個人宇宙のレビューコレクション
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愛の至る場所とある森の奥にある研究施設。そこで人体実験に利用されている主人公が、友人のレニーと一緒に施設から脱走を試みることから始まる物語。おまけを含め全4エンド、20分程度で読了しました。なお、主人公の名前は自由に入力できます。 とにかく、レニーが魅力的な作品でした⋯⋯!施設にいる時は天使のような少年ですが、脱走が進んでいくにつれ、次第に主人公に対する狂気的で(でも純粋で)危険な部分を出してきます。血塗られた彼のスチルのインパクトも相まって、その大きなギャップに魅力を感じました。 また、本編をクリアすることでおまけを読むことができ、そこでレニーの過去が明かされます。レニーはこれまでの人生で愛情を受け取らなかったこそ、主人公からの愛情に戸惑ってしまったんじゃないかと思いました。愛されたい願望はあっても、自分はどう愛していけばいいのか──。その結果が、本編のような感じになったんじゃないかなと思いました。 短いながらもインパクトのある作品でした。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。
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致死量の**ドットで構成された短編のサイレントアニメーションです。 テキスト有・テキスト無の2パターンがありますが、内容が少し異なっていますので、両方見るのを推奨します。どちらも1周5分程度で終わります。 とにかく、高いクオリティのグラフィックに圧倒されました⋯⋯!荒廃した世界で彼女の青色の瞳がどのように相手を捉えたのか、いろいろと想像したくなる内容でした。 テキスト有のエンドにつきましては、たとえ絶望的な状況でも、ロボットとしての尊厳を優先させたんだろうなと個人的に感じました。
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超朝が弱い僕を起こしてください23人(おまけ含め)の女の子が主人公を起こしてくれる、というコンセプトで作られたオムニバス形式のゲーム。女の子は全員フルボイスという豪華な内容です。特別編を含めて1時間程度で完走しました。 製作者様の熱いこだわりを感じる内容でした⋯⋯!ボクっ娘とヤンデレ気味の女の子が多いので、その辺りが好きな方も楽しめると思います。個人的には女神が好きです。メニュー画面でランダムに女の子が登場してくる仕様や、キャラクター診断が付いてる部分など、本編以外の演出にも力が入っています。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。
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むいむい。忌み嫌われている魔女と、彼女が作った『むいむい』の物語。約10分程度で読了しました。 時間はとても短いですが、素晴らしい内容の掌編でした。物語の起承転結がしっかりと整えられており、彼女のバックグラウンド、意外な展開、感情を揺さぶられる演出・エンディングなど、10分の時間の中で無駄なくコンパクトにまとめられています。製作者様の構成力の高さに脱帽しました。 『むいむい』も本当に可愛かったです⋯⋯! 泡みたいな音を出しながら動く姿は「愛おしい」以外の言葉が見つかりません。短いですが、濃厚な内容の物語です。面白かったです。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。
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さようならサヨナラオカルト部に所属する主人公・望、その親友・清明、ヒロインの先輩・環。平和な学校生活を送りつつ、ひっそりと環先輩の死亡を回避するように選択していくホラーゲーム。 選択肢が非常に多く、少しでも間違ってしまうと環先輩があっさり死んでしまい(主に不慮の事故で)、バッドエンドになります。1日目〜4日目、合宿の日、と全5ステージに振り分けられており、ステージが進むにつれ選択肢も多くなります。うまくいけば1時間程度で読了できると思いますが、自分の場合はバッドも回収したかったので、約2時間かけて全18エンド(バッド17、グッド1)を見ました。 ヒロインの環先輩が本当に可愛く、終盤のホラー展開を除き、全体的に楽しく読むことができました。数えきれないくらいゲームオーバーになったので、死亡を回避した環先輩がひょっこりと部室に現れる瞬間は何度も鳥肌が立ってしまいました。演出・システムも丁寧に作られており、快適にプレイすることができました。 ここからは個人的な意見になりますが、何気ない日常の中でも『死』の危険は常にあるんだ、という怖さを感じました。この作品は終盤の部分を除き、ありふれた学校生活の描写がずっと続きます。その中で唐突に環先輩は死んでしまいます。しかし、その死は決して物語の中だけでなく、自分たちの生活にも突然襲ってくる可能性は十分にあります。そんな「怖さ」を感じました。 バッドエンドが多く、決して易しい難易度ではありませんが、ありふれた学校生活と死のギャップが印象的なホラーゲームでした。未プレイの方は、ぜひやってみてはいかがでしょうか。
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運命の選択村の歌い手である少年リド。彼の世話役であり医者の女性ノア。ある日、ノアは変声期を迎えようとしているリドが、村の掟によっていずれ処分されることを知る。そこから始まる物語。全2ルート、30分弱で読了しました。 健気で可愛いリドと、彼を生かすために一途になるノア。2人を応援しながらもどうなるんだろうとハラハラしつつ、最初のエンドを迎えました。そして次のトゥルーエンド⋯⋯。いずれ「死」という大きな運命から逃れられないのであれば、後悔のないように小さな運命に抗っていく──。最初のエンドを見たからこそ、悪魔が発した言葉は個人的に響くものがありました。ボイスもキャラクターにマッチしていて、とても良かったです!
