個人宇宙のレビューコレクション
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わたしの素敵なおうじさまマンションで暮らす女性・ユメイは、最愛のだんな様と一緒に暮らしている。そんなユメイの日常を見ることから始まる物語です。全てのエンドを1時間半ほどで完走することができました。 率直に申し上げまして、「いつかこんなシナリオを書きたいなぁ」と思ってしまうくらいの個人的に超ストライクな内容でした。ホラー・ミステリー・病み要素が入ったジェットコースター型のサスペンスで、映像部分・シナリオ部分のギミックを何重も入れながら、二転三転するストーリー展開にただただ痺れました。画面デザインも非常に綺麗でスタイリッシュで、特に序盤の探索パートはあえて詳細な背景を作らず、家具を配置している構成は秀逸でした(最終パートのシナリオと対極にした感じも良かったです)。 @ネタバレ開始 キャラクターで好きなのは主人公です。(良い意味で)素晴らしいサイコクズで、徹底的にそれを貫き通しているのが最高でした(笑)。 終幕エンドにつきましては、制作者様の優しさを感じる内容でした。サスペンスジャンルなので否定エンドが正規だと個人的に思っていますが、ゲームだからこそ実現できた幸せのルートだったと考えています。何だかんだでハッピーエンドも大好きな人間なので、すごく安心することができました。 あと、オマケの部分のハジケっぷりには爆笑しました。プレイ中に自分が抱えていた鬱憤を彼女自身が全てブチ撒けてくれました・・・。激辛料理を食べ終わった後、口直しのアイスを渡されたような気分になりました(笑)。 @ネタバレ終了 長々と語りましたが、最後まで夢中になって没入できた非常に面白い物語でした。素敵な作品をありがとうございました!
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じごくのインターネッツコタツ記事ライターの主人公が、ひょんなことからオカルト占い師・奈落ちゃんとスマホを通じて遭遇したことから始まるオカルト短編コメディです。40分程度で完走することができました。 前作もそうでしたが、インターネットという現代的なテーマをノベルゲームに上手に落とし込んでいる部分が本当に秀逸だと感じました。コタツ記事・ネットの噂・ネットの流行り廃りに流される人間たちもそうですし、バディ役の奈落ちゃんが常にスマホ越しでの対話になっているのも現代的でした。 奈落ちゃんのキャラクターもすごく好きです。ちょっとダークな部分も含めて、ポップで可愛いビジュアルはとにかく惹き込まれました。 @ネタバレ開始 シナリオで印象的だったのは第3章です。まさか宇宙規模にまで話がぶっ飛んでしまうとは予想外でした(笑)。どうでも良いことですが、オリジナルキャラの名前を奈落ちゃんが好きすぎて「ならく」にして、語尾も「なら」にしてしまいました。そうしたら大量に増殖する展開になったので、これはこれで悪くないかもと思ってしまいました(笑)。 @ネタバレ終了 インターネットの清濁を、ポップに表現したシナリオも個人的に好きです。良い部分も悪い部分もハッキリと出ている場所なので、本当にネットって最低で最悪で最高に面白い世界だと思っています。 とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました!
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雨の袂主人公の佑悟が、幼馴染の妹・伊代と一緒に図書委員になったことから始まる文章メインの青春短編です。30分弱で完走することができました。 上質な一般小説の短編を読み終わった時のような満足感のある作品でした。途中から入る過去の章で佑悟たちの関係性が見えてきた瞬間、一気に作品に没入し、それからクリックする手が止まらなくなりました。 制作者様オリジナルのBGMも内容にマッチしていて素晴らしかったです。端正に作られた文章と相まって、より作品全体に静謐な感じを引き出していると感じました。もちろん文章自体も読みやすくて、すごく良かったです。 @ネタバレ開始 佑悟と伊代の関係性がとにかく絶妙で、二人の複雑で不器用な感じを文章全体で感じることができました。佑悟の関係を変えたくない恐怖、臆病な自分を認めるのが嫌で、美咲に対する感情を濁してしまった部分の文章描写は、特にグッとくるものがありました。 それでも最後は、晴れやかな感じで終わって良かったと思っています。伊代に対する同族嫌悪的な感情を持っていながらも、やっぱり同族だからこそ分かってしまう部分も否定できなくて、それらを経ての結末にいかにも2人らしいと思ってしまいました。 @ネタバレ終了 充実した読書時間を過ごすことができました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました!
