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天凱彼岸花(テンガイ ヒガンバナ)のレビューコレクション

  • 『STELLA System Down~星見台の憂鬱~』
    『STELLA System Down~星見台の憂鬱~』
    配信にてプレイさせていただきました。 思考実験は好きなのですが、配信で行う…という点でこれは良いチャンスだと思った事を正直に告白いたします。 ニューゲームを選んだ際に、選択肢を選ぶ前に自分の中の答えを作るとゲームの面白さが100%を超えるかもしれないとの記載があった為メモ帳に各質問に対する自分の解答をメモしながら進行いたしました。 以下、それを含めての感想となります。 @ネタバレ開始 Q1,残り1000人の地上の人類は…(初見選択:滅びる) A,1000人の内訳によるが、滅びる。 1000人の内、男女比や何人が労働可能であり赤子や幼い子供、そして老人か? この割合によってはまず人口が増えるか問題と最低限現状を維持できるだけの労働力が足りるのかが怪しいラインだと思うので滅びるかなと。 Q2,星を見ることには(初見選択:意味がある) A,星見には意味がある。 その結果集めたデータが後で何の役に立つのかわからないから。 また、古くから人は星を見る事で何かを見出してきた。 つまり、意味はあるのではないか。 Q3,人間らしさとは(初見選択:心があること) ただし、選択内容としてはほぼ同一と解釈したので『心』の中に『感情』も内包されていると解釈した上での選択です。 A,理性がある事 感情や衝動を止めるという事ができるストッパーの存在。 人間が社会を形成する上で、これがなければ成立しないという点も含めあえて挙げるならこれかと思いました。 Q4,バックアップで復元した存在は(初見選択:同一人物ではない) これは『同一‟人物”』という単語より、人間ならばどうか?という前提で答えます。 人物という意味なら違う。 例えバックアップを取った時点では同じデータの個体だとしても、その先の日を生きた記憶の同一性がない事。 バックアップ以降に、オリジナルの後日と全く同じ過程を再現できないならば別の個体となると思います。 (これは、過程すらランダム性の複合より実質再現はできないという判断も含め) Q5,お祝いには何を用意すべき?(初見選択:まず実用性。ペンと時計) 自分と相手の間柄による!!(最重要) ただ、前提の話が云わば弟か妹ができた為お祝いに悩むという事なのである程度親しい間柄という前提で。 まず、相手に何が欲しいか探りを入れる。当人が自己購入予定の場合も警戒。 ここで指定があればOKですがなかった場合→複数あって困る物はあげない。 食べ物は好みや消費期限の問題があるからあげない。 (選択肢の誕生日ケーキの場合、当人やその家族が用意して被る可能性も踏まえ) 無難に金券といった、相手が後から欲しい物を手に入れられる手段がベターかと思います。 自分で導いた解答と用意されている二択の内容が違った場合はより近いのはどちらか?で直感的に選びましたが、自然と後の会話を見ると論として納得できていたので不思議に思いつつ面白いなとなりました。 反対の選択肢を選んだ場合の会話も裏で把握しましたが、やはり直感で選んだ方がより自分と近い考え方という結論になりました。 @ネタバレ終了 という事で最初はエンドAへ。 ただ、次に回収したエンドBの方が好みな点からより多くの解答が一致した結果とは反するんだ?という意味で個人的にはニヤリとする部分もありました。 おまけとして思考実験のお題もあったので、こちらも嬉々として解答をメモに取りつつ二人の見解を聞いて笑ってしまいました。 こちらもメモは取ったので、解答を記載します。 @ネタバレ開始 ◆トロッコ問題 レバーは操作しない。 本来死ぬはずがなかった人を犠牲にはしない。 ◆中国語の部屋 仕組みだけで言うならそれは決まった動作をしているだけで感情は存在しない。 ただ、外から見た時にそれを証明する手段はない以上外の人(受け手)の感想に依存するものである。 ◆五分前仮説 京極堂で見たy……これについては、否定はできない。 ◆シミュレーション仮説 まず、そのシミュレーションで上位の存在がどのような結果を見たいのか?が気になる。 自分の存在が何であれ「自分の思う考えの上で行動をする」という事に変わりはない。 (後半は五分前仮説においても、結局そこは同じと思います) ◆水槽の脳 まず、この脳はどの段階で取り出された物かを前提として定義したい。 ある程度経験を積んだ脳なら与えられた刺激で方向性を誘導されても、結果を導くのは脳が蓄積した知識や経験則であり自分の意識である。 この実験が今起きているかどうかは否定できない。 ◆チューリングテスト 知識の偏り。 人工知能は多くの情報を持っており反応できる幅を広くとっているので偏りのない無難なやり取りができる。 特定のワードから連想される対象等、その人の経験や知識による知識幅や趣向に偏りといったものは人間にしか成立しない。 (身も蓋もない表現なら、濃すぎる性癖トークができるなら人間では?理論) 思考実験における二人の見解は概ねアルタの方が自分とは近かったと思います。 その上で、最後の質問には『アルタ』と回答します。 正直、私自身は自分の性質を理性で強すぎる感情を制御していると思っていたので配信時はより共感ができるという点で説明も見たのに何の疑いもなくアルタの方が感情的担当と何の疑いもなく誤認していました。 確かに、ベティスをたしなめる場面や仕事で満たされる事に疑問がないという点は理知的担当らしいとは思えど誰かにあだ名を付けたりする事やどこか理を優先しているのに垣間見える人の持つ無駄…のような。 そういったところが人らしさに感じたのかもしれません。 おまけの思考実験解答含め、無駄な前提を切り捨てるという点では…それも感情故かもしれないけれどベティスの方がより無機質に感じるのも不思議ですね。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

