浦田一香のレビューコレクション
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飛びたいの様々なエンディングに分岐する、少し不思議なお話です。 @ネタバレ開始 エンディングは可愛いものから 感動するもの、残酷なものまで様々です。 二人の過去や設定などは 明示されませんが、もっと読みたいと思わせるような 魅力的なお話でした。 絵(スチル)も力が入っていて良かったです。 @ネタバレ終了
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散華奇譚少女が不思議なホテルで妖怪たちに出会う お話です。 @ネタバレ開始 大切な人との突然の死別に どう向き合うか。 これがこの作品において一番のテーマだと思いました。 小夜子は個性豊かな妖怪たちとの交流を通して 様々な感情を抱きます。 そして0号室では兄と再会することができます。 その後END1では、兄と別れホテルを出る決断をします。 妖怪が現実ではあり得ない存在であるように、 生きている間に、死んだ人に会うことはできません。 残された人には長い人生があります。 死んでしまった大切な人を想うなら、 残りの人生を同じように大切に生きるべきと この作品やEND1の小夜子の決断が伝えているように思いました。 この決断に至れたのも、妖怪たちとの 交流があったからなのかな、とも思います。 @ネタバレ終了 絵は全体的に可愛らしく、作品の不思議な雰囲気に 合っていたと思います。
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しようよ七海君!女の子が彼氏を誘惑する話です。 @ネタバレ開始 コメディに大きく振り切っており、 かなり笑えました。 特に効果的なボイスの使い方は とても良かったです。 コメディですが、過去の回想場面では シリアスなところもあり 短い時間で様々な感情にさせてくれる とても起伏のある作品でした。 二人の幸せがいつまでも続くといいですね。 @ネタバレ終了
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ハコノナカノコ出会いと別れのお話です。 登場するキャラクターのセリフや、他の文章など はっきりとした物言いではないので、 考えながら読むタイプの作品だと思いました。 春は一般的に、進学や就職、卒業など 出会いや別れが多い季節です。 そんな出会いや別れを繰り返しながら この先も人生が続いていきます。 ときに迷うかもしれない、ときに大切なことを 忘れてしまうかもしれない。 ですが、そんな自分も肯定しながら歩んでいきたいですね。
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さよならチョコミント夏に女の子とアイスを食べる話です。 文章や情景描写が優れていて、とても良かったです。 @ネタバレ開始 千文字という限られた文字数の中で いろいろな想像を膨らませられるようなお話でした。 現実の世界の話なのか、あるいはファンタジーなのかは わかりません。 しかし、女の子が「さよなら」と言っているのが 印象的で、主人公と女の子はもう会えないのかもしれませんね。 悲しげなBGMも相まって、切ない気持ちになりました。 @ネタバレ終了
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新しい日常といつもの場所三人の日常の風景を描いた作品です。 @ネタバレ開始 いわゆるコロナ禍(明言はされず)で奪われた日常 変わってしまった日常を描いています。 しかし、後半は希望を見つけています。 目に映る景色や、起こる事柄が 明るいか暗いかは、その人の心の持ちようである。 そんな風に思いました。 日常が変わっていきますが、希望を強く 持って生きていきたいですね。 @ネタバレ終了
