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白玉ユキトのレビューコレクション

  • The Box
    The Box
    引っ越した先で配達された、身に覚えのない箱。 明らかに怪しいのですが、まあ自分の名前が書いてあるのだし、と初回からバリバリと開けていきました。 開けたからといって、すぐには反応がないので、何だか不思議な気持ちのまま読み進めていきます。 @ネタバレ開始 そして最後にまさかこんな種明かしがあるなんて! 不安を拭い去る温かな結末に感動してしまいました。 そうですよね、引っ越し先の新生活、これからいろんなことがあるわけですもんね。 @ネタバレ終了 シンプルながら、とても胸が温かくなりました。 素敵なお話、ありがとうございました!

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  • 意味が分かると怖い?話
    意味が分かると怖い?話
    面白かったです! タイトルにある「意味が分かると怖い話」から、いい意味で裏切られて気持ちよく読み終えました。 文章の気になる箇所をクリックして謎を解き明かす形式で、1問目を解き明かした辺りでは、別に怖くはないというか、何だかしっくりこないというか……とそんな気持ちだったのですが、これが2問目の解説に至って覆ります。これぞミステリー!という見事な構成でした。 @ネタバレ開始 所謂「意味怖」って基本的に現実の話なので、この正体を持ってきたのは盲点でした。 そして、いろんな解釈はできるけど幸せなほうがいい、という言葉で、温かな気持ちで読み終えられました。青春ですね。 @ネタバレ終了 最初、画面に対して女の子が小さくて笑ってしまったのですが、それは瑣末なことですね。 とても短時間で刺激されるお話でした。ありがとうございました!

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  • ネイシスシティ(Nacis City)
    ネイシスシティ(Nacis City)
    読み切り漫画みたいな読後感で面白かったです! タイトル画からして非常に恰好いいですし、内容もテンポがよくて熱い場面もあり、メリハリが効いてて楽しめました。情報が必要な場面で必要なだけ出てくるのもあって、すごく読みやすかったです。 ネイシスとして人権を認められず、迫害めいた扱いを受けているのに、常に明るくまっすぐなウロコちゃんと、そんな彼女と共に行動しながら、情に厚くて芯の通ったタスクくんのバディは、物語を通して強く好感の持てる存在でした。 @ネタバレ開始 ネイシスの、力があっても数が少ないせいで迫害される、というのは妙な納得感がありますよね。ウロコちゃんがテレビに出た時に給料をもらっていないことが明かされて、しかもそれが当然のこととして報道されているのが恐ろしく感じました。プレゼントのジャーキーで喜んでいる姿も悲しい……。 放火犯の発言には本当に腹が立ちました。言っていることが全部ブーメランですし、力のある存在を追い込んで逆襲を恐れるというのが意味不明すぎる。捕まえた時に迷わず「ぶん殴る」を選びそうになって、ものすごく感情移入していたことに気付きました。 ネイガ氏も規制の強硬派で、あまり反抗していたらタスクくんの立場が脅かされるのでは、と怯えていたのですが、黒幕として正体が明かされた時には、その手腕に感服してしまいました。規制派を装った解放軍は、まさに第1部ラスボスの風格ですね。ラストのシーンはスチルも相俟って、とても恰好良かったです。 最初、バニティの正体がウロコちゃんだと言われた時はまさかと思いましたが、そこから実際の話が明かされて、むしろ助けてくれたのかと安心すると同時に、下手な笑顔がトラウマになっているのに笑ってしまいました。 ラストで2人、結婚できてよかったですね! 正直、こういう結末があるとは思ってもみませんでした。作中の世界でも、きっと大ニュースでしょう。 (タスクくんの名前は助くと牙のミーニングでしょうか。鱗と牙で盾と矛みたいでいいなと思いました) @ネタバレ終了 とても楽しく読めました。ありがとうございました!

