田村知樹のレビューコレクション
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隣の家の幼馴染に素直になれないのでラインする。登場キャラがとにかくかわいい。 中々素直になれないショウくんも、しっかりしてそうでしてないトウヤちゃんも、すごく可愛らしかったです。ショウくんはぱっと見ヤンキー感あるのにかなりのヘタレというところは個人的なツボ。 態度がデカいので、途中までショウくんが年上だと誤解していて、トウヤの「年上に気になる人がいる」発言で「やったじゃん」と思ってしまいました。やってなかった。全然やってない。乙女ゲーだと負けパターン入ってる。 あとED1へに至るルートはちょっと面白かったですね。ED2に何度も行ったので、とりあえずバッドエンドでも見ようかと冷たくしまくったらたどり着きました。「素直になれない」という部分にフォーカスを当てていく流れは、全体のストーリーからみてとても自然でしたので、納得感ありました。
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あいからの鎖最後の選択肢は一切、予期してなかったです。 自殺願望を抱えるメンヘラ少女と、殺人衝動を抱える通り魔の少年の話。主人公の性格が性格なので、語り口は当然に暗いです。が、そこに入ってくる通り魔という要素が、ここからどう進んでいくんだという謎となって物語を引っ張り、張り詰めた気分でぐいぐい読み進めることができました。 この二者の設定、意外にもわりと見かけるのですが、本作品はその「関係性が変化する」部分に重きを置いていて、こういう切り口はありそうでなかったなと感心しました。 特に中盤の家族との話。歪な関係性ばかりを築いてきた主人公に、大きな環境の変化が起きて、これまでの関係性が大きく意味を変えるところ。そこから最後の究極の選択につながってきたときは、さすがに回答をためらいました。 最終的に物語は「依存」という部分に収束し、多少の種明かしがあります。わりと爽やかな気分で終われるのはいいところでした。 個人的にはバッドっぽいほうも少々掘り下げていただけると嬉しかったですね。瑛くんの事情は予想していましたが、ミステリー的な種明かしではなく、究極の選択という方面で突き進んだらどんな結末に行き着いたのかなと。
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そうだよねそれだからそんなつもりいやーな独白されるチャットゲーム。 わりとよく見るゲームシステムですが、見ちゃいけないプライバシーを盗み見している感覚があって、当然のように不穏な話をされるパターンが結構好きです(「炎上なう」とか)。 本作品もなかなかにいやーな話をされるのですが、悪意やどんでん返しという風ではなく、本当に純粋に、誰にも見られることのなかったであろう独白という印象でした。終わってからタイトルを見返して、まさにそれこそが本作品のポイントだったのだなと。 自分本位な人の自己完結。そら嫌な気分になりますわね。
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あなたのお家に行ってもいいですか?この流れでこんな展開するのはほんとびっくり。 ゲームのタイトルを見たときは「婚活をテーマにしたおふざけ系と見せかけて、意外とシリアスな背景があるパターンかな?」くらいに思ってたんですが、もうあれよあれよという間にそんな程度のレベルではないストーリーの転がり方をしていきました。 ザ・ヒロインって感じに見える杉浦ちゃんですが、意外と活躍ぶりはそうでもなく、狂言回し的な立ち位置だったように思います。ただキャラが薄いというのではなく、実はハイスペック主人公、訳ありのやつら、良いとこどりの田中という中にいるせいな気はします。みんなキャラ強い。 展開のスピード感が尋常ではなかったので、そこそこの文章量にもかかわらず、一気に読み終わりました。内容も悪くなく、終わり方が爽やかなのも嬉しいところでした。
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道玄坂女子中学2年A組オカルトカルテット怪奇ファイル01ノベルというより、よくできた短編アニメ。 まさかのオート進行とは思っていなかったので、当然のようにオープニングから会話が進んでいったときはびっくりしました。しかし、あらためて考えたらいつもクリック連打してるだけだし、会話のテンポもいいのでストレスもなく、気軽な感じで読み進めることができました。日常が一転して怪奇現象が始まるところなどは、ストップが効かないので「お、おおぉ」といつもよりのめり込んでいたと思います。 そしてぬるぬる動くキャラクターたち。見ていて全く飽きることがないのはこのおかげかと。キャラの性格も一目でわかるし、冒頭の露骨な伏線もちゃんと読み取れましたし、完璧に使いこなしている印象があります。非常に幅広い使い道のある技術を、ちゃんと考えて使っている印象を受けました。 シナリオ、キャラ、技術のすべてがなければ成り立たない、ハイレベルな作品だと思います。続編も楽しみにお待ちしております。