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  • 脱出サスペンスゲーム エリア33
    脱出サスペンスゲーム エリア33
    配信にてプレイさせていただきました。 なかなかエンドを回収するのに手惑い、2日かけてトゥルーエンドまではクリア。 残り13個+隠し?の1個まではいけましたがこれ以上は現状無理と判断してレビューを書かせていただきます。 @ネタバレ開始 どこか懐かしい選択肢をクリックしていく方式…と思いきや、当然の権利のように隠れている隠れ選択肢に気づかないと困る場面もあるという仕様。 スタート時点の部屋内で3ヶ所に進行上のヒントがあったので、とりあえず進むのに問題はありませんでした。 (選択肢の配置法則がシンメトリーというのは初日の配信終了後に攻略チャートを作成している際気づきましたが) 一見同じ流れになる場合も過程の選択肢によって後の反応が変わったり、特定のエンドにいくには必要になったりと結構細かく分岐しているのでその法則とどの流れに分岐するかをはっきりさせればもっとエンドが回収できそうかな?という感はあり。 重要ワードはシンメトリー(対称性) それと、某部屋の縦読みであった「記憶は全て嘘」というのが何を意味するのか? エンド条件に関するのは ・脱出時の人数 ・それまでに殺人を行ったか ・所持しているカードキーの枚数 と、目星がついたので後は判明している範囲で各部屋や場面で何の選択肢があるか? 特定の部屋やイベントに行く方法はどうすればいいか? それと、各カードキーの入手場所は初日のプレイで全て判明していたのでこれらをメモに取り2日目のプレイへ。 真っ当に考えれば不殺かつより多くの人数での脱出が一番良いエンドと思えたので、ユー シーちゃんからカードキーをもらってから四人部屋→三人で脱出…からどうするか?で一度悩み。 初日ではゴンゾウとベスちゃんを助ける際にスプーンを使用で三人での脱出だけど殺人の代償エンドとなってしまったので、作戦名:俺に恩を感じろプレイ(四人部屋で好感度が上がりそうな行動を選択)をしつつ、ベスちゃんと二人で逃げるエンドの際には戦力が足りないから駄目だったのでは?今なら人数的にいけるかも?で自己犠牲を選択→無事に三人無事かつ不殺でカードキー入手の条件を充たせました。 裏でチャートを作る為試行錯誤している際、ウィリアムを殺さずカードキーをもらう方法がわかっていたので後は順番にカードキーを回収すれば…と思いきやまさかの出口以外を選んだ際今回も別行動…? でも、さよならはまだ言わないよ!とあったので後々合流できる可能性を信じて後は順当にウィリアムに気に入られつつカードキーの回収とユー シーちゃんを連れて迷路を突破。 多分隠しエンドがカードキーを全て入手して某所で使う事だろうと思い後回しにしてみたらエンド31…? じゃあこれを使うエンドが…と、使用した結果無事にトゥルーエンドへ。 隠しエンドはどこへ…?という疑問を残しつつ、諸々の理由で突然のRTAが発生したり等しましたが、真相がわかって見れば物語としてはそういう事か…と納得しかなく。 縦読みもその事を意味していたという点ですっきりしました。 @ネタバレ終了 しかし、トゥルーエンドにこそ到達しましたが手持ちのエンドリストを見ると回収できてない内11~17がごっそり抜けていたり、他の間が飛んでいる物(8,9,19,21,23,26)についてはまだ前後のエンドと近い条件?とある程度の予想ができますがさすがに大幅に回収できてないのは見つけてない別ルートでもあるのかな…? と、配信としては終了しましたが裏プレイをするもここで限界でした。 また後日閃いたらエンド回収はしたいと思います。 思わずガチでチャート作成に走る位にはやりがいのある面白い作品でした。

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  • 可惜夜のがんがら荘
    可惜夜のがんがら荘
    大変感想が遅くなり申し訳ありません。 最新作の可惜夜のさかしま町まで配信にて毎回楽しくプレイさせていただきました。 導入部分から不穏しかない始まりにこれは変えられない運命…だろうと思いつつも何か抜け道は!?と思わずにはいられませんでした。 @ネタバレ開始 まず、前回救出したマテオ君が今作からレギュラーメンバーに加わったというのが素直に嬉しかったです。 シリーズでこそあれそれぞれの作品で話そのものは個別に完結しているので前作が未プレイでもプレイが可能な事や、タイトル画面にある登場人物紹介で今作から始めても支障がない作りにはなってこそおりますがやはり前作をクリアしたからこその部分はありますし。 すでにさかしま町までプレイ済みの上で現在レビューを書かせていただいているので言える事ですが、南風原さんと助手子ちゃんとは違った視点の要素を入れられるという意味でもマテオ君の加入は良い結果になったと思います。 従来通り助手子ちゃんは何故その状況でドラマに集中できるの!?というヒント役で。 マテオ君は探索における同行者として進行に必要な部分や警告をするといった役で。 助手ポジションの人物が増えた事で明確に役割分担がされた事や、少なくとも南風原さん一人で探索していた頃よりは安全になりそう(※死なないとは言っていない)と精神的なオアシスも増えました。 今回、物語の始まりがマテオ君の見た夢という事もありますが過去にもオカルト系な要素はあっても実態はからくり仕掛けの罠だったり正しい姿を視認できないだけで人間だったりと明確に霊系統と言える部分にも見える視点と見えない視点の両面から演出ができるという点も良かったです。 (中学校のアレは……霊感がなくても見えている時点でもう力を持ち過ぎ駄目な領域なのでノーカンとして) 謎解き自体は安定の助けて助手子ちゃん!と、もう自力で全問正解は無理となってますがストーリーは最後まで楽しめているのでいつもながら本当に頼れる助手ですね…。 少女視点で判明する情報や、管理人の発言や部屋を物色した際の情報から「お前…!