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九州壇氏のレビューコレクション

  • Operation‡Nova
    Operation‡Nova
    僕は2時間ほどで読むことができました。 @ネタバレ開始 本作品の中で特に印象に残ったのは、やはり中盤でのどんでん返しでした。序盤は「このお話はどこに向かうんだろう?」と感じていたのですが、なるほどそういうお話だったのかと驚きました。改めて読んでみると、「このシーンはそういう意味だったのか!」と納得する点も多々ありました。 また、どんでん返しの後、そこからアイナと協力して「オペレーション‡リザレクト」を発動させ、ハッピーエンドへとつながる展開も見事でした。中盤から終盤にかけてかなり絶望的な状況になっていましたので、そこからこんなにきれいなエンドになるとは思いませんでした。 アイナは最初、「かなりぶっとんだ子だな……」という印象でしたが、読み進めるうちにどんどんかわいく感じてくるタイプのヒロインでした。最後の週、レイが記憶を保っていることを知って喜ぶ様子は特にかわいかったです。 また、様々な制限がある中で2人のヒロインをここまで魅力的に描いた点も素晴らしいと思いました。彼女らはそれぞれ秘密を抱えていて、それに配慮しながら彼女らの魅力を描かなければならないわけですが、それはかなり難易度の高いことのように思います。本作品はその点が高いレベルで達成されていたように感じました。 なお、本作品の個性としては、ふんだんなパロディネタもあげられると思います。僕の知る限りでも、シュタゲ、遊戯王、かぐや様、FF4からの台詞がありました。個人的には、隙あらばパロディをぶっこんでくるアイナがおかしくて、繰り返し笑ってしまいました。なお、パロディネタはどれもアイナの台詞でしたが、「AIである彼女はそうした文化が好きで意識的に優先して学習したのかな」とか「実はレイがかなりゲームやアニメ好きであり、彼女はそれを知っているからレイにパロディネタを連発していたのかな」なんてことを想像しました。 ほか、立ち絵や音楽、ボイスといった各要素も高クオリティで、物語への没入感を高めていたように思います。個人的にはアイナとノアのボイスが素晴らしかったです。本作品は展開によって雰囲気が大きく変わりますが、ボイスもそうした雰囲気にぴったり合っていたと思います。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!

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  • 銀雪の呪福
    銀雪の呪福
    僕は30分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 まずは、思わずプレイしたくなるタイトルとサムネイルが良かったです。「呪福」とは何を意味するのか、いったいどんなお話が読めるのだろうとワクワクしながらプレイを始めることができました。 また、ぼくが本作品で特に良いと思ったのは、作品を構成する各要素の雰囲気に統一がとれているところです。夜彦の人柄から素朴なイラストまで、どれも本作品のストーリーにぴったりなものだったと思います。そのおかげで、物語の世界に没頭できました。 ストーリーについて。短編ながら伏線も張られており、読み応えのある展開であったと思います。終盤で夜彦に突き付けられた問題はとても切実なものでした。自分はおとね様にしっかり感情移入してしまっていたので、選択肢を選ぶところでは自分も苦しくなりました(笑) @ネタバレ終了 ありがとうございました。

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  • 風の音、君の声
    風の音、君の声
    僕は1時間10分ほどで読むことができました。 @ネタバレ開始 主人公である健介やその友人たちの成長を描いた物語です。死別という大きな試練を乗り越える過程が丁寧に描かれており、健介には深く感情移入することができました。季節が移りかわることへの切なさと新しい日々が始まることの希望を感じることができました。 また、本作品はストーリーの構成がとても良かったと思います。風音は何者なのか。どうして彼女は歌えるのか。そうした謎が明らかになっていく過程が面白くて、一気に読んでしまいました。 また、登場人物たちの関係性の描写も良かったです。表ではふざけてみせているけれど、心の底では互いに心配しているという、彼らの友情の在り方が好きです。嫌なキャラクターは1人もいませんが、個人的には直也が本当に良い奴だなあと思いました。 また、ピアノ曲を中心としたBGMのチョイスもとても良かったです。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました!

