あびのレビューコレクション
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Elysion -feeling of release-目が覚めたら記憶を失っていた少女が朽ちた教会から脱出しようとする話。 美麗かつ可愛らしいキャラグラフィックが魅力的な探索型脱出ゲームです。特に終盤は即死ポイントが多いので小まめなセーブを。 若干ネタバレかもしれませんがジャンルとしてはゾンビ系ホラーなので、そういった方面のグロテスク要素が多少含まれます。その逆に幽霊等の要素はありませんので、そちらが苦手な方は安心してプレイ出来るかと。 序盤のスチルによる演出が良かったです。 シナリオも丁寧で、どの登場人物も良いなあと思う子達ばかりなのですが敢えて言うと私はブラコン君が推しです。かわいい。 コンプリートの為に周回していると終盤の移動選択肢の量が少し疲れるかな、と思いましたが、それでも移動カットされている箇所はあるんですよね。 自分の場合は可能な限りデッドエンドも全て確認した上で全エンディングを見て大体五時間ほど。 また自分の環境もしくはルートにも依るかもしれませんが、ブラウザ版でプレイした際にレイが怪我をした後からセーブを押しても記録されにくくなる現象が発生していました。Windows版では問題なく作動。 どうやら続編も制作中のようなので楽しみにしております。
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名犬アイボリーあらすじが語れないので超ざっくり言うと名犬とおじいさんの話。 本当に絵本のようにページを行ったり来たりできるシステムで、おお、と思いながら読み始めてみたら、この話どこかで読んだことがある……ぞ……、おお? という感じで、いやはや本当に展開で驚かされました。すごい。とても面白かったです。 何だか多くを語れなくなってしまうコメント欄にも納得です。 (以下、若干ネタバレ) 自分は雨の中で詰まり掛けてしまったのですが最初は回数で進展するようなので同じ箇所で詰まってしまった方は諦めず試行錯誤してみてほしいです。その後はこの三匹の共通点と言えば、というような謎解きになるかと思います。
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七不思議の少女幽霊になった元貧血体質の少女が学校から出る為の問題を解決しようとする話。 初めて数分で普通に主人公が死んで吃驚しました。そこはかとなく舞台はホラーテイストですが、当の七不思議の怪異達は友好的な連中ばかりなこともあり基本的にホラー演出は殆どないので、あまりホラーが得意じゃない方でも問題なくプレイ出来るかと。 エンディングは三種。正規エンド以外はバッドエンドで、こちらは軽めですがホラーテイストです。 個人的に気になった点としては、最初の選択肢で出会わなかった方との邂逅シーンでしょうか。特に家庭科室を選ぶと初めて出会ったはずの骸骨さんに対して「戻ってきた」という言葉が使われているのに違和感がありました。それぞれ選ばれなかった選択肢の方とも簡易的でいいので紹介があったら良かったかな、と。 とにかくヌイちゃんが有能で有能で。あまり喋らないぶん余計に有能感が強かったです。気が付けば有能なヌイちゃん。
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俺たちのギャルゲ風で飛ばされてた麦わら帽子の持ち主を探して海で出会った少女達と過ごす一夏の話。 共通オープニング後にヒロインを選択して個別シナリオに突入する形なので同時に複数ヒロインが登場することはありません。 共同制作ということで各ヒロインごとに様々な面で作風が異なりますが、どのシナリオも基本はギャグなので気軽にプレイしやすそうだと感じる作品でした。 またUIの質が高く、それぞれ個性を発揮しながらも一作品として画面デザインが統一されていたのも良かったです。 以下、各ルートについて特徴と所感。 アリサ。偶に暴走する傷心中のヒロインと偶に暴走するけど基本常識人の主人公。ころころ変化する名前欄が面白くて好き。ハンバーガーが食べたくな、りはしなかった。煌びやかな方のワンピが好きです。 舞子。あるコンプレックスを持つ常識人のヒロインと熱暴走する主人公。文字色やSEの演出も合わさって推進力が高い。お腹が空いた。あとテロエンドの方で一箇所だけ名前変換が作動してないようです。 千夏。受け流しスキルが高いヒロインと心が弱ってる主人公。選択肢多数。二周目以降では選択肢によるパラメータ変化を見ることが出来るようにもなります。この中ではエンディングコンプ難易度が高めかな。例のエンディングもあって印象に残るインパクトがあります。 月綺。自由に振舞う子供ヒロインと世話を焼く大人主人公。一本道。名前欄がなく一度のメッセージウインドウ内で複数台詞が表示されたり地の文も表示されたりと独特なリズムを感じる。特に地の文でのツッコミが好きで個人的イチ押しです。
