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九州壇氏のレビューコレクション

  • むち。
    むち。
    色々なことを知らない少女が成長していく様子を描いた物語。10分ほどで読了できました。「無知」であることの怖さが生々しく描かれていたと思うし、それを自覚して知ろうとする誠実さが大切なのだというメッセージを感じました。僕も、そのメッセージには共感します。彼女のことを、僕ら大人も馬鹿にはできないですよね。人間なんて愚かなもので、ロボトミー手術にノーベル賞を与えちゃったり、アスベストを「奇跡の鉱物」と讃えたりしてきたんですから。傲慢になってはいけないと自分を戒めることができました。 作品についてですが、日記のイラストが素晴らしかった。切迫感がひしひしと伝わってきました。余計なものを排したエピソードの描き方も良かった。色々と考えさせてくれる短編でした。

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  • 再会はエレベーターの中で
    再会はエレベーターの中で
    ビターチョコレートのように、ほろ苦くも甘くお話。10分程度で読み終わりました。思えば、女の子の名前は最後まで分からないままなんですね。あえて「友人」が誰かに言及しないまま終わる展開も粋に感じました。

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  • 葉鳴
    葉鳴
    独白の文章を読んでいく作品。抽象的かつ哲学的な内容であり、自分にどこまで理解できたのかは自信ありません。その上であえて自分の解釈をのべますが、樹と風とは、自己と他者を指しているのだと思っています。樹と風の関係についての文章には、書き手の祈りがこめられているように感じました。僕も、自身の存在がなくなるその日まで、風と遊んでいようと思います……。

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  • 今日、学校に行きたくない。
    今日、学校に行きたくない。
    学校に行きたくない女の子を描いた作品。個人的にはかなり共感できました。というのも、僕もいじめらしきものを継続的に受けていた時期があって、10人くらいのメンバーで「この中で誰が1番ウザいか言うゲーム」をさせられたり、目立たない部位を毎日殴られたりしていたので……(笑) 本作品はちゃんと告白するのがベストアンサーだったと思いますが、現実でもそうだよなあなんて思いました。大人になると、選べる選択肢は一気に増えます。この主人公にも、これから幸せになってほしいな、と思いました。

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  • トワコ
    トワコ
    ずっと好きだった永遠子さんとのお付き合いを描いた作品。本作品のようなシチュエーションは、多分そんなに珍しくありません。そんな時、何が自分のためになるのか、何が相手のためになるのかは、ケースバイケースなんだと思います。「頑張って」の賛否についてはよく話題に上がりますが、場合によっては「ずっと待ってる」という言葉ですら良くないこともあると思いました。 とはいえ、本ケースの場合はきっと「happy end」の後で幸せな未来が訪れたに違いない、と思っています(というか、そうであってほしい(笑))。 短いですが、色々と考えさせてくれる作品でした。

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  • 河童の花嫁
    河童の花嫁
    河童の嫁となった女性のお話。僕も3分程度で読み終わりました。青を基調とした背景画像が素敵で、どこか神秘的な雰囲気が出ていました。残酷な側面を有する元の生活と、ゆったりとした河童の生活が対比的に描かれていたのも良かったです。嫁入り後、主人公は人ならざるものになったのかな、とか、姉達との交流はあったのかな、とか、色々な想像をさせてくれる終わり方でした。

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  • Hello Goodbye
    Hello Goodbye
    閉ざされた空間で姿を変えたり、アイテムを集め、脱出ゲームのような楽しみ方ができるゲーム。残念ながら僕はgoodbyeエンドにはたどり着けず……。結構いろいろやってみたつもりなので、残念です(笑) ただ、「一体何があったんだろう」と想像しながら読むのは楽しかったです。

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  • 一欠けらの優しさを
    一欠けらの優しさを
    新入社員の主人公のもとに、見知らぬ青年が訪れるお話。15分ほどで読了できました。社会生活を送るのが苦手な僕としては、彼らの言葉が胸にしみました。誰かがきっと分かってくれる。そんな優しいメッセージが本作にはこめられているように感じました。イラストは、派手さはありませんが、等身大の悩みを描いた本作品の雰囲気によくマッチしていたと思います。また、表情が素晴らしいですね。 心がじんわりと温かくなる物語でした。ありがとうございました。

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  • ハロー、神様Worker
    ハロー、神様Worker
    ダメ男の主人公が異世界で(金のために)奮闘する物語。主人公は序盤から大きな問題に巻き込まれていくのですが、終始勢いがあって楽しく読めました。大きな陰謀が少しずつ明らかになっていく過程の描き方がとても良かったです。また、中盤の「2人」の絆の描き方も素晴らしかった。「相手のために」という考えが時間をかけて硬直化してしまうこと。でも、ちょっとしたきっかけでまた分かりあえること。こうした心理描写にリアリティーがあったためか、シリアス部分は大いに感動できました。 キャラクターはどれも魅力的ですが、佳永(さん……)が特に好きです。彼女の声優さんも良い仕事をされていて、特に「心の声」のボイスは何度も笑ってしまいました。エミルもかなり好きだったのですが、もう少し彼女の見せ場もあると個人的には嬉しかったです(笑) あとは主人公の春人ですね。シーンを選ばずボケるところは賛否両論ありそうですが、相手の本心を察し、肝心なところでは行動できる格好良さがありました。遊園地のラストシーンは、なかなか痺れましたね……。 読後感も清々しくて、読んで良かったと強く思える作品でした。

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  • 墜恋
    墜恋
    「ヤンデレ」の登場人物との交流が楽しめる短編。15分程度て読了できました。 窒素の話にもありましたが、「混じっているものが何もない」のは儚げで美しいですが、実に危ういですよね……。ふたりには幸せになってほしいですが、そのためには、奏さんがどこかで不完全さを受け入れる強さを身に付ける必要もあるかもな、なんて思ったりもしました。

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