富井サカナ/DIGITALLのレビューコレクション
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トキゴエ列車からの脱出作者さんの大ファンなので楽しみに温存してこの度晴れてプレイしました! 既にたくさんの好評の声が上がっている通りでとても面白かったです。 本作は探索ありのホラーゲームとなっておりますが、ホラーはスパイスであって人間関係の機微までしっかりと描いた作品でした。が、ネタバレに繋がるのでここは思い切って割愛します! 順不同な時系列や断片的な情報の開示が多いのに混乱せず事実関係が理解できるあたり、構成が凄くしっかりしていると感じました。ストーリーは多くの謎をはらんだ状態で始まるのですが、ステップ的に明らかになっていくのでとても気持ち良いです。エピソードごとに細かい起伏があって読み手を飽きさせません。 マニアックな話かもしれませんが、シナリオ以外の面でもとてもユーザーフレンドリーだと感じました。テキストは読みやすいようにフォントを大きめにして表示領域を狭めています。表示2行でこのボリュームのストーリーを進めていくのは至難の業だったのではないかと思いました。 また、探索モノは割と画面移動で迷うことも多いのですが、本作は一駅目で完全に位置関係を理解することができました。「進む」と「戻る」でポイントの色分けがされているゲームは初めてです。方向音痴な自分がこれは非常に珍しいです。移動による時間の消費が増えないように改札口から効率的に移動できるのが嬉しかったです。 TRUE EDは演出も凝っており感動を味わえますので、是非1周目からきっちりと必要なフラグを回収してその目で味わってください!
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アカイロマンション〜ホラー編〜某有名メーカーのサウンドノベルの影響を色濃く感じる作品です。 タイトルにわざわざ記載されている通りジャンルはホラーなのですが、 サウンドノベル愛に溢れているのでジャンルのファンの方に特にお勧めです。 特に序盤に多めに配置されているお遊び的な選択肢には懐かしさを覚えるはず。 全23種のマルチエンドが示す通りの力作ですが、即EDが少な目で話が展開した先の枝別れなのがなかなか凄いなと思いました。どんな作品かプレイ前はなかなか想像が付かなかったのですが、マンション全体がクローズドサークル的に機能していてとてもスリルのあるゲームでした。 攻略サイトが完備されているので安心してフルコンプが可能です。また、エンド回収の際に直前の選択肢に戻るボタンはとても親切で助かりました。クリア後の後書きもジャンルのファンにはとても嬉しい内容でした! フルコンプしたのにバッジ取りそびれてしまったので、いずれまた住民と再会しに行きます!
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コーヒーのくに素敵な表現でつづられた優しさに溢れた作品でした。 気疲れしやすい現代人にそっと寄り添ってくれます。 お話とイラストがとても素晴らしいのですが、 文字表示の演出やシステムを活用したギミックなど、 システム面でも凝った作りでとても楽しめました。 エンディング~あとがきを含むも読後感もとても良かったです。
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3名、不足。本作もとても可愛らしいホンワカした作品でした!! 不足した仲間を集めるだけなので簡単に遊べてとてもほっこりできます! タイトル画面に象徴されるように、結構冒頭の人が抜けていく様は切ないかも。 まだ図鑑を埋め切れていないので、引き続きプレイさせて頂きます。 組み合わせによるパターンが豊富なので手探りで探していくのも面白いですし、 プレイ後の親切なヒントもあるので周回プレイがはかどります!