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  • 常夜の国のアリス
    常夜の国のアリス
    僕はすべてのエンドを40分ほどで見ることができました。 @ネタバレ開始 主人公である綾とともに、異世界を旅する物語でした。夜が続く世界はあやしくも魅惑的で、もっとこの世界のことを知りたいと思わせる魅力がありました。 また、その世界を冒険するうちに「これまでの綾にはどんなことが起こっていたのか?」と想像できるつくりになっていますが、これもまた大変良かったです。どちらの世界でも兄だけは味方であったことは、綾の兄への強い信頼を意味しているのでしょうね……。 トゥルーエンドでは綾の成長も感じられ、これからの未来への希望も感じました。プレイ時間に比して大きな満足感を感じる作品でした。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 異世界ザコ姫
    異世界ザコ姫
    僕は40分ほどで読了できました。 @ネタバレ開始 タイトルだけ見ると「流行にのっかった作品なのかな」という印象でしたが、ふたを開けてみると向風鈴gさんらしさが光る作品だったと感じます。終盤に投げかけられた問いには、(良い意味で)苦しめられました(笑) 最後の分岐後のエンドは、2つとも味わい深いものだと感じました。個人的には、全てを許した後のエンドが好きです。嬉しいような、しかし切なさもある終わり方で、読後は強い余韻が残りました。 日常パートも魅力的でした。セリアのかわいらしさが存分に堪能できましたし、共に生活することで惹かれていく2人には強く感情移入することができました。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。

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  • おいなりっ!
    おいなりっ!
    僕は2時間ほどで読了しました。シナリオだけでなく、イラスト、システム、ボイスといった全ての要素がハイクオリティであり、てぇてぇ世界を存分に堪能させて頂きました。 @ネタバレ開始 本作品のシナリオの中で特に素晴らしいと感じたのが、キャラクター同士の温かいやりとりです。友音、タマさんをはじめとした主要キャラクターは皆優しい人物ばかりで、そのやりとりはまさに「てぇてぇ」ものでした。友音、タマさんの2人の会話は読んでいて特にほっとするもので、この幸せなやりとりをもっともっと見ていたいと思わされました。また、鳥塚さんの存在が特に良いアクセントになっていたと思います。彼女とタマさんのやりとりは面白く、彼女が登場する日常シーンでは何度も笑わせて頂きました。鳥塚さんの思わぬ一面がみられるVtuberのくだりは特に良かったです。 もろもろの超常現象を日常生活にどう入れ込むか、どう描写するかについては、書く難しさもあったのではないかなと感じました。例えば、タマさんがバイトを頑張るシーンや、タマさんが飲みに行くシーン。あそこでリアリティを追求しようとして小難しいことをこまごまと描写しようとすると、本作品の良さである面白さやテンポが損なわれていたと思います。本作品は、超常現象を基本的にはさらっと、しかし、ストーリー上重要なところはきちんとおさえて描写するというスタイルでしたが、それが良かったと感じました。 メタっぽい話になりますが、自分は神道についての知識が乏しいので、本作品の神様っぽい描写はどれも勉強になりました。タマさんの食レポなんかも見事で、「神様ならこういうこと本当に言いそうだな……」と微笑ましく読ませて頂きました。 立ち絵、イベントスチルは今回も素晴らしい出来栄えでした。表情がくるくると変わることで、キャラクター達の魅力はいっそう高められていたと感じます。また、まとまった時間がとりづらいプレイヤーに配慮したシステムも大変良かったです。 @ネタバレ終了 総じて、この世界にもっともっと浸っていたいと思わせてくれる素敵な物語でした。ありがとうございました。

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  • ハムスターの楽園
    ハムスターの楽園
    大切な存在と生きてきた「ニンゲン」の願いに寄り添ってくれる物語だったと思います。 @ネタバレ開始 僕も犬や金魚、虫と共に暮らしていたことがあり、彼らのことを思い出さずにはいられませんでした。 本物語で特に印象的だったのは、ハルちゃんは望んでこの世界に生まれてきたという点です。「僕が一緒に過ごしたあの子らも、ハルちゃんみたいに思ってくれていたなら良いな」と思わずにはいられませんでした。 切ないばかりではなく、前向きなメッセージが込められているのも良かったです。残された我々も、前を向いて歩いていかねばならない。そんなことも感じさせてくれるラストでした。 @ネタバレ終了 心に残る素敵な物語をありがとうございました。

