SHIAのレビューコレクション
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カエルの話プレイヤーをゲームクリアまで導くようにと作者さんから指令を受けたカエルさんとまったりお話するゲーム……なのですが、ただそれだけに留まらない「話しかけてきている」という状態を巧みに表現している作品でした。 カエルさんが「どっこいしょ」と横になったりと、案内役という枠にはまり切らない人間味があってchapterたちの最後までしっかりとお付き合いさせていただきました。 @ネタバレ開始 自分が作者によって作られた「こういうキャラクターである」という部分を理解しており、その決められた枠から飛び出していこうという試みに対する「こんなことできるわけないと思っているだろ?」という問いかけが特に面白く感じました。 できないだろうと無意識に思う心理に直接呼びかけてくるのがとても面白いというか…お話をするという形だからこそ一瞬で無意識から引き出せる真理というか。 カエルくんが最後に飛び込んでいったそこまでが作者様の予定調和によるものなのか、あれこそ作者様にもあずかり知らぬカエルさんの行動なのか……面白い余韻でした。 @ネタバレ終了 ゲームという媒体の在り方や仕組みをも利用したシナリオの展開に、思わず舌を巻く素敵な作品でした。 ありがとうございました!
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こっくりさんのお告げ「こっくりさん、こっくりさん、おいでください」……日本ではポピュラーな降霊術であるこっくりさんを試した4人の学生たちが辿り着く結末とは……。 注意書きにあるとおり、こういうものは興味本位など軽い気持ちでやってはいけないものだなと思いました。 ホラー成分がガンガンにきいたイラストなどは出てこず、画面の構成がシンプルなのでホラーが苦手な人でも楽しめると思います。 ちょっとした謎解き要素もあるので謎解き好きさんにもオススメです。 @ネタバレ開始 「こうか」について入力するシーンは、ものの見事に引っかかりました。 普通にそのまま画面に出されたヒントというミスリードを元に入力し、くるくる巻き戻されました。 トイレで変質者VS先生で、いくらなんでも変質者があっさりと倒されすぎでは?とは思っていたのですが、まさかでした。 主人公が指先を切った意味を何も考慮しなかった凡ミス…! いえ、巧みな仕掛け…! くるくる巻き戻された後の教室の謎解きとラストの謎解きは無事にサクサクとクリアできたので「こっくりさんはまだ続く」という日本のホラーではある意味でお約束でもある「ホラー!! 終わってないじゃん!! まだ続くやつじゃん!!」を見られてよかったです。 明日もどこかの教室でこっくりさんが呼ばれるのでしょうか……。 @ネタバレ終了 話のテンポが軽快で謎解きなどのバランスもちょうどよく、とても遊びやすいゲームでした。 素敵な作品をありがとうございました!
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Ghost KillerS(ゴースト・キラーズ)ギターでおばあさん(※成仏してない)の脳天を叩いたりするイケメンたちが今日も幽霊退治します!な、画面のエキセントリックさとイケメンたちとのドタバタを楽しむ痛快スタイリッシュ&ちょっとしんみりもある物語でした。 若者が年寄りをリンチしている図みたいになっていましたが、これは幽霊退治!幽霊退治! 現にシャルロットさんはなんか最後にトキメキの一瞬を贈っていたし!と、南無三。 なかなか奇抜な幽霊退治で面白かったです。 @ネタバレ開始 どのキャラクターも個性的かつイケメンで、シャルロットさんとフーガさんたち双子が大変好みでした。 まさかの双子、破壊力が倍ドンで、尊い…尊い…となりました。 シャルロットさんの髪の毛をかき上げている図は心臓にオーバーヒートなみの負荷が…! 眼福でした、ありがとうございました。 @ネタバレ終了 ラストの終わり方が「あれ?」と思うものでしたので、あの謎が解ける日を楽しみにしています。 素敵な作品をありがとうございました!