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こっくりさんのお告げこっくりさんを題材にした学園オカルトホラーですが、ミステリー・サスペンス要素も多分に含まれている作品です。オムニバス形式でストーリーの引きが強く、最後まで一気にプレイしました! エピソードが進む中で登場人物の個性も徐々に見えてきますが、表情を描かない主人公たちの立ち絵描写が怪しい雰囲気を高められ、一連の事件の犯人が誰なのか?という疑心暗鬼さに拍車を掛けているように感じました。 演出は全般的に凄く良かったです。プロローグの段階のスタッフ表示からおっ!と思う感じで終始センスを感じました。こっくりさんを行う際の演出はシンプルながら光るアイデアと思いましたし、毎回ある気の抜けない即BAD選択肢のおかげで緊張感も上手く醸し出されていました。 ストーリーは序盤から面白い上に尻上がりで面白くなりのめり込みました! @ネタバレ開始 終盤でようやく犯人が判明して先生が撃退してめでたしめでたし! というシーン以降の更なる怒涛の展開が痺れました。 みんな大好き巻き戻し演出は相当自然に表現されていましたし、 その後の『お前が犯人なんだろ!……なーんてね!』にもまんまと引っかかりました。 あれれ?疑心暗鬼だと思ったら信頼する仲良し同士じゃん!という。 ここの茶番の連続は凄く好きでした。 真犯人入力は本作の登場人物を考えれば誰でも即答できる親切設計でしたし、 その後のオカルト演出や頂上決戦の展開も相当な胸アツでした!! 最後の謎解きはこっくりさんの動きが凄くちょうど良かったので直ぐ解けました。 結構狂気じみた動きをしていたので迫力が凄かったです。 エンドを迎えてのループ構造的なところも、 毎年毎年卒業生が出て行って新入生が入ってくるという、 学校を舞台にした作品としてとても綺麗な終わり方でした。 起動時のセリフは主人公たちのものとは限らないのですね! @ネタバレ終了 というわけで長くなりましたがとても面白かったです!
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世界を破壊する魔法ただただ破壊力のある作品でした。 テキスト描写と膨大な数のCG、カットによる表現力が凄まじいです。 可愛らしい絵柄と過酷なストーリーラインにはギャップがあるのですが、 絶妙なバランスで独特の魅力を醸し出しているように感じました。 唯一無二の強い世界観を作り出されていたと思います。 @ネタバレ開始 主人公は現実とピントが合っていないというか、 敢えてずらすことで自我を保っているように見えました。 暴力によるいじめは主人公に対しては大したダメージはなかったようですが、 性的なニュアンスが含まれ出してからの転げ落ち方が激しかったなぁ、と。 圧倒的に現実感のある性的なイメージで現実に引き戻されたようにも見えましたし、 敢えて描写が省かれている家庭の問題と関係があるようにも読めた気がします。 なおこちらのプレイ環境の問題かもですがDL版で選択肢直後に何度やっても固まってしまい、 ブラウザ版で両エンドを拝見いたしました。 @ネタバレ終了 実は大した量じゃないのにここまでの感想を書くのに小一時間掛かっていまして、 これだけ感想を書くのに苦労することは自分にとってはかなり珍しいです。 それだけ理性や論理ではなく感情に働きかけてくるタイプの作品なのかと思いました! なお、プレイ前にCG回想ボタンを押すと狂ったCG数を体感できるのでおススメです。
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ぐらぐらする嫌な部分も含めて人間関係や人間の感情をリアルに描いた作品です。 ストーリーに没入させられた上で読後には色々考えさせられます。 プレーヤーの誰もが他人事で済まされない、吸引力のある主題でした。 読ませるテキストは相変わらず素晴らしいです。 院卒の主人公以外職場はおじさんだらけ。 基本的には職場で仕事する描写がメインのストーリーなのに、 どうしてこんなに熱中してエンターキーを押しているのだろうか。 恋の予感も盛り上がるイベントもゲーム中には一切出てきません。 それなのにここまで引き込まれるのは、 誰もが共感できるような日常のリアルが描かれているからだと思いました。 また、本作は演出も非常に良かったです。 雨が降るとぐらぐらしてしまう主人公の気持ち悪さの表現力。 メインBGMから醸し出される雰囲気などが作品とマッチしていました。 文字のフォントへのこだわりとフェードアウトもとても印象的でした。 プレイ後の感想ですが、 @ネタバレ開始 つらつら色々と書いていたのですが恥ずかしくなって消してしまいました! 最も印象的だったことに絞るとエンド1の主人公の心の変化です。 雨が降るだけでぐらぐらしてしまうほど罪悪感を覚えていたのに、 最後は姉の墓石に傘を投げつけてあちら側に行ってしまう。 