タカスガタイキのレビューコレクション
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筋筋肉肉プレイさせていただきました。 まさに「考えるな、感じろ」いや肉しろ?とにかく全てが筋肉でした。今まで見たどの筋肉作品よりも筋肉していました。筋肉の極致は、漫画でもアニメでも小説でもなくノベルゲームの中にあった…?ここが神が祝福した筋肉の園、プロテイン・マッスル・エデン。知恵の実などいらない。必要なのは、己の鋼の肉体のみ。それは筋肉が織りなす創世神話。絶対に揺らがない愛と誓い。つまりアガペー。僕は何を言っているんだ。失礼、少し混乱しているようです。 つまり、筋肉ということでした。本当にありがとうございます。
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白無垢の決意プレイさせていただきました。 時代考証が必要な題材を見事に描かれていて、感服いたしました。遺書が表示された時には少しドキリといたしましたが、そういうことだったのですね。 @ネタバレ開始 全くの政略?結婚だと思いきや、意外にも愛のある結婚…愛"も"ある結婚といった方が正確でしょうか。このあたりの感覚の違いには、やはり現代と何もかも違う時代の話なのだなぁと感慨を覚えました。 やっと結婚して楽をさせてやれると思った矢先の弟君の失踪はさぞ堪えたことでしょう。結婚する前に言ったらいいのに、とも一瞬思いましたが、弟君から見た場合、これは愛のある結婚なので、先に失踪すると、お姉さんは自分を捜して結婚どころではないだろうという点が見えていたのかなと思いました。 おまけによる前後のストーリーが補完されると、全体の流れがくっきりと浮かびあがり、直接描かれていないシーンまでもが鮮やかに湧き立つようでした。プレイ時間としては10分くらいですが、おまけのストーリー補完も含め、30分くらいの作品を読んだような感覚になりました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございます。
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おもいをつたえるプログラムプレイさせていただきました。 ピアちゃんかわいいですね。立ち絵は全てVRoidStudioのポーズから撮ったのでしょうか。タイミングよく撮影されるのは、さぞ大変だったかと思います。特におでこの使い方は、驚きました。 先に選択肢を選ぶシステムは、RPGで先にコマンド選択を選んでおくタイプのゲームに近い感覚をおぼえました。何度もリトライすることが前提なので、選択肢からやり直せたりと、サクサク感に配慮されている点が心憎い気配りだなと感じました。 @ネタバレ開始 学園ラブコメ編で最後の選択肢を好きですからおでこに変えた時、神様からいただけるヒントは、最初からご用意されていたのでしょうか。それとも、実況などのご様子から後で足されたのでしょうか。プレイヤーの動き方を的確に把握した見事なヒントの入れ方だなと感服いたしました。 最後にタイトル伏線が回収される展開もお見事です。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございます。
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【短編・スチル20枚】平穏な?魔王の日常プレイさせていただきました。 王道ファンタジーもの、退屈な日々に飽いている魔王が、小さいながらも決して折れない心を持っている少年と出会う話。なんだか45分もののOVAオリジナルアニメーションを見ているような心持ちがしました。過激な設定やぶっ飛んだ展開もよいですが、こういう王道のいいものはいい!みたいな作品も、やっぱり大好きです。 @ネタバレ開始 プレイ後の裏話が、それぞれのルートで用意されているのもよきですね。こういったタイトル画面の使い方は、初めて見たかもしれません。おかげで、ルートを行ったり来たりして、タイトル画面を見る楽しさがありました。 なにげにアロウズ編が結構好きです。力を持つ魔族の中で力を持たなかったアロウズと、誰もが諦める中諦めなかった少年の立ち位置には、共通点があります。きっとあの後、少年と結託して魔王様を改心させる⇒やがて心を動かされていく周囲の人々、みたいな展開になっていくのでしょうね…。なんて色々妄想しながら、楽しませていただきました。 @ネタバレ終了 また、直接作品についての感想ではありませんが、フォントが大きくて読みやすかったです。視力が弱い自分には助かります。スマホなどでのプレイもしやすそうです。こういう小さな点のユーザビリティが大事なんだなぁとあらためて思ったりしました。 素敵な作品をありがとうございます。
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Silent Film_プレイさせていただきました。 とらえどころのない、泡のような話だなぁと思って読み進め、クレジット後の展開で腑に落ちました。だから、保険医の先生だけあんなに浮き立っていたのかと。白黒の主人公の内面世界に比べて、ポップでカラフルな先生側の世界との対比が、よりカタルシスを際立たせているように思えます。 @ネタバレ開始 「実は舞台が病院である」という物語構造から、ノベルゲーム三大鬱ゲーのひとつ「さよならを教えて」がとっさに思い起こされましたが、どちらかというと、本作後半は狂人というワードに主眼が置かれ、読んでいる感覚としては、自分の知る中では、夢野久作の「ドグラマグラ」や岡本喜八の「殺人狂時代」の肌触りに近かったです。 エピローグの後、喜ぶ先生、その実験内容。主人公はこの先どうなってしまうのでしょうか。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございます。
