SHIAのレビューコレクション
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夏休み、憧れの先輩とお祭りに行くだけ。雨月先輩が大好きな暁さんを見るのも、暁さんを大切にする雨月先輩を見るのも、どちらも「好き!」となる楽しい物語の続編ということで、ワクワクしながらのプレイです。 前作でも二人のやり取りは大変面白かったのですが、今回もますますパワーアップして面白かったです! 前作から泣きボクロ男子は魅力的すぎる…!と思っていましたが、今回の先輩は夏祭りの浴衣もよくお似合い、キリッとした顔も横顔も全部イケメンそりゃ元がイケメンなんだからイケメンに決まってるのにイケメンがイケメンすぎてイケメンマジイケメンと文章崩壊を起こすくらいのイケメンっぷりでした。 @ネタバレ開始 付き合い始める前は凪いだ湖面のように静かだった先輩が、今回はちょっとオトコを前面に出してきて、これはこれでドキドキしました…! 暁さん、心臓は大丈夫!? チキン(私)がAED持って待機してるよ!!(自分に使うところだった) 先輩の魅力が全開の大変素敵な夏祭りでした! @ネタバレ終了 とても素敵な作品をありがとうございました!
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夏休み、文芸部の先輩と図書室でお話するだけ。こんな素敵な先輩がいたら、締め切り間際のデスマーチも耐えきれる…!と暁さんではありませんが、仕事の締め切りもこんな素敵な先輩がついていてくれたらと遠い目をしつつ、雨月先輩の落ち着いた雰囲気と暁さんのストレートな愛情表現にニコニコしながら最後まで読ませていただきました。 「犬井くんとはろうぃん!」ではお付き合いをしている両想いから始まっていましたが、今回はお付き合い前ということで、糖分は少し控えめですが、雰囲気がとてもいい作品でした。 @ネタバレ開始 先輩が常にやさしい笑みを浮かべてリードしてくださる感じで「雨月先輩が大人すぎる…!」と思っていたら、最後の壁ドーン!!ときて「近い!」となりました。 暁さんが先輩好き好きを連呼していて「雨月先輩、めちゃくちゃ愛されてるじゃないですか!」と思っていたので、最後に先輩がいよいよ迫ってきた展開には「暁さん、おめでとう!」と図書室の外の廊下から拍手する外野になりました。 めでたく二人が結ばれて良かったです。 月見さんの作品は女の子も男の子も魅力的すぎます…! 雨月先輩の仰っていた通り、文章には人柄が表れるということで、月見さんのお人柄が表れているからこそ、こんなにも素敵な作品なのだろうなと思いました。 @ネタバレ終了 今回もとても素敵な作品をありがとうございました!
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犬井くんとはろうぃん!ドサササササササーーー!!!!(口から砂糖が逆流する音) あ、甘い!! 甘すぎる!! ママン、これはミルキーより甘いよ!! 体内で生成された砂糖が高速回転しながら逆流してしまう甘さだよ!! と、いうわけで、糖分がかーなーり高めな犬井くんと花守さんの甘々っぷりを電柱の陰から覗き見る人みたいになってジタバタしたりゴロゴロこたりしながら堪能させていただきました。 犬井くんが顔も性格もイケメンすぎました……ハァ、ハァ、私、ちゃんと心臓動いてる? ドキドキしすぎて、血管切れていつの間にか心停止してない? 心停止してないか確認するくらい甘い物語だったので、これは仕事で疲れた人やミスして落ち込んでいる人にもプレイしていただきたい作品でした。犬井くんのやさしさとふとした瞬間に見せるオトコに癒されてほしいです。 おまけのストーリーも甘々で、砂糖追加しました。 砂糖の山がたくさんできてしまう…!! 犬井くんの花守さんに対する好きという気持ち、大切にしたいという気持ち、オトコとしてちょっと押したいという気持ちなどがしっかりとストレートに伝わる素敵なシナリオで、悶え要素が満載のため最初から最後までニコニコしながらプレイさせていただきました。 素敵な作品をありがとうございました!
