胡桃りらのレビューコレクション
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みえない二等星軽音部、天体観測とワクワクするキーワードに胸を躍らせながらプレイしました。 高校生同士の物語は数あれど、そこにおじいさんが絡んでくる作品はなかなかないので面白かったです。 星座も詳しくないのですが丁寧な解説があって勉強になりました。みんなで夜空を見ているような、楽しい時間でした。 @ネタバレ開始 私もバンド経験者なので北斗くんの気持ちがすんごくよくわかりました。一人で練習するのとバンドで合わせるのは全然違うし、間違えたときにあたふたしちゃうのもすごくわかります…!でも、奏者の息を感じながら一緒に演奏するのがバンドの良さで、フォローしたりされたり、アイコンタクトで通じちゃうのが楽しいんですよね。みんなが違う音を出して一つの曲を作り上げていく。頼ることを知った北斗くんはきっと素敵なギタリストになるんだろうなぁ。ほかの星がいてくれることで、ただの二等星が引き立つように、それぞれが誰かの一等星でもあるのかな。 物語全体を通して、高村さんの存在がとってもよくて。若者同士だとに詰まってしまう部分も上手にアドバイスをくれて。過去のわだかまりを昇華させて最後に作曲をしたシーンは胸にくるものがありました。彼こそがこの物語の主人公で、くいのこりなく人生をまっとうできたのではないでしょうか。若い二人はこれからですもんね! @ネタバレ終了 隣にいる人と、夜空に美しい絵を描くこと。 素敵なテーマで胸が温かくなるお話でした。ありがとうございました。
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腕商の男-ウデアキナイノオトコ-まるで近代文学を読んだ後のような、重厚なお話でした。 こんなお話を思いつける作者さん、才能の塊だわ…! 女性の腕が売っているという説明にピンとこなかったのですが描写力と素敵な絵が世界への没入感を高めてくれました。 人の腕を普段意識することないですけど、確かに顔以上にその人らしさや性格がでるものなのかなと読みながら新しい発見でした。 江戸川乱歩のような世界観…と思ったらあとがきで参考にされたとあったので作り手の教養の高さから生まれた作品なんだなと納得しました。川端康成も読んでみたくなりました。 @ネタバレ開始 店主さんの流し目が壮絶に色気たっぷりで悶えました。余裕綽々でお客さん対応するのに奥さんにかるくあしらわれているのがギャップがあってほほえましかったです。 @ネタバレ終了 無茶苦茶楽しかったです!素敵な世界観をありがとうございました。
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Gabriel噂のガブリエルさんに会いに行ってきました。 荘厳なスタート画面から、優しそうな神父様に悩みを打ち明けて仲良くなっていく話なのかなと勝手に思ってプレイしました。 @ネタバレ開始 三日目から急に雲行きが怪しくなって、背景も黒く歪んで背筋が凍りました。普段穏やかな分、開眼した怖さも倍増でした…! ガブリエルさんの純真さは素敵なところなのにそこに付け込まれて、しまうなんて…。ほかのエンドが悲劇なだけにハッピーエンドはほっと胸をなでおろしました。主人公と二人でどこか旅にでも出かけてほしいなと思います。 ガブリエルさんのまっすぐな心で見る世界はきっと美しいものをたくさん見つけられる楽しい旅になりそう。 @ネタバレ終了 ホラー要素もありつつ、ガブリエルさんの魅力も味わえる素敵な作品でした! ありがとうございました
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My fire30分とは思えない濃密な時間でした。演出もBGMも素晴らしくて、このはかないお話にぴったりでした。 添乗員ちゃんとホノオくんのやり取りがほほえましくてどんなお話なんだろうとわくわく読み進めました。 @ネタバレ開始 駄々をこねているシーンからまさかの水の事故で亡くなるという落下具合に度肝を抜かれました…。 おまけで語られるおぼれた理由も告白も、私の心の柔らかいところを的確に刺してくるー。 お母さんの憔悴具合が気の毒で、苦しくて。でも最後は健康的な姿に戻ってくれたのが救いでした。 @ネタバレ終了 素敵な物語をありがとうございました