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ゆうれいやたいプレイさせていただきました。 ほっこりいい話で、なんだか人情味を感じました。それはなんでだろうと考えた時に、もちろん夜の屋台という舞台設定もそうですが、屋台を訪れる女子高生や男の子を通じて、屋台の外の息遣いが見えるからかなと思いました。 ストーリー的なメインは、後半で登場する「中年のサラリーマン」ですが、人間がそこにいる以上、袖振り合うのは必然であるかのように、自然に、なにげなく屋台を訪れる人たち。その背景に見えるそのひと達の生活は、ゆるやかにつながりあって、外の世界を描き出してくれます。 そのぼんやりとした、やわらかに映し出される雰囲気の中、息を切らしてやってくる「中年男性」。そこに人情味を読み取ったのだと思います。屋台ものって、いいですね。 素敵な作品をありがとうございました。
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In the Bushプレイさせていただきました。 構成自体はシンプルで、お話自体は短いのに、話運びを証言として抜き出して配置することで、こんなに印象が鮮やかになるのだなぁと思いました。なんとなく芥川龍之介の「藪の中」を思い出しました。こういうそれぞれの視点で見える世界が違うかんじ、よいですね。 (追記: …と思ったら、タイトルがそのままずばり「In the Bush」でしたね。自明のことをわざわざ書いてしまったかもしれません。お恥ずかしい) @ネタバレ開始 実際に、なかよしグループに見えて、起点となる一人を中心につながって「グループのように見えているだけ」というパターンは、あるあるなので、共感値が高かったです。その人物が席を外すと、みんな黙ってスマホをいじりだすみたいな。主人公ちゃんから見た視点でのみ、この四人は仲良しグループなのですね。だまし絵を見ているような気分です。 なんとなく、「まだ始まっていなくて、まだ終わってもいない物語」の真ん中を切り出したみたいな印象を受けました。始まっても終わってもない一瞬の、漆原くんの決断だけを描いたような。あとがきにあったように、前日譚後日譚が追加されるなら、すごく楽しみです。(期待) @ネタバレ終了 素敵な作品、ありがとうございます。
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A Room for Youプレイさせていただきました。 昔のゲームブックを遊んでいるような、あるいは、コマンドプロンプトで動作する往年のCUIゲームをプレイしている気分になりました。 綺麗にすべてのアイテムを使い切るので、無駄がなく、完成されたカタルシスがありました。 @ネタバレ開始 途中置いてあるクッキーには、不思議の国のアリスに出てくる体のサイズが変わるクッキーを想起しました。不思議な夢を見たのかもしれないという最後にも、その前振りが効いている気がしました。 @ネタバレ終了 影響を受けた元の作品があるとのことで、そちらも遊びたくなりました。 素敵な作品をありがとうございます。
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今日のご飯は何だろなプレイさせていただきました。 食器棚の中で繰り広げられる食器たちのやりとり。すごく面白かったです。 自分事で恐縮ですが、子どもの頃からずっと使っているスヌーピーの金属スプーンのことを思い出しました。思い入れが強くて、上京して一人暮らしを始める時も一緒に持ってきて、今でもずっと使っています。だからなのか、なんだかとても共感しながら、読み進めました。 白い皿と新入りの皿を、重ねず棚の奥と手前に置いていることから、多分ご主人はもともと持っている食器の数が少ないのでしょうね。そんなところもなんだか共感してしまいました。 @ネタバレ開始 コップさんが語る「陶器は割れちゃうけど、そんなことは滅多にないから大丈夫!」的な発言がフラグに思えてしまって、うあああまさかまさか?とひやひやしながら先を読み進めました。無事ラストを迎えられてよかったです。(もっとも、このご主人なら、仮に割れても何かしら接いでくれそうですが…) 本編が終わり、いい話だ~と思っていたら、おまけが出現して、勝るとも劣らないボリュームとやっぱりいい話で、楽しませていただきました。おまけの域を超えている。なんというご馳走を盛りつけてくれるのか。作者様はエンターティナーですね。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございます。
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水槽海月少女プレイさせていただきました。 ノベコレ区分上は30分ですが、15分ほどでプレイできるので、是非是非皆さん気軽にプレイすべき。 擬人化されたクラゲ少女と暮らす日常という筋書きで、室生犀星の「蜜のあわれ」をちょっと連想しました。ただ、いわゆる犬猫の擬人化と違って、作中のベニちゃんと主人公の関係は、基本的に水槽を一枚隔てた誠実でプラトニックなもので、素朴で、水槽に浮くあぶくのような、ほのぼのとした日常の癒しを与えてくれます。 @ネタバレ開始 左上の時間表記がyearsなのを確認して、んんん?と思っていたら、やはりそういうことでした。「最近毎日家にいる」等、描写の妙が光ります。 ベニクラゲは、寿命を迎えると子どもに戻り、また育ち、子どもに戻りを繰り返し、いわばセルフ輪廻転生を繰り返し悠久の時を過ごします。その果てに邂逅する二人は、火の鳥未来編のラストを見ているかのようです。壮大なドラマでした。 また最初のショップ店員さんの「ふふ」がここで効いてくるとは思いませんでした。、 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございます。