お風呂かこのレビューコレクション
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ぐらぐらする確かな個として登場人物が描かれているのが好みでした。 @ネタバレ開始 この主人公であればそうするだろうなあというものがそのまま来たので、物語の中におさめられた確かな「登場人物」が描かれていると感じました。これは登場人物の心理構築が丁寧であったこと、加えてその描写が的確であったことによるものが大きいと思います。 また他の方の感想で触れられていましたが、地の文を排除していることも、ありのままの登場人物が描かれていたと感じるうえで、効果的な要素になっていたと思います。核から外れた部分が想像と補完に委ねられているので、自ずと草田さんを身近な登場人物像として、納得ができる存在だと認識できたのだと思います。 まあなんであれ、できる限りは余裕を持っていきたいものです。 @ネタバレ終了 演出などもおもしろかったです。 ありがとうございました。
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無垢を裂く恋とは何かについてを見つけるお話です。東屋くん、筆野さんがふたりとも優しい心を持ったひとだったので、安心して読むことができました。少し暴走気味なところはありましたが、相手を思いやる気持ちは確かに感じられました。 @ネタバレ開始 最初の方で東屋くんが、筆野さんにいきなり好きだと伝えたシーンで、これはとんでもない話になりそうだなあと思いました。あまりに予想外の発言で、ここで一気にこの物語に引き込まれました。 【梅雨明け】で東屋くんが、恋について自分の頭で考えて、筆野さんの言葉にも耳を傾けて、その正体にたどり着くというのがとても好みでした。最後の筆野さんが、お守りに頼らなかったのも、真剣なんだということが感じられてよかったです。 また、イラストが大変かわいらしく、差分や一枚絵も多いので、満足度が大きかったです。中でも特に、東屋くんに本屋で買ってもらったものを持っているイラストが、とても好きでした。表情がすごくいい。(´∀`) @ネタバレ終了 温かく心地よいおもしろさでした。 ありがとうございました。
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世界を破壊する魔法紹介文にもある通り、多くのイラストが用いられているため、非常に臨場感のある作品でした。冒頭からなかなかな描写だなあと思いつつ読み進めていましたが、提示される境遇や情報の背景に、なんとなくの理解が及んできてからは、どんどん引き込まれていきました。 @ネタバレ開始 名前からしてただものではないと思っていましたが、蛟の凶暴性には言葉を失いました。単なる憎しみの感情だけで、あれほどまで恐ろしい存在になったとはあまり思えなかったので、もとから蛟には、加虐に歓びを感じるような側面があったのかなと思いました。ギャラリー7/15のところを見るに、その悦に狂う前は、それなりの関係だったようですし。なので、そういった加虐嗜好の側面が留まるところを知らずに、表出され続けていった末が、あの蛟という怪物なのかなと感じました。 また、ヒカルちゃんのような弱いひとが、怖いからという理由で他人をいじめて利用するというのは、とても納得がいきました。自らを信じる力が弱く臆病だからこそ、そういう方に向かってしまう。ここらの心理構築とその描写は、とても好きでした。 最後まで読んで思ったのは、ヒカルちゃんに鴉ちゃんのようなひとがいて、よかったなということです。本物のフェアリーハートのこともあるので、なおさら一緒に世界を破壊する仲間がいてよかったと感じました。 @ネタバレ終了 とても引き込まれる物語でした。 ありがとうございました。
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この愛は誰のもの?登場人物の愉快なやり取りの中に、青春期の繊細な心を感じられる作品でした。チョコをくれた犯人(?)を探すという、若干の謎解き要素も含まれています。 @ネタバレ開始 本命チョコレートの返事が、連絡先の紙切れなのはどうなんだと思いましたが、よく考えれば、好きなひとから貰うものなんて、たいていなんだろうと嬉しいと思います。きっと千葉さんは、この紙「も」大切にするのかなあ、なんて思ったりもしました。 @ネタバレ終了 BGMの選択も、どこか懐かしさがあってすごく好みでした。 ありがとうございました。
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白い日傘とアンデッド強い感情に溢れている作品でした。登場人物同士の軽快なやり取りもおもしろかったです。 流太くんが漠然とループから抜け出そうとしているのではなく、明確な意思と理由をもって、繰り返しから脱却しようとしていたのが好みでした。 それにしても、給料日の前日がループするなんて、たまったものではないですね。(T ^ T) @ネタバレ開始 個人的には、バッドエンド2が好きでした。 表面だけを見れば、相手を思いやった美しい別れに思えます。しかし、別れ際ホネ子さんが抱えていたものは、きっと本当は、感情が複雑に混ざった泥のようなものだったのかなと思います。そして、その泥のようなものを感じさせないために、自らを焼き殺して、混じり気のない白い灰としたところが、思いの強さを感じさせるようで好きでした。 また、手紙の内容は少々あっさりとしていましたが、あれが考えた末のあっさりだと捉えると、かなり来るものがありました。 @ネタバレ終了 もちろん、全部がうまくいくハッピーエンドも、それはそれで好きです。 ありがとうございました。