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蛇憑き巳緒主人公の一途がセクシーな先輩・巳緒に一目惚れして、告白したことから始まる物語です。30分程度で完走することができました。 とてもエッチな作品でした。まずは一言、ありがとうございました(手を合わせ、深々とお辞儀)。巳緒の校則違反上等な衣服はもちろん、キャラクターたちのセクハラ上等なセリフに、もはや爽快感すら抱いてしまいました(笑)。 全体を通してイラストを使ったカットインの演出などが多く入っており、他の方もおっしゃっていますが青年誌のマンガ作品をノベルゲームに落とし込んだ印象がありました。思わず「おおっ!?」となる部分も結構あり、前述したエッチな意味も含めて、視覚的に惹き込まれる箇所が多くありました。 @ネタバレ開始 好きなキャラは初夏です。負けヒロインの立ち位置ですが、個人的には圧倒的に初夏派です(笑)。あと、衣服ロゴの「IT」と「THAT」がシュール過ぎて、とても面白かったです(笑)。
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混同仮面愛のために戦うヒーロー混同仮面が、女の子を守るため青年の凶弾を否定するために戦うギャグノベルです。これでもかも下ネタがたっぷりと含まれた内容で、制限時間内に特定の文字を選んでいくミニゲームの要素もあります。自分は20分程度で完走することができました。 すごくブッ飛んでて、なおかつ丁寧に作り込まれた作品でした。日曜朝のヒーロー番組を彷彿させるような演出が入っており、特に序盤のムービーは必見です。キャラクターもガンガン動いています。クリア後のおまけ、セーブ画面などにも笑わせる要素が入っており、その部分も面白かったです。 @ネタバレ開始 シナリオも良い意味でのハジケ具合で、とても楽しかったです。まさか悪の組織ではなく、彼の方が暴走してしまうとは(笑)。混同仮面のある意味で一貫していた正義も個人的に好きです。 @ネタバレ終了 とても勢いのある面白いギャグノベルでした。素敵な作品をありがとうございました!
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ヤ〇〇ン民族の大移動と史家タキトゥスオローマ帝国にいるタキトゥスの刺激的な取材旅を描いた怪作です。おまけを含めて20分程度で完走できました。 世界史を学習しながら、とても気持ちが興奮するような体験をすることができました。──えっ、何を言ってるのか分からない? 大丈夫、この感想を書いている自分自身もよく分かってない。展開やら言い回しやら何もかもブッ飛んでいて、フリゲならではの怪作を味わうことができました。 @ネタバレ開始 「見聞が深まるううぅぅ──!」の部分に大爆笑しました。この旅で、きっと彼は新しい真理を見つけたんだろうと思ってます(笑)。
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凪ノ恋海辺の村で記憶を失った男と、その村に住んでいるスイリンという少女が出会ったことから始まる『睡蓮ノ章』。とある国の旧家に属するマサヒデが、政略結婚によりサハナという少女と出会ったことから始まる『彼岸花ノ章』。2つの章を読了することで、最終章への道が開かれる構成の作品です。自分は6時間弱で完走することができました。 率直に申し上げて、ものすごく面白かったです。シナリオ・イラスト・演出・ボイスなど、あらゆる部分が丁寧かつ高クオリティで作られており、最後まで作品世界に大きく没入することができました。 ゲームの最初でいきなりヒロインを選択する場面が入りますが、これも大きな伏線になっています。選択画面の演出もすごく凝っていて、何度もカーソルを動かしてしまいました。ボイスにつきましても全キャラ総じて非常に上手く、キャラクターの感情がより伝わってくる素晴らしい内容でした。 @ネタバレ開始 『睡蓮ノ章』『彼岸花ノ章』の順番で読みました。最初はあまり見かけない構成のタイプだと思いながら読んでいましたが、『彼岸花ノ章』の終盤から「これはもしかして」と考え、最終章の究極の選択に激しく感情を掻き回されてしまいました。スイリンを選ぶか、サハナを選ぶか──。「そんなの無理だー!」と率直に思いましたし、すごく苦しかったです(笑)。でも、逆に考えたら、どちらのヒロインにも感情移入させるための下地がしっかり作られた証拠で、改めてそのシナリオの秀逸さに脱帽しました。 主人公も2人のヒロインも不器用な部分もあるけれど真っ直ぐで優しくて、『睡蓮ノ章』『彼岸花ノ章』で時にぶつかり合いながらも愛を深めていく姿はどれも素晴らしかったです。彼もそうですが、主要キャラが軒並み良い人間だからこそ、選択する時もいろいろ苦しんでしまいました(笑)。中途半端な選択はなく、潔く一方を切ってしまう両方のエンドにつきましても、作品全体のテーマが一貫しているからこそ、より説得力があったと思います。 ちなみに自分は軸がブレブレの哀れな人間なので、「どっちのヒロインが好き?」と問われたら「どっちも好きだ!!」とハッキリ言います(笑)。 @ネタバレ終了 制作サークル様の作品は1作目から順番に読んでおりますが、この『凪ノ恋』は圧倒的に面白かったです(もちろん前2作も面白かったです)。このクオリティを1年以内に仕上げた部分にも驚愕しました。最後まで楽しい時間を過ごすことができました。素敵な作品をありがとうございました!
