日向日影@文化系物書きVtuberのレビューコレクション
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大正占術奇譚セリフ回し、人物や風景のアニメーション、文字や映像の出る「間」の取り方、ストーリーの展 開、伏線の回収、物語の構造、その全てが大正時代というあの短い季節に私たちが思う憧れを想起させてくれます。一つ一つの物語が非常に練られつつ、ちょっと怖かったり、切なかったり、ユーモアがあったり、でもその全てが大正の優雅さを描き出していて、とにかくその統一された世界観の中で、オムニバスのストーリーが少しずつ繋がっていくと読み進めるのが止められなくなります。 分岐がありますが分岐までのチャートを見ながら選んでいけるので非常に物語に浸りやすいですし、引用や参考の多さも含め全てにおいて技術と計算と情熱が行き届いている最高の作品でした。とにかく色々な面が溢れているゴオジャスな作品でエンデイングを見た時は思わず拍手していました。 @ネタバレ開始 いきなり現代から始まって「おや?」となったと思ったら、本のタイトルや登場人物のレトロな書き方に惹きつけられ一気に対象の世界に入っていきました。 占い師がいきなり周回を匂わせてきたり、メタフィクション的な展開があったり、急に時代が変わってしまったりと、とにかくあらゆる方法で楽しませていただきました。 最後の謎は占い一覧を見ていて「あ!!」となりました。ずっと謎の答えは目の前にあったということで非常によかったです。 改めてやっぱり大正時代はいいなぁと感じます。あの時代の空気を少し吸い込めたような気がしました。ありがとうございます。 @ネタバレ終了
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とつげきスパッツァー作者のスパッツに対する情熱とホビーアニメ・ギャルゲーへの造詣の深さをひしひしと感じるとにかくテンションの高い作品です。 熱い展開と魅力的なキャラクター、ツッコミが追いつかないほどのギャグ、そしてちょっとしたエロ展開が波のように押し寄せ、終わった後、ホビー誌原作のアニメシリーズを1クール見切ったような感じになれます!また、きっと気づかなかったものもいっぱいあるであろう無数のパロディネタや、いい意味で下品なネタが満載でプレイしていて思わず吹き出してしまいます。笑いを狙って取るというのは本当に難しので作者の手腕のすごさを感じます。 メインのストーリーはとにかく熱いスポ根物です。ただ、同時につばさがスパッツバトラーとして開花していく姿をコーチとして共に歩み、見守っていくというスタイルが非常に独特で、その形式がギャルゲー的な恋愛要素や、大人になった私たちが見守るという視点を取ることで、私たちが少女たちの戦いに感情移入することを可能にさせているのでしょう。 ホビアニ、ギャルゲー、スポ根、パロディとさまざまなジャンルを、そのツボを押さえながらどんどん積み増していく、足し算で出来上がった大盛りの作品です。 @ネタバレ開始 主人公のスパワーが復活する展開は「来るんじゃないか…!」と思っていたのですが、 まさかそのスパワーをすぐみんなを救うために使ってしまうというのは本当に痺れました! あとセバスチン〇ンって名前は自分の中でひどい名前(誉め言葉)更新しました! 素敵な作品をありがとうございまスパッツ! スパッツバトル、実際にやったらどうなるのか見てみたいものです! @ネタバレ終了
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でこれいと・でこれいしょんドット絵がとにかくかわいらしく動くのが見ているだけで楽しいです。そこに合わさるファミコン時代のようなBGMやSが醸しだすの牧歌的な感じと、実際に起きていることのギャップが強烈で、それだけで楽しくなってきます。 エンディングの分岐を考えながら行動を選んでいくのが、まさに彼女が彼の気を惹くためにしていることとシンクロしているようで、結構大変でしたが、その分思いが募っていくように感じました。 テキスト一つ一つや細部にまで統一感とセンスが行きわたっていて、遊んでいて本当に楽しかったです。 同時に人をここまで愛せる、あるいは愛されるってどんな感じなのだろうと考えたり、エンディングによって少しずつ真実がわかっていくのが非常にドキドキしました。 @ネタバレ開始 トータル2時間ほどかけたのですがBAD2にいけず、ここは動画を見てしまいました…。 途中で「あれ、浴槽にあれあるんじゃ…?」と気づいた瞬間、家の見え方、そしてこの物語の見え方がガラッと変わるのが非常に刺さりました。 話しかける時のひょっこり顔を出す感じのドット絵が最高に好きです。 二人に幸あれ…、でいいのかな? まあ、二人に幸あれ! @ネタバレ終了
