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かおりのレビューコレクション

  • パラダイム・シフト-雑踏-
    パラダイム・シフト-雑踏-
    旧友との再会から始まるミステリを、ピクトグラムで描いたお話でした。 ピクトグラムだけで作品を作るというアイデアにまず驚き、 繰り返し読むことで真相に辿り着ける構成に膝を打ち、 たくさんの伏線が見事に回収された結末には、感嘆しながらもブルーになりました。 なかなかにショッキングでした。 @ネタバレ開始 女性を選んだ時には思い込みの恐ろしさを、 友人を選んだ時には自分の言動に責任を持つことの大切さを、 改めて学べた気がします。 誰しもが起こし得る、そして誰しもの身に起こり得ることだとも感じ、 そのリアリティさが怖かったです。 ピクトグラムの世界に逃げむことがないよう私自身も気を付けたいなと思いました。 @ネタバレ終了 ある意味ホラーより恐ろしい顛末だったと感じます。その恐ろしい部分も含め、 人生において大切なことがメッセージとして込められている、奥の深い作品でした。 ありがとうございました!

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  • 白い日傘とアンデッド
    白い日傘とアンデッド
    繰り返す7月14日、運命的に出会った二人のループ脱出物語でした。 主人公の流太くんとホネ子ちゃんの底抜けに明るいやり取りが楽しく、 テンポのよさも相俟って読み進める手が止まりませんでした。二人の会話劇、最高です! 流太くんの冴えわたるツッコミが面白く何度も笑わせてもらいました。 @ネタバレ開始 面白さで言うと上林先輩も個性的キャラでインパクト大ですね! なぜ覚醒するとオッドアイになるのか?などぜひ知りたかったです・笑。 流太くんとホネ子ちゃんは… ループから脱するため悔いの残る運動会をやり直したり、 やってみたかった部活動に挑戦するなどしていく中、 どんどんお互いの心が近づいていくようで見ていてほっこりしました。 そんな楽しいループ生活を送っていたところに、不穏な影が差し始め…。 それまでがとても楽しかった分、そこからの怒涛の展開には胸と目頭が熱くなりました。 HAPPY END まさかあの選択が、こちらのEDに繋がるとは思っていなかったので、本当に驚きました。 ウェディングドレス姿で笑って涙を流すホネ子ちゃんがあまりに美しくて、このまま時間が止まればいいのに!と思いましたが、まさかその後にあんなに幸せな結末が訪れるとは!予想外の展開に更に驚いたと同時にとても嬉しかったです。 アンデッド期を経たからか、アンデッドの頃より逞しくなった元気いっぱいのホネ子ちゃんに、尻に敷かれそうな流太くんですが・笑 これまで大変だった分、美歩音ちゃんと新たな青春ラブストーリーを繰り広げていってほしいなと思いました。 BAD END2 徐々に灰になっていくスチルが綺麗で、とても切ないのに美しいEDでした。 後姿で顔が見えないはずなのに、すべてを物語っているかのような、決意に溢れた背中。 もしかしたらその表情は泣き顔ではなく笑顔だったのかもしれない、 と思うほど流太くんへの深い愛情が感じられて、哀しいけれど心に残る結末でした。 BAD END1 一番のバッドEDなのですが、個人的には一番好きな結末でした。 ひとりぼっちの悲しいアンデッドのまま、見捨てて逝きはしない! という台詞がめちゃくちゃ心に刺さって号泣。 もちろん哀しい結末ではあるけれど、流太くんがホネ子ちゃんの望みを叶えたこと、 そして何よりこの結末が一番「流太くんからホネ子ちゃんへの愛情」を感じられた気がして…印象深かったです。最期の瞬間を二人で迎えられたことも、このルートでの最高の幸せの形だったかなと思います。とても好きなエンディングでした。 @ネタバレ終了 ループし続ける毎日を明るく生きる流太くんの前向きさや、 アンデッドって所謂ゾンビだよね?と再確認してしまうほど まるで天使!なヴィジュアルのホネ子ちゃんに、 ループもの、アンデッドもの=悲壮感溢れるお話というイメージが吹き飛びました。 また、明るいラブコメの中に散りばめられた怖さや切なさがスパイスとなっていて、 絶妙な面白さのストーリーだと思います。 ホネ子ちゃんのくるくる変わる表情もお話を盛り立てていて、 目でもとても楽しめました。魅力的なキャラでした! 読了まであっという間でしたが、読み終えた後にじわじわと心に温かいものが広がっていく、 余韻の残る作品でした。ありがとうございました!