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修学旅行 ~性格不安定なまみちゃんと僕の物語~クラスのマドンナ・まみちゃんと同じ班になった主人公が、修学旅行で思い出を作っていくレトロ風ADVです。1周の時間は短いですが、やり込み要素が非常に多く、自分は4時間ほどで全てのエンドをコンプリートできました。 とても楽しかったです!ドットで作られたビジュアルは細かい部分まで作り込まれており、ゲームにマッチしたBGM、おまけ要素の豊富さなど、全体を通して非常に完成度の高い内容になってます。プレイしながら学生時代の修学旅行を思い出してしまいました。ネタバレに入る前にこれだけは断言しておきます。ツインテールのまみちゃんが大正義です!!(主観)。 @ネタバレ開始 個人的に印象的だったエンドは、「すけばん」と「しゅせんど」エンドです。前者はまみちゃんのいきなりのハジケっぷりに笑ってしまいましたし、後者は前作の某課長を思い出すようなセリフが出た瞬間、大爆笑してしまいました(笑)。さいこうエンドのまみちゃんは、とにかく美しくて最高でした(ちゃんと髪型毎にエンドのまみちゃんも変わっているので、その部分でも本当に作り込まれているなと感嘆しました)。 他にも先生や不良のサブキャラクターもインパクトがありました。先生はダメな大人を真正面から行っていますが、おまけモードに入ると一転して冷静なツッコミをしている部分があり、そのギャップが良かったです。不良の彼も、最終決戦の際は細かい配慮といざという時の救済措置をしてくるので、「実は結構優しいんじゃないか」と考えてしまいました(笑)。 そしてある意味で衝撃的だったのは、おまけモードで前作『エレベーター』のみよちゃんと課長の再登場です。みよちゃんとまみちゃんの関係が分かった瞬間、自分の頭の中で宇宙猫が誕生しました。 @ネタバレ終了 と、長々と語ってしまいましたが、エンド数が多くコンプリートするためには周回が前提となるゲームですが、快適にできる配慮も行われており、自分は最後まで快適に楽しくプレイすることができました。キャラメイクも多数あるので、自分だけの奇天烈な主人公をたくさん作って、遊んでみるのも良いかなと思います。素敵な作品をありがとうございました!
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籠中話シリーズ①『トリカゴさま』酉ヶ囲村という場所で、そこに訪れた人間が行方不明になる事件が相次いでいた。その矢先、主人公が奇妙な場所に迷い込んでしまい、「トリカゴ」と名乗る者がやってきたことから始まる物語です。20分ほどで全てのバッジをコンプリートすることができました。 @ネタバレ開始 とにかくトリカゴさまの妖しさが魅力的な作品でした。プレイ前の段階では勝手に味方サイドだと思っていましたが、想像以上に危険な匂いを放っており、その雰囲気がとにかくたまらなかったです。短めのプレイ時間の中で多くの演出やイラストが入ってるので、視覚的にも楽しめる作品でした。 @ネタバレ終了 個人的にはエンディングのスタイリッシュで妖しいトリカゴさまが素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございました!
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ニュースありませんか「ニュースありませんか?」と尋ねる不審な人物がいると、主人公が通う高校で話題になっていた。そこから始まるホラー短編です。選択肢はなく、15分程度で完走することができました。 面白くて、ゾクっとするホラーでした。演出はもちろん、オリジナルのBGMもホラーな雰囲気をより引き立てており、まさに世にも奇妙な物語を読んでいるような臨場感がありました。素敵な作品をありがとうございました!