エンディングは切なくも晴れやかな気分になれました。 ラストの展開が素晴らしい本作ですが、そこにいたるまでの構成も見事だと思いました。衝撃的な冒頭。その後の明日晴との楽しいデート。そして、再び現れたティアナとのやり取り……。まるでジェットコースターに乗っているかのように揺さぶられ続け、1時間があっという間でした。「感動系」のエッセンスを凝縮したようなシナリオで、プレイ時間に比して満足感が大きかったです。 音楽で言いますと、クライマックスで流れる歌『想い出のオルゴール』が大変良かったです。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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Little Summer Package非常に良くまとまっている3篇の掌編集でした。 登場人物はいずれも2人なのですが、日常を切り取った会話と丁寧な描写によって、 関係性がくっきりと浮かび上がっていたように感じました。 3篇とも空の背景がとても印象的でした。 もう季節はすっかり秋めいてしまいましたが、爽やかな夏が感じられる作品です。 素敵な作品をありがとうございます。
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PDM 婚活パーティー - Party Dating Matchmaking -サムネにも描かれている3人?のそれぞれ魅力的なオスと 幸せな家庭を築いたり築かなかったりするゲームです。 サクサク話が進むのと、三者三様ルート毎にストーリーが異なるので楽しめました! 主人公含めてキャラ立ちがとても良かったと思います。
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振り返ってはいけない道イヤホン推奨、囁く声や呼吸などの音が凄く良い! 選択肢も嫌~な感じで、とても面白かったです。素晴らしい作品をありがとうございました♪
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階段怪談実写をコラージュした画面をバックに、縦書き文字で展開する「怪談」。 @ネタバレ開始 いくつもの短いお話がパッケージングされていて、中には「えっ?!、ここで終わっちゃうの?!」というお話もあって「この先を知りたい!」と少しモヤモヤもしましたが、全てを明かさない、あれは何だったんだろう?という都市伝説的なもの、少し後味が悪い厭なお話も、なるほど昔からの表現でいうのならば「怪談」。 いくつかお話を読むとエンディングが解放されますが、解放前のお話で好きなのは「億」でした。ある意味無茶苦茶リアルな怪談。 その後、最後の最後まで読んでホッとしました。 それから気になった点が一点。 「END」の後、黒画面のままというのは何らかの演出なのでしょうか。 今まで、タイトルに戻るゲームばかりをしてきたので、少し斬新に感じました。 @ネタバレ終了 よくよくみると、女の子の服が「階段」になっていたのですね、芸が細かい。
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嘘つきジョアンナと春の雪涙を流しながらプレイさせて頂きました。 内気なスイトくんと元気なまきおくんが友達になること、 お兄ちゃんのためにスイトくんがついた嘘、 それらがどのような物語を形作るか想像できず、 ひたすら読み進めていましたが、終盤で1つに合わさり ところどころにあった要素が綺麗に伏線回収されて 切ないながら後味が爽やかな物語となったとき、 全てが大きな感動となって胸を打たれました。 読後にタイトルの秀逸さにも気付くことになります。 @ネタバレ開始 嘘をついていたのはベアマンではなくジョアンナである お兄ちゃんだったこと、優しい嘘で守られていたのは スイトくんであったという優しく悲しい真実に涙して、 まきおくんが見せてくれたシロツメクサの花畑を見て お兄ちゃんが残してくれたもの、いなくなっていないことを知る スイトくんに感情移入して、また泣いてしまいました。 「花の箱庭」のスチルがとても美しく感動的でした…。 春の雪を残してくれたお兄ちゃん。 春の雪を見せるために連れ出してくれたまきおくん。 スイトくんの学校生活は始めは寂しいものでしたが、 優しいお兄ちゃんと大好きな友達に支えられ、 ブランコを漕ぐように勇気を出したスイトくんの行動で 青空に足を伸ばせたという描写にとても感動しました。 また、猫と仲良くなりたいと思っていた前田くんが スイトくんが紹介したと思われる本を参考にしている描写も これからのスイトくんがまきおくん以外とも仲良くできることを 暗示していて、伏線の散りばめ方がお上手だと思いました。 @ネタバレ終了 大変素晴らしい作品をありがとうございました。
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吹き溜まりの彼女とても胸に刺さるお話でした。 物語にどんどん入り込めて、スラスラ読めました。 プレイ時間は20分〜30分でした。 ずっと好きだった想い人が急にいなくなって、でもやっと再会できたのに彼女は売春してたなんて悲しすぎます…。 主人公が感情をコントロールできず、彼女に酷い事をするシーンでは、大好きな彼女なのに、他の男たちと同じように彼女を酷く扱ってしまった主人公に心を痛めました。 好きだから傷つけたくない、でも好きだから許せない、主人公はそんな気持ちなのかなと思いました。 だから2人が同棲する事になった時、今後2人が静かに幸せに暮らしてほしかったです。 最後の展開は、あまりにも悲しかったです。ホントに救われないなあと思いました。 でも、すごくステキな作品だと感じました。 プレイして良かったです。ありがとうございました!