お前…!!」と推定(限りなく黒)犯人への怒りがこみあげ。 用途は不明だけど、とりあえず用意しておいた身代わり人形がこんな所で必要だったとは!?と、最後まで油断ができないストーリーでした。 後日談として語られるお話で、少女が無事に遺骨も魂も父親の所へ帰る事ができただけでも…良かったのかなと。 収集物を全て集めた際に読める事件内容自体は悲しい出来事ですし、探索中で断片が見つかる度にそこに書かれた言葉から隠し切れない不穏要素で心は痛みましたが…。 ある意味、昔は地域で子供を育てていたのでご近所さんなら大体安全な相手だったのに今では知っている相手でも警戒しなければならないという世知辛さ。 実は危険はとてもすぐ近くにあるという理不尽さ。 それを改めて認識する形となりましたが、過去は変えられずとも今回の一件からその中で今一番取れる最善は選べたのなら…。 しかし、ある意味一番の怖い話となる部分はあの水槽って所謂その建物で使用される水を確保しておく貯水槽…ですよね? つまり事件後、あそこに住んでいた住人達は何も知らずにその水を飲んでいたという事で…。 @ネタバレ終了 シリーズ物ながら、どんどん手強くなっていく謎解きや新しい要素が入ったりとプレイヤーを飽きさせない作りであり。 南風原さんには気の毒ですが、次はどこで大変な事件に巻き込まれるのかな?と楽しみになる自分がいます。 いつもながら面白い作品をありがとうございました。

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  • 可惜夜のあかすぐり
    可惜夜のあかすぐり
    大変感想が遅くなり申し訳ありません。 最新作の可惜夜のさかしま町まで配信にて毎回楽しくプレイさせていただきました。 今度の舞台は逃げ場のない船の中!? いつもながら物語導入部分で南風原さんが事務所を掃除しているお約束の描写に実家のような安心感を持ちます。 @ネタバレ開始 いきなり気を失い客室と思われる場所からのスタート。 部屋にあるメモから怪しい集まりという事は察し。 トータルで見ても今作が一番間違えたら即死の時間制限付き選択肢に直面する場面が多かった印象もあり、怪しい集まりの者に鼠とばれたら命がない危機感もあってとてもスリルがありました。 確かに命がけの二択という意味で緊張感はあれど、今回に関しては信者の演技や天使を崇拝するという部分を守っておけばまだ回避がしやすい…と思いきや、最後の最後で慎重さを優先しよう!と判断ミスをしたのが個人的に悔しかったです。 謎解きは愛州中学校の時点で難易度が上がっているとは思いましたが、今作も助手子ちゃんの力を借りて何とか突破はできました。 いざヒントをもらうと「そういう事か!?」と内容によっては頑張ればいけたかもしれないと思えるライン、自力で気づけなかった事が悔しくなる絶妙な加減でしたね。 前作、前々作と悲しい巫女や色々アウトー!な学校だったり救いって何だっけ…?となる事が続いた分、本作のトゥルーエンドはようやく色々な意味で良かったと言える内容で安堵しました。 今作も色々事件というかやばい事は起きているので一概にハッピーとは言えないのは同様であれ。 確かに、蘇生した死者が生きていくにも身元保証をどうするのか?等を考えてもこの終わりでよかったのでしょうね。 @ネタバレ終了 いつもながら面白い作品をありがとうございました。

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  • 0時のアラビアンナイト
    0時のアラビアンナイト
    配信にてプレイさせていただきました。 一人でも遊べるマダミスというぼっちな私にもありがたいゲームですね! マダミスそのものは以前数回プレイした事はあるのですが、こういった一人でプレイできるゲームとして落とし込むというのは難しい事だったと思います。 @ネタバレ開始 初手でリリィさんを選んでプレイしたので犯人を当てる事と、2周目としてメリィさんを選んだ際に目的を達成する条件を満たすのが結果として簡単になりました。 ヒロイン3人がそれぞれ違う情報やアイテムを持っているので、ちゃんと本家マダミスを再現されているのも良いですね。 本筋である、事件の犯人探しと別に個別の達成すべき目標設定。 ヒロイン毎のタイムテーブル表示や追加情報(証言)発表。 全体での議論に1対1の密談と、流れとしてもマダミスをした事がある人ならわかってらっしゃる!となる位ちゃんとプレイ時に含まれる内容を網羅されていますし。 物語としては、各ヒロインが目的を達成する事で基本真っ黒な事情を抱えた男性陣が救われ好転していく。 最初、タイトルにあるアラビアンナイトの部分も含め何故この舞台設定で乙女ゲーかつマダミスな題材にしたのか?がわからないままプレイをしましたが、王子が女性恐怖症になった理由とその後の行動や運命の相手を見つける事で血が流れる事はなくなった。 レイジ王子にとってのシェヘラザードがリリィさんだったという事で合点がいきました。 0時というタイトル部分に王子の名前をかけているのもですが、作中に出てくる重要アイテムのガラスの靴…といえばシンデレラの魔法がとける時間も0時であり。 シンデレラでは城でガラスの靴を落としたシンデレラを王子が探しに行く流れですが、この作品の場合はガラスの靴を片方ずつ持った者が城へ向かった結果後日談として本来の持ち主の元へ戻る。 本家と逆の流れを取る事や乙女ゲーの要素として運命の相手を見つけるという所にも繋がる点でなかなかシャレているなぁと感心しました。 @ネタバレ終了 概要欄にもある通り、新感覚!なゲームでありタイトル画面の「はじめから」を選んだ際述べられている通り初の試みの為、具現化するにあたり難しい事も多かったと思われます。 が、私としてはフリーゲームは作者様が好きな事ややりたいと思った事を表現し挑戦できるのが最大の強みでありプレイする側もそれを感じて楽しめる物と思っております。 なので、今後も作者様のやりたい事をまたこうして作品として遊ばせていただければ…と思いました。 それでは、面白い作品をありがとうございました。