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ある日、天使が楽園から落ちてきた。若い時は自分の存在意義だったり、将来の展望だったり、家庭環境だったり……色々なことで悩みますが、本作の主人公も悩む・悩む・悩む。 隣人の死を体験し、絶望し、やりたいことがないとぼんやりと過ごす主人公はやりたいことを見つけられるのか。 @ネタバレ開始 ―――というフリなどもトゥルーエンドへ至るルートに入ると、すべてが「そうあれかし」と幻想である「あの世界」だったことに気づくこの衝撃、現実はもっと残酷で幻想には程遠い速度で進んでいる中で、細い細い最後の糸を手繰り寄せて光へ繋げようとする物語でした。 ただ一度にして最後の機会を手放さぬと決めた主人公の「本当にやりたいこと」「為したいと心に誓ったこと」を遂げるための長い道のりの物語として迫ってきました。 実に十年以上の歳月を経ての楽園からの……帰還、とも言うべきでしょうか。 自分にとっては敵だらけの苦しい現実で刻が止まってしまっている空花さんにとっては、幸せな夢が見続けられるのであればそれを手放す道理がなく、悪い終わり方をすれば「異物を弾き出しやり直せばいい」となかったことにさえしてしまっても構わない。 空花さんにとって、辛い記憶ばかりが残る現実に戻そうとするシンくんは大切な人であると同時に拒絶したい人でもあったのだろうと。 そんな彼女にただ一途に、人生を懸けてアプローチし続けたシンくんの人生が報われたことが本当に良かったです。 四肢には麻痺が残るなど現実のすべてが元通り・理想の通りとはいかないと思いますが、シンくんのような人がきっとこれからも大切な人の人生のためにまた新たな技術を生み出すのだろうと感じました。 あなたのためなら人生を懸けても惜しくはない、そんなシンくんの想いに心揺さぶられた大作でした。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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ファントムゾーン ダイモンズタイトルの赤々しさとオカルト・ホラー・ファンタジー・SFのタグに、どんなクリティカルな物語が来るのだろうと身構えていたら、なんだか出ました大きな昆虫とか巨大な白蛇とか怪異が次から次に出てきました…!(昆虫・爬虫類がガチ苦手な人はちょっと注意です!そこだけ薄目でいきましょう!) 夜森市に蔓延る様々な怪異と、それに対処しようとする兄妹たち+友人たちの物語が連作として一話(一章)ずつ進む、一気に読んでもよし・一話ずつ日替わりランチのように読んでもよしの面白い設計のゲームでした。 彩夢さんやメイジーさん、赤鬼と呼ばれる謎の存在など個性的なキャラクターたちが魅力的でした! @ネタバレ開始 一際個性的だったお姉さん、めちゃくちゃ強いけれど、逃げ足も速い…!! 半端なく強いけれど霊感0につき怪異の場所が分からず一人では何もできないというところに、彩夢さんとのバランスが取れていてすごくいいなと思いました。 一撃粉砕するスチルがとても格好良かったです。 そして、最後の最後、メイジーちゃんの無垢なる残酷さというか、これからも絶対に一波乱二波乱ありそうなことが予想される衝撃的な終わり方でした。 お兄さんの姿が見えていなかった&カラー相性的になんとなくそうかなとは思っていましたが、まさかまさかでした。 この後もまだまだ夜森市では怪異たちが続々出てきそうなので、彩夢さんたちのご活躍が気になります。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!