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その微笑みが欲しかったお嬢様すてきですわ まさにタイトル通りのお話でしたね。セカイ系という言葉が流行した時代がありましたが、その当時を思い出しました。もっとも、このヒロインほど完成された人格を持っている作品は珍しく、その部分こそがまさに本作品の魅力になっているように思います。 また重要なシーンで、画面に大文字が出てくる演出があるのですが、これもシナリオにぴったり当てはまっていて良かったです。図書室かつ読書家、そして強烈な思考を持ったキャラクターということが端的にわかるので。 あと全然本筋とは関係ないんですが、エンディング後に「きつねのてぶくろ図書館」と出たときにちょっと笑いました。きつねさんやべーもん読んどるなと。
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夜半の夏、地下鉄にてパラレルワールドを意外な方向から見せた作品。 仲夏というなかなか見ない名前のヒロインと、電車の中で量子論の話をしていたら、ふいに思わぬ展開になります。立体的な仲夏ちゃんが日本人形寄りの見た目で、ストーリー的にも不穏さを湛えつつ話しかけてくるので、ホラーを警戒しながら読み進めました。が、もちろん怖い系ではないのでご安心を。ちゃんとSFしてます。 量子の観測をベースとした並行世界論は、幸いエロゲで予習していたので、二重スリット実験などの話にも躓くことなく読み進められました。 主人公の立ち位置がこうなる、というパターンの作品も実は覚えがあったのですが、まさかこのストーリーの流れでやるとは思っておらず、結構びっくりしました。もちろん悪いわけではなく、エピローグのしんみりした雰囲気は結構好きです。 まさにタイトルにある通り、夜半の夏を思い起こさせるお話でした。
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myちゅ~部! episode mary完成度がちょっと普通ではなく高い。 昨今では逆に珍しい、暴力系ツンデレヒロインとやや無気力系主人公を中心とした、ザ・王道ギャルゲーという風な内容。 「動画投稿を主軸に添えたギャルゲーって意外とないなー」と興味があったのですが、本筋はあくまでラブコメにフォーカスが当たります。有名になりたい理由とか、二人の過去とかは明らかにならずに終わるので、これからそちらの方面も描かれるかも? ド定番なシナリオの中、とりわけ目を引いたのはその完成度。キャラデザが可愛く、CGも美麗で、SDキャラがバシっと動く。ボイス・楽曲のレベルも明らかに趣味の域を超えている。細かな描写にも手を抜かず、たとえばアイキャッチのボイスや、タコが顔に張り付くなどという一回限りの絵すら用意してある。いやkれ商業でも省略されるとこでは……。 これだけの熱意をもって作品作りをすること自体、なかなかできない話だと思います。現段階でも十二分にすごいんですけど、やっぱり完結を楽しみにお待ちしております。
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ティラノフェス2018オープニング
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LikeRoute:浅草UIしゅごい……。 「実写背景をいっぱい使用してるゲーム」くらいの期待値で始めてみたら、「良質な観光TV番組をまるごと作った」くらいのレベルでした。一つ一つの写真の質が高く、効果音・システムもそのイメージをより強く持てるように使われています。よく考えたらものすごくクラシックなADVゲームのシステムなんですけど、観光という方向性だと色々な可能性を感じますね。 キャラの人柄や会話、設定も非常に現実的で、本当に二人が話をしながら道を歩いている映像を観ている気分になれました。できる男でからかい癖のある東木と、素直で人好きのする中牟田のコンビ、ぴったりはまってる感じで好きです。 終わったころにはお店に行きたくなるのは困りものですね。かぼちゃのチーズケーキ、近いうちに食べに行こうと思います。