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個人宇宙のレビューコレクション

  • ハッピーエンドに花を添えて
    ハッピーエンドに花を添えて
    会社員の正人はある日、花屋で働く少女の小夜に一目惚れしてしまったことにより始まる年の差・純愛ストーリー。選択肢はなく、2時間程度で読了。物語は季節ごとに分けられ、全4章となります。また、登場する女性キャラクターはフルボイスです。 恋愛ストーリーは告白がうまくいった瞬間、エンディングとなる場合が多いです。しかし、少しネタバレになりますが、この作品は比較的早い段階でそれが達成されます。「早く結ばれちゃったし、その後は2人の甘い展開が続くのかな」と予想しましたが、それは良い意味で裏切られました。個人的には、むしろ結ばれた後の展開の方が重要だと感じました。 付き合い始めた2人は、ゆっくりとしたペースで仲を深めていきます。その途中、小夜が抱えている辛い過去にも触れられ、正人はじっくりとその傷を癒すように彼女を励ます展開もあります。2人とも真っ直ぐで好感の持てる性格なので、読んでいる自分も応援したい気持ちが出てきました。 「相手が幸せを感じていれば、それだけで自分も幸せ」という言葉が最後に出てきます。これは2人の仲を深めていく部分を丁寧に書いたからこそ輝く、説得力のある言葉だと思いました。 ⋯⋯と、まあ、ちょっと堅苦しい感じになりましたが、基本的には正人と小夜の微笑ましいやり取りが大半なので、そんな2人をじっくりニヤニヤ見守りながら読んでいけばいいかなと思います。 BGMは全体的に清涼感に溢れ、作品にマッチしていました。小夜の立ち絵も季節ごとに服が変わったり髪型も変化していて、とても可愛かったです⋯⋯! また、声の演技も素晴らしく、ゆったりとしたストーリーを最後まで飽きることなく読めたのは、声の力も大きかったと思います。 未プレイの方は、ぜひ2人の微笑ましい恋模様を読んでみてはいかがでしょうか。

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  • 私の【怪】験談
    私の【怪】験談
    事故物件の部屋を舞台にした物語。選択肢はなく、10分程度で読了しました。 あんまりネタバレはできませんが、短いながらもノベルゲームならではの演出を入れつつ、二転三転させる構成が秀逸だと感じました。最初の種明かしの部分は本当にゾクッとしました⋯⋯! 最初は王道のホラーっぽい感じで始まりますが、最後はほっこりとした気分で終わります。タイトルの意味もそこで分かり、「確かにそうだな」と納得してしまいました。短い時間で終わりますので、未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。

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  • 最後に見たものは、
    最後に見たものは、
    5日後に目が見えなくなってしまうという不治の呪いを受けた主人公が、美しいと噂される宝石を見るために短い旅に出る物語。20分程度で読了しました。 架空の国を舞台にしており、少しだけファンタジー要素が入っています。穏やかな感じで進んでいくのかなと思いきや、ハラハラするような展開も多くあります。悲しい部分はあるけど、やれることをやって主人公は満足できたかなと、最後のまばゆい場面を想像しながら思いました。

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  • リトルブルー・フォレルスケット
    リトルブルー・フォレルスケット
    図書館の帰り際、突然の雨が降ってきて雨宿りをする主人公の女の子『むーちゃん』。その直後、シスコンのお兄ちゃんがやってきたことにより始まる物語。10分程度で読了しました。 お兄ちゃんの『むーちゃん』に対する過剰な愛情表現がありつつも、全体的にほっこりとする内容でした。昔のエピソードを入れることで、お兄ちゃんの『むーちゃん』を大切にしたい気持ちがよく伝わってきました。辛い時、寄り添える存在がいるのは本当に有難いことだと思います。 『むーちゃん』の方も本が好きなのは変わらないけど、友達も少しできたという部分を見て、確かな成長を感じ取れたのも良かったです。短い時間で終わりますので、未プレイの方は、微笑ましい兄妹の物語を読んでみてはいかがでしょうか。

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  • Dear
    Dear
    コミュニケーションに難のある主人公『とうや』の元に、ある日突然、殺害予告動画のDMが届いてしまう。危機を感じたとうやは、親友『そら』と一緒に調査を進めていく短編ミステリー。 本編は20〜30分程度で終わりますが、選択肢が非常に多く、選んだ内容によってエンドが大きく分岐します。エンドはBAD2〜5、TRUEを読了しました。 実は10月上旬に一度プレイをしたのですが、BAD1とTRUEにどうしても辿り着けず、泣く泣く中断した経緯があります⋯⋯。その後、TwitterでTRUE ENDの攻略が掲載されたので、それを参照して無事にクリアできました。(BAD1は断念しました⋯⋯) システムとしては、スマートフォンを操作しながら進めていく感じが、とても面白かったです。 好きなキャラクターは『いつき』です。口は悪いけど、いざとなったら本当に頼り甲斐のありそうな感じが出ていて、好感が持てました。 少し苦労した甲斐(?)もあって、TRUEを見た後はじんわりと来るものがありました。大人になっても一緒に酒が飲める友がいるってのは、本当に有難いことだと改めて思いました。

