エヌエヌのレビューコレクション
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けもみみ温泉郷全キャラボイスありの豪華な作品で、オープニングムービーがとにかく動きまくるもので、とてもすごかったです。 たくさんのキャラが登場しますが、どのキャラも個性が豊かで、それぞれが自分の強みを活かして貢献し、弱い部分はお互いに助け合って乗り越えていく、というところが丁寧に描かれており、とても心温まるものでした。 キャラをランダム設定にしていると、自室で誰が出てきてくれるのかと毎回楽しみでした。 各キャラの部屋の様子は、それぞれの性格がでていて、見るのがとても面白かったです。特に、お鈴さんの部屋は、窓の外に景色が見えるのがとても雰囲気がありました。 @ネタバレ開始 要所のスチル絵では、顔のアップが出てくると、ドキッとさせられました。 特に雪代さんの花畑のシーンは、綺麗でした。 長い話をうまく短いパートに分けていて、その短い話の中にもしっかり起承転結があり、常に続きが気になるもので、どこで小休止しようかと悩むぐらいでした。 蓮さんが渚さんを殴ったのが一番驚きましたし、いい話でした。 立ち絵の使い方もとても印象的で、舞の場面だけでなく、二人で退場したり、廊下で男女別の部屋に分かれるところなど、立ち絵で表現しているのがすごかったです。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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つくもと空の屋台このシリーズが好きで、過去の2作品も印象深く、シリーズ最新作がプレイできて嬉しいです。 グラフィック関係の進化がすごく、冒頭で、時間や天気、風景の変化によって、多くの物語がイメージされ、一気に世界観に引き込まれました。 コミカルな謎かけの画面、謎を解いて神様の姿が明らかになる達成感、そして主と一緒の様子を見れる感動的なところまで、すべてテンポよく楽しめました。 @ネタバレ開始 謎かけの部分がほどよい難易度で、価値の文字を半分にして2分の1と言ったり、宝物のようなものをとっちゃうと言うなど、イラストと文章がすごく考えられ練られている謎解きでした。 おまけにおいて、夜が明け、目覚ましの音が聞こえてきて、すごく暖かい夢のような物語を見たのだと感じました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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モールス信号を君に冒頭の画面スクロールの演出とともに発信されるモールス信号がカッコいいです。 宇宙と室内の画面切り替えが鮮やかな対比で良かったです。 @ネタバレ開始 終盤の展開、そして一気にエンドロールへと流れ込むのは迫力がありました。 言葉を重ねつつも、行為でそれを超えていくことがスタイリッシュに描かれていました。 孤独に孤独を足すと、孤独は解消されるのか、それとも、ただ孤独が2つあるだけなのか。 エンドのリンゴと蛇のイラストから、イヴの方から誘惑したことや、罪の意識、あるいはここから物語が始まることが連想されます。 モールス信号を発したのは「私」ですが、同時に「彼」も知らずのうちに態度で信号を発信していたと思えてしまいます。 どこにでもあるありふれた別れと出会い、それは宇宙でこの一瞬しかないものであることが強く意識される素晴らしい作品でした。
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王様と僕の夏王様と一緒にご飯を食べたり、虫取りをしたり、水遊びしたりと、かけがえのない日常を送る幸せがいっぱい伝わってくる作品でした。 END2になかなか到達できず、極端に偏った乱れた生活を送ってみたりもしましたが、なんとか無事に全エンドを見れました。 暖かい気持ちになれる作品をありがとうございました。
