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個人宇宙のレビューコレクション

  • 魔女は空を飛べない
    魔女は空を飛べない
    魔法を使える少女ルチカが一人暮らしを始めたその日、いきなり空から箒に乗った少女ハンナが落ちてきて、不思議な共同生活が始まるファンタジー作品。約2時間程度で読了。 全体の雰囲気として、個人的な感触になってしまいますが、夏休みの家族向けに作られたファンタジー映画みたいだなと思いました。メインである二人の少女の感情が丹念に描かれており、モヤ婆などの魅力的な脇役が大事な部分で物語をビシッと締めています。 個人的に好きなのはベンス。あの渋さがたまりません⋯⋯! 殺伐とした部分はあまりなく、主にルチカの魔法を主軸とした成長物語になりますので、ちょっと長めのファンタジー作品を読みたいって方は、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。

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  • アリバイの精度 ~天利探偵助手の事件簿~
    アリバイの精度 ~天利探偵助手の事件簿~
    奇妙な転落事件に遭遇してしまった探偵・浅沼と、その助手・天利が真相を暴くために奔走する物語。20分弱で読了。ジャンルはミステリーですが、説明文で述べられていた通り、サクッとクリアできることができました。 ストーカーの存在・被害者の奇妙な転落の仕方など、序盤からいろいろ気になる展開がありつつ、調査パートに入ります。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、「なるほどなぁ⋯⋯」という感じで無事に解決できました。 個人的に意外と思ったのは、天利が”助手”らしく、最後まで浅沼のサポートに徹底していたことでした。こういうミステリーものは、タイトルに入っている人間が事件を解決する役目を担うという先入観があったので、”凄腕の探偵助手”という看板は伊達じゃないなと思いました。 気軽に楽しめるミステリーなので、未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。

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  • Last Resort
    Last Resort
    エンターテイメント性を損なわないようにしつつも、力強いメッセージを感じる文学性の高い作品でした。スキップ・こまめなセーブを駆使しつつ、約3時間程度で全7エンディングを読了しました。エンディングを迎えた後も、作品で提示されたテーマについて考えてしまう──。質の高い一般小説の最終ページを閉じた時のような、ずっしりと残る読後感がありました。 ネタバレにならない程度で内容に触れていきます。 身内の虐殺事件により失意の最中にいた主人公の琴乃は、招待された者しか入ることのできないプライベートアイランドに訪れます。ミステリーでも王道のシチュエーションである、孤島を舞台にしたクローズドサークルものかなと最初は思いましたが、その要素はあまり強くありません。 進行ルートによってはサスペンス色が強くなる時もありますが、基本的には虐殺事件の真相・登場人物のバックグラウンドなどが各ルートに散りばめられ、「死」に関するテーマが作品全体を覆っています。中には「!!?」と感じるような設定もありますが、あとがきによると故意的に行ったものらしいので、「そういう設定なのか」という程度に留めておいた方がいいと思います。 説明文でも明記されていますが、この作品に明確な正解はありません。 リゾートスタッフ達の「死」に対する信念は、人によっては共鳴するかもしれませんし、人によっては拒絶するかもしれません。現実世界でも議論を起こしている内容を、真正面から取り上げています。個人的にすごいと思ったのは、主人公の琴乃はそれぞれのルートで異なる苦悩しつつも、異なる結論を出している所です(一部のエンドはそんな余裕もなく終わってしまいますが)。 正解のない問題だからこそ、それぞれの結論があってもいいんじゃないかと、全てのエンディングを見終わった後に感じました。 ⋯⋯と、まあ、何だか堅苦しい感じになってしまいましたが、普通にエンターテイメント作品として読んでも全く問題ありません。いろんなエンディングを見て分かる物語の全貌。文章もとても読みやすく、柔らかいタッチで描かれたスチル(枚数もすごく多いです)は、重たいテーマの作品をいい感じに取っつきやすくさせています。個人的に琴乃さんと成海さんはすごく好みでした⋯⋯! 気になった方はぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。

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  • ビデオレター
    ビデオレター
    結婚を間近に控えた主人公の女性と父親が、亡くなった母親の昔のビデオを見る物語。15分程度で読了。読み終わった後、心がほっこりするような良質の短編でした。 個人的にすごく良いと思ったのは、冒頭の一文でした。小説では冒頭の一文が重要だとよく言われますが、この一文を目にした瞬間、一気に作品の世界に入り込むことができました。 他にも寡黙な父親がビデオレターを見て、いろんな表情を出している部分(特に席を離した時の描写はグッとくるものがありました)や、クリア後のイラストも素晴らしかったです。短い時間でしたが、良い余韻を残す作品でした。未プレイの方はぜひやってみてはいかがでしょうか。

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  • 夏空パティシエール episode of ショコラ
    夏空パティシエール episode of ショコラ
    スイーツ作りが盛んに行われている島を舞台にした、女の子たちの物語。 2019年10月現在、配信されている1章〜3章まで約1時間程度で読了(全5章の予定とのこと)。また、デートモードも配信分は達成しました。 全体を通して、可愛い女の子たちがスイーツ作りに奮闘していきます。 いつも笑顔でいるコミュニケーションお化けの主人公フラン、クールに振る舞ってるけど優しくて責任感の強いショコラ、聖母のように優しく頼り甲斐のあるお姉さんのメルシィなど、登場人物の性格がしっかりと分かれており、個性的な女の子同士の掛け合いを楽しみながら最新章まで読み進めることができました。個人的にはミントちゃんが好きです。 なお、タグに「百合」との記載がありますが、本編よりデートモードの方がその要素が強く出ていると感じました(デートなんだから当たり前かもしれませんが)。フランちゃんが、結構過激なことを言ってきます⋯⋯! 続編・追加要素の実装も楽しみにしています。

