かおりのレビューコレクション
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This one,(I mean).まっさらな画面に二色の「二つの四角」で構成される、シンプルながらも味わいのあるお話でした。 @ネタバレ開始 最初は距離のあった二つの四角が、読み進めていくと段々近づき、最後は隣に並ぶ演出が素敵でした。 ちょっとしたきっかけで今まで「ほどほど」の関係であった友人とも近しくなれる、と思える部分がとても良かったです。 ただ、すみれさんの途切れた言葉の先は何だったのかを、読み終えた後もぐるぐると考えてしまいました。 母の忘れ形見ともいえる色濃く受け継いだ黒髪と、それを具現化したかのような「墨麗」という名前をどう思っていたのだろう?その自然体の美しさを誇りに思うのか、それとも…。 最期まで自然な髪のまま亡くなった母と、その母の願いが込められたような黒髪にちなんだ名前はまるで彼女を縛る鎖のようだなと思ってしまいました。 墨麗の名でいる限りその呪縛から逃れられない…そんな不自由さを感じてしまい、その重さが負担になっているのではという気さえしました。 だから流行り廃りで髪色を自由気ままに変えたりできる他の子たちや、自分とは全く違う髪色を持つ杏さんを羨ましく思ったりしたのかな、なんて勝手に色々想像してみたり…。 もちろん、流行りに流されないことや、本当に大事なものを見失わないことの大切さも感じられるお話だったのですが、その中に少しばかり不穏さを感じてしまったのは、私の心が闇深いからかもしれません…汗。 @ネタバレ終了 掌編の中にも色々考えさせられる部分があり、その部分に関しては読んだ方それぞれで感じかたが違ってきそうだなと思います。 視覚的には平面だけれど、内容には立体的な奥行きが感じられる作品でした。ありがとうございました!
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6月のマリッジブルー雨の日、目を覚ました先で出会った見ず知らずの男性と主人公の数奇な運命を描いたお話です。 目を奪うような美しいイラストと、それとは裏腹な、陰鬱な雨のように湿った世界観がとても心に残りました。 @ネタバレ開始 開始当初は、突然拉致した挙句軟禁し婚約者だと言ってきかない灰李くんがとても怖かったです…!言葉が通じない?!しかも閉じ込められてるし…!そしてその出で立ちは何?!とパニック(出で立ちの理由については後の設定資料で判明したのですが) 個人的にストーカーという「自分の目的」だけしか考えない存在が苦手なのもあって、灰李くんも苦手キャラか…と思いましたが実情は違いました。身勝手だと思われた灰李くんの行動が、純粋に雲雀さんの願いをかなえたいという強い思いからの凶行だったとわかった時、今作に対する印象がガラッと変わった気がします。 END3 人を愛する心というものを初めて見つけた灰李くんが、再びその希望を失ってしまう切ない結末でした。最後の瞬間にその思いが雲雀さんに伝わるけれど、もう手遅れという展開が悲しかったです。もっと早く気付いていれば…! END2 灰李くんと心が通わず、束縛から逃れる唯一の方法を選択してしまった悲しい結末でしたが、飛び立つ背中が神々しくとても美しかったです。 ただ、自由な風に身を任せた雲雀さんが…一瞬でも幸せを感じられたのか?そこに少しでも救いはあったのか?と考えあぐねてしまいました。辛い決断を見守るしかないのが苦しかったです。 END1 雲雀さんが6月が嫌いな理由が切なすぎます…。それほどまでに周りに苦しめられ、生きるのが辛かったのだろうと…彼女の歩んできた道のりの険しさを思い、涙しました。彼と出会い「救われてしまった」雲雀ちゃんが、喜ぶよりも戸惑い「彼の隣が幸せなのか、それすらもわからない」という感情を抱くことからも、いかに彼女が押さえつけられてきたかがうかがえて胸が痛かったです。 ですが「雲雀さんを幸せにするためになら何でもする」という灰李くんの狂気的ともとれる愛情が、雲雀さんに生きる意味を与えてくれて本当によかったです。自分で決めることすら困難な雲雀さんには、むしろ使命として生を与え「生かしてくれる」存在が必要だったのだろうと、読み終えて思いました。晴天の海で抱き合う姿と、タイトル画面の二人の笑顔が果てしなく美しかったです。 後日談 自分の願望と、彼女の幸せを願う気持ちとの間で揺れ動き、それでも一緒に生きてほしいと泣く灰李くんに泣きました…!最初の頃は自分の思いを押し付ける部分が大きかった灰李くんが、雲雀さんとの生活の中でどんどん人間味を帯びていく…その変化が尊かったです。対する雲雀さんの心の中にも受け身なだけでなく与えたいという思いや、先の展望にまで思いをはせる変化があり、雲雀さんも変われたのだと二人の成長していく姿に涙でした。 この幸せがいつまで続くのか…どこか儚い夢のようで不安も感じますが、たとえ待ち受けているものが破滅だとしても、二人が辿り着いた失楽園という仮初めの安息が少しでも長く続きますように。 @ネタバレ終了 誰からも理解されないだろう二人だけの世界が、どう考えても常識や倫理観から外れているのにも関わらず、ひたすらに美しく尊かったです。 唯一無二の愛情が胸に迫る作品でした。ありがとうございました!
