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お風呂かこのレビューコレクション

  • 交響曲第十番「融合」
    交響曲第十番「融合」
    概要欄の文章に違わぬ「人間賛歌」のお話でした。おもしろかったです。交響曲第十番でこの内容なのも好きです。 @ネタバレ開始 一章で、それぞれの形態から考えると、やや異物感のある単語が混ざっているような気もしていましたが、四章まで読み進めると、それらの描写に納得できました。なるほどそういうことだったんですね。 加えて、なんとなく見据えていた結びの段階になってから、大きく広がりを感じさせる要素を見せる構成が、正しく人の可能性のようでとても好みでした。 また、雨が落ちる様は、そういう捉え方もできるものなのだなあと感心しました。大枠で捉えることで、見えてくるものもありますね。 @ネタバレ終了 いろいろと頭を巡らせながら読むことができました。 ありがとうございました。

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  • 混同仮面
    混同仮面
    たいへん愉快な作品でした。 いきなりの「すっぽ〜ん」で、とんでもない話が始まったなあ、などと思っていたのですが、混同仮面が文字通り「出て」きてからはもうすごかったです。( ^∀^) また、アイキャッチやミニゲーム、バックログなどなど、いろいろな面で作り込まれていて、そこがとても魅力的でした。 @ネタバレ開始 「ぶう〜ん!」とか言って、こっちを向いたまま後ろに激走していった混同仮面でめちゃくちゃ笑いました。くわえて、否認できなったときの吹き飛んでいる絵も、躍動感抜群でおもしろかったです。 登場人物は、お料理上手な平○レミさんが好きです。 @ネタバレ終了 たのしい作品をありがとうございました。

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  • ティラノフェス2021オープニング
    ティラノフェス2021オープニング
    開幕おめでとうございます! 今年も参加することができてうれしいです。 楽しませていただきます!

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  • voice ~私たちの選択~
    voice ~私たちの選択~
    夢を追いかける姿勢に触れて、人が何かを頑張る姿は、美しく見えるということを強く感じました。 @ネタバレ開始 人は成し遂げた先で見た景色を、一生忘れることはない。やりきった先でしか得られない感覚というものは、簡単に手が届かない分、深く心に刻まれる。 「二年間頑張ってよかった」そう感じられたのは、素敵なことだと思います。自分で選んだことを、最後に良かったと思えるのなら、それ以上はないと思います。結果によらない良さというのは、きっと当人にしか正確にはわからない感覚で、主人公たちが卒業公演で味わったものは、想像で補える部分から外れたその部分であると感じました。そこには努力や苦労、羨望や嫉妬、仲間との思い出があって、たくさんの感情が溢れていたからこそ、思い入れが生まれる。そんな苦楽を共にした大切な仲間たちと、「何かを残せた」と感じることができた。そういった決して楽しい思いだけではない、けれど振り返ると心地よいものが、「頑張ってよかった」に繋がるのだと思います。そしてそれこそが、「夢」を追い求める姿勢の、根源なのかなと思ったりもしました。きっと本当の旅の出発点はここで、この場所にさえ届かずに諦めてしまうのも、ありふれていることだと思います。その意味で、主人公は試すことができてよかったと思いました。ここで得た経験は、たとえ進む道が思い描いていた方向とは異なっていても、これからも続いていく旅路の、優しく温かい支えとなることでしょう。 登場人物はミオ先生が特に好きです。生徒への接し方や、主人公の導き方が好みでした。好きとは言ったものの、何というか先生は、すごく、すごかった。こんな意味不明な言葉を発してしまうほどに、すごかった。あれが大人の色香というものなのか。いやはや本当にすごかった。 @ネタバレ終了 人間が自分の望む姿であろうともがく様の美しさを、強く感じられる作品でした。 ありがとうございました。

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  • 深夜徘徊のための音楽 beats to relax/stray to
    深夜徘徊のための音楽 beats to relax/stray to
    大変美味なテキストを食しました。会話の空気感が伝わってくるのが非常によかったです。 @ネタバレ開始 冒頭の深夜徘徊をする前からすでにテキストが上質で、深夜徘徊が始まってからはさらに磨きがかかりました。 会話文を主体にして展開する物語は、会話という特性上常に駆け引きが行なわれていることになります。話題の選択を吟味し、相手に聞きたいことを話させる。あるいは話したいことへと誘導する。こういった何らかの思惑のもと、駆け引きや誘導がなされていることが想像できるから、このふたりのやり取りは楽しく読めるのだと思います。 @ネタバレ終了 小気味いいという言葉が似合う素敵な作品でした。 ありがとうございました。