主人公は今後はもう迷わずに傘を差す人間と差さない人間を 意識的にしろ無意識的にしろハッキリと峻別しながら生きていくのでしょう。 雨に悩むこともなければ、弱者の精神的ダメージに共感して自分の神経をすり減らすことも 一切なくなり、出世街道まっしぐらなはずです。めでたしめでたし。 姉に対する罪悪感を振り払い、社会でたくましく生きていくことは 実際に世の中を生きていく上では正解と言える選択なのかもしれません。 @ネタバレ終了 おじさんが多くてキャラクターの判別が付きにくいのでnoteがとても親切でした。 @ネタバレ開始 また、クリア後にタイトル画面で参照できるバージョンがとても秀逸です。 プレーヤーに対しても親切ですし、主人公の本音が垣間見えました。 やはり口にはせずとも主人公には周りの人間がとても良く見えているんだな、と。 @ネタバレ終了 主人公の心情を想像したり、主題を受けて思いを巡らしたり、 プレイ後も長くゲームの内容が頭から離れない、そんな作品でした。
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非実在都市伝説の作法 Imaginary Fakeloreゲームの全体に亘って素晴らしい調和と強いこだわりを感じました。 音楽と効果音へのこだわりは登場人物さながらですし、 グラフィックはキャラも可愛いし背景加工もばっちりで統一感が凄い。 画面レイアウトもとても凝っていてオシャレです。 主要キャラはサブカル雑誌の編集者だけあって、 やや気だるい感じの会話も多いですが常にセンスをまとっています。 都市伝説の実態を追いかける、というメインのストーリーはありますが、 本筋のメリハリを追いかけるというよりは日々の会話を楽しむゲームと感じました。 BGMに耳を凝らしながらまったりとテキストを味わうべきゲームかと思いました! @ネタバレ開始 路地裏の壁のQRコード見過ごしたぁ!!クソゥ!! @ネタバレ終了
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TELL ME YOUR NAMEかなり凝った『素材集め×(RPG×SLG×ADV)』と言った感じのゲームでした。 タイトル画面のアニメーションやら必殺技ムービーやら、 演出により魔法少女ウィノラちゃんの魅力が炸裂していました! ADVモードもRPGモードもいずれも非常にテンポが良く、 サクサクと遊べてとても楽しめました! キャラクターがたくさん登場しますし、 モンスターも細かいアニメーションのおかげでキャラ立ちが凄い。 RTA張りのプレイをして30分程度でエンディング到達しました! 以下プレイ記のようなものです。 @ネタバレ開始 ターン進行を伴わずに好感度を上げられるだけ上げられるゲーム、 昔どこかで遊んだ記憶がほんのりあるぞ!懐かしい!!と思いながらも、 ステータス画面を参考に初日のうちに全キャラとりあえず好感度10以上にしました。 おおっ、全キャラ詳しいプロフィールが参照できるぜ!! たまたま選んだシスターの加護が万能過ぎて初日から夜の森も無事生還。 HP、MP、ダメージ、回復のバランスがメチャクチャちょうど良い! 2日目以降も時間経過する選択を極力選ばずに武器購入で攻撃力を上げつつ、 森に入り浸って生還してはアイテムを溜め、無事に3日目でクリアしました! なお、知識は1とか2とかそんなもんです。バカすぎ!! @ネタバレ終了 サクッとプレイしてしまったので、 また別のプレイングでクリアを目指したいと思います!
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この部活に入れてください(第一話~最終話)学校の中で浮いている主人公と、そうとは知らず転がり込んでくる後輩の物語。 全体として割とストーリーは大きく進行するのですが、 細かい象徴的なエピソードの積み重ねで展開していくパターンの作品です。 1つ1つのエピソードは会話メインで進むうえ、 会話自体が楽しくキャラクターの個性もはっきり出ており、 非常に楽しく作品世界に没入することができました! 間違いなく第一話から第三話まで着実に色々と変化しているのも良いです。 途中途中で入るアイキャッチも区切りとしてとても機能していたと思います。 また、ちょっと天然&オツム弱い系の優明ちゃんがとにかく可愛い! 美麗なグラフィックとキャラに合ったボイスも可愛さに拍車をかけておりました。 @ネタバレ開始 ちなみに某エンジェル〇説みたく主人公は見た目が超凶悪なのかと思ったら全然違いました。 ちゃんとあらすじは目を通しておかないとダメですね。 なお、作品内で一番好きなのは生駒先生です。 リアルでもこういう人物に一際親しみを感じる性質です。 従って過去エピソードはとても嬉しかったです。 @ネタバレ終了 おまけ込みでちょうど1時間くらいのプレイ時間もちょうど良かったかと!