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Sweet Valentine 〜犬井遼の場合〜付き合ってから初めてのバレンタインを迎えるカップル「花森しおり」さんと「犬井遼」くんの甘く、かわいいラブストーリーでした。 @ネタバレ開始 犬井くんがとても、とっても可愛かったです!!チョコを楽しみにし過ぎてソワソワしている姿や、しおりさんがいつから自分を好きでいてくれたかを知った時など、終始ピュアな反応を見せてくれる犬井くんに物凄く癒されました。 からの!バックハグ来たー!!手を引かれた際に体勢を崩してしまって、あ…と思っている間に抱きしめられるとか最高です、激ツボです!また「ぎゅ」の時間が数秒ってとこがいいですよね…初々しい!純粋!!大きなワンコ!!!と数秒間で私も心を鷲掴みにされました。 そして5年後、二人の呼び名に萌えました…!何年も付き合っていれば当たり前とは思いますが、直前にまだ初心な二人を見ていたのでその変化にドギマギしてしまいました。いいなぁ、しおり・遼くん呼び。お互いのことをよくわかり合っている感じのやり取りもとても素敵でした。 何より最後のプロポーズ!手を取って指輪をはめるシーンが夢のように美しかったです…!スチルの変化で犬井くんの心情が感じられる、細やかな演出もとても沁みました。ポーカーフェイスだったけど、本当は犬井くんもドキドキしてくれてたんだとわかって嬉しかったです。 実は大人になって可愛いよりカッコイイが似合うようになった犬井くんにほんの少し寂しさを感じていたので、「緊張した」と言った時の表情に以前の面影が感じられてなんだかホッとしました。 これからも変わらずラブラブしてくれるといいなと思います。二人の未来に幸多からんことを! @ネタバレ終了 掌編ながら最初と最後では違う味わいの幸せを堪能できる贅沢な作品でした。 温かな絵柄と文章で紡がれる、仲睦まじい二人の姿に心満たされ大満足です。ありがとうございました!
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その恋、暫定につき、バレンタインシチュエーションボイスZその恋、シリーズのヒロインたちからバレンタインチョコをもらえるという、ファンにとっては夢のように幸せなお話でした。 @ネタバレ開始 川端翼ちゃんルート 翼ちゃんの「にっひひー!!」を久々に聞けただけでもう大満足!(超絶カワイイ!)だったのですが、企救丘くんとのラブラブっぷりを見せつけてくれるような「旦那さん」発言や「あーん」のシーンなど、新婚カップルのデレに画面の前でニヤニヤしてしまいました…笑。それに作るのを手伝ってくれる企救丘くんがまた優しい!やっぱり素敵男子ですね。 個人的には翼ちゃんの顔がとにかく好みなのですが、中でも「型崩れしてるけど」の時の顔が可愛すぎで、こりゃー企救丘くんもメロメロだろうな(グフフ)と思ったのでした。 薬院和子ちゃんルート 和子ちゃん、相変わらず積極的!本当に永遠に思ってくれてるのが嬉しいな、なんて思ってたら!ハンカチ持って帰るって和子ちゃんどうしたーーー???!!!そんな性癖ありましたっけ…?と驚かされました(私が忘れてるだけだとしたらすみません!) それに柳川くんの英雄譚がご両親のみならず、親戚にまで伝わっているとは!食事会でも薬院家一同が揃って出迎えてくれるとのこと、手強そうです…がんばれ柳川くん! 金箔・120万のチョコの破壊力もすごかったです… 直方典子先生ルート 義理チョコからの展開がちょっと意外でした!もっとツンデレ系かなと思っていたので、男性とお付き合いするのが初めてだという初々しさにびっくりです。お酒が入った時だけクールビューティーなイメージが変わってしまうのだと思っていましたが、そもそも根が純粋なんだなと思いました。凝った手作りチョコからも家庭的なところがうかがえますし、そんな直方先生のギャップや予想外の可愛さにキュン死しそうでした!ふたりで”特別な”だなんていいなぁ、守恒顧問! @ネタバレ終了 翼ちゃんルートでは幸せ成分を、和子ちゃんルートでは甘酸っぱさを、直方先生ルートでは思いがけないキュンを堪能させていただきました! とても嬉しいバレンタインプレゼントでした。ありがとうございました!