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お嬢様学園のウラテミス個性あふれる登場人物たちが繰り広げる、少し変わった学園もののお話です。とてもおもしろい作品でした。 るりちゃんの癖があまりに強く、それだけで物語に引き込まれていく感覚がありました。冒頭からぶっ飛ばしていて、通して楽しく読むことができました。 @ネタバレ開始 一番好きなシーンは、終盤の杏珠さまが峰岸さんにぼこぼこにされるところです。自分の過ちと向き合って、逃げずに謝り続ける杏珠さまが、かっこよかったです。るりちゃんも言っていましたが、このシーンで私も、杏珠さまを身近な存在に感じました。ノーマルやバッドで恋愛の描写はありましたが、それでもまだ、どこか雲の上の人という感覚があって、杏珠さまは、恋愛やそれらしい概念をなぞっているだけのようにも感じていました。しかし、自分の弱さ認めて、高嶺の花から降りた杏珠さまを見て、一気に人間らしさを覚えました。杏珠さまも、個性あふれるみんなとおなじく、ちゃんと血の通った人間だったんだなあと感じました。 登場人物については、会長が特に好きです。愉快な方でありながらも、会長の立場としていろいろと考えを巡らせているのが好みでした。冒頭でるりちゃんが杏珠さまに見にいっていたのを見習って、私もみちる会長のおでこを拝みにいかねばと思いました。 あと、宮下を撃退しているときの『”あたしの”杏珠さまにっ! 触れるなー!』や、突入シーンでの『スマホが腐る〜。』などの発言はめちゃくちゃ笑いました。( ^∀^) また、イラストが豊富で、視覚面での満足度も非常に高かったです。 @ネタバレ終了 とても楽しい作品でした。 ありがとうございました。
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暗がりに咲く花文章表現が美しい作品でした。 主人公が、日常の中に見出した美しさに魅了される際の心の機微を、大変丁寧に描いています。その丁寧に綴られた美しい文章を、主張が控えめなイラストや背景、音楽が引き立てていると感じました。 また、終始人物の描き方に隙がなく、的確な表現でありながら、豊かさも感じられました。本作の文章表現は、本当に素晴らしいと思います。 読後は非常に満ち足りた気分になりました。 ありがとうございました。
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かげろうのおとめこの作品を読んで思ったのは、語句に触れる際には、既存の認識や知識に縛られているんだなあということです。 ヨージョ、おとめという単語から私が連想していたものと、文中で語られることの乖離が激しかったため、最初はかなり理解が遠のいてしまいました。 作内でその言葉が何を意味しているのかについて、描写の中から、自己の認識とのすり合わせをしていくことの重要性を再認識しました。
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文学少女のホンネ後味のよい青春のお話でした。 タイトルや作品紹介の魅力的なイラストにつられて読みましたが、話の内容もとてもよかったです。 @ネタバレ開始 霜月くんと鈴野さんのやり取りを見守るうち、どんどん彼らが好きになっていきました。これは、人との接し方や距離の部分で、現実味を感じさせてくれること。さらに、好きなことに対する熱量は大きいという二つの魅力が、しっかりと描写してあったからだと思います。 読後は、二人で歩んでいく彼らを応援したくなりました。微笑ましすぎる。(*´∀`*) また、少し癖のある文章も、霜月くんによく合っていたと思います。 @ネタバレ終了 心地よい気分で読み終えることができました。 ありがとうございました。
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夏色のコントラスト【リメイク版】心が温かくなる物語でした。 物語の丁寧な描写と構築に、舞台の落ち着いた雰囲気も相まって、高い没入感を維持したまま読むことができました。 @ネタバレ開始 温かい人ばかりの登場人物で、話が進んでいくのが好みでした。うまくいかない、できない部分はあるけれど、だからこそ分かる気持ちがあって、分かろうとする思いも生まれる。こうした心境に至れるのは、ひとえに周りの人たちの、優しさや温かさがあったからなのだろうなあと思いました。 また、広瀬くんが来て楽しそうにしている佐倉さんが、大変かわいかったです。イラストに関しては、二人で海を眺めているときの、夕日に染まっている一枚絵が好きです。このシーンは楽しいというよりは落ち着いた感じですが、海の方に流れている視線が、会話の雰囲気を引き立てていて、とても魅力的だと感じました。 二人の行く末を、私も応援したいと思います。 @ネタバレ終了 通していい気分で読むことができました。 ありがとうございました。