かおりのレビューコレクション
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親友に憧れの先輩を取られたので転生します。親友に裏切られ恋に破れた主人公の、人生やり直し転生ストーリーでした。 @ネタバレ開始 転生すればするほど、環境「だけ」は良くなるけれど 運命はどんどん苛酷になっていくという皮肉めいた展開に 頭を抱えてしまいました。 何度やり直しても良くなるどころか悪くなる一方じゃないか…! あまりの救いのなさに絶望しかけました…が、 最後の最後にようやく負の連鎖から脱出できたようで心底ほっとしました。 助かって本っっっっ当に良かったです!(あまりに絶望的だったので嬉しさ倍増) ただそのEDでさえ、 希望の光を感じさせる部分が一瞬しか見えないという、 チラ見せ演出だったのがまたなんともニクい。 最後まで一筋縄ではいかないお話でした。 @ネタバレ終了 人生の厳しさを説き、転生などという都合のよいものへの甘えを律されているような、 手厳しくも深い物語でとても考えさせられました。 このお話を読んだら、軽々しく「転生したい」だなんて言えなくなりますね…。 タイトルからは想像もしなかった重みのある、素敵な作品をありがとうございました!
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異世界の助っ人!!ー異世界の旅路外伝ー【おまけエピソード追加!】行方の分からなくなってしまった友人を、 「時渡り」という助っ人の力を借りて探すお話でした。 EDのシナリオ自体は3つ(+バッド)ですが、キャラクターの性別を選べ、 それによってEDやスチルに差分が発生する仕組みで、計12のED(+バッド)がありました。 (↑EDシナリオ数や分岐に関して誤りがありましたので訂正させていただきました) この差分集めが意外と難しくメモは必須かと。 私もメモを取ってやっと全てのEDとスチルを回収できましたが、 EDコンプすることで変わるタイトル画面の絵を見られた時はとても嬉しかったです。達成感…! ストーリーは、前半は少しコミカルに、 後半は戦闘シーンなどもあり白熱の展開になっていきました。 そして人を信じることの大切さが強く描かれていたように思います。 @ネタバレ開始 中でも大きな分岐となる「誰を信じるか」という選択肢と、 選択によって辿り着くEDの内容がとても印象的でした。 特に自分を信じるEDが、 二人とも消えてしまうというバッド寄りな内容だったのには驚きました…。 自分を信じるEDの場合「今この瞬間だけ」を願ったからなのかもしれませんが、 二人が自分を貫き通し他者(助っ人)の介入を拒んだことも要因なのかな、という気もします。 何だかやるせない結末でした。 また友人を信じるEDも、自分を信じるEDよりは明るい未来を予期させるものでしたが、 こちらも主人公の状況は良くなっていないのでほろ苦さが残りますね…。 ということで、主人公が友人も自分自身も大切にできる「あなたを信じるED」がベストだったのかなと思います。 それからゲームを牽引した時渡りの二人ですが、 ゲーム内で説明はあったものの謎めいた部分のほうが多く、 よくわからないまま終わってしまったのが残念でした。 できればこのゲームをプレイ中にも彼らのことがもう少しわかるよう、 例えばおまけなどに彼らのストーリーを盛り込む等してもらえたら嬉しかったかな…。 (わがまま言ってすみません…!!) ただ二人とも魅力的なキャラでしたし、 過去のソラくんがどんなだったのかやアルさんとの経緯なども気になるので、 彼らの物語「異世界の旅路」もいつかプレイしてみたいなと思いました。 @ネタバレ終了 全体を通して、人として大切なことを改めて気付かせてくれるお話だった気がします。 また、傷ついた心に寄り添ってくれるような優しさを感じる、温かみのある作品でした。 素敵な物語をありがとうございました!
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カノジョクイズ愛しの彼女の家で、カノジョの出す「カノジョクイズ」に答えるお話です。 タグにホラーとあったので、普通のクイズでないだろうことは予測していましたが、 予想を超える結末で驚きました。 @ネタバレ開始 勝手にカノジョは彼女の双子?なんて思いながらプレイしていたんですが、 そうか…人間ですらなかったんですね…。ED1の脱皮?シーン怖すぎました。 ED3もその後の主人公が良くない結末を迎えそうだし、 ED2は唯一生存できそうだけどカノジョが潜んでいるから不穏だし、 どうあがいても彼女は還ってきそうにないしで、エンディングすべてに救いがない…! カノジョがうらやむほど仲睦まじい「主人公と彼女」が迎えた結末が哀しかったです。 ああ、あの時彼女の意見をちゃんと聞いておけば…!>主人公 @ネタバレ終了 周回してED攻略することで徐々に真相が明らかになる展開や、 背筋の凍るようなホラー演出など、総じてゲーム性が高く面白かったです。 掌編ながらインパクトの強いお話でした。 面白い作品をありがとうございました!