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少女の神の粒子たったひとり生き残ってしまった人間の少年と、自らの手で滅ぼした惑星の生き残りの少年に恋した王女との恋を描いたお話でした。 細部まで丁寧なドット絵グラフィックの素晴らしさに惹かれてプレイし始めましたが、その可愛らしさとは裏腹にテーマは重厚だったように思います。奪った側と奪われた側の困難な恋愛は、さながらSF版「ロミオとジュリエット」のようでもありました。 @ネタバレ開始 誰からも認識されず孤独を抱えていた暗黒物質の長として、今まで何の罪悪感もなく当たり前のように行ってきた「排除」と「侵略」。 むしろ誇らしささえあったその排除によって傷つく者がいることを初めて知った戸惑いと、初めて自分を認識できる存在に出会えた喜びとがまじりあった複雑な感情。そして、そんな揺れ動くネモフィラちゃんの感情を到底理解できない、被害者の少年ショウくん。二人のすれ違う様がとても切なかったです。もうこれは最初から詰んだのでは?と思うような困難極まりない二人の関係に絶望しかけましたが、なんと世界を元に戻す方法があるとな!やったー!と思ったのもつかの間、元に戻すには暗黒物質そのものをなかったことにする必要があるという、衝撃展開。自分や同胞、そして存在自体をかけて償うというネモフィラちゃんの決断が切なすぎました。 END1 身体が壊れてしまったのはショウくんですが、それと同時にネモフィラちゃんの心も壊れてしまったようで悲しかったです。心って何かしら?と言ったネモフィラちゃんに涙。いつかショウくんを愛した自分の記憶すら排除してしまいそうな…そんな気さえしました。とにかく悲しい。 END2 ネモフィラちゃんの決断を受け入れることしかできず、その背を見送るしかできなかった末の、悲しさ溢れる結末でした。世界は元に戻って父母と会えたけれど、ちっとも幸せじゃない…!今度は心が置き去りにされてしまったショウくんの涙にもらい泣きでした…! END3 密やかに反転の儀式を行おうとしていたネモフィラちゃんの、ショウくんへの思いが尊かったです…!なんて健気なの。 そしてそれに対するショウくんの答えが男前でとても良かったです。「生きて償え」じゃなくて「一緒に」ってところがツボ!時空を超えた「ぷろぽーず」最高です!二人が今後最良の未来を見つけ出し、銀河の果てで幸せに暮らせるといいなと思いました。 最後は少し哲学的で解釈が難しかったですが…異なる種族だとしても、全ては同じく粒子からできている物質。だからこそわかりあえるはず、というメッセージが込められているのかな、と感じました。心温まるとても素敵な結末でした。 @ネタバレ終了 誰しもが気付かぬうちに誰かを傷つけているもの。その傷口に気付いて触れた時、自分の罪とどう向き合いどう償うのか…そんな難解なテーマを、可愛くポップなドット絵と魅力的なキャラクターとで絵本のように優しく導いてくれる作品でした。 個人的には、キュートさ溢れる双子の従者プランちゃん・プラントくんがとてもいい味を出していたと思います。また、過去作を読んでいるとニヤリとしてしまう時空師さんの存在も大きかったです。みな個性あふれるキャラクターで大好きでした! 読み終えた後、温かな幸福感で満たされる物語でした。ありがとうございました!
