富井サカナ/DIGITALLのレビューコレクション
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イクリプスフォール -神の断罪-とても面白かったです。プレイ時間が長めなので気軽に手を出しにくいかもしれませんが、本作のクオリティを考えるとむしろこの作品に時間を費やすのは圧倒的に吉!と思いました。「ハロー、神様worker」のリブート作ということでリメイク+αみたいな展開かと思っていましたが、全然別のストーリーでした。当該作は本作の前日譚のような位置付けですので、未プレイでも一切関係なく楽しめるかと!フェス期間の最終盤にとてもおススメです! さて、前置きが長くなりましたが改めてとても面白かったです!特殊と思える世界観もすぐに理解でき、多種多様な立場の登場人物たちも登場時から各々の見せ場シーンの見せ方&配置などですっと頭に入ってくる導入~序盤のシーンが素晴らしく、直ぐに作品世界に没入することができました。主人公は最近のゲームではあまり見ることのないであろうクズど真ん中な感じで、酒タバコギャンブル全部やるぜ!という令和の時代に珍しい漢らしさです。ネットスラングやコンプラ上等な発言もボンボンかます様はもしかすると読み手を選ぶのかもしれませんが、個人的には気持ち良さ・清々しさしかなかったです。表面的にはそんな印象の主人公ですがメチャクチャ一本筋が通っており、自身の感情に正直な言動のおかげでストーリーが気持ち良い方向に進んでいくため、かえってこういった主人公の方がカッコ良さが際立つとさえ感じました。長編作である本作には非常に魅力的な登場人物がこれでもかとたくさん現れますが(というか敵味方含めて魅力的でない人物がいない)、悔しいかな主人公が一番魅力的なのかなぁ、などと思いました。 ストーリーの素晴らしさはプレイしなければ分からないのでもう本当にプレイするのみです。グラフィックの素晴らしさはサムネでも一端を垣間見ることはできますが、これまでの作品と同様にダブル絵師体制で盤石です。美しいファンタジー背景と多様なキャラクターの競演は素晴らしく、たくさんのイベントスチルも迫力満点でした。シーンチャプター毎に細かめに入るアイキャッチも毎回異なる画像&情報が用意されていてプレイのテンポを生み出すとともに世界観の理解にも役立ちましたし、戦闘シーンや詠唱シーンなどを中心とした演出も豪華でしたし、BGMや効果音の数々も臨場感を高めておりましたし、全体を通じて細部を含めてとても完成度の高いノベルゲームだと感じました! 非常に面白かったので、(制作の労力が非常に大きいのは間違いないですが)是非第二部も遊ばせてほしいです!
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睡蓮と色シリーズ3部作の完結編です。一気に3作続けてプレイ致しましたが、いやぁ、読んで良かった作品たちでした。 前2作と比べると、関係性が深まっていることもあってか、心情や心の距離の描き方のリアルさがキレを増したように感じました(以降、念のため感想は伏せておきます)。 @ネタバレ開始 恋人に対する期待や悪い方向に考えてしまう心配、そんな自身の心の動きに対する葛藤、関係をより良くするために、より心情を理解してもらうには何をどう伝えれば良いのか、などなど、恋愛をする際の普遍的な悩みを細かな解像度で描かれているなぁと感じました。自身はもう人生フェーズがかなり進んでいるのですが、在りし日の感情をほのかに思い出した気がします。行間を読ませる作者さんらしく読み手の想像に良い意味で委ねるラストも味わい深かったです。 @ネタバレ終了 浮ついておらず地に足の着いた素敵な恋物語という読み味で、シリーズ3作いずれもとても良かったです。
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白詰草と靄前作から続けてプレイさせて頂きました。旅先で出会ってから恋に落ちるまでを描いた前作とは打って変わって、今作は遠距離恋愛状態の恋人同士を描いた続編となります。 京都の情景を色濃く描いた前作と比べて、日常感とともに恋人同士のリアルな距離感や心の機微を描く割合が増えたかな、と。雰囲気や心情の描き方は前作同様素晴らしく、あっという間に読了致しました。本気でまっすぐな恋愛をしていた頃を思い出すと、なんだか懐かしくてセンチメンタルな気持ちになりますなぁ。