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  • 10月32日のハロウィン
    10月32日のハロウィン
    ハロウィンの日、タマシイを回収する仕事をしているお化けのキュルビスの物語。ジャンルは暗めのファンタジー。選択肢はなく、おまけの部分を含めて30分弱で読了しました。 序盤のタマシイの記憶を見た瞬間、何となく次の展開を想像してしまいましたが、良い意味で何度も裏切られ、最後までダレることなく読むことができました。キュルビスの立ち絵も豊富にあり、とても可愛かったです⋯⋯! 説明文の通り、物語自体は暗いですが、不思議と読後感は悪いものありませんでした。たぶん、それは各登場人物の心情を丁寧に書いているからだと思いました。キュルビス以外の登場人物は、みんな人間としてどうしようもない部分があります。でも、それをちゃんと描写したことで、自分は妙に納得してしまいました(まあ、それでも被害者側としてはたまったものじゃないので、その報いは受けて欲しいんですけど)。単純な暗い作品にさせないぞ、という意気込みを個人的に感じました。

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  • 織リシ心ノ果テニ
    織リシ心ノ果テニ
    言葉で人を操ることができる能力を持つ主人公・柊が、同級生・芽依の自殺を止めてしまったことにより始まる物語。選択肢はなく、1時間程度で読了。 自己中心的になりがちな正義感・学校という閉鎖的な空間で起こりうる過激な集団心理・無関心など、いろいろな内容を詰め込んでいる作品です。陰鬱な展開が続き、結末も良いものではないので、人によって好き嫌いが別れるかなと思います。 しかし、個人的にはずっしりと心に残る、魅力的な作品でした。救う側の責任など、いろいろ考えさせるものがありました。柊の決意が、今度こそ達成できるように祈るばかりです。 個人的に良いと感じたのは芽依です。悲劇的なヒロインの部分がありつつも、周囲の人間を惑わせてしまう悪女的な部分が混在しており、とても印象に残るキャラクターでした。また、危険な匂いを漂わせながらも、天然な部分を出している妹の美夜も素敵でした⋯⋯! 二人の立ち絵もスタイリッシュで可愛らしく、惹かれるものがありました。

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  • ゆーたん
    ゆーたん
    とある山の麓の小さな町。そこに住んでいる『みゆちゃん』が5歳の誕生日を迎えた日、両親からクマのぬいぐるみ『ゆーたん』をプレゼントされたことにより始まる物語。全3ルート、30分程度で完走しました。また、ナレーションを含めてフルボイスです。 かなり挑戦的な内容だと感じました。ベースは子供向けの絵本のような感じ(ナレーションの言い方も含めて)なんですが、そこに大人向けのホラー展開を取り入れて、独特な世界観を作っています。今まで見たことないような物語を堪能させて頂きました。 個人的にナレーションのボイスがすごく良いなと思いました。穏やかな展開・シリアスな展開での声の使い分けが良かったです。 最後に蛇足になってしまうんですが、「Uターン」の部分で大爆笑してしまいました。(笑うような展開ではないことは承知しているんですが⋯⋯!)

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  • ヤンデレ妹は愛したいっ!
    ヤンデレ妹は愛したいっ!
    ヤンデレの妹ヒナから突然「好き」と言われてしまった兄の物語。選択肢はなく10分程度で読了しました。 ネタバレになるので細かくは言えませんが、短いながらも大きなトリックが仕掛けられており、まんまとやられてしまいました。構成の上手さに脱帽です⋯⋯! ノベルゲームという演出を利用した秀逸な内容でした。 また、終盤のヒナの言葉には、思わず「うんうん」と頷いてしまいました。ヤンデレという単語が出てくると過激なイメージが先行しやすいですが、それだけじゃないぞ、というメッセージを感じました。 短い時間ですが、ヤンデレ成分を摂取しつつ、物語の意外性もしっかり備えられた作品でした。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。

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  • はるのうみにしずむ
    はるのうみにしずむ
    金に困っていた大学生の主人公・春海が、高額のアルバイトに釣られた結果、病院で奇病の男の子・凪と出会い、仲を深めていく物語。選択肢はなく、2時間程度で読了しました。 女遊びが激しく金グセも良くないが、哲学好きで真面目な部分もある春海。口は悪いが、中性的で可憐な容姿をしており、信頼する相手には素直な感情を出していく凪。主役の2人がとにかく魅力的に描かれていて、最後までスラスラと読めました。 出会った当初はギスギスした感じで始まる2人の関係ですが、仲を深める過程も丁寧に描かれているおかげで、後半は日常描写を読んでいるだけでほっこりするくらい感情移入してしまいました。ラストはすごく切ないですが、同時に「後悔がないならそれでいいんだ」とも思ってしまいました。 物語の中盤で、哲学を挟んだ部分も良かったです。春海の過去とも絡ませつつ、2人のコミュニケーションを深めるための重要な役割を果たしています。この作品のジャンルはボーイズラブなんですが、それに囚われない文学的な部分を強く感じました。個人的に好きなのは「かみ合わなくてもお互いを知ろうと努力する、それがコミュニケーションじゃないのか?」という凪の言葉です。 シナリオ・立ち絵・スチル・BGMは全て製作者様の手によって作られており、大きなこだわりを感じる素晴らしい力作でした。ボーイズラブ・性的な部分があっても大丈夫という方は、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。

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