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  • 彼女はあなたの帰りを待っている。
    彼女はあなたの帰りを待っている。
    主人公の帰りをひたすらに待ち続けている彼女の心模様を描いたお話です。 優しく温かな色味のイラストと、その雰囲気とリンクするかのような 彼女の主人公への愛情が感じられる、心温まる掌編でした。 @ネタバレ開始 彼女の正体については全く気づきませんでしたが、終えてみてなるほど!と納得。 また、その真相を明らかにする見せ方が巧みで、おおーっうまい!と感動でした。 タイトル画面のイラストも素敵だったのですが、 真相のイラストがめちゃくちゃ可愛かったです。特にCG3…大好きでした! 普段彼らの心の中を窺い知ることはできませんが、 こんな風に思っていてくれたら嬉しいですね。 もし先立つことやその後のことまで心配してくれているとしたら、 そう考えると少しホロリとしてしまいました…。 でも彼らとこのお話のように思い思われる関係が築けたら素敵だなと思います! @ネタバレ終了 こんな風に帰りを待っていてくれる誰かがいるというのは、 幸せなことだな…と改めて感じます。 そしてその存在をしっかり大切にしていきたいと思う、 いいきっかけともなるお話でした。 思わずキュンとなる仕掛けと、とても愛らしい結末が印象的な作品でした。 ありがとうございました!

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  • 輪廻の門
    輪廻の門
    平安時代にタイムスリップしてしまった主人公が、 助けてもらった恩人の依頼「怪事件の起こる屋敷の調査」をこなすお話でした。 紹介文に「あまり怖くないゲーム」とありましたが、なかなかに怖かったです。 特に探索パートに入ってからの、仄暗い屋敷の雰囲気やびっくり演出によるドキドキ感は、 お化け屋敷に似ていると感じました。 お化け屋敷が苦手な方にはかなりの怖さと感じられるかもしれませんね。 @ネタバレ開始 なにしろ、あの化け物に突然やられる感じはヤバイです。 音とイラストの演出効果でめちゃくちゃ心臓跳ね上がりました。 あやかしのデザインの不気味さたるや…!!! 二度目のクリックからは、もうわかってるから大丈夫さ! なんて思ったのもつかの間、うわ、やられた!(ドッキーン) これの繰り返し。何度やってもドッキドキ、手に汗握りました。 攻略に関しても、屋敷の探索が思っていた以上に難しい…! 選択肢が多く、その組み合わせの数も豊富なことから、 何度も血まみれゲームオーバーになりました。 そんなゲームオーバー時の「もう目覚めることはない」も何気に怖かったです・笑。 脳内マップの生成が下手なので、 屋敷内を右往左往してしまわないよう途中からメモをとり、何とかクリア! もっと早くからメモをとっておけばよかった… と額の汗をぬぐいながら、脱出の喜びをかみしめたのでした。 @ネタバレ終了 怖さと攻略の加減が思っていた以上にハード目でした。 でもそこが魅力でもあり、とても楽しかったです。 また、主人公の秋月悠ちゃんが高校生にしては大人びていて、 過酷な状況に置かれても冷静さを失わないところに魅力を感じました。 応援したくなる素敵キャラだと思います! 物語はまだ動き出したばかりですが、 この後も続くお話に期待が高まる結末でした。 シリーズものの第一作として最高の滑り出しではないかと思います。 がっつり心を掴まれました! 読み物としてだけでなく、探索の楽しみもある面白い作品でした。ありがとうございました!

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  • 飲み会をぶっ壊せ!
    飲み会をぶっ壊せ!