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  • Novel Dragoon
    Novel Dragoon
    配信にてプレイさせていただきました。 たけのこ王国vsきのこ帝国の対決というある意味全方位で戦が起きるワードをチョイスしたせいでシュールなのか何なのかわからない事になった事をご報告いたします。 @ネタバレ開始 何かを崇拝する狂信者、その信仰対象の名前は!? と言われ真っ先に『汝は人狼なりや?』における狂信者を連想したので「人狼」と即答ならぬ即入力をした結果、実は後に狼のキャラが出てきた際に驚く事となりました。 偶然の一致がある意味一番怖い…。 そして、国の強さの秘訣として「プロテイン」と入れたせいでプロテイン大会という恐ろしい大会が行われる事となり王子の怯え方も合わせプロテイン…とは…? という謎の哲学に直面したりストーリーそのものは真面目なのにカオスな読み物が出来上がりました。 @ネタバレ終了 ゲーム内に出る単語を入力して決められるというのは発想として新しく面白い遊び方でしたし、自ら生み出した締まらないゆるいカオスに何とも言えない表情になったりするのもまた味がありました。 純粋に、ゲーム内では語られいない物語の先も気になる内容でしたので真面目にヒントのワードを入れて読んだらそれはそれで楽しめただろうなとも思います。 @ネタバレ開始 それはそれとして、ラストでまさかのこれが本にされ作者の名前として自分の名前が世に出るの!?だったら匿名Aとかにすればよかった!! (全力でボケに走り切れてもいないゆるカオスになったので名前を出さないで!と黒歴史ノートを書いた時のような反応) という終わりにガチな反応が出ましたね…。 @ネタバレ終了 グラフィックやアニメーションにも力が入っており、だかこそワードでふざけた時の温度差も凄くなる…。 とても楽しめる作品をありがとうございました。

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  • WHO THE HELL AM I
    WHO THE HELL AM I
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 自分が誰なのかを推理するゲーム…というだけでもジャンルとして珍しいと思いましたが、ジャンルは推理ADVでありその推理材料として回想を見ていく。 これがこのゲームにおける主人公の目的でありできる事として正しいですが、もっと根底にあるテーマは別にあると感じました。 @ネタバレ開始 私の中では『推理ゲームの皮を被った哲学(人の生きる理由)を問われる物語を読むゲーム』という方が感覚としてはしっくりきましたね。 推理ゲーム要素としては最後の選択肢で自分の正体と思う人物を選ぶだけで他に根拠となる要素をプレイヤー側が作中で提示する必要もなかったので最悪総当たりでもクリアそのものは可能な事。 (はずれの場合は、恐らく本来行われただろう根拠を語るパートがばっさりカットされた上で扉の先に行ったんだな…と理解はしましたが) なので、その推理上重要な部分である正解を当てる為の回想であり4人の物語こそがこのゲームにおける実質の本体だなぁと。 謎解きについては、私は二択まで絞った結果間違えたので2回目で正解はできました。 が、その際に述べられた根拠を聞けば自分が前回「シウである」と答えた為、酒の話について嘘を言っているので違うという部分で「あああーーーー!?」と悔しくなりました…。 登場する4人はそれぞれ自分の人生について悩んでおり、立場が違えば内容も様々でどの悩みもそれぞれ理解や共感ができてしまう為聞いていて胸が重たくなる感覚がありました。 流されるように生きてきたトールは気づけば戦争に出る事になってしまい。 シウは教会の真実を知り神なんていないと知りながら異物としての自分を隠して生きていて。 スカーレットは今までの頑張りは何だったのか…と、やり場のない感情を抱える事になり。 ロータスは記憶喪失も含め自分とは誰であり、まず生きる為には選択肢がない現状であり…。 誰が主人公の正体であれ、これは生還できたとしても今度はこの悩みと再び向き合わなければならない事。 どの悩みも、今の生き方から外れない限り抜け出せないのは目に見えているでしょう。 それまで自分という芯が曖昧だった者がそれを見つけられるのか? 衣食住は保証されている分自分を偽り生き続ける事は大変でもまだそちらの方が安全ではないのか? 自分の望みとは違ってもそれで不便のない生活が保障されているなら? 年単位で戻ってこない記憶である以上、この先だって戻ってくる保証などあるのか? 本作は世界観こそ剣と魔法のファンタジーであれど、恐らく多くの人はトールくんのような悩みを抱えながら生きているという点で一番共感を集めると思いました。 彼の場合は子供の頃からという点で若干早いとは思いましたが、大半の人は現実を知る程大きな夢を持ってそれに突き進む事を難しさからとりあえずの安定性を求めて就職なりをして生涯を終える。 役割として便利屋とか、人からすればいたら助かる存在かもしれないけど案外こういう立ち位置ってしばらくすると名前も忘れられがちである…という事も含め、ある意味現実的であり。 私自身、そういった時期はそれなりに長かった為彼の戦闘中の叫び含めいつか彼が欲した物を見つけられる時がくるのを祈りたいです。 シウちゃんは境遇としてどんな生き方をするか選ぶ事ができなかった以上仕方ないし、現状から逃げ出そうにも下手をすれば消されてしまうリスクすらある。 衣食住の保証された環境であり、学校にも通えたといえば聞こえはいいでしょうがその裏に何があったのか…これは関係者しか知る事はできず相談できる相手もいない。 だから見つかった場合のリスクは承知でも、酒場で楽しみたい!そうでもしなきゃやってられない!となるのは大変良く理解ができてしまいます。 