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不可視のターゲット探偵である主人公が少女を救う為に奔走する話。 基本的にはGMと主人公が対話しながら話を進めて行く所謂TRPGリプレイのような形式の物語です。 なかなか選択肢が多いですが正規ルートに行く為の選択肢は殆ど固定となるので、よほど勘の鋭い方でなければ何度も色んな選択肢を試してみる形になるかと思います。どちらが正しいのか一見では分からない選択肢も多いので……。そのぶん正規以外のルートでも様々な情報や展開を見ることも出来ます。 自分の場合は思い付く限りのデッドエンドも回収して二時間ほど。 もしかしたら自分の調査不足かもしれませんがシナリオ面ではGMのあれやあれなどが展開として急すぎたような印象を受けました。もう少し伏線を張ってほしかった、というより説明が欲しかったかも……? そんな感じで全体的にシナリオの進行に穴を感じる部分はありましたが、ゲームとしては難易度は高めながらも試行錯誤してみたくなる面白さがあり、特に終盤の選択肢やルートの多様さはエンド回収していて非常に楽しかったです。 なお最初の選択肢で、データによって同じ選択肢を選んでも自由行動の選択肢が表示される場合と表示されずに夕方まで進む場合があり、かつ表示されなかった場合でないと正規ルートに進めない、という状況になっていたのですが(もしかしたら前者では私がフラグを踏めていなかっただけかもしれませんが)、こちらは仕様でしょうか?(もし仕様だとしたら同一のセーブデータを利用していた場合に分かりにくいなという印象で……)(しかしバグだとしたら発生条件が分かりにくそう) また大分誤字も見受けられる印象でした。途中からオンセ特有の誤字表現かと思って報告用のメモを取らずに進めてしまったのですが……。一文目から「初め『て』して」など。 諸々と長文となってしまいましたが楽しく遊ばせていただきました。ありがとうございます。
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お父さんのPCクエストその中間である三十代はハブなんです!? とか思ったけど自立し始めた子供とその親の年齢層ですね。なるほど。 押入れに仕舞われていた父親のパソコンの中身を探る話。 また或いは、ある選択を経た男の話。 懐かしくも何かが違うデスクトップのアイコンでふふっとなりました。 多くは語られていないこともあり、長いエンドロールの中で彼は何を思ったのだろうか、と想像すると感慨深いです。
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次元の魔女と疑惑の生徒ほんの一言が原因で次元の魔女を自称する美少女に目を付けられた押しに弱い平凡な生徒の話。 序盤は厨二病を患ってクラスで浮いてる気の強い美少女に「勇者」だと勘違いされ、というどこかで見たこと聞いたこと読んだことありそうな始まりで、そこから次第に少女の性格や価値観や「設定」が明らかになっていく形です。 ちょいちょい他のラノベネタやゲームネタ等が厨二参考資料的に挟まれています。私自身、まだ把握していないネタがあったように感じましたが、そろそろ某有名作品についても全く通じない世代が出てきてる頃なんだろうなあ、とプレイ中ぼんやり思慮に耽ってしまったりなど。ダメージ。 こちらの説明文にも「選択肢を持たない」とある通り一本道ノベルです。 もし仮に選択肢があったとしても始まった時点で結末は決まっていたんだろうなあ……。
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ランクEのクリティカルヒッター 第一幕『地縛霊の話』特異能力者達と木の隣に佇む地縛霊の少女の話。 ぱっと見のサムネやあらすじでホラー物だと思い込んでいたのですが実際には特殊能力を持っていたり霊が見えたりする男女四人が地縛霊の女の子と親睦を深めつつ彼女を成仏させる為にえんやこらする物語でした。 途中いくつか選択肢がありますが正規ルート以外の選択肢ではすぐエンディングに至るので遊びやすいかと。プレイ時間は全て選択肢を回収して25分ほど。 自殺の名所のように謳われる木の下で、けれど確固とした悪意等はなく、どこか賑やかな雰囲気でさくさくと進んで行くので非常に読みやすかったです。その一方で終盤への展開にも自然に入っていく構成力の高さ。 どうやら続き物のようなので、まだ語られていない過去等も沢山ありそうで気になる所ではありますが、こちらの作品だけでも第一幕として設定の把握等も含めて綺麗に纏まっていて面白かったです。 また第二幕が公開されました際には是非読んでみたいと思う作品でした。
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おあずけ彼氏身長が高い方の素直な後輩と、身長が低い方の男前だけど臆病な先輩の、卒業式から始まった関係の話。 現実としての環境や価値観に葛藤したり、始まった後の関係の終焉を怖がったり、どこか苦しげに切なく綴られながらも甘く関係を築いていく物語です。直球でBLな感じ。 一部心情と台詞部分フルボイス。句点でクリック待ちが発生しますがボイスは台詞ごとに流れる模様です。ここは個人の好みにも依るかもしれませんがクリックタイミングに合わせてボイスを区切っても良かったかな、と少し思ったり。 とても上質なグラフィックも伴って、短編ながら豪華な作品となっています。まるで商業作品のようだ……。 終盤選択肢で場面が分岐。それぞれ異なる時系列の話ではありますが、どちらが先とも明確には言い難いこともあり好きな方から読んで大丈夫です。 リアルで繊細な葛藤と甘酸っぱい恋愛を楽しみたい方にオススメ。
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獣人<記憶欠落>少女雨が降る森で記憶を欠落した少女を獣人が拾った話。 少しだけ素っ気ないけど優しい獣人と、寂しがり屋で純粋な少女が織り成す、穏やかな日々の記憶とそれからとそれまでを綴った物語です。クリア後シナリオまで含めるとプレイ時間はそこそこ。 どうして少女の記憶は欠落してしまったのか、この雨が上がったら彼等はどうするのか、そんな過去や未来に想いを馳せながらも続いていく生活の中で、少しずつ距離を縮めていく二人の姿が微笑ましかったです。 そうして平和は犠牲を土台にして。 また初見から凝ったバックログ画面でいいなあ、とは思っていたのですが物語のテーマに合わせた面白い使い方をされていたのがこれまた。 その他にも色々と画面に動きがあって楽しかったです。揶揄い屋だけど面倒見が良い梟人さん好き。