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キミに心臓をあげたいもし、あなたの鼓動がこの世界に響かなくなりそうになったら、私が調律しに行くから―――そんな声が聞こえてきそうな、引きこもりでニートで髪の毛もボサボサで、でも「いい人」な主人公が再起するまでの物語でした。 TRUEからBADの順でエンドを見たので、凹みました…しまった、BADを3種類とも回収してからTRUEを見ればよかったです。 TRUEはとても感動的になっているので、これからプレイされる方(エンドコンプを目指される方)は是非BAD→TRUEをオススメします。 @ネタバレ開始 主人公が久しぶりに外へ出て自身の辛さを告白するシーンではUさんの「独り言だから聞こえてしまうかもしれないけれど」の言葉がとても好きでした。 「聞いてあげるから話して」と促すのではなく「この距離だから君の独り言も聞こえるね」と肩の力を抜いたセリフ回しが、主人公の緊張をほぐしているなーと……自然かつ上手な流れで、とても好きでした。 クライマックスのピアノを弾くシーンで一瞬女の子が被るシーンが鳥肌ものでした。 そのまま最後まで辿り着くとタイトルの意味がよく分かり、感慨深いものがありました。 @ネタバレ終了 スチルも美麗で、TRUEは最後の最後まで目が離せない「ああ、そういうことだったんだね」と心に響いてくる、正に一つの命の曲のような美しさでした。 素敵な作品をありがとうございました!
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エキカクイーンズアイランドタイトル画面がヴィーナスの誕生に見えたので、ギリシャ系の話なのかな~とニコニコ思ったのも束の間、新種のクリーチャーに追いかけまわされるゲームかな!?と「それら」が出てきた時に思いました。 が、違いました。 壷にドアにさらに超ナイスバディな究極の理想形UFO(UFL)が出てきて、私の頭の中は混沌としながらも「このゲーム、分からないところが逆に面白い!」でした。 この作品のなにがすごいと言いますと「うわ、またおかしなのが来た」(byライさん)とのお言葉通り、次から次に個性的にもほどがあるキャラクターが出てきて、しかもどのキャラも言っていることがキャラクターに合っていて面白いところです。 @ネタバレ開始 全エンド見た(4名とも生存エンドがTRUEでしょうか)と思いますが、帰還するエンドで最後に皆が冒頭でも見た写真のポーズを取っている姿に、最初に見てからもう随分長い時間が経っている気がする……と感慨深く思うほど、エキジン化に関する一連のドタバタがインパクトがありました。 一番インパクトがあったのはドアの人なのですが、UFLさんがエキジンの中では一番好きです。 お友だちの中では見返り美人すぎるケリーさんが素敵です! @ネタバレ終了 選択肢以外でセーブするという意識が呼び起こされることのないハイスピード&ノンストップなシナリオで、立ち入り禁止なのに入ってしまいたくなるようなキャラクターたちの濃さと面白さでした。 素敵な作品をありがとうございました!
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お前が大統領だまさかまさかのうさぎの皮を被った社会派ゲーム!? お前が神様だと言われたらどんな世界にしようかな~なんて子供のころはよく考えたものですが、本作ではプリティなうさぎさんの国の大統領になれるそうで、「頑張って大統領になるぞ!」と思ったのも束の間、初めにぶち当たる問題が高齢化とかリアルすぎました…(うさぎの国も高齢化は避けられないらしいと知り白目をむく) 解決すべき3つの問題で取り扱われる内容が非常に興味深く、地球という惑星のあらゆる国で当てはまりそうな内容であったことからも色々と考えました。 どの問題も今となっては根っこが深すぎて一朝一夕には変わらない・解決しないからこそ、一人一人が向き合って「みんなでこの地獄から抜け出そうぜ!」とほんの少しのやさしさを寄せ合って、肩を抱き合って抜け出す勢いで未来へ進めたらいいなと思いました。 「ちょっと分からないんですけれど」と目の焦点が明らかに合ってないときのウサギさんの顔がツボでした(笑) 素敵な作品をありがとうございました!
