白玉ユキトのレビューコレクション
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鳥籠の嘘プレイさせていただきました。 本編の仕掛けは途中で気付きましたが、サイドストーリーで裏側が明かされて、何とも悲しくなりました。そして最後の演出で思わず声を上げてしまいました。びっくりです! @ネタバレ開始 ちなみに、途中で「おや?」と思った理由が「トイレどうしてるんだろう」でした。サイドストーリーのほうではきちんと言及されていたので、「仕込みだったんだなぁ」と感心しておりました。 明かされるまで被害者が青年だと思っていたので、やっぱり存分に騙されていたのかもしれません。 @ネタバレ終了
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Sea glass(シーグラス)青い色味がとても印象的でした。冒頭のムービーがオシャレで強い興味を引きますね。 @ネタバレ開始 1週目は「どういうことだろう?」と読み終え、2週目で「なるほど、そういう作品か」と。 あまり語りすぎず、さりとて匂わせだけでは終わらず。この辺りの塩梅が絶妙でした。どちらかに振れすぎると途端に駄作になるタイプの作品だと思うので。 @ネタバレ終了 独特で強いセンスを楽しませていただきました。ありがとうございます。
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青い翅の蜘蛛短い時間の中に切なさがぎゅっと詰まっていました。 @ネタバレ開始 命を殺して、姿を偽って、それで友達ができた……という辺りでもう辛い。 今更秘密を明かすこともできず、飢えても友達を食べなかった蜘蛛の姿が胸を打ちました。 @ネタバレ終了
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フードにジャムにされるゲームぱっちりおめめのフードちゃんが可愛かったです! 褒めれば褒めただけ丁寧にジャムにされるのがたまらないですね。 HAPPY ENDのイラストにいた他の子たちの話も読んでみたくなりました。
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篠目村見た目の地味さやプレイ時間の短さに対して満足度が高かったです。 田舎にありがちなおじさんやおばさん、友人の家が大きなことや村の名前の由来などの描写から、現実感がとてもよく伝わってきます。 @ネタバレ開始 友人の渡辺くんから村の伝承を聞かされた辺りである程度の結末を予想していたのですが、そこから上手く切り返して切ない場所に着地します。短編のホラーものでこんな切ない読後感が得られるとは思っていませんでした。中山くんを誘った時の渡辺くんの気持ちを想像してみたくなりますね。 @ネタバレ終了 面白かったです。ありがとうございました。
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風待ち人 夢追い人(iPhone・iPad対応版)「夢というテーマに対して、終始現実的な点」がとても魅力的な作品でした。 夢をテーマにした話は大抵、主人公が夢を叶える過程を描くものですが、この作品では夢を持たない人間を主人公にして、夢に対するスタンスの違う人達を並べて物語にしたところに、作りの上手さを感じます。普通に書いたら物語になりませんもの。 現実感を持って書かれたエピソードも相俟って、非常に地に足の着いた見事な展開でした。 @ネタバレ開始 夢が叶わないのは普通のことで、夢を持っていないのも普通のことで、夢を追いかけて笑われたり、夢を追ったことで空白ができたり。 「なんで夢なんて持っちゃったのかな……?」「もう5年か……」という岬の台詞が、年上ということもあって、しみじみと感じられます。神山がその時には何も言わず、後で「彼女のようにならなくてよかったと安心している」と思う場面は、何と言うか、胸が痛いです。 また、金田が祖父との思い出を語るシーンと、残された神山が金田を見て奮起し、仕事に意地を見せるシーンが、とても印象的でした。 実は今回は2度目のプレイだったのですが、物語が非常にテンポよく進むことと、岬がかなり早い段階で退場したのに驚きました。短いプレイ時間の中でこれだけの内容を描いているのが、本当にすごい。夢に対する主人公3人の姿が、読み手の心理に上手く引っかかるのでしょうね。3人とも報われてよかったです。 @ネタバレ終了 誰も不幸にならず、明るい余韻が残るのも素晴らしいと思います。素敵な作品をありがとうございました。
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願い星は少年の形をしている自傷した時だけ死んだ友人に会える、という設定にピンときてプレイさせていただきました。 とても素晴らしかったです。 自傷してでも会いたい風子と、会うためにそんなことをされたくないイオリ。この問題に綺麗な落としどころをつけて進んでいくのが上手いと思いました。 @ネタバレ開始 イオリの存在が、風子の幽霊が見えるという設定と繋がり、そこからイオリへの依存が見えてくる。更に「逆にイオリはなぜ風子に関わるのか」という疑問もきちんと解消されて、そこに幽霊が見える設定がもう一度絡んでくる。これが本当に見事でした。 風子の人を避けたがる気持ちには個人的に思うところがあり、深く胸に染みました。だからこそ最後、タイトルを冠したエンディングでの前向きな姿に強く感動しました。 @ネタバレ終了 この作品に出会えたことを、とてもありがたく思います。
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点鬼簿行路開幕からの主人公の行動が受け入れがたく、一歩離れて眺める感じでプレイしましたが、それで正解だったのだと思います。作品の雰囲気作りの演出が抜群に上手く、浸りすぎると呑み込まれそうです。 全体に「なんだかよくわからない」という印象がずっとあるのですが、少しずつ繋がっていき、謎が解けた瞬間に訪れる、ガツンと殴られるような心地良い衝撃に痺れました。 読後にとても切ない余韻が残るのにも感じ入ります。ありがとうございました。
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嘘つきジョアンナと春の雪とても綺麗で過不足のない、素敵な作品でした。 素直で読みやすい文章に、無駄がなく丁寧なエピソード。短編ながら、あの話がここで活きてくるのか、これが比喩になっているのか、と多くの気付きがありました。要所で挟まれる挿絵のようなイラストも非常に印象的です。 @ネタバレ開始 序盤からどんよりとした画面が続くからこそ、終盤でのイラストの鮮やかさが際立っていました。友達と仲良くなって、喧嘩して、という子供らしい展開のリアリティも見事です。ブランコが漕げるようになって喜ぶシーンがすごく好きです。クリア後のタイトル画面もいいですね。お兄ちゃんの優しさが胸に残ります。 @ネタバレ終了 大変楽しませていただきました。ありがとうございます。
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第12動画欠番【完全版】すごい作品でした。このプレイ感覚は初めての体験です。 「未来予測の声」に従うか、逆らうか。不安を煽る曲やサイケな色彩を見ながら選んでいるうちに、自分がどこにいるのか、何をしているのか、だんだん分からなくなってきます。呑み込まれていくようなプレイ感覚は圧巻です。 「現実とフィクションが曖昧になる」とありますが、まさにその通りだと思いました。実在の人物を使い、実際の問題を取り込んでいるのが非常に上手い作りです。 @ネタバレ開始 「未来予測の声」によって時間の概念が曖昧になり、現実の問題をテーマにしてメタの壁を超えてくる。そうした仕掛けの中でも「動画を見ているような客観的な三人称視点でありながら、安嵜の立場で選択していき、その崩壊に巻き込まれる」という立ち位置の揺らぎが一番効いたように思います。得体の知れない人間の行動を選択する不気味さ。 @ネタバレ終了 難易度は高かったですが、攻略の糸口を見つけてからは早かったです(正規と思われるルートのみ到達)。 この衝撃は忘れないと思います。ありがとうございました。