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ORANGE PEEL次の一文に興味を惹かれたら是非プレイを! 家出したオレンジピールさんがメイプルワッフルさんと出逢い、コーヒーアイスさんと合流し、マロンマフィンおばあ様と通話したりしながらグレナデンリキュールという魔術師に会いに行くドタバタコメディ&後半は胸躍るドシリアスです。 ヒヨコ顔やカエル顔のロマンに溢れたロボット、かわいいおばけ×たくさんも出てくるよ! @ネタバレ開始 メイプルワッフルさんとコーヒーアイスさんの2人がいっぺんに落ちて「もす…」となっているところが個人的にツボでした。 メイプルワッフルさんがマーヤのパン生地にまさかの顔面から埋まっている(笑) 前半のコメディタッチとは一転、中盤から少しずつ話の感じが変わり、終盤のドシリアスが続く怒涛の展開、グレナさんを助けるためにとっておきを持っていたオレンジピールさんの「剥がれなさい。グレナから離れろぉっ!!!」は本当に胸躍る瞬間でした。 唐突にまたこのシーンが読みたいとなった時に、チャプターで何度でも手軽に繰り返し見られるのも最高です! おばけの皆さんが激カワすぎてヤバかったです(あまりのかわいさに語彙力が消滅) フォーチュンクッキーさんとアイシングクッキーさんのデザインが特に好きでした。 そして外伝を見て「どの子もかわいい……皆かわいい!!」と狂喜乱舞、ヒトガタver.もかわいすぎてますます好きになりました。 一堂に会したこのときのスチルは最高でした(個人的に外伝は最高でした) 個人的に一番好きになったエピソードがオマケの外伝でした。 グレナさんの過去を見られて、眼福でした。 家族3人で映っているスチルが尊すぎてやはり語彙力が消滅し拝みたい気持ちになりましたが、グレナさんの幼くしてすべてを背負わねばならなくなった経緯が見えて、読んでいて苦しくもなりました。 本編の最後では穏やかなやり取りがあり、オレンジピールさんとの出逢いでこれから先グレナさんの気持ちが皆と生きたい方向へ変化していけばいいなと思います。 クライマックスでの「生きたい」は「状況的に今は死ねない!」という意味合いが強かったので「明日を生きたいから死にたくない」と心から前向きに生きていける穏やかな日が来ることを願いつつ……。 @ネタバレ終了 キャラクターの名前がとてもかわいいところから気になってプレイしましたが、シナリオの持つ面白さにグイグイと引かれて18章+α一気読みでした! とても素敵なゲームをありがとうございました!
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identity自分は思春期にこんなに悩んだことがないな…という脳天気さんなので「自分らしさ」とは何かをここまで悩める主人公には、まず悩めるのがすごいと思いながらのプレイとなりました。 元アイドルの美音さんに関わることで主人公の内面にも生活環境にも変化が訪れ、時として友人関係にも影響を与えながら、その中で最適解を求め続けようとする主人公がある意味で痛々しくもあり、そしてある意味で変えられるのは自分だけという言葉を想起せずにはいられませんでした。 終盤は自分らしさとはという点で悩める主人公が自分探しをし始めるところで、なんだか嫌な予感がする…と思っていたら、案の定、エンドによって「なぜそうなった」という結末を迎えることもありました。 自分らしさとは何かと、それを考え始めるということ自体が私としては「???」なので、全編を読んでも主人公が自分らしさというもので悩み続ける根本的な部分では理解ができなかったかもしれません(脳天気がすぎる) 自分らしさというものにこだわればこだわるほど、どこかで「いや、自分はこうだ」とか「いや、自分はこうなはずだ」のような逆説的な呪いで自分を縛り付けてしまいそうなので、自分らしさにこだわるのもほどほどが一番なのかなと思いました。 自分らしさにどうすれば正解ということはないと思うのですが、少なくとも主人公にもいずれ自分らしさで思い悩まなくていい日が訪れるといいなと思いました。 (見たエンディングが1-6+BADなのでもし1-7+BADでしたら到達しておらず申し訳ありません) 素敵な作品をありがとうございました!
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Margot海外小説が好きな人、特に連作が好きな人にはオススメしたい作品です。フォントがかなり小さめなので、PCからのプレイを推奨です。 マーゴットが亡くなった理由、そしてマーゴットと関連のある人物たちのそれぞれの顛末が連作で描かれており、湖面のように淡々としていながらも人間の持つ内なる炎を感じられる秀逸な物語でした。 それぞれの登場人物のベクトル、人生、マーゴットをどう思っていたかなどの内面が緻密に描かれていて、上質な小説を読んでいるような一時が過ごせました。 最後のchapter5を読むと、白黒でのみ見えていたマーゴットという人物の輪郭が急に色づいて見えるようでした。 誰が悪かったなどの考察は無粋、マーゴットを軸に関連した人間たちの物語として淡々とありのまま受け止めて自分の中の水底に沈めておくのが相応しいような、味のある素敵な作品でした。 ありがとうございました!
