富井サカナ/DIGITALLのレビューコレクション
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彼は誰時の海非常に王道の感動的なノベルゲームでした。 シナリオの構成も綺麗で、テキストもくどくなりそうなテーマながら全くそうはなっておらず読みやすかったです。作品に寄り添ったBGMも良かったですし、終盤の演出は分かっていても心が揺さぶられました。最後に流れるエンディングテーマは往年のヒットソングと言われても何の違和感もないような、郷愁感に溢れたメロディで、ストーリーの最後を締めくくるのに相応しいと感じました。 お気に入り追加したままうっかり前作未プレイのままこちらを先にプレイしてしまったので、前作も早めに履修させて頂きます。
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可不可解速カラトレイン非常に表現力のパワーに満ちており、かつラストの決着の付け方が素晴らしい作品でした。 本当にたまたまですが、初回プレイで一番真相に近付けるEDを拝見したのですが、状況があまり分からない冒頭からそこに至るまでの見せ方がとても素晴らしいと感じました。一気に真相を見る前にせっかくなので先に分岐EDを全て回収したのですが、それぞれのED毎に異なる人の所業が堪能できました。 全EDを回収してからラストに進んだのですが、マルチエンドのシステムを活かした素晴らしい構成だと感じ入りました。 @ネタバレ開始 絶望の中に救いが同居する塩梅が非常に良かったです。 不幸に巻き込まれた少年たちを見守る閻魔様の存在により、 辛い事件や罪人たちを見てきた身ですが安心することができました。 顔を真っ赤にしながら痛みを引き受ける閻魔様カッケーです。 @ネタバレ終了
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和紙プレイ前の段階から独特の魅力を醸し出しており、様々な感想やコンテスト受賞などを見て興味を持っていた作品をようやくプレイできました。 本作、タイトル通り登場人物を和紙で表現するという前代未聞の作品です。前作の生成AIから180度真逆のハンドメイドということで、作者さんはどれだけ表現方法に貪欲なんだ!と衝撃を受けました。本作は事前の期待に応えてくれるどころか大きく上回る表現と演出により、多数のマルチエンドと相まって一大スペクタクルものとして楽しめました。ヒントのおかげで全ED拝見できましたし、複数EDに後日談が用意されているなどプレイヤーに寄り添ったゲーム構成だと感じました。 個人的にはゲームの特徴にも記載のある「目玉」に関連する展開が一番衝撃を受けました。ドロドロやグロテスクも和紙表現だからちょっとマイルドと思いきや、それが却って想像力を掻き立てることにも繋がっているという不思議なプレイ体験でした。
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関守神~さくらびと~前から気になっていた大ヒットした乙女ゲームの「男性向け表現をUPしたバージョン」ということで、これはやらないわけにはいかない!とプレイしましたが、とても面白かったです。 初回起動時から休む間もなく一気に全12エンドを堪能させて頂きました。タグだけ見るとヤンデレホラー乙女ゲーのようにも見えますが、それだけでは表現しきれない非常に壮大な世界観を有する骨太なストーリーが味わえました。ハッピーエンドの到達時にストーリーの全容が明かされますので、これだけは確実に観ておくことをおススメします。 重厚なストーリーと大量のイベントスチル、全12EDとかなりの大作ではありますが、冒頭からラストまで非常にテンポが良く、プレイ時間は全部で2時間ほどだったように思います。章立てによるプレイのしやすさもありあっという間のプレイ体験でした。 ご覧の通りビジュアルは美麗かつイベントスチルは大量であり、ほとんどのエンディングで耽美なシーンが堪能でき、世界観もストーリーも素晴らしく、ボイスも高品質、ハッピーエンドのエンディングムービーも素晴らしかったです。非常に完成度の高い作品でした!
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ふたり終末論優しく、ピュアで、繊細な主人公二人の物語です。 生きづらい世の中から逃げるように乗り込んだ最終列車の果てに辿り着いた先は果たして?というストーリーですが、冒頭から非常にテンポが良く、無駄な描写を削ぎ落している点が素晴らしいと感じました。30分程度と短いプレイ時間ながら立ち絵はLive2Dで動きますし、印象的なシーンではスチルも表示されるので演出面も豪華に感じました。ラストでしっかりとストーリーが締めくくられていたのでとても満足でした。 疎い私でもプレイ中に「これはBLじゃなくてブロマンスってやつだ!知ってるぞ!」と概要欄を見る前に感じたので本作はブロマンスもので間違いなさそうです。
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家事は私を愛するけれど、私は家事を愛せない。全エンドならびに全家事男子を解放するまでプレイしました!とても面白かったです! 個人的に特に素晴らしいと感じたのは2点です。まず、細かな家事は敢えて気付きにくいように目立たせていないところです。プレイ初期はなかなか家事男子が集まらないと感じていたのですが、そこに気付いた時にはゲームへの落とし込みの巧みさに感動しました。もう1つは家事に対するスタンスです。仕事で疲れて切ってある程度家事をこなしてへとへとになった際、無理して家事を続けると分岐EDに突入するというこの仕様を見て作者さんの温かさを感じました。これはまさに現代人へのエール!疲れている時は絶対にまず休むのが一番!! 