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美少年育毛剤美しい長髪の美少年「長杉カミト」くんが迷い込んだフェチシズムワールドで、美少年育毛剤研究所の実験体として働くことになるお話です。 もうどこからどう切っても髪へのフェチシズムが溢れてくるカオスな世界でした…! @ネタバレ開始 まずタイトル画面のロードが育毛記録なところから既に面白い!そして直毛と枝毛って…と初っ端から大笑い! そこ転がるようにカミスギナガトくん…もとい、長杉カミトくんの受難が始まり、小ネタとフェチシズムと作者さまの髪愛に満ちたロンゲパワー!なワールドにどんどん巻き込まれていきました。美少年の抜け毛で興奮するフェチメイドさんや、ハム太郎ならぬフェチ太郎のへ毛ッ☆が印象的なフェチ研究員さんズと共に、収穫の日を待ちながら過ごすうち生まれた謎の一体感と、奇妙な絆。私もフェチシズムワールドとお別れするのが寂しかったです…笑。 現実世界に戻ってきたかと思いきや…な展開は驚きました。ってことは、フェチメイドさんやフェチ研究員の皆さんの存在も幻ではないのでしょうか。だとしたら、始祖となってしまったカミトくんもひとりで極めるのではなく、美少年育毛研究所でまたワイワイ楽しく働いてくれたらな…なんて思ったりもしました。 元凶となった髪様の勝手な全人類髪フェチ化計画も怖いですが、何気に一番怖かったのは美少女脱毛剤と知りながら泥棒猫に使う女性!怖えぇぇぇ!絶対関わり合いたくない…と思いました!あと地味に美少年の髪を持ち歩き、マフラーを作ろうとしている女子大生も怖かったです…汗。 @ネタバレ終了 見事なまでに徹頭徹尾「髪への愛とこだわり」に振り切った髪作品でした。 また、髪にまつわる知識への造詣の深さがうかがえる豆知識や、ヘアドネーションという取り組みについても学ぶことができ、とても勉強になりました。(恥ずかしながらヘアドネーションを今作で初めて知りました…) 読んでいるこちらまで力がみなぎってくるような、突き抜けたコミカルさがとても面白かったです!確かに最後まで枝毛なく楽しめました。ありがとうございました!
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ロベリアの/嘘何もかもわからない状況で進んでいく、ある種の推理もののようなお話でした。目の前の彼は誰なのか、私は誰なのか、そして何が起こっているのか。読み進めていくとわかっていく真相と、それでもわからない真意。たぶん読み手によって違う見解を導き出せるのではないかと思う、奥深く考察しがいのあるお話でした。 @ネタバレ開始 痛すぎるほど思い合っているのに、どうあがいても結ばれることのない運命が切なかったです。そしてとても強い思いが胸に突き刺さりました。 身を捧げる献身的な愛…と思いきや、彼女を生かすためという名目の元、彼女に自分を刻みつける身勝手な束縛。残された側がどう思うかわかっていて、それを利用する…これこそが「悪意」だったのでしょうか。演技という彼女の「嘘」をすべて無にしてでも守りたかった彼女の命。そのためにロベリアとなった彼の思いは、究極の愛と言えるのかもしれないと思いました。 生かされてしまった彼女は…きっと彼の命という鎖を引きずり泣きながら歩んでいくのだろう、と想像すると胸が痛いです。 どうか三年後、もう誰からも何も奪わず静かに眠ることができますように。彼は怒るだろうけれど、最後には笑って抱きしめてくれたらいいな。せめて二人の終着点がそんな形であったら…と願います。 @ネタバレ終了 「ロベリアの/嘘」とは一体なんだったのだろう?と読み終えて考え耽ってしまいました。そのまま「悪意の嘘」と捉えるべきか、それとも「悪意の」「嘘」はそれぞれ別の人物の思想や行動を表しているのか。その意味に込められた思いについては計り知れないものがありますが、考えながら物語を反芻し、幾度も世界に浸るのがまた今作の醍醐味のように感じます。 本来の童話のような哀しく残酷かつ耽美な世界観と、ドラマチックな展開が素晴らしい作品でした。ありがとうございました!
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やっぱ世の中金だよなァ!!空から降ってきた大きく重いケースの中身を見た主人公「金木田成海」さんが、命運をわける選択を迫られるお話でした。 可愛いミニキャラ・美しいイラストと、ちょっぴりブラックで勢いのいいコメディストーリーとのギャップがとても面白かったです。そして何よりキャラクターが濃くていい!中でもミニキャラ成海くんの、目をむいて涎垂らした顔がツボでした。 @ネタバレ開始 END1 無事カニになれました。 END2 良いことをしたはずなのになぜ!笑 バトロワ展開ですが、守くんが味方にいるなら勝てるのでは…?と思ったりしました。 成海END すっかり変貌してしまいましたが、悪魔化した成海くんもイケメンでした。けど…切ない! なんだかんだ言って「あの」先輩が良かった…と気付いた守くんの心模様を見てしんみりしちゃいました。 守END なにこのブロマンス!二人だけの秘密とかエモい…!と大興奮でした。 守くんの超絶イケメンなドアップのイラストがまたとても良かったです。笑うと更に素敵! そしてこんな現実離れした状況下でも「何かあったら相談しろよ」というどこまでも人のいい成海くん、守くんが「信頼関係を築きたい」と思うのも納得ですね。最後の「♪」で守くんがいかに成海くんを気に入っているかがわかり、ニヤついてしまいました。 お金はもちろん大事だけど、それと同じくらい大切なものもあるよね!そう思える結末を、ぜひブロマンス好きな方に見てほしいなと思いました。 @ネタバレ終了 とにかく楽しくポップにお金というものの魔性性を描いたお話でした。が、コミカルなだけでなく、ENDによっては(人によっては、かも)また違った角度からの楽しみ方もできると感じました。マルチエンドの良さが際立つ作品で、とても楽しかったです。ありがとうございました!
