アオノソラのレビューコレクション
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俺と彼女と誰かと誰かなぜ監禁されているのか、なぜ記憶がないのか。 その答えは恐ろしくも悲しく、救いのなさの中にもやるせない救いがある。そんな物語です、 @ネタバレ開始 元の人格を完全に破壊された生きる殺戮兵器の少年と、自らの記憶を頼りに兄の人格をその仇である少年に上書きして再生しようとする妹。元に戻ることも、死者を還すこともできないことは明白なのに、二人の救いは互いに壊しあうより他にないのでしょうか。 神の視点で眺める読者としては、過去を全て捨て去れば別の救いもあるのではと無思慮に考えてしまいますが、人が人であればこそそんな選択はできないのでしょうね、
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最近の日常的不可思議 Monday Loop前作主人公の片割れが引き続き語り手。過去作同様怒涛の情景描写とマシンガン的会話の応酬が続く。 仕事から帰って疲れた頭で、寝る前に読むのにピッタリです。LoFiに乗って流れる文章が心地よく頭をぶち抜いて、気がつくと意識がなくなるというのを四夜繰り返しました。 @ネタバレ開始 ループの理由は直前まで見当つきませんでしたが、ああ、なるほどと納得。最後にマエさんが出てきたのもよかったなあ(途中でもちょっと出たけど)。 @ネタバレ終了 今回もとてもよかったです。次の作品も楽しみにしています。
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触れたくないけど、そばにいて。読了しました。短いですが密度の濃い読み応えです。 今回スチル多めですが、文章での描写が巧みで多分絵無しでもいける(笑) あ、でも、幕間の冷蔵庫の絵はないとダメかも。 挿話的なシーンも魅力的です。エアロバイクのところが特に好き。 @ネタバレ開始 心が少し壊れた二人の同居生活。 互いの過去や身の上には触れ合わないという協定。そして少女が行う「殴られ屋」という危険極まりない仕事でさえ、彼女の人生は彼女のものと尊重する不干渉主義。 世間的には異常者に見られるだろう生き方です。でも二人の間に確かな信頼と愛情がある。悩みや心情を晒し合って共有することって、友愛を育む必要条件ではないですよね。 互いを思いやりつつ自由を尊重する二人の生き方に、爽やかさすら感じます。 ただ、自分だったら工藤さんが「殴られ屋」を続けることを見守り続けられる自信はないです。人はいつか死にますし、それを含めて彼女の人生ではありますが、自分の方が先に心折れちゃいそう。暴力ってあまりにも簡単に身体も命も損いますし、人の弑逆性って際限なくエスカレートするんで。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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いろは人狼人狼ゲームの実況や再現動画は数多くありますが、ノベルゲーム仕立てにすると同じ見るだけなのに臨場感が違うのが不思議です 加えてテンポもいいです チュートリアル多め、本番シナリオは3つだったので、このメンバーでの続きをもっと読みたくなりました 楽しい時間が過ごせました ありがとうございます
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私の最期の言葉は掌編ですがパソコンの画面の再現度が高く、アイデアに感心しました。 パソコンの操作をしているプレイヤーキャラが誰なのか、謎解きとともにわかる仕掛けも秀逸です。 スッと感情移入できたので、最後の言葉は、自然と他の皆さんと同じになりました。
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夏色のコントラスト【リメイク版】10年ぶりくらいにプレイしました! あいはらさんのノベルゲームはとにかく情景描写と登場人物たちの心の微妙な動きの表現が丁寧で、読みやすいですね。夏のひととき、年ごろの男の子と女の子の短い交流。でもその中に淡い恋愛や若い挫折、家族の思いやり、前を向く小さな勇気、いろんな要素が詰まっています。 あいはらさんの作品のファンなので、ノベコレでも活躍されていてうれしいです。新作もプレイさせていただきます!
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天使の飼い殺しドット絵の見事さと、演出の技術に驚きました(どうやってるんだろう)。ストーリーはとても短いですが、天使の正体がわかる後半は、ちょっと怖くて切なく、しっかりオチがついています。完成度がすごく高いので、皆さんにもやってみてほしいです!
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雨の袂青春時代だからこその不器用で拗らせためんどくささが、見事に描かれています。縋りたい、綺麗なままにしておきたい記憶、失いたくないから踏み出せなかった後悔。それをわかりすぎるくらい理解できるよく似た性格の後輩との会話。二人にとって互いは自分の鏡写しでもあり、いやでも自分の気持ちに向き合うことになる。梅雨空が二人の心情を象徴していました。 @ネタバレ開始 二人は相手の中の自分に苛立ちを覚えたり、佑悟にいたっては伊代に美咲の面影を見つけてしまったり、ともすれば傷つけ合いかねない関係ですが、それだけに憎まれ口を叩きつつも互いを思う気持ちが滲む浜のシーンは素敵でした。不器用な二人が面倒くさいまま、共に歩む気配も残しつつ終わるのも良かったです。
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飲み会をぶっ壊せ!悪党どものやり口や、清ちゃんの世なれた切り抜け方などリアリティに溢れていて、面白く読ませてもらいました。分岐の選択肢も納得感のあるもので、全体構成は相当力を入れて考えられたのではないでしょうか。楽しい作品をありがとうございました!
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雨音と自動人形 結(むすび)雨のバス停、誰かをじっと待つ自動人形。冒頭のつかみからして最高です。メイド人形とタバコという一見不釣り合いな組み合わせや、封じ屋の主人公はなぜ忘れたい記憶を封じたままにしないのかなど、序盤に提示された謎がサイドストーリーとも絡み合いながら明かされていく見事な構成です。音楽の選曲も、それぞれの場面によく合っていたと思います。