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遠い海のアリア海の中に住む人魚のアリアが、街に住む人間の女性セレナに恋をして、魔法の力で人間になったことから始まるファンタジー物語。全2エンド、約1時間程度で読了しました。 すさまじい余韻を残す、美しい物語でした。端正な文章に加え、綺麗なイラストと幻想的な音楽が非常にマッチしており、トゥルーエンドでは心が締め付けられるくらい物語に没入してしまいました。オリジナルのエンディング曲も素晴らしかったです。 アリアは人間になった代償として、セレナに自分の気持ちを口で伝えることができません。しかし、言葉で伝えずとも、2人の気持ちは確かに通じ合ったんじゃないかと個人的に思いました。すごく切ないし苦しい部分もあるけど、どこか納得した気持ちで2人の結末を見届けることができました。 百合描写もありますが、説明文に書いてある通り、本当に軽微です。その部分が大丈夫という方は、ぜひ儚くも美しい人魚と人間の物語を読んでみてはいかがでしょうか。
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無人島目を覚ますと無人島に漂着していた主人公。1つだけ持っていける単語を入力することで、生き残りを図るゲーム。40分程度で考えられるエンドは全て読了できたかなと思います。 「無人島に1つだけ持っていくとしたら?」という定番の問題を入力する形式なので、プレイヤーに与えられる自由度が高いです。なおかつ、作中でいろんな謎が提示されるので、それらのメモを取りながら入力していく謎解きの要素もあり、最後まで楽しむことができました。 ノベルゲームは物語性の強いジャンルだと思っています(個人的な意見ですが)。しかし、『公衆電話』をプレイした時にも感じましたが、『無人島』は物語性とゲーム性を上手に両立させています。しかも、気軽に何度も挑戦できる設計をしており、やればやるほど物語の世界が拡がっていく部分は本当に秀逸だと思いました。余談ですが、自分は真っ先に某アイドルグループ名を入力しました。きっと自分と同じように入力している方もいるはず(笑)。 未プレイの方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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サリエンシー7年前に「サリエンシー」となった大学生の私が、中学生の少女・かなたと再会することから始まる物語。エンドは1つで30分程度で読了しました。 サリエンシーは「突出して目立つこと」を意味する用語です。夜の月が昼の月と比べて目立つように見えるのは周りが暗いから、という特性もサリエンシーと呼ぶそうです。しかし、この作品の「サリエンシー」は、人間に対して何らかの影響を及ぼす用語として使われており、その定義は最後まで明言されることはありません。 とはいえ、このあやふやな雰囲気を最後まで貫いたからこそ、私とかなたの繊細で儚い部分を引き出していると個人的に感じました。途中から出てくるLive2Dの立ち絵も可愛かったです。 作中に出てくる「月ステーション」や、月の設定など、サリエンシーの本来の意味を含めて、いろいろ考察したくなる部分も多かったです。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。
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肉まん葉集~例えばこんな桃太郎のお話~桃太郎をベースにした、お下品系触手乙女パロディゲームです。未プレイの方は「なんのこっちゃ」と思うかもしれませんが、本当にそういう表現しかできないんです(笑)。選択肢はなく、約20分程度で読了しました。なお、絶対神CEROの加護によってアレの部分は伏せられていますので、心がピュアな方でも安心して読めると思います(笑)。 物語も楽しく読みましたが、個人的には映像表現が非常に洗練されていると感じました。背景・登場キャラクターが結構な頻度で動きますので、文字を読みながらアニメーションも観ているような感覚がありました。ドリアードさんの花が落ちる部分など、細かい演出も凝ってて良かったです。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。