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  • 5分で脳トレ! リフレッシュ・アハ体験
    5分で脳トレ! リフレッシュ・アハ体験
    10秒〜20秒の間でイラストが変化する部分を当てる間違い探しのゲーム。全4問。 どうも脳が疲れ気味だったせいか、すごく間違えてしまいながらも何とかカンニングなしでクリアできました。該当の場所を見つけた時の快感は、まさに脳がブシャー!でした。 可愛いイラストやBGMに癒されつつ、最後まで楽しくプレイすることができました。おまけイラストもすごく可愛かったです。

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  • 真夜中のお散歩
    真夜中のお散歩
    人間の言葉をしゃべる猫又さんと、ゆめちゃんという女の子(あとお姉ちゃん)の物語。約30分程度で読了。ジャンルとしてはホラーなんですが、脅かし要素はあまりなく、可愛らしい絵柄と相まって、怖いのは苦手という方もスラスラ読んでいけると思います。 二人の登場人物を通じて、徐々に物語の全貌が分かっていく構成。シンプルに抑えられた演出。独特の言い回しがあったりなど、魅力的な要素がいっぱいの作品でした。 最後の部分につきましても、端から見ればすごく残酷な感じに見えますが、独特な世界観を見てきたせいか、妙に喜劇的な感じに見えてしまい、ふと「恐怖と笑いは紙一重」という言葉を思い出してしまいました。 ゆめちゃん、猫又さん、お姉ちゃん、みんな可愛かったです。 お姉ちゃんの怪奇ファイルも単なる説明だけで終わらせず、「怪談」にまつわる本質に言及している部分がとても良かったです。お姉ちゃんの「怪談」に対する愛情を感じました。 未プレイの方は、ぜひ独特なホラー世界を味わってみてはいかがでしょうか。

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  • 色のない世界
    色のない世界
    色覚に異常を起こし、あらゆる風景がモノクロにしか見えなくなった主人公の僕と、突如として僕のところにやってきた不思議な少女の物語。 舞台は現代ですが、ファンタジー要素はやや強め。選択肢はなく、約1時間程度で読了。 序盤の段階で、モノクロの世界で暗澹とした生活を送っている主人公と、美しい場所に主人公を連れて行った少女の対比がうまく描かれており、一気に作品の世界にのめり込むことができました。 そこから日常描写が続きますが、その中でも伏線がしっかりと散りばめられており、終盤のタイミングでしっかりと回収され、主人公はかなり重たい選択を課されることになります。 終わりの演出も素晴らしく、暗い部分はありつつも美しい世界を最後まで堪能することができました。困難は大きいけど、きっと2人なら乗り越えられるだろうと強く思いました。 あと猫がすごく可愛い。ナデナデしたい⋯⋯! イラストの少女もとても可愛らしく描かれているので、イラストを見て気になった方も、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。

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  • BEAR
    BEAR
    いわくつきのテディベアと一人の男性の物語。15分程度で読了。 最初はホラーっぽい雰囲気がありますが、最後は悲しいような切ないような、でもちょっとだけ心が晴れるような素晴らしい短編でした。 時間は短いながらも、その中に入っている情報量はとても多いです。スチルの数が「絵本を読んでいるのかな?」と思ってしまうくらい多く、言葉では語らずとも登場人物たちがテディベアに込めた愛情の深さを強く感じられました。 また、文章がとても洗練されているなと思いました。読みやすい文章で余計な装飾がなく、スッと頭に入ることができました。 「生き物の形にはあらゆるものが入り込みやすい」 「傷ついた心は、時に悪い夢を見る」 挙げたらキリがないですが、全体的に程よく散りばめられた詩的な文章も、物語の雰囲気をより一層引き立たせていました。 短い時間ながらも、心に大きく残る素晴らしい物語でした。未プレイの方は是非やってみてはいかがでしょうか。

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  • オオカミガールと機械人形の嘘つきレクイエム
    オオカミガールと機械人形の嘘つきレクイエム
    「お化け」が見えると言う主人公の恵さんと、アンドロイドである従者のエイミさんの心温まる物語。選択肢はなく、約40分程度で読了。 SF作品でもたびたびテーマとなる、人間とアンドロイドの話です。 序盤は少年と一緒にいなくなってしまった猫を探していく展開であり、後半から恵さんとエイミさんの話になります。全体を通して「嘘」というテーマが一貫しており、前半でも繰り広げられたテーマがしっかりと後半に繋がっていき、最後は温かい気持ちで読み終えることができました。 また、恵さんとエイミさんの軽妙なやり取りにはユーモアが溢れており、日常的な展開も楽しく読み進めることができました。 人間というのは少なからず自分勝手な部分があり、身近な相手にも自分の思い通りに動いて欲しいという欲求があると思います。しかも今回の相手は人間によって作られたアンドロイドなので、どうしてもその気持ちが強くなってしまったのかなと、恵さんの行動を見て思いました。 でも、2人の気持ちの方向性は最初から一貫しており、最後はお互いにそれを分かり合えることができました。別にアンドロイドに限った話ではなく、人間の時もそうなんですけど、相手のことが分からない部分はありつつも、ちゃんとお互いを大切にし合えるというのは素晴らしいことなんだと、改めて感じました。 未プレイの方は、ぜひ魅力的な人間とアンドロイドの物語を味わってみてはいかがでしょうか。

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