むしろ、自分が異物である事を自覚しながらも他と同じである演技を続けるなんて心が擦り減るの待ったなしなので…これは時間の問題で現状から脱しなければ心が壊れたかもしれないのが恐ろしいところです。 スカーレットは私も思わず「お姉さま!!」と言いたくなる位格好良い武に優れた女性という好みにドストライクすぎたのですが…なぜ彼女がここまで頑張っていたのか。 いくら成果をあげようとも最終的に女である彼女は家を継ぐ事ができず、最終的には政略結婚の駒としか扱われない。 しかし、立場上利用弱音等も許されずそれを相談できる相手もいない。 戦争は順当にいけば勝利して終わりその後には結婚をする事がもう確定事項として待っている…。 となれば、今までの自分の人生とは何だったのか? 現代日本でも近年ようやく女性が社会に出て出世するのが当たり前になってきたものの、これ自体は時代に関係なく相当根深い問題でしょう。 個を定義する物として、意識の連続性という物が存在する。 もし、かつての記憶を失った人は以前の自分と同じ人間と言えるのか? 思考実験でたまに言われる話ですが、かつてのロータスとはどんな人間だったのか? それがわからず、思い出せずとも生物である以上生きる為に何かをしなければならず結果として今の立場にいる。 他の3人とはまた違った変化球ではありますが、何故生きるのかという点で言えば彼の抱える問題も深刻でしょう。 なくした記憶は戻らないかもしれないし、それが濃厚であり。 それまでの自分もわからない中どう生きるべきか?それを教えてくれる人等当然いない。 第三者の無責任な物言いで良ければ、彼らに現状を変える為の提案をする事は可能かもしれませんが重要なのは作中でも言われていた通り 「自分で選ぶという事」この一点に尽きるでしょうね。 結局、自分の人生に誰かが責任を取ってくれる訳ではない以上その結果がどうあれ自分が選んだ決断を信じて進むしかない。 だからこそ、主人公が蘇生後に4人で旅に出る場面は彼らが自らの選択で新たな人生を歩み出した、その大事な一歩なんだと祝福せずにはいられませんでした。 生きていれば絶対に困難だってある、だけどそれが自分の決断した結果なら立ち向かって行ける。 人間は弱い生き物かもしれないけれど、同時にその強さを持ってもいる。 なので今は、彼らの新たな旅立ちを祝福し見送ろう。 推理ゲームというと、犯人(今回は自分の正体)がわかると再度プレイをする気持ちが起きにくいというのが難点とは思いますが私はこの作品において重要なのは彼らのそれまでの人生・悩み・そしてどう生きる事を選ぶのか。 人間の物語を見届けるという観点で楽しむ物と思っております。 なので、もしどこかで気持ちが落ち込んだ時…彼らの悩みながらも最後は好転していった様を読み直し元気をもらいたい。 そう思える作品でした。 @ネタバレ終了 長文となりましたが、これは長文にならない方が嘘だと言わせていただきつつ。 素晴らしい作品をありがとうございました。

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  • 蝋燭の照らす先は
    蝋燭の照らす先は
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 正体不明な未知のダンジョンを探索し何が起きるのか? 行動による運命の分岐や『テーマ』が隠されているという点を楽しみにいざダンジョンへ…。 @ネタバレ開始 どこまでも続く回廊に突然飛ばされた先にある空間、部屋とそこにいる門番のような役割をしているキャラクターたち。 それを計3回突破した後に、最後の試練を越えてエンディングへ…と構成としてはわかりやすかったです。 最初はいきなり女の子に試練を任せるのも気が引けるなぁと自分が引き受け。 後はリスク分散によるトータルでダメージを抑えるプレイ方針で主人公→ガーベラ→主人公→ガーベラの順で試練へ挑戦。 からの、これは駄目なパターンを引いたか…というエンドへ。 エンドに関しても確かに、人間は情報の8割程を視覚から得ていると考えれば目に見える物が不安定であるというのは危険な状況でしょう。 そして、歯車さんの時に恐らく目には見えないけれど他にも何か問題が起きている状態と思えば…とは。 視覚の重要性という意味では「じゃあ今度はさっきと逆で初手の試練をガーベラに任せてみよう」 の場合に即行ってしまったバッドエンドも主人公が比較的冷静になろうとつとめていただけで充分起こりうるトラブルですよね…。 と、2周目は速攻で終わりこれは確定で幻覚はデバフとして背負ったまま進行ってきついなぁ…と覚悟を決め。 これを見ていると以降のプレイで演奏家との会話にあった 「むしろ司書ちゃんの方がえげつないよ?」 「私たちは命を取らないけど、君たちは出来るからね」 の意味に「それなー!?」としか思えないし、すでにそれでバッドを踏んでいるので結果的にヒントにもなっていないのはさておき… 自分がただ苦しいだけの幻聴は自分の精神が崩壊する可能性はあっても、幻覚で誤って人を襲いかねない…という意味ではどちらがえげつないかはよく理解できました。 リスク分担プレイの際、最終的にガーベラはデバフがなくなったという辺り最後の試練で剣を刺した人が状態異常の解除をされるという推測はできましたので、一番被害がなく終われる正解は『全て主人公が試練を受ける』の一択だなと想像はつきました。 歯車さんの語る蝋燭の美しさ、司書さんから渡された本の最後に記された文面も恐らく『蝋燭は美しい』という推理はできたのでこのゲームにおける蝋燭は何かの比喩であり、蝋燭の在り方を求められている。 と、考えればテーマはずばり『自己犠牲。誰に感謝される事もなくその身を削り周囲を照らす献身とも言える行為』それを美しい物と言ってるのだと思いました。 実際、主人公が試練を引き受け最後まで終わらせれば何事もなく終われた事。 配信内では嫌な予感がしたのであえて回収しなかったエンドを今回のレビューを書くにあたり回収したのですが、基本ガーベラちゃんは主人公と違い試練への耐性が低いというか主人公が強すぎるというのか…。 