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  • 人生はつづくよ、どこまでも
    人生はつづくよ、どこまでも
    僕は1時間ほどで読了することが出来ました。美しいイラストやボイス、エンディング曲まで備えているというハイクオリティなゲームですが、僕がもっとも印象に残ったのはそのシナリオでした。 @ネタバレ開始 「人生は続くよ、どこまでも」 タイトルでもあるその言葉は印象的な形で何度か出てくるため、ゲーム終了後も深く心に残りました。 メインヒロインである心春は、可愛らしいイラストの力も相まって大変魅力的なキャラクターだったと感じます。彼女と距離が縮まっていく過程は楽しく読むことが出来ました。また、中盤の展開は一転して淡々と描かれていましたが、それがかえって悲しく感じました。 本作品の個性は、彼女とお別れした後も物語がしばらく続くことだと思います。これこそ作者様が本当に書きたかったことかもしれないなとも感じました。 悲しいことも描かれるストーリーですが、ラストまで読むと温かいものが胸に残る作品でした。 素敵な作品をありがとうございました。

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  • 暗がりビオトープ
    暗がりビオトープ
    僕は45分ほどで読了できました。90年代のゲームセンターの雰囲気の描写が見事で、その空間を寄る辺とする登場人物達の存在をリアルなものとして感じられる作品でした。また、主人公であるユーキには深く共感でき、提示された結末をみて温かい気持ちになれました。 @ネタバレ開始 本作品の素晴らしい点として、ゲームセンターの雰囲気の描写の見事さがあげられると思います。本作品は短編~中編作品であり、長々とした情景描写はなかったように思います。が、暗がりの中で長い時間を過ごしている人々の様子がリアルに描かれており、店内に漂っているであろう匂いすらも感じられるようでした。作者様目線で書かれたTipsの記載を読むのも楽しかったです。 また、僕がもっとも素晴らしいと思ったのは、主人公であるユーキの心理描写です。彼女の置かれている境遇は単純なものではなかったと思うのですが、彼女の成長がここまでリアリティをもって描写されている点に感銘を受けましたし、作者様の力量の高さを強く感じました。個人的には、「かわいそうと思われたくない」という心理や、「自分は父と同じことをしている」とふと気が付く瞬間の描写などに魂を感じました。生きることの難しさ、寂しさも感じられる展開でしたが、だからこそ、ラストの展開には温かい気持ちになることができました。 なお、本作品はユーキ目線で描かれており、彼女の目にうつらないものは想像することしかできません。しかし、その想像の余地が楽しい作品でもありました。サクラバさんとミホさんはどんな関係性だったのかな、とか。常連客の中でも濃密な人間関係があったんだろうなあ、とか……。演出の部分も含めて、描きすぎないこと、シンプルさに「粋」を感じる作品であったと思います。 好きなキャラクターはユーキですが、他にはヒジキザワさんもとても好きな人物です。彼のような温かい人物がゲームセンターという場を守ってくれたからこそ、支えられた人は沢山いるんじゃないかな、なんてことも思いました。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました。

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  • Rootkids
    Rootkids
    僕は1時間ほどで読了できました。ワクワクとさせてくれるSF設定と、パズルのピースがはまっていくような終盤の展開が素晴らしい作品でした。 @ネタバレ開始 スケールが大きく、読後の満足感も大きい物語でした。しっかりとしたSF設定があり、その気になれば中編~長編として作れそうなストーリーだとも思いましたが、これを1時間の中できれいにまとめあげている点が素晴らしかったです。 終盤に事実が明かされ、序盤~中盤の展開の意味が分かっていくところは、まるでパズルをやっている時のような心地よさがありました。特に、「研究所」側の人間たちとのストーリーと茜たちとのストーリーが繋がった時が1番驚きました。そうして判明したのは絶望的な状況だったわけですが、そこからの逆転はとても熱かったです。その後の展開を想像させてくれるエピローグも良く、清々しい読了感を味わえました。 また、これは個人的な好みかもしれませんが、キャラクター達のほど良い距離感のあるやり取りが大変良かったと感じました。特に、夕輝とあさひの関係からは「互いに気心が知れている。でも甘すぎない」というリアルな距離感を感じられて、とても心地よかったです。ほかの登場人物とのやり取りからも、「胸中には様々な思いがあるけれど、それを必要以上に出さない」という姿勢が感じられました。この作者さんの描く、相手のことを考えられる優しさと人間臭さを持ったキャラクター達が、僕はめちゃくちゃ好きです。 @ネタバレ終了 総じて、プレイ時間以上に満足感を与えてくれる作品でした。素晴らしい作品をありがとうございました。

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