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  • 幻想寓話儀典
    幻想寓話儀典
    面白かったです! タイトル画の悪そうな女の子が気になってのプレイでしたが、読み始めてからグッと惹きつけられたまま読み終えられました。物語がどこに向かうのか分からないまま迫ってくる、ぞくぞくとした恐怖感があります。 @ネタバレ開始 寓話自体も面白く読めたのですが、その後からどんどん明かされていく展開が見事でした。こういう裏から次々に広がっていく話、好きなんですよね。 紹介文のこちらに語り掛けてくる感じからして「主人公=あなた」かと思ったら、きちんと設定されていましたね。そしてそれが紹介された寓話に見合った人物で、あまり好ましくない野郎なのですが、女の子の設定も合わさって回収されていくので、とても気持ちよく読めました。 @ネタバレ終了 綺麗に纏まった満足感の高いお話でした。ありがとうございました!

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  • Another OS
    Another OS
    読んで少しぞくりとする、4つの短編の物語でした。 どの話も悲劇的な結末を迎えるのですが、とにかく短いので読みやすかったです。 @ネタバレ開始 1話目を読んだ時点でタネに気付いてしまったので、ラストでの驚きはありませんでしたが、外部から無条件に書き換えられるのは怖いですね。1話目のおばあさんが一番ホラーでした。3話目の叔母さんも黒い。 この技術が実際に可能になる頃には、体の複製技術も進歩して、ひたすら自分のクローンに乗り換えるみたいな世界になっていそうですね。 @ネタバレ終了 いろいろと考えてしまうお話でした。ありがとうございました!

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  • 機械仕掛けのマーセネリア
    機械仕掛けのマーセネリア
    とても切ないお話でした。何より雰囲気が抜群にいい! 廃墟と壊れかけの機械人形、セピアな色合い、ピアノ曲。もの悲しさがこれでもかと詰まっていました。 油を差して動き出した機械人形のマーセネリアちゃん、可愛いです。記憶をなくしている彼女に代わって、何があったのかを探っていきます。何も知らずに迷い込んだ主人公とプレイヤーが同じ立場にあるので、高い没入感で読み進められました。 開幕で「そのまま帰ってもいいですよ」と促されはするのですが、自然と気になっておりましたので、全ての要素を探索してエンディングを迎えることになりました。 @ネタバレ開始 愛情のすれ違いの物語はやはり切ないですね。もはや取り戻すことができないので、なおさらに哀愁を感じさせます。 置き去りにしたり、壊したり、やれと言われてもかなり抵抗がありました。まるで生きているように会話しますからね。また、何もせずに壊そうとすると防衛システムが起動するので、やはり彼女には仲良くなるという概念があるのだと感じました。感情表現が薄いのが彼女の人間らしい個性、というのも好きです。 最後、2人で旅立ったわけですが、行く先で新しい発見や幸せがあるといいなと思いました。 @ネタバレ終了 とてもしんみりとする素敵な作品でした。ありがとうございました!

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  • トイレの中の名探偵
    トイレの中の名探偵
    安楽椅子探偵……いや、便座探偵! 面白かったです! キャッチーなタイトルにコメディ調の展開でしたが、事件や推理の内容はしっかりとしていて読み応えがありました。 @ネタバレ開始 本当に軽い気持ちで読んでいたので、被害者の死因が明かされた時は、刑事さん同様「まさか!」という気持ちでした。確かにそれなら全てが繋がるし、動機の伏線まできちんと張られている……お見事です。主人公と助手さんの関係も綺麗に繋がっていて、読み終えた後の満足感がすごく高かったです。 @ネタバレ終了 ありがとうございました!