司書→速攻バッドエンド(前途の通り) 演奏家→歯車の試練を連続で任せると恐らく感情と痛覚が欠如したせいかあっさり死んでしまい。 演奏家の試練のみを任せた場合も結局脱出後に…と考えると万全の状態で戻れない状態ならどちらに後遺症があっても実質の詰みからバッドと言えるエンドが確定。 歯車の試練のみを任せた場合、他よりは比較的マシでも後悔が残り。 (ある意味、何故ここだけを自分は任せてしまったのか?という意味では一番後味は悪いまであり) 個人的に、試練の内容としては歯車の空洞になっている胸に剣を刺す。 →刺されていても空洞だから痛覚がない状態になる。 →心と言える心臓の位置を概念として刺すせいで感情が消える。 というのが何が起きているのか初見でわからなかった事や何が起きるか一番予想がしにくい点から好きでした。 他の2つは明確に何が起きているかわかりやすいのと実害もわかりやすいので相手に現状を説明しやすいですが、痛覚はもし作中のように怪我をするような行為をしなかった場合判明するのが遅れる事や感情の方もどちらがかかった場合も相手に伝える事をしなかった点から厄介な部類でしょう。 @ネタバレ終了 タイトルの意味を含め隠されたテーマを考えるという点では楽しめる内容でした。 面白い作品をありがとうございました。

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  • 華に伏す
    華に伏す
    配信にてプレイさせていただきました。 柔らかい色彩から生み出されるキャラクターが魅力的でそこに作中での会話も加わるとさらにみんないいキャラをしてるなぁとニヤニヤしてしまいました。 @ネタバレ開始 ローブの選択肢でBAD→正規エンドを2本回収→残りのBADを時系列順で回収と進行させていただきましたが、短い物語の中にも充分考察の余地がたっぷり入っているストーリーが良かったです。 実質これは他の死体と同じく遺体遺棄というか、埋められようとしていたのでは!?と穏やかじゃない状態からのスタート。 最初、主人公が記憶喪失という事で実は『神父=依頼人』は正しくても『神父=昔からの付き合いがある』の方は間違っていて実は黒幕側なのでは?等疑ってみたり捜査の時は二人行動が原則である刑事が単独って怪しいのでは?等、疑おうと思えばいくらでも怪しい要素があり。 ただ、警察手帳の件と監禁部屋で子供と対面した場面でそれぞれこの二人について職業は偽っていないだろうと思えたので一旦疑いの方は下げつつ。 正規エンド自体には割とあっさりいけた事と、深く考えなければ短時間で楽しめる探索ゲームだなぁ…で終われましたがバッドエンドを含め集まった情報を整理すると実はこれって結構名状しがたい何かの案件というか、深淵を覗いてしまったのではないか?と気づいてしまうところが考察好きとしてはたまりませんでした。 @ネタバレ終了 ここからは、ゲーム本編から得られる情報から想定した私の推理ですが @ネタバレ開始 恐らく、主人公は顔に違和感がある事や誘拐された人と同じ共通点を持っている事から儀式の成功体かそれに近い何かであり、最初に回収できるバッドエンドを見るに「時間切れ」発言から神父も黒幕側というか、少なくとも関係者ではあろうこと。 魔法陣の部屋にいた人間ではないモノと会話をする際に鈴のような音は聞こえても神父の話声が聞こえてこなかったのは部屋の中にいた双方にしか通じない言語で会話をしていた為。 (恐らくそれが鈴のような音として聞こえていた?) 刑事は素直に捜査にきた善良な公務員として(発砲するのはどうよ?はさておき)完全にシロ。 はるさん…は、恐らく神のような存在でありエンドによっては儀式の結果生み出された主人公への台詞から主人公も人工的に生み出された神のような存在なのかなと。 こういった主人公の一人称視点で進行するゲームの場合、主人公の姿が出てこないのはよくある事ですがそれを上手く利用したというべきか…本編中に姿が判明しないので記憶喪失前後で見た目が変わっている等確認する手段がない。 ただ、文章として出てきた情報から今の容姿は…という部分から『つまり、今ではない時があり…?以前の姿は別の物だった?』と匂わせている事。 バッドエンドの際に言われるまだ影響を受けやすい・定着していない等から生まれたての命というか、まだ安定期に入ってないモノなのは恐らく確定と見ていいのかなと。 しかし、書斎調査の感じから土着信仰の部分ではあくまで豊穣の神についての記載があったとの事なのでその神がはるさんとして何故失踪事件を起こした集団は新たな神を生み出さなければならなかったのか? 謎も残るところですね……。 @ネタバレ終了 プレイ後の興奮のままに感想を述べさせていただいた為、所々読みにくい文となっていたら申し訳ありません。 面白い作品をありがとうございました。

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  • 妄想狂ザナトリウム
    妄想狂ザナトリウム
    感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。 妄想や幻覚を引き起こすウィルス、精神病院を舞台にしたホラーという時点で面白そうだなと思いつつサンプルとして出ているサムネを見る限り可愛い女の子のスチルも多めで割と軽いノリなホラー作品かな?と思いましたが一番右のスチルを確認し、これは期待できると改めて確信を持った上でプレイさせていただきました。 キャラクターの魅力やストーリー構成、とある分岐点から立ち上がる事になる主人公や結末等、スピリアの流行している状況やその中で生きる人々という世界観の作り込みに関して言えば間違いなくかなりの良作です。 1箇所、人によっては厳しいグロ描写があるとは思ったのでそれさえ大丈夫そうなら色んな方にプレイしていただきたいと思いました。 @ネタバレ開始 ゲーム開始時点で、不穏な夢のような景色とそこから目覚めると妹と共にバスに乗ってこれから入院する精神病院へ移動中という導入。 