    悪魔の飲み会をぶち壊すため、主人公があれやこれやと手を尽くすお話でした。 飲み会を装う非道な輩たちの魂胆を、主人公の清ちゃんがバッサバッサと斬っていくのが爽快! が、相手もなかなかの手練れでしっぽを掴ませない…それをどう切り崩していくか、 為になるアイデアと知識がたくさん学べ参考になりました。 @ネタバレ開始 特にストローと、氷についての知識はなるほど!と唸りました。 目に見える証拠としてならストローなしのほうが有効で、 でも証拠品として提出するなら指紋のとれるストローありのほうが有効…とか、 氷ありの飲み物は結露して中が見えにくいから危険など、 言われてみれば…だけど言われないと気付かない盲点だなと思います。 また、食べ物も個別に食べられる物だと薬を盛られやすいから、 皆で食べられる大皿系にしたほうがいい、などもとても勉強になりました。 もちろんこういった機会に遭遇しないことが一番望ましいですが、 万が一…の時には知識を役立てたいと思います。 そして7種類のEDすべて回収させていただきました! 被害者4/逮捕者4 清ちゃんは知らなかったんだからしょうがない。被害が酷すぎず(一応未遂?)4人捕まえられてむしろよかった。 被害者0/逮捕者0 これは悔しい。これからも彼らがのさばるのかと思うと怖すぎる。被害者が出なかったことだけが救い。 被害者1/逮捕者4 悪魔たちの差し出すモノなんだから、ティーカップでも油断したらあかんぜよ。 被害者1/逮捕者5 清ちゃん、いくらなんでもひとりは危険すぎるよ…! 被害者2/逮捕者5 わかる、わかるけどあの場では何も口にしたらあかんかったのだ…。 被害者3/逮捕者4 用意周到!あの店長も何気にかなり怖い。のさばらせたらあかんヤツ。 被害者0/逮捕者5! ハッピーエンドは皆が楽しそうで何よりでした! 弥奈子ちゃんと清ちゃんが一緒にサークル活動する日が来るとは…。 大変な事件に遭遇してしまったけど、それを機に清ちゃんに仲間ができたことが嬉しかったです。 @ネタバレ終了 内容はリアリティがあり何気にシビアなものなのですが、 登場キャラの名前(A・B・Cや、やなこ、くずおなど)や清ちゃんの心の声、 OBに集る蠅…などシュールな笑いが面白く楽しくプレイできました。 概要蘭に絵が残念と書いてありましたが、背景含め、 絵のタッチがスッキリしているところが良かったと思います。 女の子たちもかわいいし、服がお洒落で素敵でした! 本当にこの内容は為になりますし、被害にあわないためにも知っておいたほうがいい情報が詰まっていたので、多くの方に触れてみてほしいなと思います。 ゲームから学びを得られる、楽しくも実用性のある作品でした。ありがとうございました!