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貴方が肺を満たす理由絵を描くことに苦悩する主人公が、 葛藤という名の心海(深海)からの脱出を目指すお話でした。 可愛いタッチで描かれるキャラクターと、 パステル調で描かれた美しいグラフィックとで、 とても幻想的な世界が創り上げられています。 その素晴らしい絵の中を回遊できることが嬉しく夢中で探索しました。 探索した際に出現するアイテムのひとつひとつも丁寧に描かれ、 しかもオシャレでハイセンス!目が楽しかったです。 また、登場するキャラクターみんな個性的で魅力があり、 彼らとの交流もとても楽しい時間でした。 @ネタバレ開始 特に潜水士は皆、とにかく主人公を想ってくれているのが伝わってきて、 健気でいい子たちだなと思いました。 何度も繰り返される潜水に彼らも苦しんでいたはずだけれど、 主人公のために怒ったり、優しく背中を押してくれたりする彼らが愛おしかったです。 潜水士以外でも、おばけのキャラクターたちが大好きでした! 探索・謎解きを終えての結末ですが… 筆を折ってしまうエンドは、思いがけずBADでなくてよかったです。 ただ絵を描く以外のことで「心に空いた穴」を埋められるのか?と考えると少し心配かも…。 今はまだ無理やり絵から離れようとしている感がありましたが、 今後絵に費やしていた時間を他のことで満たせられればいいな。 そう願ってしまう少し不安定さの残る結末でした。 折らないエンドでは、 ライラくんの「過去全ての葛藤だけは貴方の味方」というセリフにぐっときました。 このセリフは全人類に響く、励ましの言葉ではないかと思います。感動しました! そして乗り越えるのではなく、 葛藤を胸に抱いて絵を描いていく…と決めた主人公の笑顔が最高! 見られてとても嬉しかったです。 @ネタバレ終了 創作をする方々にはもちろん、 創作をしていなくても刺さる言葉がたくさん詰まった 心に残るお話でした。 素敵な作品をありがとうございました!
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gniledomeR emaGお誕生日をお祝いするお母さんとみぃくんとの一日をほのぼのと、そして欝々と描いた作品です。 作品概要やタグの不穏さから薄々わかってはいたものの、 予想を上回る鬱な展開にメンタルが削られました…。 思っていた以上にキツイお話です。 @ネタバレ開始 どんどんエラー発生し壊れていくゲーム画面と共に、 明らかになっていく真実が哀しすぎました。 永遠に続く苦しみを昇華させるにはあの方法しかなかったのかもしれませんね。 私も命は命でしか償えないという考えの持ち主のため、 少し気持ちがわかるような気がしてしまいました。 それでみぃくんがうかばれるわけではないだろうに、 お母さんはもうそうすることでしか自分を保てなかったのかも? と想像すると、とてもやるせなかったです。 …と普通に本編をプレイした後は思っていたのですが、 隠し要素の存在を知り追記しています。 うーん、こちらを読むとまた色々と見方が違ってきますね。 このお話のすべてが彼女の願望だったということでしょうか。難しいです。 でも「みぃくん」なのになぜ発見されたのが「彼女」? と思っていた部分が判明してスッキリしました。 私は作者さまのツイッターで隠し要素について知りましたが、 知らない方が多そう(気付くことはほぼ無理と思いますし)なので、 作品概要に書かれてはいかがかな?と思いました。 作者さま、よろしくご検討ください。 @ネタバレ終了 読み終えた後、タイトルの意味を考えたり結末のその後を推察したりと、 色々考え込んでしまうお話でした。 また内容に加え様々なホラー演出の相乗効果もあり、心底怖かったです! 芯から冷えていくような、真のホラーを見た気がしました。 とても凄い作品でした。ありがとうございました!