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Serpentersブラックとかそういうレベルじゃないヤバすぎる企業からの脱出を目指すポイントクリック式のアドベンチャーになります。 レトロとサイケデリック感のある独特の映像や色彩、EDM系の音楽、謎解き要素、それに就職活動という現実の要素をまとめる実力とセンスがずば抜けています。お洒落でありながら人間の泥臭さも描かれているので心情がこちらにも伝わってきます。遊んでいてとにかくノリがいい作品です。そのノリの究極が各エンディングだと思うのでぜひ遊んでほしいです! イベントを進めるごとにわかってくる会社の実像がとんでもなくぶっ飛んでいるんですけど、それが語り口のうまさと物語の「ノリのよさ」ですっと入ってきます。本当にぶっ飛んでるので必見です。 「才気煥発」という言葉がピッタリなほどセンスが爆発している作品で、踊りたいけどノベルゲームもしたい人にお薦めです!! @ネタバレ開始 改めて振り返ってみると白奈さん好きだなーって思いました。 あそこで一緒にコーヒー飲みたいけどそのためには江戸川さんに雇われないとだめなのか…. @ネタバレ終了
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ドキドキ僕の自由研究手書きのサムネイル見て「あーこれ絶対怖いわ」と思って実況させていただきました! しっかり怖がらせていただきました!!楽しかったです!! @ネタバレ開始 子どもの自由研究の再現性がとても高くよかったです! でもその中で「キュウリの味が人間と似ている?」とか「ぶよぶよしてやわかい」とかいやーな感じを与えてくるのが怖くて楽しい作品でした。 紙芝居→母子の会話→父母の会話という繰り返しの中で少しずつ状況が変化していくのがとても面白く、最後にはそれが重なってクライマックスになるのもとてもきれいでよかったです。夫婦がどうなってしまうかと思ったのですが、カッパに会いに行ったENDでは仲直りしたのでよかったです…! @ネタバレ終了
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チャットSMD意味怖なので時には聞き返して「ああそういうことか!」など思いながら読んでいると…! ああ!やられた!!って感じで、ちゃんとこっちを怖がらせに来てくれるいい短編ホラーでした! @ネタバレ開始 最初のチュートリアル読んでるうちに消えちゃって「あれ……?」となっていたのですが、まさかあそこに「質問は6つまで」と書いていたとは……! 6番の話が一番怖いというか、「うわぁ…」となりました。全体に人の悪意と狂気を感じる話が多く、いわゆる人怖が好きなのでとてもよかったです。AIも人が作ったものですしね。 @ネタバレ終了
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My fire・レトロだけど色彩美しく、不思議と強い生命感を感じるグラフィック。 ・温かみのあるアニメーション ・8bitサウンド ・日常感に深みを与えてくれる探索 ・魅力的な登場人物 ・独特な世界観 ・優しい日々が転じた瞬間に息を飲んでしまうシナリオ ・その世界観やシナリオの飛躍を納得させてくれる丁寧で情感を誘う文章 作品の要素が一つ一つ素晴らしいのですが、この作品にはそのような要素を並べただけでは説明できない、言葉にできないものがありました。気がついたら涙が流れていました。 独特だけど難しくなく、切ないけれど爽やか。まさに青という色が持つ「憂鬱」と「晴れやか」という相反するイメージが完璧に共存した快作です。 @ネタバレ開始 「僕は太陽になりたい」という段階で、「ホノオ君は誰かを助けて死んでしまうのだろうか」と不安になりましたが、まさかあんなにあっけなく……。時が止まったような感覚になりました。 そこを踏まえての添乗員ちゃんの「太陽は男気を見せ紳士的にふるまってくれた」という内面表現が本当に好きでした……。 その直後に、その瞬間は意味がわからない、いや、正直少しは察していたし、意味がわかりたくなかったと言った方がいいのでしょうか?