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菊花と雨京都を舞台にしたストーリー。とっても風流ではんなりする上質な作品でした。文章にとても趣がありもはや気品すら感じます。グラフィックもとても印象的でBGMもまたお上品。ノベルゲームの構成要素がまさに三位一体となっている感覚がありました。中でも、軸となる文章は非常に端正かつ流麗だと感じました。 社会人女性がふと訪れた京都で若い青年と出会う恋物語なのですが、2人の感情が近づいていく様が、徐々にとも言えるし、急速にとも言えるようななんとも絶妙な加減(自分で書いててどっちやねんと思いますが)で描かれており、とっても素敵なお話でした。
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ありすすとーりーメチャクチャ面白かったです!久々にこんなに夢中に、ムキになって遊んだなぁ、という実感があります。時間泥棒という言葉がピッタリかもしれません。 ティラノスクリプトでアクティブタイムバトルを実装!?探索要素や強化要素なんかもあるってか!?と驚きつつプレイしましたが、プレイを終えて一番驚いているのはゲームバランスの素晴らしさです。 探索や育成がはかどるアイテムの存在や、それらを用いてどう効率的に進めていくかを考えるのが面白いですし、アイテム作成に必要な素材数の設定や配置の仕方も絶妙だと感じました。それ以上にバランスが絶妙だと感じたのは戦闘の面白さです。スキルの数や効果や威力はいずれも絶妙ですし、全てのスキルを駆使するのが最大火力に繋がるつくりが圧巻でした。待ち時間が発生しないように次に繰り出すべきスキルを連打しつつ、ボス戦では敵の必殺技の回避や威力低減のためにマウスを右往左往させるこの面白さ!う、腕がつる!! 若干早めに入力してもコマンドを受け付けてくれるところや、これだけのシステムを組みつつラグやバグが初めから終わりまで一切なかったシステムの強固さ、実装力も相変わらず作者さん半端ないです。 実はアクティブタイム系のゲームはあまり好みではなく、RPGもシミュレーションもターン制のものばかり好んで遊んできたため本作を遊びながらそのツケを感じました。でも、アクティブタイム系のゲーム、食わず嫌いだったけどプレイが上手くなっているの実感できてメッチャ面白いやないかー!と思いました。今後遊ぶゲームの幅も広がりそうで有難いです。 Hardまではクリアしたる!!と気合を入れましたが、ラスボス戦ではたぶんやられること軽く10回以上。。。あとゲージ1ミリくらいで負けた時のショックったら!でもようやくクリアした時はホッとしました。Extremeクリアしてる方々、マジ半端ねぇっす。
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菟原まひるの選択記念すべきティラノゲームフェス第1回のグランプリ受賞者が7年ぶりに凱旋フェス参加だー!ということでTGFガチ勢としては非常に感慨深いゲームで、フェス開幕直後にプレイしました!以前プレイした際は全エンドコンプができなかったのですが、フェス閉幕前に気合を入れてフルコンプしました!(ちなみに最後に残ったのはまさかのEND01でした!) ストーリーの本筋は「序盤に提示された大きな謎の答え探し」なのですが、次々に新たな謎が提示されて常に好奇心を刺激される展開が楽しめました。マルチENDなので断片的な情報しか得られない結末も多々ありますが、それもまた次の周回プレイへのモチベーションとなります。エンドが11個もあり、かつそれぞれの結末の振れ幅が大きいのも今作の魅力だと感じました。やっぱりEND10あたりが好みですが、意外性のあるEND11も好きです! ちなみにグラフィックはさすがに本職がイラストレーターの方のゲームだけあって申し分なさすぎる美しさです。何も言うことはねぇです!そしてイベントスチルは18枚もあります。スチルの中では最後18枚目のものがシーンも相まって好きですが、一番好きなグラフィックはゲームのコンセプトをバッチリ象徴的に表していて構図も素晴らしいタイトル画面の絵です!それ以外にもエンドロールのカットなどグラフィックはたくさんあって豪華です。ちなみにシステム周りも万全のクオリティでどこをとっても見た目が美しいです。 最後に、誰が遊んでも楽しめるとは思いますが、特にワンちゃん好きは大満足間違いないので、愛犬家の方には特に強くプレイをオススメします!!