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  • 雫
    運命共同体だと思っていた先輩の身に起きた「変化」を機に始まる青春物語でした。 美麗なグラフィックと、 それを有意義に活用したクオリティの高いアニメーションにまず目を奪われました。 しかもアニメーション化する場面のチョイス、見せ方が素晴らしい…! 本編最後の先輩にはやられました。イケメンすぎる…! また、美しい言葉で綴られる文章での表現も豊かで、 主人公の心模様が手に取るように伝わってきました。 更にワードのチョイスがこれまた秀逸で、さながら文学小説を読んでいるよう! シナリオの展開のさせ方も素晴らしく、 短い文章ながら的確にツボを押さえていて、キュンキュンさせられまくりました…。 @ネタバレ開始 その最たるキュンが詰まったエンドロール!もう本当に最高でした! 本編では語られなかった二人のこれまでと、その後を期待させる終わり方、とても良かったです。 @ネタバレ終了 演出と文章とが絶妙に絡みあい、5分という短い時間があっという間のような… いやむしろゆったり感じられるような、不思議な感覚を味わいました。 青春物語=甘酸っぱさのイメージがありますが、 こちらの作品は甘酸っぱさはありつつも、 とてもしっとり落ち着いた趣のある物語だったように思います。 温かな雰囲気が素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • 異形の森の赤ずきん
    異形の森の赤ずきん
    記憶をなくし見知らぬ森で目覚めた主人公が、異形の者たちによって隠されてしまった記憶を取り戻し、閉じ込められた森からの脱出を目指すお話でした。 タイトル画面の雰囲気や、異形・化け物というワード、そしてゲーム概要蘭の説明などからこれは怖そうだなと思って始めたのですが、読み進めていくとあれあれ?となり、読了後には感涙。開始前には予想もしていなかった感動に見舞われ胸がいっぱいになりました。 @ネタバレ開始 記憶を取り戻し森から抜け出そうとする主人公と、それを阻む恐ろしい風貌の異形の者たち、手助けしてくれるけれど怪しい仮面の男…の三すくみ状態で、開始当初は誰を信じていいのやらと不安に思っていたのですが、まさかの皆いい人(人外だけど)!閉じ込めているのも、現実社会で壊れてしまった主人公の心をただ守りたいがため…そんなピュアな願いに気がついた時には涙、涙。 一方の仮面さんも心から主人公を心配してくれる優しい人で、その正体にも感動でした。最後の抱擁がまた泣ける…!良い人そうに見えて実は何か別の魂胆でもあるんじゃ、なんて疑っていたのをひたすら謝りたくなりました。 途中からもう皆大好きすぎて、お別れし難く帰還しないBADエンドも見てみたりしましたが…こちらは哀しいエンドでしたね。ある意味幸せだけれど生ぬるい世界で逃避し続けたら、自分もあちら側にまわってしまうという事でしょうか…。哀しみ。 BAD回収後は泣く泣く帰還することを選択し、HAPPYエンドへ。本当は皆とずっと一緒にいたかった!と哀しみに打ちひしがれていましたが、HAPPYエンドが哀しみを上回る胸アツの展開で!めちゃくちゃ心揺さぶられました。 いくら虚構空間で前向きになれたからって、全てが丸く収まったわけではない…というのがリアルで、そして変わらないイジメに腹が立ちました。むしろ彼女たちが化け物だろ!!怒 学校が動いて解決するのなんて表面的なものだけで、そうそう根絶できるものではないんですよね。本当に難しい問題だなと思います。そんな中で、異形の彼らと仮面さんのメッセージで立ち上がったセナちゃんが、イジメを跳ね返すシーンはもう…画面が涙で見えない程でした。スカッとしましたし、その雄姿がステキ過ぎて…! 共に過ごした記憶はなくしてたとしても、片隅に残る彼らの思いがこれからもセナちゃんを守り、そしてセナちゃんの心の中で生き続けていくのだろうなと思える結末でした。最高に感動しました。 最後に個別感想を…。 何も喋らないのが最初は怖かったけど、実は恥ずかしがり屋で心根の優しいレター。こっそり主人公の家を掃除してくれたり、うっかり手紙を水浸しにしたり、ちょっとお茶目なところが可愛かったです。 スケベで何考えてるんだかわかりづらいけど、いざという時は冷静で頼りになるスケッチ。どんな時でもぶれない「らしさ」で何度も笑わせてもらいました。スカートの中のぞくなよ~笑。 従えているクモの子分が不気味だし笑顔の裏側を疑っていたけど、本当に心が美しいいい子だったシャルロッテ。髪をとかしてあげる場面が心に刺さりまくりました。シャルちゃんにとっても主人公にとっても、姉であり妹であったに違いない。そんな絆を感じさせる素敵なイベントでした。 憎まれ口ばかりで怒りっぽく威圧的という第一印象最悪だったコロ。だけどホントはいい奴だってすぐわかったよ!隠そうとしても性格の善さがだだ漏れしちゃってるコロが微笑ましく、同時にとても愛おしかったです。