主人公の病状に関する説明もあり、窓の外に化物を見つけた際は思わずドキリとしましたが主人公は幻覚を見るという前提に妹からは見えていない様子である事からこれがスピリアの症状なのか…とわかりやすい描写だったと思います。 後はぶっとんだ格好をした院長等いきなり個性的な登場人物が出たり等ありましたが、基本は幼馴染であるリザと触れ合いながら「リザを死なせない為に毎日面白い事をする」というノルマをこなす病院が舞台である事を除けばある種の日常物かな?と微笑ましく見守っておりました。 「前半の3つの選択肢ではルート分岐は発生しません」とあったので、心理テストのような質問に関しては直感的に答えつつ不穏な夢の描写等気になる部分はありましたが、あくまで主人公が病にかかっているという点を考慮すれば無関係とは言えずともまだ…平穏なパートが続いて欲しいしそうであって欲しい、とは。 しかし、明確に就寝前の時点から不穏な要素を思わせ入院何日目の表記で赤文字が使用された4日目、序盤に妄想と現実の見極め方法は明言されていましたが確かにその通り主人公はリザに触れた事がないという認めたくない事実を突きつけられ。 回想シーンに入る事で今までリザの取っていた行動が現実で再会していたリザの動きをなぞった物であると明確にわかる場面に直面した際には思わず声にならない悲鳴があがりました。 それに、スピリアが本当はどんな症状を引き起こすウィルスなのか。 ただの妄想や幻覚症状等を引き起こしやがて自然治癒するのを待つしかない物ならどれだけ良かった事か…。 今までたまに目撃していた化物はスピリア末期患者の姿であり、主人公は進行こそ遅いもののいつかはあのようになってしまう事。 モネちゃんと二人で怯えながら暮らしていたけれど、これ以上負担をかけたくないと家を出た結果リザと再会しやっと想いが通じたと思ったのにその幸せは長く続かなかった事。 何度もフラッシュバックするリザちゃんの死の間際のシーン。 ゲーム開始時点の夢はこれを指していたのか…と、他の夢で見ていた場面がそのまま過去の記憶と合致する事から余程のトラウマになっていたんだろうな…と悲しくなった事。 モネちゃんからしてみれば、残された家族である兄を失いたくない気持ちから催眠術を使用し強引に主人公の記憶を操作したというのも仕方がなかったでしょう。 恋人を失った事はショックでも、まだ妹がいるのだから主人公ももう少しだけ生きる方向に舵を切って欲しかったとも思えます。 そして、全てを思い出した上で迫られる選択肢。 エンドとしては全回収したのですが、長文になる関係上正規ルートを選択した場合について書かせていただきます。 現状、スピリアを治療する事はできずとも実は途中までワクチンの研究が進んでいた事や危険ではあれど必要な材料や機材があれば研究は可能である事。 リザの意思を汲むのなら、生きる為にここは立ち向かわなければならない場面だろうと気合を入れて都心部へ乗り込み。 極力的に見つからないように行きたくとも、立地上それが難しい状況やその中でも目的の部屋へ到達し入口を封鎖するならサバイバルホラーとしての描写が楽しめました。 そして、これだけ建物内に化物がいれば…何故、目的の部屋には化物が全くいないと思い込んでいたのか? と言わんばかりの展開や窓からの脱出に化物に襲われ選択を迫られる場面とハラハラしっぱなしで全く退屈させず、私は某漫画の台詞から「敵に許しを請う位なら右肩をくれてやれとな!」ならぬ、自分の腕を諦める選択で無事に生還しました。 一応、バッドから先に回収予定だったので本能的に正解を選んだという理由で後程バッドも見ましたが…これはなかなかえげつない終わりでしたね…。 結果的に主人公は右肩の付け根位まで腕を失う事になりましたが、生きるという事は何かしら代償を払わなければならない事。 今の状態だからこそ求められる代償が異常とも言えますが、結果的にリザの願いは叶い廃病院にいた不完全抗体の患者が助かった事を思えば安くはないけれど主人公がようやく現実に立ち向かい成果を得た結果なのだとも言えると思いました。 小さい頃、ヒーローに憧れ剣道を始め、やがて現実を知り惰性になりつつも続けていた事が誰かの助けになったのなら。 少年の患者にとって、間違いなく主人公は紛れもなくヒーローになれたんだ…と感慨深いものがあります。 最後はみんなでお祝いのパーティーをしつつ、これで事態も好転をすると安堵した中… 唐突に出てきた、違和感に対する選択肢。 今は選ぼうとしても駄目なようなので、無視する一択の結果無事にBESTエンドへ。 ラストで聞こえたリザの声は幻聴等ではなく、死後もずっとそばで見守っていた彼女の声が届いた奇跡と思いたい…そう思いました。 そしてスタッフロールが終われば、主人公のスピリアが治った事で消滅したはずのゲルニが突然現れ『別ルートを見る為のスイッチを切り替える』 そんな選択肢を迫られるまさかの展開へ…。 これを切り替える事で先程の違和感に対する選択肢で選べなかった方が選択可能になるとはわかりましたが、何でしょう…何となく、嫌な予感がするのは。 @ネタバレ終了 ここからはCRAZYとTRUTHのエンドについて、となりますが クリア後のおまけと言いつつ本番はここからだと思いましたね…。 @ネタバレ開始 違和感の正体はこのパーティーの前にあったラッキースケベと言えるモネちゃんのお着換えスチルだったなんて誰が予想できたでしょうか? 所謂、激闘を乗り越えたプレイヤーへのご褒美を含めた何か程度だろうと思っていたら確かにあるはずのあれがない…。 そして、ここからいけるどちらのエンドでも結局のところもはや伏線が高度というか哲学というべきか確定情報が存在していないに等しいという事実を再認識する。 この点がとても大きかったです。 プレイヤーが見ているのはスピリア患者である主人公の見た世界でしかなく、主人公がスピリア患者である以上そこにある物がどこまで現実であり『妄想・幻覚・記憶障害』といった要素を抜いた事実として扱えるのか? 