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タバコ屋乙女と小話でもけだるげなアカヨさんと語る夜、楽しかったです。 @ネタバレ開始 雨の話から主人公の正体がわかって、短いお話ながらも関係性が展開していくのがお見事でした。こんなタバコ屋さん、タバコ吸わないけど通いたくなってしまいます。 最後の青年、アカヨさんの前まで行って月が奇麗ですねって言うんだー!!と応援したくなりました。聡い彼女なら粋な返しをしてくれそうです。 @ネタバレ終了 レトロな時間をありがとうございました
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八月の栞絶対八月にプレイしようと、ずっと楽しみにとっていました。 無茶苦茶よかったです~クオリティが素晴らしい!! 絵の具を使ったかのような背景、命を吹き込んだかのようなお声、優しいタッチの立ち絵にスチル。 本当に最高でした~!!夏の茹だるほど暑いんだけど、どこか悲しい気持ちにさせる雰囲気がそのまま作品になったみたいでぐいぐい引き込まれました。 選択肢も一度だけなので、純粋にお話を楽しめてよかったです。 @ネタバレ開始 最初になんとなく選んだ選択で全く違う物語になるのが興味深かったです。出会う彼らは同時には絶対存在できないと思うと悲しい…。こんな風に私の選択も、ほかの人の人生に影響していくのだと思うととっても不思議な気分になりました。 光風くんも風馬くんも、出会ってから仲良くなっていく過程がとっても丁寧で読んでいて楽しかったです。夏休みの新しい出会いってだけでワクワクします!二人の照れた顔も可愛かった~ 光風くんルートの最後の小説のシーンが特に好きで、その境地に至るまでの葛藤も匂わせつつ、武者小路実篤の「友情」のような爽やかな決別を感じさせてくれて読み終わった後の余韻が心地よかったです。 結局選択した瞬間にすべてが決まるのではなくて、そこから自分がどう行動するのか、どう正解にしていくのか。背中を押してくれる物語でした。 @ネタバレ終了 ありがとうございました~!夏にぴったりでした~
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常夜の国のアリス物憂げながら、綾ちゃんを見つめる櫂さんの瞳が美しくてサムネにつられてやってきました。 本編も立ち絵からスチルから美麗でうっとり…。 大森さんの柔らかい文章も物語にぴったりで、どっぷり常世の国にひたれました。 選択肢も難しくなかったので、物語に集中できてよかったです。 @ネタバレ開始 差し出されるお水を何の疑いもなくゴクゴクと飲んでしまいました。常夜の国と言われているのに~!でもカローンさんのあの慈しむような微笑みをみたら疑いもなく受け取ってしまいます…! 現世に戻ることのないエンドも見方によってはハッピーエンドなのかなと思いながらプレイしていたのですが、こちらの世界のお兄ちゃんの台詞を見て、いやだめだ。と思い直し本当のハッピーエンド回収しました! いつかみんな辿り着く世界。急いでいかなくてもいいですよね。 お話の構成も素晴らしくて怪異の正体を自分で突き止めながら、恐怖を克服していくという流れもよかったです!ウツセミの描写が特にぞくぞくしました。世間ってこんなふうに無責任に傷つけてくるよなぁと。表現力が素晴らしいです。 あんな怖いものを克服した綾ちゃんはもう、現世でも大丈夫ですね。 怖い世界ではあったのですが、誰にも名前を教えるなと言いながら彼女を繋ぎ留めるために画策していたカローンさんの怪異としての本質と、お兄ちゃんとしての思いやりとの葛藤もみれて胸がじーんとしました。ただの悪い奴じゃないからこそ、最後の選択肢は後ろ髪ひかれました。 他の方のコメントでカローンやタラチネという名前や、六文銭の暗喩があったと知って読み終えた後も勉強になりました…! @ネタバレ終了 上質なお話ありがとうございました! ネコちゃんの喉が鳴る音、初めて聞きました…!私もモフモフしたい!