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教団の二つのドグマCSAという組織に属する主人公が、「アンドロイドカフェのアンドロイドと仲良くなること」という不可思議な特務を任されたことから始まる、SF物語です。 非常に難しい謎解きでした…! アンドロイドのメアリーと仲良くなるべく選択肢を様々なパターンで試してみましたが、全然進展しないぞ…と思ったら、そういうことか!となる見事な仕掛け。どうやら私は全く違うところで溺れていたようです。今までの作者さまの作品は自力で行けたので、今回も自力プレイに挑みましたが…今作はとても無理!ものすごく凝った仕組みで、攻略を見ながらでも難しさを感じるほどの難易度でした。 @ネタバレ開始 難易度の高い謎解きや素晴らしいギミックが話題の作品ですが、ストーリーもとても良かったです。教団システムに泣きました…! クジラデ先生はなんと優しく、情深い人だったんだろうか。形を変えてまで守ろうとする姿に涙でした。元々の素質もあったにせよ、メアリーが優しい子なのは先生の元にいたからなんだろうなと思います。そんな絆で結ばれた二人の親子のような関係性がとても素敵でした。 なので最後の最後に先生が…な時は涙腺崩壊!切ない…!でも守り切れて満足だったのかなという気もしました。 今も主人公とメアリーの新たな旅立ちを、どこかで見守っていてくれるのかもしれないですね…。(そう思いたい) そして最後も素敵でした。笑顔と、ハートの表示と、あのセリフ…のエモすぎる演出!!ここでも伏線が回収されるのか…! まさか最後にあのセリフを聞けるとは思っていなかったので大興奮でした。 こののちの行く先はきっと白百合を携えて…ですよね?ミッションを完遂できた私も胸を張って報告できそうです。 何者にも自由な思考は奪えない…ドグマ(義務)という名の横暴から逃れた二人に幸多からんことを。 @ネタバレ終了 これまでも作者さまの発想力の素晴らしさには舌を巻きましたが、今作はその最高峰と言っても過言ではないと思います。どうやったらこんなギミックを思いつくのか、感心するほかありません。 かといって謎解き特化で物語が置き去りにされることなく、上手くギミックと絡めながらも上質なストーリー展開で、読み物としても非常にクオリティが高いと思いました。私は謎解き以上に物語の素晴らしさに感銘を受けました。 難しい謎解きを求める方にも、ハートウォーミングなお話を求める方にもおすすめできる作品でした。ありがとうございました!
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故郷からの便り主人公の誕生日会へと向け「家族から送られてきた手紙」に込められた思いを読み解くお話でした。 地の文章がなく本当に手紙の文章だけで構成されたゲームで、それでもしっかりお話として成立しているところがすごいと思いました。 @ネタバレ開始 特に3通目の実父からの手紙は、マキシくんの「置かれている状況や目的」などが短い文章の中で端的かつ的確に明示され、見事でした! なるほど、異界探査か…!とても面白い設定だと思います。 友継さんとイグヤさんが15年前に出合ったのも、異界探査でイグヤさんがこちら側に来たことがきっかけだったのかな?なんて想像したりしました。 本当の家族とは離れていても、温かな手紙で繋がっている。 そして血の繋がりこそないものの、心で繋がっているもう一つの家族もいる。 そんなマキシくんは(大変な使命を背負ってはいるけれど)幸せ者だなと思いました。 きっと素敵な誕生日会になったことと想像します! @ネタバレ終了 近年は手紙文化も廃れつつありますが、改めて手紙を認め送る素晴らしさに触れることができた気がします。いずれも思いのこもった素敵な手紙でした。 また今作はシリーズものの1作品ということで、ストーリーにはまだ謎めいた部分もあったので、今後シリーズの他作品もぜひ読んでみたいと思います。 心温まる作品でした。ありがとうございました!