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GHOSTEACHERデザインやアートワークがとても丁寧で美しかったです。アランくんはもしかしてフロッピーの子だったのかな…?など色々考えさせられました。どの子も可愛くて好きでしたが、突然変異の仕方が面白かったオーソドックスくんが一番好きです。先生はたまに顔が怖い…(-_-;)
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堕獄の花園、嘱目の人鳥。~Sanatorium・Garden~前作に引き続きプレイさせていただきました! 本当に大好きです。 @ネタバレ開始 独特の世界観と可愛らしいキャラグラフィックは前作もそうですが、今作はより近未来感が楽しめました。あと曼殊沙華ちゃん(無性別)が可愛い。髪のもふもふ感とか、ミイちゃんを抱えてる姿とか。アイさん筆頭のペンギンさん達、狐のリコさんも大変可愛らしかったです。 新キャラの研究員さん達も好きです。最初は前作の町の住人のことがあって、どうせこいつらもヤバい奴なんだ……信頼してはいけない……と警戒心MAXで読み進めていましたが、皆結構良心的な人で、えっ!? 優しい!?と驚きました。いや、世間的に見れば大概アウトなこともしているんですけど前作の人達と比べたら滅茶苦茶優しい。あの上野さんですら優しい。(記憶戻った曼殊沙華ちゃんに思いっきり警戒されてて笑いました)(本当にこの人、何処にでもいるな……) 前作もそうですが純愛がテーマのこの作品。今作は研究員さん達の愛を見て、曼殊沙華とアルビフロラが自分達の愛に向き合うストーリーだと思いました。歪んでいるかもしれないけれど、それを愛ではないと否定することはできない。あれも愛、これも愛。パサさんとかおりさん、仲直りできて良かったな……とか、べるさんと小春さんのコンビ好きだな……とか色々感じました。ちょっとズレたところもあるけど何だかんだ上手くいってるっぽいし? 平和だなあ……(犯罪行為と人形の山に目を背けつつ) そして曼殊沙華ちゃんですよ。前作から凄く情緒が成長してて感動しました。特に侵入者を殴りつけたシーン。よくやりましたよ!! アルくんとも話し合ってようやく前作では聞けなかった答えも聞くことができて……ほんと……良かったなぁ…… アルくんは相変わらず狂気的で怖いところもあるけど、曼殊沙華ちゃんにとっては凄く頼りになる大切な人なんだなと。 燃えていく教会をバックに愛を誓うシーンも一緒にドールになるシーンもみんなでお出かけするシーンも愛に溢れていて最高でした。プレイ後に曼殊沙華の日記の最後のページで良かったねとほんわかした気持ちになりました。 彼岸花の花言葉は悲しいものが多いですが、深い愛情を感じさせるものも沢山あるので正に二人にぴったりな花だと思います。末永くお幸せに! @ネタバレ終了 滅茶苦茶良い純愛ゲームをありがとうございました。またこの素敵な世界を垣間みることができたら嬉しいです。