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スーパーマーキング先に買い物を済ませた先人たちの悲鳴を知っていたのに入店してしまいました。 立ち上げた瞬間に、あ、これ入ったら引き返せないやつ。と思ってたのに誘惑に負けて入店してしまいました。 ぽぽぽーぽぽぽー @ネタバレ開始 食品を購入する前からチラシの前で佇むオジサマに嫌な予感はしたんです。 食品を買う順番も実際のスーパーとそっくりだったので、リアリティに背筋が凍りました…! ぽぽぽーぽぽぽー 野菜が全滅で絶望を感じながらやっと一息ついた揚げ物コーナー。 ケースの中に入っている揚げ物なら触られないでしょうと思った私は甘かったーー! さすがスーパーマーキング!!私の予想をはるかに上回るお客さん!! 抵抗なく購入できるのはお弁当と、少しくぼんだパンくらいでしょうか。 グラフィック綺麗なのに、買う意欲がそがれるーー!! ぽぽぽーぽぽぽー ENDすべて回収するころには、私の永生観念は崩壊してしまいました。 天狗ENDでちょっと元気になりました。 @ネタバレ終了 生きていれば絶対スーパーにはお世話になるのに、行くたびにぽぽぽの歌とお客さんたちを思い出してしまいそうです。すごい作品に出合ってしまいました。 笑いすぎてほっぺが痛いです。 面白い作品ありがとうございました。 バッチが可愛くて好きです ぽーぽーぽぽぽー
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white*out行方不明の女の子を探すストーリーなのかな?と思っていたら、全然違いました! 主人公の葛藤だけではなくて、その周りにいる人物もしっかり悩んで苦しんで進もうとしていて読み終えた後は、みんな頑張れよと肩を叩きたくなるようなそんなお話でした。 ともかくこのノベルゲーム。最初からから凄くて、バンド調の曲はカッコいいし、CVありだし、アニメのようなOPに驚きました。 スチルも綺麗で、女の子かわいいー! @ネタバレ開始 主人公意外とましろちゃん、誰とも喋ってないな…?とおもっていたらイマジナリーフレンドだったのですね。 お母さんに対する執着から彼女の容姿が決まったのがなんだか痛々しくて。でも、最後のお母さんからの手紙があってセッタくんの中で区切りをつけることができてよかったです。 友だちの晃くんもいいやつで、彼の中でセッタくんとの接し方に悩んで、ましろちゃんに嫉妬して…と友人としての葛藤が丁寧に書かれていたのも味わい深かったです。主人公はずっと気づかなかっただけで支えられていたんですよね。 大人になるといいことばかりじゃないですけど、今まで見えなかったものにも気づけるようになるので、新しく歩みだしたセッタくんが周りの人の思いやりを拾い上げられる素敵な大人になってくれるといいな。 苦労してきた彼ならきっと大丈夫ですよねきっと! @ネタバレ終了 冬のお話ですけど、眠れない夜のココアみたいな温かいお話でした。
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赤レンガの駅で会いましょう独特の文章のリズムと、優しいピアノのBGM。 この物語自体がまるで一枚の絵のようで芸術的でした! 人の優しさを受け取れなくなった主人公と、バイト先のおにぎり屋さんでの温かい二人。 駅で出会う高校生の女の子。 @ネタバレ開始 暗い場所に身を置いている彼を気にかけるのは、かつて登場人物たちがそこにいたことがあるからなのかなと感じさせる描写が素晴らしいです。温かい触れ合いが心地いい物語でした。 主人公とってもネガティブなんですけど、過去の出来事をみるとそれは仕方がないな…と感じました。みんな幸せになってほしいー! @ネタバレ終了 素敵な音楽と物語をありがとうございました