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おもいをつたえるプログラム ばーじょん.A多種多様なミニゲームや膨大なやりこみ要素があってとても面白かったです!ファンタジー世界を旅する壮大なストーリーが味わえる本作ですが、本作の本番はむしろクリア後にあると思いました。様々なミニゲームを攻略しながら、ヒロインのピアちゃんの着せ替えやポージングなどを次々と購入するやりこみ要素がとても楽しかったです。個人的にはピアとの特訓のスーパーハードモードはそこそこ安定クリアできるレベルまで上達できたので大満足でした。方法ですがおよそ以下の感じです。 @ネタバレ開始 ・PCの画面は小さめにする(しないと無理) ・常にクリックを連打しまくり、文字を見たら全力で押しにいく (もしかして連打により処理落ちして難易度下がる?) ・「無理だ」の文字を見たら連打をやめる @ネタバレ終了 これでピンク文字さえ出れば100%自信10突破できました。 フェスの序盤でストーリークリアまでは遊んではいたのですが、この度狙っていた実績バッジを追加で取れたので感想を投稿させて頂きました!ちなみにルドラの特訓の1500℃クリアははどう頑張っても無理そうなのでやばばバッジは泣く泣く諦めます!(PC+マウスでクリアは可能なのでしょうか。何回やってもせいぜい1200℃だったので、クリアしている人がいたら凄すぎる!)
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【新番組】あかちゃんとあそぼ!【放送開始】不穏な空気はプレイ前からプンプンとしていたのですが、本作の世界観・演出力は想像以上でした。凝った動画演出のオンパレードでダイレクトに感情に訴えてくるものがあります。冒頭に覚えた違和感が徐々に、どころではなく凄い勢いで肥大化していく展開が素晴らしいです。プレイ序盤は出オチ的な感じかとも思ったのですが、これでもかこれでもかと深くエグってきます。最後まで目が離せませんでした。
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未来都市の氾濫近未来SF!ディストピア!AI!と大好きな要素が詰まっていると聞きつけて喜び勇んでプレイしましたが、とても面白かったです!まず驚いたのはスタイリッシュなUIです。サムネ画像のような無機質な画面レイアウトが非常に作品世界にマッチしていると感じました。 視覚で得られる情報量が少ないように思えるかもしれませんが、Image欄のピクトグラムのグラフィックが場面に応じて変化しまくるので、ストーリーやその場の状況はむしろ一般的な立ち絵+背景+テキストの画面レイアウトのゲームよりも分かりやすかったです。BGMも丁寧に選曲されていて、常にシーンの臨場感を高めていたと思います(曲名表示は嬉しいです)。 ストーリーは時系列や視点を変えながら発生した事件の真相へと進んでいく展開ですが、非常に引き込まれました。数日に分けてプレイしたのですが、当初は「parts」の存在になぜか気付かず、まず「chapter」、全て見てから次に「parts」という風にプレイしました。これはこれで各々の物語を順を追って楽しめて良かったのですが、交互に遊んでいたらまた違うプレイ感覚だったんだろうなぁ、とそれはそれで気になりました。終始手の込んだ作りになっていて、やっぱり長時間のゲームでしか味わえない感覚もあるよなぁ、と思いました!
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プダラを着た悪魔ギリギリを攻めたゲームで、非常に面白かったです。ルール説明的な序盤で既に爆笑だったのですが、ゲーム性が上がる中盤以降、単純なゲームなのになぜかうっかり間違えちゃう(正解しちゃう?)ことを繰り返し、軽く10回はクビになってしまいました。また、「ドラチュウ」で脳がバグるということが分かりました(振り返るとミスのほとんどは「ドラチュウ」だった気がします)。 ちなみに道中は楽しいゲーム体験が味わえますが、ラストのオチはカッコ良すぎて痺れます。最後までプレイすると非常に硬派なゲームでした!