他にも、総勢100人を超える家事男子オールスターズのキャラデザ、テキスト表示が最適化されていてノンストレスであること、家事の実行前後でのテキストの変化、家事男子一覧や回収したEDがリスト上で埋まっていきフルコンプで画像が変わるところなど、全体を通じて丁寧な作り込みが素晴らしいと感じました。 以下、ちょっと個人的な家事への思いがちょっと乗り過ぎた感想は恥ずかしいので隠しておきました。(ネタバレはあまりありません) @ネタバレ開始 さて、私は結婚生活1X年、ただの一度も風呂・トイレ掃除を妻にやらせなかったことが密かな自慢の共働きリーマンです。家事はあまり苦ではなく、料理・洗濯・掃除・炊事どれも一通りはこなしているのですが、本作の徹底的な家事の解像度の高さにはとても痺れました。例えば食事を作る際は冷蔵庫の中身を確認してレシピを決めるところがスタートというようにプロセスを細かく描いている点、「ぬいぐるみのほこりをベランダで落とす」といった名もなき家事をきちんと押さえられているような点などです。洗剤・調味料・常備品の状況は常に把握して翌日の献立も考慮して会社帰りに自発的に買い物し、ごみ捨てと言えば各部屋からの回収と新たなごみ袋のセットをやる身からすると「買い物」「ごみ捨て」のように雑に括られては納得できませんからね!本作はぜひとも家事の労力に無理解、家事全般のタスクを低めに見積もっている民に遊んで欲しいところです! 保育園用のおむつに名前書き、持ち物にひたすらシール貼り、宿題の丸付け、子どもが泥だらけの靴で帰ってきて玄関どころか共用廊下・エレベーターまで掃除、冬休みが終わる直前に習字セットを出されてカチカチの筆洗い、前日に大量のペットボトルと缶と牛乳パックが工作で必要と言われて急いで確保、月曜の朝にランドセルから給食白衣が出てきて出勤前に嵐のアイロンがけ、のように育児が始まると家事も倍率2倍くらいになるのでそんな地獄モードも面白そう、と思いました!(でも少子化進んじゃうかも) @ネタバレ終了
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夢の扉とヤンデレをぶっ壊すボタンプレイ前はタイトルの意味がイマイチ分からなかったのですが、プレイ後にはこれ以上なく簡潔に内容を示す最適なタイトルだと感じました。普通はヤンデレと1対1の局面には観念するか拒否するかの二択になるのが一般的だと思いますが、今作ではタイトル通りそこでシチュエーションを完全にぶち壊す第三のボタンが出現します。まずは一般的な選択肢の結末を見てからお楽しみでそのボタンを押すことを繰り返したのですが、まあこの展開が通常見られないであろうパターンでとても楽しめました。主人公のキャラ立ちが激しいのも急展開に拍車を掛けておりワクワクします。冒頭から無駄な前置きがなく各キャラとのストーリーが楽しめるのも良かったです。
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泣きべそ*花散る空 - self paradigm -前作がとても面白かったのでこちらもプレイしました。概要欄に記載の通り、前作プレイが前提の作品ですのでまずは本編のプレイを強く推奨します! 本作は前作に登場した6人の男女の視点によるサイドストーリー5編が楽しめるオムニバス作ですが、各主人公の置かれた境遇や内面心理をしっかりと描写しており、本編と同等の読み応えがありました。各キャラクターにもそれぞれ事情があったんだなぁと思えましたし、今後に向けた希望も感じられるお話もあってとても満足でした。登場人物がみな不器用ながら真摯に生きようとしているのを見守るような気持ちでプレイしました。前作未プレイの方は是非前作のプレイ直後に続けてこちらも遊ぶのがおススメです! ちなみに各編プレイ後に鑑賞したオリジナルのエンディングテーマがとても良かったです。クリア後はおまけから何度も鑑賞させて頂きました!
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PaintPain ~少女はメイドの手をとって~本作、とても面白かったです! 綺麗なタイトル画面とプレイ時間6時間と言う大作長編っぷりに惹かれてプレイしたのですが、プレイ前に想像していなかった他ではあまり見ないような設定やコミカルなテイストにまず魅了されました。また、登場人物が増えてきてからはそれぞれが抱える苦悩や人間関係の変化などが描かれそこにも惹き込まれました。個人的には他ではあまり触れたことのないような作風だったので、とても新鮮にも感じました。テキストは読みやすく、グラフィックもサムネなどをご覧の通りとても綺麗です。 各キャラいずれも魅力的だったのですが、個人的に一番好きなのは主人公です。心が広くて人畜無害、パトロン気質な彼のおかげで若き芸術家たちが一皮むけることができたんだなぁ、と。 最後に、百合×メイドというのは界隈では超黄金の組み合わせだと思いますので、愛好者の方は絶対にプレイするのが吉です!百合好きもメイド好きも世の中には百万人単位でいるはずなのに感想欄が熱いコメントで溢れていないのはおかしい!私は特にジャンル愛や思い入れがあるわけではないのですが、可愛らしい絵柄と屋敷内の人間模様を目の当たりにしてこのジャンルの魅力にも魅了されました。
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レイカ ターヘル アナトミアプレイしているタイミングより状況が変わるゲームシステムが面白かったです。 少しずつ得られる情報のおかげで行けるフロアが増えていき、曜日によっても異なる訪問客が訪れているのを見るだけで楽しかったです。 プレイ時間自体長めのゲームではないのですが、タスクバーに常駐させて長期間少しずつ楽しくプレイできました。 過去作品の登場キャラがたくさん出てくるのも嬉しかったですし、ようやく到達した時に拝めるエンディングムービーのカッコ良さにも痺れました!