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オモイデオンラインVRの「オモイデオンライン」という仮想の小学校で、叶わなかった学生時代の思い出を再構築していくお話でした。 仮想空間で再会した幾田くんと綾瀬さんの短くも甘酸っぱい思い出作りが、 主人公達でなく第三者の視点から淡々と綴られていきます。 第三者目線で描かれることで「主人公達を俯瞰で見ているような感覚」を覚え、 より一層仮想空間らしさが出ているように感じました。 また主人公達のキャラや背景が3Dなところも、 VRの仮想空間をモチーフにした作風とマッチしていると思います。 @ネタバレ開始 そんな仮想空間が舞台ですが、お話はとても現実味がありました。 サービス終了に伴ってだんだんと思い出の場所が壊れていく様は、 特にリアリティがあり切なかったです。 オンライン上にすら思い出を残しておけないという展開に、 現実の厳しさを突き付けられた気がしました。 そして二人の結末!まさかの展開で驚きました。 てっきり再会してそこから恋が始まるのかと思っていたのですが、 現実はそう甘くなかったですね…。いい意味で裏切られました。 女性のほうが現実と非現実の切り替えがスパッとできるものなのかも? そういえばオモイデオンラインをどうにか残そうと画策したのも幾田くんのほうでしたし、 仮想空間と現実の境目が曖昧になってしまっていたのかもしれませんね。 現実に引き戻された幾田くんを少し気の毒に思いましたが、 最後には美しく輝く思い出たちを胸に新たな一歩を踏み出せたようで良かったです。 ほろ苦さの中にも、前向きな光を感じる爽やかな終幕でした。 @ネタバレ終了 VRや仮想空間という先進的な世界が舞台ですが、 お話としてはむしろ郷愁にあふれ、 自分の思い出をも掘り起こしてくれるような物語だと思います。 色々と過去を振り返り浸ってしまいました…。 現実味がありながらもどこか温かな、ステキな作品でした。 ありがとうございました!
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桜の森の魔界の下 第壱集大正時代を舞台に、妖怪と闘う少年少女たちの葛藤を描いた和風ファンタジーノベルです。 開始早々からの演出に引き込まれ、そのまま最後まで画面に釘付けでした。 レトロ調に描かれた巧みなイラストが、コマ送りのように展開していく演出や、 (その一コマ一コマが、枠線の雰囲気からなんとなく花札っぽく見えて素敵でした) 途中に挟まれる美しいアニメーションシーンなど本当に素晴らしかったです! アニメーション技術自体もすごいですが、 その見せ方(ポージングや、描く視点など)や、 展開のさせ方(光源を背景にしたり)などにも高いセンスを感じました。 とにかくハイクオリティです!! @ネタバレ開始 また、アニメーション以外でも、 咲夜ちゃんが初めて妖を倒した場面や 女郎蜘蛛と夕焼けをバックに闘う場面のイラストもとても印象的でした。 あと、灯魔くんが目をキラキラさせるシーンも可愛かったです。 @ネタバレ終了 ストーリーはまだ謎めいた部分が多いものの、コミカルとシリアスのバランスが丁度良く、 演出の上手さも相まってクリックする手が止まりませんでした。 短いながらも満足感のあるお話だったと思います。 更にキャラクターがとても魅力的で、メインの咲夜ちゃん・灯魔くんはもちろんのこと、 脇を支える少佐も天音ちゃんも愛着のわく素敵キャラでした。彼らの活躍も楽しみです。 @ネタバレ開始 ただひとつだけ、気になったことがありまして追記させていただきます。 灯魔くん編なのですが、 一部背景の白と文字の白がかぶって読みづらい部分がありました。 せっかくのお話が読めなくて残念に思いましたので、 もし今後改良などしていただけたら嬉しく思います。 我儘を言って申し訳ありません。よろしくご検討ください。 @ネタバレ終了 今回は連続物の第壱集とのことですが、序盤からこの面白さ! 今後どのように展開していくか期待しかありません…!続きを楽しみにお待ちしています。 全てにおいてハイセンス・ハイクオリティの、 一瞬たりとも目が離せない素晴らしい作品でした。 夢中になれる時間をありがとうございました!
