日向日影@文化系物書きVtuberのレビューコレクション
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東京デジタル一人の人生に寄り添う物語を淡々と読んでいく作品です。 時代の細やかな断片と、それによって変わっていく主人公や人々が、 自分の中にもあった変化だったり、自分が味わうことができなかった変化だったりして、懐かしさと不思議さを感じ続ける作品でした。 @ネタバレ開始 どこで間違ったのか。 それが見つからないのが本当に苦しくなってきました。 時代の中でたゆたっていくうちに、気づけば戻れないところまで来てしまったような、そんな感覚を覚えます。 @ネタバレ終了
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来たりてモグモグ「えっそんなものあげちゃうの!?」ってところから始まり、 そのあげた影響を実際にゲームで味わえるのがとても楽しい作品でした! かわいいデザインと同じようにすごく言葉やシナリオもかわいい作品でした。
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ヘデラの花が枯れるまで
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夜半に道連れほんとに何度読んでもあらゆる方向から心を揺さぶられ続ける作品です。 またこれから何度も二人に会いに行き、二人のこれからを想うことになるんだと思います。 ぜひ皆様にもこの作品に、二人に出会ってほしいです。 @ネタバレ開始 何か一言書きたいと思って、END3を見ているのですが今でも鳥肌が立ちます。 もともと紫色が好きだったのですが、もっと好きになった気がします。 改めて素晴らしい作品をありがとうございました。 @ネタバレ終了
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ティラノフェス2024オープニング
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通り雨のよびごえ端正なグラフィックと、縦書きの美しい文体の中で繰り広げられる二人の会話が繰り広げられていきます。くすんだ青、と言っていいのでしょうか、色合いもすごく印象的です。雨の日のあの静かな雰囲気がすごく合う話でした。霧雨と環境音で二人以外の全てが遮断されているかのような空気がとてもよかったです。 実況をさせていただいたのですが、非常に声に出していて気持ちのいい、美しい言葉で、読み応えがありました。 二人の性格や互いへの思いが対称的で、それを楽しんでいるうちにすこしずつわかっていく二人の事情が非常に心に来るもので、だからこそエンディングのあの結末がとても印象に残りました。 @ネタバレ開始 姿と文字がどちらに配置されてるかで映唯なのかウツリなのかがわかるデザインがめちゃくちゃ好きです。切り替わるたびに物語が一歩ずつ終幕に近づいているような感じがしました。 「歌えるよ。君にしか聞こえない歌」「おやすみ。きっと明日も雨だ」って言い回しが、意味とか超えてすごく刺さります。 エンディングはどちらも好きですが、でもやっぱり破滅を願う方が好きですね…。君は見なくてもいい、と言っていても返り血は対称形で「二人」が浴びているのが非常に印象的でした。でも、せめてこれからの破滅的な自由が、少しでも長く続くことを願うことしかもうできないのでしょう。きっと、この物語が始まるずっと前に、二人は戻れないところまで来ていたのでしょうね…。 非常に切なく、でも不思議な爽やかささえある、いいノベルゲームでした。ありがとうございました。 @ネタバレ終了
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わだつみは水底に眠る紫がかった色彩とBGMがすごく雰囲気がよく、最初からすーっと世界に引き込まれていきました。古いテレビをモチーフにした画面構成もすごく素敵で、 現れた謎の存在と会話をしていくのですが、その言葉が本当に独特で、印象的で、ある種哲学的だけどでもそこに優しさも感じるもので、ものすごくずしんと来る、忘れられないような言葉がありました。 私も確かに終わりの時にはこんな時間があったらいいかもしれないなと、そんなことを考えたりしました。 @ネタバレ開始 話し相手のお魚さんがやたら色々と知っていて、「あれ、なんでこんなこと知っているんだろう…」と思っていました。それが、主人公と会話した内容から来ているのだと気づいた時、二人の間に流れた時間が見えたような気がして、すごく心にきました。 「一滴の水に、充分な愛、それと多少の塩化ナトリウムがあればそれは海と言えるでしょう?」 って言葉がめちゃくちゃ刺さりました。他にも心を揺さぶるような言葉がいっぱいあって、読んでいてグッときました。 バックログでしか読めないものや、バックログで読むと言葉が変わっていたり、本当に色々な形で言葉を読ませてくれるいい作品でした。素敵な物語をありがとうございます。 @ネタバレ終了
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神をもすら裁けない復讐屋という裏社会に生きる二人の物語が淡々と辛い描写で描かれながらも、言葉の端々や文体、かわいらしくもどこか切ないイラスト、哀しいBGMに何か不思議な、遠回しな優しさを感じました。読み進める度に、確かに二人にはそう言う感じの優しさが降り注いでほしいなと、短いながらも、驚きの展開や伏線回収があって、すごくいい物語でした。エンディング全部好きですが、特にエンド1が好きです。 @ネタバレ開始 エンド1の最後のルカとメアリの笑顔がすごく印象的でした。幸せと哀しみが両方あって。人類を滅ぼして二人で幸せになって…。 全てのエンドが明確に幸福でも明確に不幸でもない、強いて言えばメリバに当たるのが本当に好きです。よかったです…。 @ネタバレ終了
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ヘデラの花が枯れるまですごく優しいデザインの中にどこか違和感を感じる、そのデザインに惹かれてプレイさせていただきました。静かだけどすごく心に残る物語で、2周するとより物語の魅力に聞づける作品でした。 わりと何も言えないタイプの作品ですのでぜひ遊んでみてください! @ネタバレ開始 周回を重ねるごとに、どんどん事態が悪化、あるいは現実に気づいていく姿が非常に心に迫りました。 もう一度最初から読んでいると、実は主人公はどこかでもう妻も娘も寄生されていることに気づきつつあるかもしれないということが読み取れるところもあって、これは彼が受け入れられない現実を受け入れて前に進むまでの物語でもあったんだな…。と改めて思いました。現実を受け入れるって辛いんですよね…。 だからこそ最後に一度「打たない」という選択をしてから「もう一度、娘と妻の姿を思い出す」という過程が必要だったんだな…とすごくグッときました。 BGMがものすごく穏やかで好きなので、だからこそあのBGMの中で事態が悪化していくのも悲しく、すごくいい演出でした。 静かながらも本当にいい物語でした。最後のおまけもよかったです。どうもありがとうございました! @ネタバレ終了
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夜半に道連れサムネイルのデザインに一瞬でひきつけられ実況をさせていただきました。 遊んだ感想を一言で言うと全ての要素、全ての瞬間が好きです。最高でした。 紫とピンクを基調とした色彩とLo-fiが美しくも切なくて、その中で繰り広げられる二人の会話に即座に強烈な感情移入をしました。 まるでリフレインのように繰り返される会話や地の文から少しずつ浮き上がってくる二人の物語に触れていきます。それを知るたび「何とか…何とか………!!彼女たちに……!!」と祈る気持ちになっていきました。 演出も素晴らしく、言葉が重なるたびに彼女たちの表情が動いたり絵の構図が変わる瞬間に幾度となくハッとさせられました。 文章も本当にうまくて、ずっと心が動かされ続けていました。 真夜中という時間帯も今作にぴったりで、抑制的で生命感に欠けるのにエモーションに溢れたあの時間帯の物語だからこそ喜怒哀楽がどんどん掻き立てられいきました。 エンディングは3つなのですが、全てがすごくグッときました。 全体に本当に好きな要素しかなくて、こちらに突きつけてくるものがあって、美しくて、苦しくて、だからこそ暖かい、本当に私にとって特別な作品になりました。 @ネタバレ開始 コンビニで深夜にブリト―を買う感じがなんかすごくよかったです。そこに代表されるような細部へのこだわりが作品全体をとんでもないものにした原動力じゃないかなんて思ったりしています。 ED1は本当に声が出ました…。あさひが自ら命を断とうとしていることに気づいた瞬間、自分に止めることができないことが苦しくなり「佐枝子助けてあげてくれ……!」と願っていました。佐枝子だって当然いっぱいいっぱいですからね…。あのあさひの最後のショットが美しいのがまた辛かったです。 ED2、明けない夜の中で彼女たちはどんな贅沢をしていくのでしょう。それはせめて幸せな時間であってくれるのでしょうか。最期にはあさひがED1で手持ち無沙汰のようにしていた右手が、佐枝子の左手と重なるように二人倒れているんじゃないかな、そんな姿を勝手に想像して泣きそうになっています。 でもこの二つのEDがあったからこそ、あのED3が、「どんなに辛くても、地獄だとわかっていても二人で生きていく」というエンディングが本当に「よかったなぁ…」となる、その作劇に本当に感動しましたし、あの一枚絵を額装したいです。あと「朝に道連れ」ってタイトルは反則です……。 あさひも佐枝子、似た者同士で、同じ男に人生を壊された、そんな二人が、その男を埋めるという、罪を分け合うことでやっと本当の意味で人生を分かち合える場所を見つけたというその事実。自分も絶望の中に落ちたこともありますが、これからさらに絶望に落ちた時、誰かと分け合いながら生きていけたらと思ったりもしました。 同時に、今これを書きながら遊ぶ前に「ショートヘアの子の方が見た目は好みだなぁ」とか思ってた自分の目線がクズ男と同じであることに気づき「あ…」となったりしています。そこも含めて誠実な、本当に最高の作品でした。出会えてよかったです。 @ネタバレ終了