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Propp’s prop professional最強ブレンドのマヨネーズをヤ●ザに狙われて追跡されたと思ったら猟師からの試練を受けてトッピング全部乗せのクレープを授かったり、実は納豆菌だったりとクイックモードでも十分に面白い物語作成ゲームです。 あるところに、画狂老人マジ卍という即戦力の新卒がいました……と、なんだこれは~!と思うようなトンデモ物語が次から次に生み出せてしまうとても面白いゲームでした。 画狂老人で即戦力の新卒って何が起きたの…お前はいったい誰なんだ…。 めでたし、めでたし。までどれほどカオスティックな物語にできるかを挑戦したくなる、本ゲームをプレイした文豪たちの腕が疼いてしまうような文章や設定が盛沢山でした。 フォントや背景も色々と変化があり、図書室だったり科学実験の背景だったりと思わせぶりな背景による効果はもちろん、かわいいフォントや殺伐としたフォントなど文の内容だけでなくフォントによる視覚効果までありすごいプログラムだと思いました。 ランダム生成される物語もさることながら、自分でこだわりの物語も生み出せるとても面白いゲームでした! 素敵な作品をありがとうございました!
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霊感♡彼氏彼女俺も彼女も霊感があって、実はそういうものが見えちゃったりするのだが……あ、かわいい彼女の傍に幽霊が!クリック退治!とクリックミニゲームを挟みつつ彼女との関係を維持できるのかハラハラしながら見守りました。 @ネタバレ開始 妖狐さんとのバトルで一度焼却されましたが、再トライで無事に避けきり助っ人の幼馴染さんが対処してくれましたが……幼馴染さん強すぎ! あっという間に退治してしまわれた…! その後に悪魔さんと主人公の間に入ってきて悪魔を追い払ってくれた杏里さんの勇気に、思わず拍手しました。 怖いものが大の苦手でものすごく怖かっただろうに…!! @ネタバレ終了 コメディタッチで綴られたかわいい彼女との一日、楽しく過ごさせていただきました。 素敵な作品をありがとうございました!
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氷の女王〜Escape from the riddle〜案内役の方の名前が「エニグマ」の時点で「これはなにかある」と思う自分の心の汚さを噛み締めつつ、本編へ突入しました。簡単な謎解き要素もあって面白い物語でした。 @ネタバレ開始 クリア後に解放されるサイドストーリーを読むと、エニグマさんの印象まで変わってしまいました。 ただの怪しい人だと思ってすみませんでした…壮絶な過去をお持ちの方でした。 悲しみのあまり心が麻痺して今のエニグマさんになってしまったのかなと感じました。 サイドストーリーを読むと、エンディングロールの2人の横顔がまた少し違った印象で見えました。 悪魔は彼女を不幸にしたかったわけではないのに、結果的にそうなってしまったのがとても悲しいです。 お互いを大切に感じていた時期が確かにあったはずなのに、最後に拒絶と裏切りによって幕を下ろした二人の物語には、二人ともまた仲直りしてほしかったと心から思いました。 @ネタバレ終了 クリア後までたっぷり楽しめる仕様が素敵な物語でした。 ありがとうございました!
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残照に焦げる夕陽は色々な顔があり、燃えるように真っ赤なときもあれば心に不安を抱かせるほど痛々しいまでに真っ赤な時もありますが、本作品ではあらゆる顔を見せるその赤い夕陽に焦がされないように注意しなければいけませんでした。 初回でTRUE ENDに行けたので、難易度もやさしく、選択肢も重要なものは赤い色になっていたのでサクサク進めることができました。 キャラクターのバランスが絶妙で、しっかり者で冷静な主人公、お調子者でちょっと臆病なところのあるナオさん、サッパリキッパリした天真爛漫なミヅナさんの掛け合いが楽しく、ストーリーのテンポがとてもよかったです。 @ネタバレ開始 道中で出てくる黒い影はもしかして夕陽に焦がされたどこかの誰かなのかな?と考えました。 アイさんが過去に主人公らと出会っているという描写や最後に現れた新キャラと意味深な言葉に、まだ続きがあるんだと気になりました。 @ネタバレ終了 夕陽に焦がされて人間終了にならないようにしつつ、無事に異界から元の世界に戻れましたが、一歩間違えば夕陽に焦がされてしまうところでした。 夕陽の赤は人を狂わせるほどに魅力的ですね。 素敵な作品をありがとうございました!