おまけを読んでますます好きになりました。大好きなキャラでした。 厳しいけれど愛のこもった叱咤激励で導こうとしてくれた仮面さん。ピンチになると助けてくれるのも、きっとすぐ駆けつけられるように見守っていてくれるんだろうな。心から愛されていることを感じます。HAPPYエンドでの最後のメッセージも心に響きました! @ネタバレ終了 異形の者たちの思考、感情などを知るにつれどんどん面白く、そして読む側の感情も高まっていく素晴らしい構成でした。テーマ自体は重めなのですが、適度なコメディさで抜け感があるところも良かったと思います。 また、立ち絵の表情の差分が多いので、感情移入しやすい作りになっていたようにも感じました。特に狼の化け物の表情変化が大好きです! 見た目とは違う異形たち、人間の皮を被った化け物たちが交錯するストーリーは、 最高の結末で幕を閉じました。明るい未来を予期させる最後の展開がとてもよかったです。 心に残る素敵な秀逸作でした!ありがとうございました。

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  • Cross Mask -クロスマスク-
    Cross Mask -クロスマスク-
    治安の悪い町にある唯一のセレブ校と、そのほか不良高校との、様々な思惑の絡んだバトルを描いたお話でした。 アメコミもの(映画など)をあまり見たことがなく、不良モノもあまり興味がないのに楽しめるかな?と少し不安な状態で読み始めたのですが、全くの杞憂で時間を忘れて夢中になりました。とても面白かったです! @ネタバレ開始 学校名やキャラ名などのシュールさ(威地悪高校などのヤンキー風当て字!)や、時折はさまれるコメディ部分(食堂での貸し借りや、田村くんのバスケには笑いました)などクスッと笑える部分もありますが、大筋は骨太の人間ドラマ。とにかく熱い展開です! 地の文は第三者目線で客観的に描かれているのですが、チャプターが変わるごとに寛太郎くん、田村くんどちらの心情も見られるようになっているため、二人の思いがひしひしと伝わってきてとても感情移入してしまいました。 過去に辛い経験をしている寛太郎くんが、その力を再び親友を助けるために使い、クロスマスクとして立ち上がる…という展開は胸アツだったのですが、クロスマスクとして行ったことがなかなか実を結ばない…!それどころか頑張れば頑張るほどむしろ事態は悪い方向へ進むばかり。切ない…。中でも裏切りによるリンチ受けた時はめちゃめちゃ哀しく、切なさの極みでした。ヨバのヤロウ…!!と怒りに震えましたが、ヨバはただの小物で、本当の敵は厳蔵だったのかなと思います。厳蔵は「大義を語る人ろくでもない説」を地で行くような、横暴さを秘めた人でした。 最終的に厳蔵の意思を汲んで?新しい役割を担うことになった寛太郎くんですが、クロスマスクでいる間はいつもどこか思いつめたような感じだったので、解放されたのは良かったのではないかと思います。正義を重んずる性格を鑑みてもこちらのほうが向いているのかもしれないですね。 ただ、今は秩序を守るために玉番が必要なのかもしれないけれど、いつか本当の意味で大義から解放され、厳蔵にパンチかませるようになったらいいな…とも思いました。 そんな厳蔵に大義を骨の髄まで教え込まれた田村くんですが、大切な人に巡り会ってからの彼は熱かった…!今まで抑えてきた反動でしょうか、感情を爆発させていましたね。彼を縛っていた大義ももう意味をなさなくなったんだろうな…。そんな風に田村くんを変えた大切な人の中に、寛太郎くんも含まれていることがとても素敵で胸アツでした! この先、律さんを守り抜いて安心できるようになったら、寛太郎くんに色々借りた分を返しに(お金的には合計600円でしょうか・笑)ぜひとも戻ってきてほしい。そして二人で全ての闇を暴き白日の下にさらしてほしい!と強く願います。その時森矢くんも更生しているといいな。できれば被害者である森矢くんと律さんを含めた四人で立ち向かえたら…更に嬉しいなと思いました。 @ネタバレ終了 作中で何度も問われる、大切な人はいますか?というメッセージが、 読了後に心にずしっとのしかかってくる、深いテーマ性のあるお話でした。 何を取捨していけばいいのか、明確な正解のない人生の厳しさ・難しさを改めて痛感する内容でもありましたが、結末には希望の光があり、読後感が爽やかだったのも良かったです。 またスチルなどの一枚絵がない代わりに、立ち絵のバリエーションの豊富さで戦いの場面などに迫力があり、また場面ごとに変わるBGMでの演出も相乗効果をもたらしていると思いました。とにかく目でも心でも「熱いもの」を感じられるお話だと思います。 ダブルミーニングなタイトルも秀逸な、読み応えのある素敵な作品でした!ありがとうございました。

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  • ひなちゃんのおつかい!