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  • ミラーリングサマー
    ミラーリングサマー
    この物語の魅力は、何と言ってもシナリオの展開の上手さだと思います。最初に大きな謎を提示して、次に地の文主体で主人公の目的を明らかにする。そしてわけの分からない人物が登場してからは、その謎にも焦点を当てる。この目的が明確であったこと、ふたつの謎があったことにより、情報が多く提示されるため苦痛になりやすい傾向のある序盤のシーンも、まったく飽きることなく読むことができました。 そして特筆すべきは、序盤を過ぎてから、おもしろさがさらに加速する点だと思います。明らかになっていく謎と、さらに生まれる違和感の提示が本当に上手い。私は物語を読み終えてからやっと、明確に能動的な意志をもって読み進めていたことに気が付きました。無意識下で、物語に引き込まれていたということです。それができる手腕には、尊敬の念を抱かざるを得ません。他の方も書いていますが、本当にすごいものが味わえると思います。感覚としてはジェットコースターのような感じ。 登場人物に関しては、魅力的な人が多く出てきましたが、中でも私は美蘭ちゃんが一番好きです。 @ネタバレ開始 美蘭ちゃんの優しさの在り方に理解が及んだ瞬間、思わず笑みが溢れました。正しく天使。もう人間の鑑。好き。 @ネタバレ終了 力のある作品でした。 ありがとうございました。

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  • Grms
    Grms
    なかなかに普通ではない登場人物が、多数出てくる作品です。しかしながら、繊細な内面も描かれていますので、サスペンスが好きな方だけでなく、人間性などの趣向に興味がある方にもおすすめです。視覚的意味情報が制限されているので、想像への埋没度を、高い水準で維持しながら読むことができました。 純粋な欲から生まれる行為というのは、たとえ一般的に受け入れがたいことだとしても、なんとなく興味が惹かれるもののように思います。これに関して、純の姿勢から外れない趣向というものは、おそらく理解はできなくても、納得ができるものなのだと考えました。だから、自分にはない欲の形であったとしても、興味が惹かれるのだと思います。想像の及ばない領域ではないというのも大きいですかね。また、これらを理解をしようと模索した過程で、嗜好品と似たような感覚なのかなと思ったりもしました。 @ネタバレ開始 登場人物は、主人公含め大概記憶に残る面々なのですが、個人的には特に初芽さんと御門先輩が印象深かったです。初芽さんの人を狂わせる振る舞いに、さみしさの側面があるというのは、現実味があるなあと思いました。おそらくさみしさ自体はなくても、初芽さんは素であの初芽さんなのでしょうが、さみしさがあると、より人を狂わせるという面は際立つように思います。あと、おでこかわいい。御門先輩のように仮面をかぶる人間は、だいたい弱い部分があるように思います。そして御門先輩もそれは例外ではなかった。こういう人は、自分の弱さを自覚している場合も多いように思います。自分の自然体ではない自分を演じるわけですから、逆に自分を冷静に見られてしまうというのが大きいのかもしれません。ただ、言動のすべてが本音ではないということはないとも思います。そういった御門先輩の振る舞いには、共感を覚えました。やっぱり仮面をかぶりたくなるような出来事があると、本心を出すのって、怖くなるんですよね。 @ネタバレ終了 他の部分については、タイトル画面の曲が好きです。この感想も、別窓でタイトル画面を表示したまま書きました。またサイドストーリー、アナザーストーリーで、複数の登場人物の心理に触れられる機会が用意されているのも嬉しかったです。 興味深く楽しめた作品でした。 ありがとうございました。

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  • too late but
    too late but
    知り合いの方にすすめられたので読みました。 @ネタバレ開始 何が人を支えているかというものは、その人の生きた跡を見ないと分からないですね。あのお守りに入っていた紙さえも、もしかしたら当人は存在を忘れていたかもしれない。その人がどう感じていかというのは、易々と語られることはないためにひどく曖昧で、他人によって作られた感情になっている場合もあります。この物語においては途中で主観が変わりますし、そもそも人生のすべてを見ているわけでもないので、その可能性は拭い去れないでしょう。 私個人の解釈で言えば、支えはそのお守りの中身だったようにも思いますが、一方でお守りは存在してさえいればいいだけのもので、感情を思い起こすための単なる装置であったのかもしれないとも思いました。つまり、お守りや中にあるその文章が綴られた紙が重要なのではなくて、文章を見たときの感情こそが、一番大事だったのかもしれないということです。その感情が支えであれば実体があるかどうかは、大した問題ではないはずなので。実際にどうなのかはわかりませんが。 こうして物語で描かれた事柄について考えたことで、正しく私の中でこの作品は生きていくように思います。 @ネタバレ終了 物語としては、非常にわかりやすく描かれたお話であると感じました。 ありがとうございました。

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  • 隠さなきゃ
    隠さなきゃ
    選択肢を進めて出てきた「更生」という表現に引っかかりを覚えながらも、いくつかの終わりを見て、次第に物語がつかめてきました。「そういうことか」と気づいたときには、続きが気になるから読み進めたいけれど、明らかに漂っている不穏な空気もあってあまり読みたくもないという、そんなある種の怖さを感じました。 @ネタバレ開始 最後まで隠したあとの主人公と母が会話している場面について、お互い自分と似ているから推し量れる部分があるというだけで、理解する気や仲良くする気はないように見えました。この部分が、いやに現実的であるなと感じました。私はここに、人間の隠し持つ根本的な嫌悪感のようなものが表現されているように思いました。これが正しく、「隠さなきゃ」という思いの本質をつくものであったように思います。 個人的に一番好きだったのは、最初の方にあった、テストを紙飛行機にしてばれる終わり方です。私も昔同じことをやった経験があるので、微笑ましさや懐かしい感覚などを思い返しながら読んでいました。紙飛行機のように、風に乗って生きられたらなあというかつての思いが蘇りました。 @ネタバレ終了 読み進めるという行為自体が印象に残る作品でした。 ありがとうございました。

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  • 風待ち人 夢追い人(iPhone・iPad対応版)
    風待ち人 夢追い人(iPhone・iPad対応版)
    軽快なやり取りで物語は進んで行きますが、要所要所で熱量が感じられる作品です。神山という人物に共感を覚える人は、かなりいるように思います。 @ネタバレ開始 やりたいことは、何も明確な形あるものだけではないように思います。また、やりたいこととは、苦にならないこと。人に合わせて陰口を言うような、自分にとっての苦であることから外れていれば、何事もやりたいことと言い換えられる可能性があるようにも思います。やりたいことに形があるか否かは、さほど重要なことではなくて、見えている夢はない、明確なやりたいこともない。だけど、苦にならないことはあった。それが、神山のような人間にとっての、行き着く形であるように思います。私に一番似ていると感じたのは神山なので、神山には強く共感を覚えました。 物事に対して主体的ではない神山だからこそ、他者から意味を与えられる行為に安心感のようなものを覚えるのかなと思いました。しかし、相手が主体である場合にこういう人間は輝くように思います。やりたいことは自分の中にはない。けれど、他人と自分、両者の関わりの中で、続けられることを見つける。動機はなんであれ、続けられることを、自分ができることを、居場所を見つける。それは夢という明確なやりたいことではなくても、やりたいことと似た側面を持つものなのかもしれないと感じました。 先ほど神山は物事に対して主体的ではないと書きましたが、岬さんの初登場時や金田との出会いや仕事を辞めた後の場面などでわかる通り、「人のため」に関しては主体的であれる側面があります。特に岬さんに関わりに行こうとする場面で、私は神山の行動に対して違和感を覚えていたのですが、その後の描写や物語が行き着く場所に触れて、抱いていた違和感は払拭されていきました。この部分を、ちゃんと神山の性格心理として落とし込んでいるのが、非常に好みでした。 加えて、明確なものではないけれど、どこに行くのかという方向性が、結末に来ているのも好きでした。答えというはっきりしたものまではいかない、答えかもしれないを模索する様に、人間の人間である部分が垣間見えたように思います。 @ネタバレ終了 人物の描き方が好きな作品でした。 ありがとうございました。

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