ホノオくんのスクールシャツの表現でこちらに予兆を与えてくるのも印象的です。 ホノオくんの両親の憔悴が深まる過程が文章・スチルの両方で伝わってくるのがとても痛々しく、だからこそ最後に笑顔でお皿を持ってくる姿が見られて嬉しかったです。また、ホノオくんの母親がガラス瓶のホノオ君をバスに載せたために生徒や添乗員ちゃんが喪に服しきれず苦しんでいるのも印象的でした。死や別れをどう受け入れるか、その難しさ、でも同時に大切さを改めて考えました。 添乗員ちゃんの眼の中に青い炎が映るアニメーションのところで気がついたら涙が流れていました。ごめんよ堪えられなくて…。 そして、おまけには本当にびっくりさせられました……。ホノオくんは麦わら帽子のことは絶対添乗員ちゃんには伝えたくなかったでしょうね、優しい子ですから。添乗員ちゃん、まあそりゃあモテますよね…。幼い頃の淡い初恋のお姉さんというイメージそのものといった感じで素敵でした。「ホノオくんは両親といる時、笑顔の瞬間が多い」この一言がずしんときました。いつか、また会えるのでしょうか? 端から端まで素晴らしい、作者様の心のこもった魔法のような作品でした。どうもありがとうございました。 @ネタバレ終了
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Dear Journey:Happy Birth Day実況しながらプレイさせていただきました! ドット絵がとにかく美しくてかわいくて、それがいっぱい動いて…、本当にかわいかったです。それにFM音源的なBGMも本当に好きです。 遊んでいる間ずっと笑顔でいられるような最高の手触りの作品でした。 ストーリーには苦味もあるのですが、それでもそこに優しさとかわいさが溢れていました。 今日という日をいい日にしたい時に遊んでほしい作品です。 @ネタバレ開始 誕生日プレゼントを無邪気に喜ぶカナイの姿がとてもかわいく、 だからこそシェリーの心遣いが切なく、苦味も感じました。 その上で、最後にカナイの作ったプレゼントと思いを知ることでそれが希望に変わっていくのが本当に感動的でした。本当に優しく、かつクオリティの高い作品で、「この作品に出会えてよかったなぁ」と、心の中に浮かんでくるような作品でした。 素晴らしい作品をつくっていただき、ありがとうございました! @ネタバレ終了
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世界一彼女の近くで非常に柔らかな絵と柔らかな物語です。 物語が進むたびに、「僕」の気持ちが動いていくのが非常によかったです。 そしておまけも非常によくて、暖かい気持ちになれる作品でした。 @ネタバレ開始 最初は、「これ僕がストーカーとかじゃないよな…」とあらぬ想像をしたのですが、「体を拭いてもらっている」で「あ、メガネかな?」と気づいたのを覚えています。ごめんよメガネ君ストーカーと疑っちゃって…。 ちょっと親の子離れを思い出すようなメガネ君の心の遷移がとてもよかったです。 おまけの4コマもどちらも非常に優しかったのです。 同時に、メガネのスペックに「耐用年数10年」と書いているのが未来の暗示に感じて少し切なくもなりました。それまで、みんなで素敵な日々を過ごしてもらいたいです。 素敵な作品をありがとうございます! @ネタバレ終了
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新人Vをプロデュースしてみた。配信しながらプレイさせていただきました。 同じVtuberとして「あーこれわかる…!」とか「ああ、こういうこと考えたりもあるんですね」あるいは「自分もこんなことあったなぁ」など、色々なことに思いを巡らせながらプレイさせていただきました。 リアルな個人勢Vtuberの裏側、と銘打ちつつも物語は非常に爽やかで「いい話読んだーー!」ってなる感じの作品でとてもよかったです! @ネタバレ開始 「新人Vをプロデュースしてみた。」というゲームの中でまた「新人Vをプロデュースしてみた。」というゲームが作られる入れ子構造がとても面白かったです! ストーリーも、それこそアイドルマ〇スターのように自分を信じてまえに進むことで道が開けていくのがとてもよくて、「私も頑張ろう!」って思えました。 そして最後のシャイニングスター、とても素敵です!素敵なゲームと素敵な歌をありがとうございました。 @ネタバレ終了