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INNOSENCE 異能新世界戦線全44章+分岐の特厚ボリュームかつ、かなり独特の世界観と表現方法なので、腰を据えて長編にどっぷり浸かりたい人にオススメの物語でした。 選択肢は最後に一つだけなので、そこでセーブしておけばあとは楽に3つの分岐を見られる親切設計です。 分岐によってまったく異なる展開を迎えるので、3分岐とも読むと尚楽しい仕様でした。 物語内部と外部でガラリと話の内容が異なっている書き方もさることながら、手に汗握る異能者たちの熱いバトルも読みごたえ抜群、最後まで疾走力が高いストーリーでした。 登場人物もかなり多い印象を受けましたが、一人一人が主人公並みの熱量と深さがあり、作者様の登場人物への愛が感じられました。 男女一組を確実・絶対・百発百中・爆殺リアル充ボムとか恐ろしすぎる…そんな、安い早い上手い品質よしみたいな気軽さで爆殺されても!!(旧人類的にこの異能はマジで滅びる) @ネタバレ開始 新人類に属せていたら良かったのですが、今のところ「ハイパー脳天気」が異能でないかぎりは異能がなさそうなので旧人類に属するものとして感想をしたためます。 謎の記号や謎の言い回しなどに「???」と頭にお花畑が大量に咲き誇り、分からないところはスルーするしかないかなと読み進めていたのですが、最後に一度だけある分岐、そこで叩きつけられる真実にお花畑を大量生産している場合ではなくなりました。 私が個人的に好きだと思ったのは花神さんとシャルルメリアさんの正体がガッツリ明かされる2.GODENDです。 「最初から最後まで」 「全員です」 すべては掌の上だったのか…!! 生まれる前から生まれた後も死んだ後も調整するような存在には誰も勝てない(キリッ) そして、すべてが「はい、それはそうしましたから」という一言で片づけられそうなこの怒涛の真実と展開に開いた口がふさがりませんでした。 そして、朕様。 いやいや、朕様……本当に朕様(言葉が出てこない) 旧人類のわたくしめでは「朕様」しか出てこないのですが、すごいですね真性の愛する悪は。 @ネタバレ終了 自分で自分の作品にメスを入れるがごとき書き口、神が一つ一つの創造物にあえてのコメントを書き添えるような書き口、斬新で面白かったです。 素敵な作品をありがとうございました!
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異形の森の赤ずきん初めは「怖い作品だったらどうしよう、うわああああ足が指の蜘蛛が出てきたぁああ!!」と怯えましたが、終わってみたら豪雨からからっと晴れて虹が出た空を見上げたような気持ちになれる作品でした。 目が覚めたら知らない薄暗い森の中、出会う住人たちはとある話題になると急に態度が変わってしまう…という状況に困惑しつつ「帰る」ために記憶を探す物語なのですが、出会う住人さんたちが皆個性的で、最後はお別れしたくない気持ちになりました。 @ネタバレ開始 セナさんの壮絶な過去のいじめに「イジメ、ダメ、ゼッタイ、マジユルスマジ。」と私の中の死神が覚醒しました。 自分が逃れられるならとセナさんを人柱にした友人の心が理解できる―――わけもなく、自死を選ぶほどに追いつめられたセナさんに「これ(現実に)戻らないほうがいいのでは…」と思ったりもしました。 最後の選択肢で「帰る」を選ぶにあたり、多少の躊躇いと今のセナさんなら大丈夫だろうと思う気持ちとがせめぎ合い、思わず「残る」を選びそうになりました(「帰る」のトゥルーエンドの後、ロードして選んでみたらまさにバッドエンドでした…!) シャルさんらとの出逢いがもたらした心の中にある確かなもの、心の核となるものを握り締めるようにして立ち上がったセナさんの「かかってこいよ!!」に、心からの拍手とともに涙を送りたいと思います。 この終わり方、本当に感動しました。 @ネタバレ終了 すべての謎が紐解かれたとき、初めのころの不気味さも謎がもたらす違和感も何もかもを翻し、背中を押してくれる幾つかの手にありがとうと言いたくなる素敵なお話でした。 素敵な作品をありがとうございました!