    ひなちゃんのおつかい!
    お母さんから頼まれたおつかいという名のミッションをこなし、おいしいカレーを食べられるか… 小学二年生のひなちゃんのおつかい冒険譚でした。 ひとりでおつかいならではの、買い忘れやお菓子コーナーの誘惑! あるあるだよね~なんて思いながら、にんじんを忘れてみたり、ルーを忘れてみたり、 お菓子を買ってみたりして色々なエンディングを見ることができました。 @ネタバレ開始 おつかい大成功のED1はもうひなちゃんが美味しそうに食べてる姿が微笑ましくてほっこりし、 具材が足りないED2はきっとお母さんが水を野菜ジュースに変えて作るとかラードを使って野菜炒めるとか工夫したんでしょう!と勝手に納得し、 ルーのないED3はむしろ私お父さんのお土産のほうがいいんだけど!と思ったり、 お菓子だけのED4は怒られたことよりその後の夜ごはんがどうなったのか心配したり…。(作者さまのTwitterを拝見したら、お母さんは無からカレーを生み出したそうです。神!) そして何も買わずに迎えたED5…うん、これ最後に見ちゃダメなやつでした。凹む・苦笑。お母さんの瞳から光が消えたのが怖かったです…。一体どうしてこうなった。でもひなちゃんのせいじゃないよ、きっと!!と言ってあげたかったです。 @ネタバレ終了 私が小学二年生のころは、ひとりでおつかいなんてとても無理! だったのでひなちゃん、偉いなぁ…などと思いながらプレイしました。 でもやっぱり、おつかいに行くならメモ必須だよ! じゃないとたいていミスするからね…!とも思ったのでした。 おつかいだけの掌編ながら、ほっこりからシリアスまで 様々なタイプのエンディングが楽しめる素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • ヌコの特等席
    ヌコの特等席
    行きつけの喫茶店の看板娘「朱里ちゃん」と、看板猫?のヨシミを探しに行くお話でした。 主人公の樋口さんが喫茶店に通う理由や、現状に対する思いなど、 その心模様にとても共感しました。 変わり映えのしない毎日に変化をという気持ちもわかる気がしますし、 中でも「会社は監獄、退社は仮釈放」というワードはグサグサきました。 私以外にも刺さる方が多いのではないかと思います。 そんな変化を求める樋口さんとバディを組むことになった朱里ちゃんは、 とても可愛いのですが意外としっかり者でちょっぴり毒舌。 マスターがもうすぐいなくなるかも…というブラックユーモアには一瞬「ん?」と思いましたが、きっとマスターと心が通い合っているからこそ言える言葉なんでしょうね。そもそも祖父であるマスターのお店で働いているのも、マスターのことを本当は心配しているからなのかもしれないなと思いました。 @ネタバレ開始 そして肝心のヨシミの居場所ですが…これは本当にびっくりしました。 ええええ、よく食べる猫なのに、そんなに小さいの?! それとも一見普通に見えるけど、朱里ちゃんの頭が人より大きいとか?! …なんて思ったりしました・笑。 色々な衝撃作を遊ばせていただいてますが、驚き度合いで言うと今年一かもしれません。 そんな衝撃からの最後のオチもまた見事でした。うん、確かに特等席だ・笑。 あんないい場所誰しもが飛び込みたくなりますよね。絶妙なタイトル回収で面白かったです。 @ネタバレ終了 衝撃でもあり、笑撃でもある面白い作品でした。ありがとうございました!

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