主人公はスピリア患者である、その前提で進行していた為それでもその中でこれは恐らく現実だろうと思える情報を取捨選択していましたが『まず、主人公の持つ妄想や幻覚を見極める方法が合っている保証すらない』と判明した際、もう何も信用できる前提がないという絶望感。 ゲーム開始時の怪我をした少女が実はリザでなくモネちゃんだったという事。 …これは、確かに服装をちゃんと確認すれば気づけたという点で言われてみれば…となりました。 リザの最期が何度もフラッシュバックするという部分含め勝手にリザの最期に対する記憶と勘違いをしていました。 だったら、今隣にいる妹は誰だ…? 今まで、そこにいる人物に幻覚のテクスチャを被せた場合はリザと別の患者を間違えたように触れればわかるでしょう。 貫通するのなら、法則が適応されるなら存在しないという事になり。 触れても変わる様子がないならそれは本当に妹であるはず。 だけど、モネちゃんは触れれば実体があり姿も変わる様子がない。 それでも記憶が正しければすでに死んでいるはずで…? 時系列を整理するなら ・スピリアの感染爆発、主人公とモネは二人で生きる事に ・主人公を庇ってモネは死亡 ・主人公はその事実を受け入れられず『書置きを残して家出をした』と記憶を改竄した ・リザとのやりとりはそのままの事実 ・後に助けてくれた「お兄ちゃん」と呼んでくれた誰かを妹と思い込み今に至る といったところかと思いますが、この場合も妹を名乗る誰かの正体はわからず。 今までのように触れても姿がそのままで、他の人とも会話をしている辺り存在そのものは恐らくしているはず。 ここから推測するに、主人公は一見するとリザが死んだ事実を受け入れたくない為に妄想の中に生きていた。 一番受け入れたくないのはリザの死だった。 と今までずっと思っていたのですが、モネちゃんも亡くなっていた場合解釈がまた変わりそうで。 モネちゃんの姿をした誰かの幻覚が解除されず、おまけでしか明かされない真相である以上主人公にとって本当に忘れてしまいたかったのは妹の死だった。 それを、同じく忘れてしまいたい程辛い記憶であってもより隠したい本当の真実(妹の死)を隠す様に、二重底にしてリザの死を忘れたいという事で隠していた。 これなら、リザを失った主人公が自殺をしようとした際に何故妹を残して?という部分も説明はつきました。 記憶としては忘れた事にしていても、どこかでもう本物の妹もいない自分は一人である事を理解していたから…と。 隠しにおいて、より平和なのは全てを知る必要はないとある種の思考放棄をするTRUTHなのでしょうが、ここでこの真実が誰にとっての真実なのか? 全ての情報をあるべき姿とし、全てを知ってこその真実ではないのか? だけど、このエンドで言われる真実は『主人公にとっての都合の良い』真実であろう事。 一般的にTRUTHと言われるエンドはどんなに過酷な事だとしてもその世界の真相を全て明るみにし、主人公やその関係者も無事と言い難い結末である物が多い中で『誰かにとっての真実』という意味合いでエンド名にする。 この発想はあまり見ないという点でなかなか興味深いといえる物でした。 何が本物かわからない世界における真実とは何か? そして、一番の伏線というか大仕掛けと言えるのはおまけルートを見た後のタイトル画面でしょう。 当初、タイトル画面にはモネちゃんとリザがナース服を着て座っておりその後ろでゲルニが爆笑をしている構図でした。 しかし、おまけルートの後にタイトル画面を見るとさっきまで二人のいた場所には二体の化物がおりゲルニの姿はない。 正直、これはやられた!!と思いました。 特に疑いもなく初期のタイトル画面を受け入れておりましたが本編を考えれば二人がナース服を着ている事そのものがまずありえない。 そして、妄想…スピリアの象徴であるゲルニが存在しているという事は『このタイトル画面はプレイヤーが見ている妄想である』という意味を持ち。 おまけルートを見た事で、妄想を通さずに見た結果元々タイトル画面はこのような状態だったと知る。 思えばBESTの時点で主人公はスピリアが治っているので、スタッフロールの後に話しかけてきたゲルニは主人公でなくプレイヤーが見ているスピリアの象徴であり主人公の見たい妄想へ導く役割をしていたにすぎなかった。 スピリア患者の主人公の視界を通してプレイしていると思えば、実はプレイヤーもまたスピリア患者だったという盛大なオチ。 これには完敗です。ゲームの世界観や何が真相か?を考えるだけでなく実はプレイヤーすら…という仕掛けまで最初から仕込まれている、これは間違いなくホラーゲームです。 遊んでしまった時点でプレイヤーもスピリアに感染してしまう。 作中では空気感染という事でしたが、こういったゲームをプレイする事で感染者を増やすという一種の遊びを入れるのは個人的にとても好きです。 なので、その意味も込め「色んな方にプレイしていただきたいと思いました」という一文を誰にでも見える所に明記させていただきました。 余談ながら、まだ真相が判明する前に登場人物の名前に法則性があると予想をし リザ→絵画の描写含め「モナリザ」から ゲルニ→ゲルニカ モネ→クロード・モネ ルイ→ジャック=ルイ・ダヴィッド アンリ→アンリ・ルソー 妄想の象徴であるゲルニや生前の描写はあっても主な出番が主人公の妄想であるリザはある意味創造の産物といえる絵画の名前から。 主人公や妹、アンリ院長は画家の名前であり創造・生み出す側である事。つまり人間サイドである。 といった予想をしていたのですが、ラストの妹とは……で全てが崩壊しました。 @ネタバレ終了 ただグロテスクな表現があるとか、妄想や幻覚症状を持つ主人公が精神的に追い詰める描写があるといった安易なホラーでなく最後までカラクリの読めない世界観の構成と全てのエンドを回収した時の衝撃までたっぷり楽しめる名作でした。 ホラーという言葉にも多種多様なテーマがある事、という本来の定義を満たしておりあえて何系ホラーと表現すべきか?は難しいのですが遊んで絶対に損はないと言える作品です。 素敵な作品をありがとうございました。

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