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  • 天使はいない
    天使はいない
    独特な画像が気になってプレイしました。 起動するとタイトル画面から動く演出があって、また音楽も既に不穏でインパクトがありました。読んでいる最中にも同様の演出が入るので、プレイ時間の短さも相俟って、そうして惹きつけられたまま読了いたしました。 @ネタバレ開始 怖いですね! 怖いですけど、喫茶店での雪さんのイラスト、すごく色っぽかったです。 @ネタバレ終了

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  • 意味怖系ホラーゲーム
    意味怖系ホラーゲーム
    スマホ風UIのオシャレなゲームでした。 プレイした感触は脱出ゲームで、意味怖系ホラーゲームと聞いて想像したものとは少し違っていたのですが、読み終える頃にはゾッとする辺り、さもありなんという感じでした。面白い切り口! @ネタバレ開始 シカモくん、やけに実体験みたく語るな~、と思っていたら、そう来ましたか。 おまけもよく分からずクリックしていたところに出てきたのでビックリしました! @ネタバレ終了 楽しかったです。ありがとうございました!

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  • 泣きべそ*花散る空
    泣きべそ*花散る空
    本当に胸に響きました。とても良いお話です。 引き籠もり気味の少女コトリが音声SNSでやり取りする中で、人間関係にぶち当たっていく物語でした。自分と違う人間とやり取りすることの難しさ、伝えたい言葉が違う意味で届くことのやりにくさ、そうした問題と衝突する中で、自分に何が足りなかったのかを見つけるというストーリーラインが、とても魅力的でした。 音声でやりとりするSNSという設定も面白いです。直接会うことは避けてしまう、いきなり音声通話も抵抗がある、でも文字だけだと距離がなかなか縮まらない……というところに「音声を載せてやり取りする」というのは、物語的にすごくバランスのいい位置にある気がします。フルボイスのお蔭で実際に体験しているようにも感じられましたし。 登場人物の設定や描写も見事で、皆それぞれに長所も短所もあり、こういう性格の人ならこういう欠点もあるよね、というのがしっかりと描かれていて、実在するように感じられました。また、そうした描写がきちんと物語上の意味を持って無理なく消化されていくのが、本当に目を瞠ります。 そして中盤、実際に会うことになってから、物語が佳境に入っていきます。それまでの流れで「これはもしや……」と思っていたことが現実になり、じゃあこれはどう決着するんだとハラハラしながら見守っておりました。そしてそれは万事がOKな結末ではないのですが、だからこそ現実味があり、かといってシビアなわけでもなく、きちんと前を向いた明るい終わり方でした。自分としては少々の侘しさを感じてしまうのですが、物語としてこれ以上に上手い着地は、少なくとも自分には思い当たりません。 @ネタバレ開始 コトリちゃんの境遇はあまりはっきりとは書かれていないのですが、出てきた情報を繋ぎ合わせると「なぜこんな性格になったのか」がきちんと読み取れました。父親が去っていき、母親はヒステリックになり、自分の大切なものが守られずに育ったから、自分を大切にできなくなっているんだな、とか。でも成長という物語の主題が霞まないようにばっさりと描写が削られているのは英断だと思います。 SNS内に恋愛の様相が渦巻き始めた時点で、遅かれ早かれクラッシュしますよね。起点はRYOでしたが、本気の告白を受け止めてすらもらえなかったことで頭が真っ白だったでしょうし。気持ちを読み違えたり対処が悪すぎたコトリちゃんも、嫉妬して冷静でいられなかったあーやも、RYOとあーやの両方を応援してしまったカラスも、みんな少しずつ間違えていて、悪い人なんかいないのに結果として砕けてしまったのは、やはり悲しく思います。 その後の居酒屋の反省会が本当に良かったです。皆がきちんと自分の非を自覚して、皆に気持ちを吐露していたのが、とても印象的でした。コトリちゃんに許しを求めず、ただ気持ちを伝えるという選択が取れたのは立派ですね。 結末も「全員が仲直りしてまた皆で仲良く」とあってほしいとは思いつつ、それをしたら全てが嘘っぽくなりますもんね。一度は応えられないとしたカラスにどういう変化があったのかは知りたかったところですが、この展開から明るい結末が迎えられたことが嬉しかったです。 @ネタバレ終了 2時間でここまで強い感動を抱くことになるとは思いませんでした。 読ませて頂いて、ありがとうございました。本当に素敵な作品でした。

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