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つちのこ滞納している家賃支払いのため、賞金のかかった「つちのこ」を探しに行くお話です。 まず「つちのこ」が題材な時点で、これは何やら一捻りありそう?という予感がひしひし。 その予想通り「つちのこ」の存在のように怪しげで、シュールなタッチの面白いお話でした。 @ネタバレ開始 一周目でトゥルーエンドに辿り着くことができたのですが、 真実を知ってそういうことか!と上手いオチに膝を打ちました。 一見関係なさそうなアイテムが重要だったり、 細かな小ネタがあったり、遊び心満載な所も面白かったです。 ただ二週目以降バッドエンド回収し始めたのですが、これが難しい…! 特にエンド4と5は難しかったですね。 トゥルーエンド攻略よりもだいぶ難航しました。 私の場合クリアまで一時間くらいかかったかと思います…。 つちのこを見つけるよりもハードなED攻略でした・笑。 @ネタバレ終了 散りばめられた伏線回収と結び方が上手く、 どのエンドにも面白味があり楽しかったです。 また個性あふれる独特の世界観が、他にはない魅力を放っていると感じました。 作者さまのアイデア力に脱帽です。 独創性に富んだとても楽しい作品でした。ありがとうございました!
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じごくのインターネッツ謎の占い師「奈落ちゃん」とインターネットの呪いを解いていくお話です。 日常に潜む怪奇的な事象を扱ったオカルト作品ですが、 怖さよりもコメディ色が強めで、楽しく遊ぶことができました。 オカルトの中でも話題が身近でタイムリーなので、あるあるが多く共感度も高かったです。 @ネタバレ開始 一章ではホラーな配達員たちにビビり、二章ではミニゲームに苦戦し、 三章では自分のキャラメイクのセンスのなさにがっくりしながら、 迎えた四章…からのエンディングは胸アツでした。 それぞれ面白いENDでしたが、 Bは美しいけれど奈落ちゃんはいないし記憶もないしで切なく、 Cは奈落ちゃんとの再会を推察できる結末でしたが人間やめてしまったのがやはり辛く…。 なので、自分で蒔いてしまった悪の種を回収・対処することでほんの少し成長した主人公が、 奈落ちゃんと再会できるEND-Aが特に好きでした。奈落ちゃんを発見した時はめちゃくちゃ嬉しかったです…! あまり変わり映えしない日常に見えるけれど、 インターネットって最低だな!と言えるくらい「悪くない日常」を過ごせているのかな?と思える爽快な結末でした。 @ネタバレ終了 奈落ちゃんと主人公のやり取りの面白さや、 上手く時世を取り込んだストーリーの面白味だけでなく、 美麗イラストやデザイン性の高いUI・演出で、目でも楽しむことができました。 全体的にクオリティが高く、これがフリーなのか…と感嘆するばかりです。 また、奈落ちゃんは毒のある可愛さでキャラクターとしてとても魅力的でした。大好きキャラです! 今回限りでは寂しく…いつかどこかで再び出会えたら嬉しいな、と思いました。 とても面白く、素敵な作品でした。ありがとうございました!
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げきやくをつくろう!目覚めたら実験室だった―。記憶がないまま、天才少女の助手として劇薬作りを手助けするお話です。 周回必須、記憶力も試されるゲームなので、本当にメモ必須でした。 最初はメモを取らずにプレイしていたので水ばかり作っていましたが・笑 メモをとれば比較的簡単にED攻略できる、ストレスなく遊べる難易度だったのが良かったです。 @ネタバレ開始 劇薬作りでは、色や名称から陰と陽を予測しても予想外の結果になる所が面白かったです。 明るい色なのに陰だったり、暗い色なのに陽だったり、 かと思えば同じ色でも液体や軟膏など物によって結果が違ったり、 一筋縄ではいかないのがリアルだなと思いました。 そして無事劇薬を作れてからの、αEDとタイトル画面! オマケを読んで彼女がなぜ劇薬を作ろうとしていたのかを知ると、 白い彼岸花の中でほほ笑む彼女がめちゃくちゃ切なかったです。 そうか…劇薬使ってしまったんだな。 でも笑顔だから無事に再会できたと推察できるし、 ある意味幸せなEDの形だとは思うのですが…。 個人的には、劇薬を作れるほど少女が天才だったが故… の切ない結末に、物悲しさを感じました。心に刺さる結末でした。 @ネタバレ終了 劇薬を作る楽しい実験的なパートから、 ストーリー性のあるオマケとの緩急の差が素晴らしかったです。 特にオマケは短いながらも「物語」としての面白味があり、 結末も考察しがいのある印象的なものでした。 心に残る素敵な作品をありがとうございました!