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君が見た景色ファンタジー要素のある、少女の成長物語です。 @ネタバレ開始 子供のとき、年上の先輩や大人を見ると なんだかすごくしっかりしていて、 「大人」に見えます。 ですが、自分がいざその歳になってみると 全然成長した気がしませんし、 追いついているとも思えません。 なんであんなに「大人」に見えたのだろう? と不思議に思うと同時に 自分がなんだか情けなくなります。 大人と子供に明確な境界線はありません。 成人年齢も国や時代で異なります。 ですが、どこかで大人になります。 森の中の魔女の家で楽しく会話したり お菓子を焼いて食べたり、 綺麗な宝石に目を輝かせたり、 洞窟に行ってみたり、 ベッドで夜更かしして話をしてみたり、 全て子供の行動なのかな、と思いました。 そんな子供時代と別れて、自分を殺して 大人になる。 ですが、子供の自分も自分の中で生きています。 自分は連続しているからです。 子供時代、「大人」に見えた大人や先輩にも 子供時代があったわけです。 大人と子供は別人のように見えて、一緒です。 森にいる間は、大人と子供の狭間だと思いました。 この作品からは、人間の成長への愛を感じました。 @ネタバレ終了 演出や文章、選曲も良かったです! これから読む方は、じっくりと腰を据えて 読んでみてください。
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生真面目な後輩ちゃんのゲーム
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君と二人で歩くことが青年と少女が家族になるお話です。 @ネタバレ開始 すごく良かったです。 上の説明文にあるとおり、二人とも すごく不器用で、優しいんですよね。 自分の気持ちを上手く伝えられないし 相手のことを思いすぎて空回りしてしまったり。 見ていてもどかしい気持ちになると同時に 温かい気持ちになりました。 凜の両親は虐待という決して許されない 行いをしました。 しかし、単なる悪役ではなく 彼らもまた弱く苦しんでいた人間である という多面的な描き方をしていたのが良かったです。 また、美穂はほんの一言だけの出番でしたが、 凜の両親の件を想起させるような言動で 印象的でした。 最終的に二人は並んで歩けるような関係になりました。 お互いの気持ちを伝え合ったり、ときには ぶつけ合ったりしながら家族として成長していくと 思います。 飛行機の事故は滅多に起こらないとか 独身の若い男性が女の子を引き取れるかどうか など、細かい粗はありますが、 それ以上に二人の気持ちの動きに 感動しました。 @ネタバレ終了
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初恋の後悔主人公が自分の内面や恋愛感情、その他様々なことに ついて悩み、成長していくお話です。 @ネタバレ開始 読み終わって、「こんな良い友達に恵まれたいなあ」 なんて思いました。 私自身、人間関係から逃げ続けたり、 どこか冷めた目線で一歩踏み出せないことが たくさんあります。 主人公である玉木悠太には 共感するところがあり、 そんな彼が人間的に成長していく姿を見て 温かい気持ちになりました。 玉木は沢山の良い友人たちに囲まれています。 そのきっかけは、たまたまクラスが 一緒だったとか、たまたま転校してきた とかかもしれません。 ですが、そんな偶然一緒になった人と 関わることを決めたのは玉木自身です。 そういった意味で、この友人達も 玉木の選択だと思います。 自分らしい生き方が叫ばれる昨今、 自分らしさに悩む人が増えているように感じます。 自分らしさは環境が作り上げる面も大きいように思います。 だからこそ、自分に目を向けるだけでなく、 周りの人に目を向けることも 大切だと思いました。 小学校からの友達も、 中学からの友達も、 高校からの友達も。 高校の三人の先生や家族、 大学で知り合った人たちも、 全てが繋がって、この物語や玉木悠太を 作り上げています。 そう思うと、舞台は大きく動きませんが とても壮大な話に思えました。 とある本で「後悔とは言い換えると時間の無駄である」 と書いてありました。 「人は数ある選択肢から一つしか選択できないから、 選択しなかった方をいつまでも悩んでも時間は 戻らないし、違う方を選択することもできない」 と続いていました。 読んだときは腑に落ちたように感じました。 ですが、後悔もまた人生の一部だと思います。 後悔が役に立つとか立たないとかではなく、 自分の気持ちを整理したり、 他人や自分の行動、思いを深く考える為にも 後悔は人間にとって必要だと思いました。 全体を通して、派手な展開はありません。 ですが、そういった派手さのない人生でも 多くの人の感情が動いている。 そのように思いました。 教師陣もみんな、人間らしさがあって良かったです。 @ネタバレ終了 noteのあとがきも読みました。 魂のこもった作品をありがとうございました!