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触れたくないけど、そばにいて。誘拐犯の主人公よりも、協定を持ちかける女の子の言動・姿にぎょっとさせられました。 途中何度もはらはらしましたが、とても感動的で、プレイできて本当に良かったです。 @ネタバレ開始 二人の出会いが完全に偶然であり、過去の因果も特にないとした点が好きです。 キャラ同士で過去にこんなことが実はあったのだ、という展開はよくあるパターンですし、物語としては綺麗な構図にも見えますが、その反面、関係が閉じたものになりがちな気がします。 本作のように偶然性を重視し、それに基づいて生まれた、たまたまの関係を貴重なものとする捉え方には深く同感します。 また、お互いに自身の秘密を明かし、語り合って絆を深めることが必要であると普通は当然のように思っていますが、それを本作は否定するのが非常に新鮮でした。 通常、絆を深めるにあたり、自身の内面を吐露し合うことは必須であり、人はそうしなければ、安心できないのだと思います。 隠された秘密を共有することで、共同体としての関係ができる。 どちらがより一層可哀そうなのかを比べることで、相互の位置関係が固まる。 綺麗ごとだけを言っては信用されない。本心は醜くなければならないとされる。 相手の打算や利害を認識することで、その人を正確に把握できるようになる。 などなど、我々は、意識的な面も、無意識下にあるものも含めて、社会性に強く侵されているのだと感じさせられます。 それが警察官の態度に最もよく表れているものでした。 そんな社会性のしがらみを解き放つと、こんなにも原初的な衝動で誰かとともに生きていくことができるのかと気づかされます。 そして、こうした場合、どうしても男女間の関係の話になりがちですが、距離感を保ってその方向に行かなかったことが大きなポイントでした。これによって、生物としての本能を重視する過去でもなく、社会性を重視する現在でもなく、新しい未来の人間関係の在り方を示唆するものとなったのだと思います。 社会性の中に囚われて、そこに若干の不満を感じながらも安心をしている身としては、この二人の強さは仰ぎ見るしかないものです。
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レインズレンジ初めてメニューボードを見せられたときは、目が点になり、一瞬の後、ああ!という感動がありました。 少しずつ記憶を取り戻していく過程がとても素敵で、チャプター項目の配置がとても綺麗でした。 @ネタバレ開始 違和感の正体がラストに明かされ、記憶を取り戻すということの真の意味が明らかになっていくのは引き込まれました。 そうした状況の中、「パンを焼きます」という言葉は力強いものでした。 パンのお茶会のスチルは本当に感動的なもので、見れて良かったです。 素敵な作品をありがとうございました。
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腕商の男-ウデアキナイノオトコ-レトロでモダンな美に貫かれた作品で、極彩色の夢幻の世界が展開しています。 ユーザーインターフェースも含めて世界観が綺麗に統一されていて、カットインの演出も素敵です。 @ネタバレ開始 特に好きなのが第二話と第三話です。 第二話は、あちらの世界への願望を強く持つものの、一方で踏ん切りがつかない少年が主人公であり、彼の心情と物語のどんでん返しが素晴らしくマッチしていました。 最後の最後の一行まで気が抜けない物語です。 第三話は、ある意味一番怖いけれど、ほっこりさせられるものでした。 乱歩で触覚だけの世界への愛が叫ばれた作品を思い出すものでした。 もう一つの世界が確かにここにありました。 名簿がとても素敵です。 彼女たちの姿を眺め、物語を振り返り、あるいはまだ見ぬ物語に思いを馳せられます。 素晴らしい作品をありがとうございました。
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かご ~KAGO~カゴでここまでゲームが創れるんだ、という驚きの作品でした。 すごく面白かったです。 周回もやりやすい親切設計でした。 @ネタバレ開始 各エンドの幸せな顔が印象的だと思いながらエンド回収していましたが、最後のエンドロールに笑わされました。
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きみはもうほかの誰かのものとても綺麗で鮮やかな幻想的な物語でした。 淡々とした彼の姿が、悲劇さを一層際立てていました。 @ネタバレ開始 昼と夜の対比がとても美しく、世界に引き込まれました。 手をつないでいるのに、こんなにも距離が遠いというシーンがとても切なく、タイトルの意味が重く迫ってくるものでした。 バックログの縦書きが、物語の雰囲気にすごく合っていて素晴らしかったです。
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マイハハ車に乗って母親に問い詰められている緊張感がすごくありました。 なかなかノーマルエンドに行けず、何度も怖い思いをしました。 ちらっと後ろを振り返るときの視線にはハラハラしました。 どれだけ隠し事があるんだと思いましたが、トゥルーまで辿り着けて、ほっこりしました。 面白い作品をありがとうございました。