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SHIAのレビューコレクション

  • 花子物語ーThe Imperial Sagaー
    花子物語ーThe Imperial Sagaー
    タイトルのメキシカン&ピノキオなSDキャラたちからコメディ系を想像していたら、本格的かつ壮大なSFノベルでした。 「未来・過去・現在と浴びるように飲むテキーラ……世界を終わらせる者たちと感情をボディ全体の色の変化で表現する牛の花子(主人公)の壮大な物語」とより正確に書くと字面だけでただ事ではないものを感じさせる、非常に凝ったゲームでもありました。 @ネタバレ開始 最早説明不要なトロッコ問題など、散りばめられた哲学的要素も面白く読ませていただきました。 愛着が沸いて世界を滅ぼそうか葛藤する「06」が個人的に好きでした。 君は出来損ないなんかじゃない…! すべての物語を読むことですべての話が繋がるタイプなので、テキーラをあおりつつ、Normalを挟みつつ、頑張ってTrueを探しました。 TRUEまでの道のりは長かったですが、アレコレと試行錯誤しているうちに無事に13人が全員揃って仲良くしている道へ辿り着けてよかったです。 テキーラは浴びるようにたくさん飲みました(笑) @ネタバレ終了 花子さんのキレのある容赦ないツッコミが面白い、とても重厚な物語でした。 前提とされる設定が「世界を終わらせるものたち」という重たいものなのに、花子さんのキレッキレのセリフのおかげで暗すぎず最後までスルスルと読める、とてもハイセンスで素敵な作品をありがとうございました! 追伸:2021.11.03現在、ダウンロード版はうまくダウンロードできないようです。容量9.2MBの欠損ファイルとなっています。老婆心失礼いたしました。

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  • トキゴエ列車からの脱出
    トキゴエ列車からの脱出
    「間もなく電車が参ります―――黄色い線の内側までお下がりください―――」人によっては毎日耳にするであろう、しかしおそらくは意識していない言葉がここまで耳に残る日が来るとは思いませんでした。 トキゴエ電車に乗車したくなる自分の足が止まらない。「面白い。掴みが最高。先が気になって仕方がない。」と頭の中で発車の笛が鳴り響く。 はい、あっという間にトキゴエ列車にまた1名乗りこみました。 最終着駅の景色が見たいのでノンストップの特急列車プレイでした。 探索パートもあちらこちらに工夫が凝らされていて、攻略記事など外部情報を必ずしも必要としない、けれど少し考えて行動しないとね……という絶妙な難易度が私にとってはとても心地よかったです。 ホラー成分がありますよということでしたが、このホラーは雰囲気ホラー成分が強めで幽霊ドドンバーン!!タイプなどとは異なるので、ホラーはちょっとね……と引け腰な方にも是非是非プレイしていただきたいです。それくらい物語が面白すぎて、気がついたらもうあっという間に5両目に辿り着いていると思います。 @ネタバレ開始 ほんのちょっとだけ絵を嗜む者としてとても考えさせられるシナリオでした。 ハイパワーで襲ってくる承認欲求オーラと天狗モードの弊害の嵐に、人によってはここが一番のホラーになるかもしれません。 私にとってはここが本作最強のホラー部分でした(笑) 5両目の邂逅が終わった後にエンド名が表示されたときは「何か間違えてしまったかー」と肩を落としましたが、肩を落としている場合ではありませんでした! 再乗車!! 大介さんからの「ここから大逆転だ!」の予告に胸が躍りました。 再乗車してからの総力戦の展開に胸が熱く……こういう展開、大好き好き好きです!! け、賢治パパさん~~!!!! 最後にパパパワー全開でなんて頼もしい人なの!……と一際輝いていました。 1両目から悪霊をひたすらタックル等で薙ぎ倒しながら駆けつけてきてくれたと思うと、最後のこの出番は株が急上昇でした。 聡志くんと大介さんたちとの「トラブルが起こったら客に処理させるのか」的なちょっとしたやり取りまで格好良くて「こ、この人、頼もしすぎるんですけれど!?」と賢治さんのヒーローぶりに感服いたしました。 賢治さんばかり誉めていますが(汗)、時子さんや聡志くんや大介さんの最後の奮戦も手に汗握る展開で、大介さんが「退けぇええ!!」的な意味合いで叫びながら突撃してくるところなど、一秒を争う臨場感がたっぷりで本当に面白かったです。 無事にトキゴエ列車での旅を終えた後の最後の2人の敬礼が好きすぎて、今度から電車に乗るときに車掌さんに感謝の敬礼をしたくなってしまいました。 聡志くんと大介さんの関係性がとても好きです。 @ネタバレ終了 探索パートもADVパートもダブルで面白い作品でした! 物語の面白さが本当に素晴らしくて、気がつけばあっという間の本当に楽しいゲームでした! 今日も聡志くんと大介さんがゆっくりと心地良い速度で景色を眺めながら、トキゴエ列車を運行していることを願って。 とても素敵なゲームをありがとうございました!!

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  • 兄さんとラブホに入った俺!
    兄さんとラブホに入った俺!
    世界一やさしくて顔が良くてイケてて怪力ゴリラなみの腕力があって宇宙一兄思いな弟陽太くんの魅力を、隅々まで堪能させていただきました。 陽太くんと兄(僕)の前につく現在の状況的な説明の種類が膨大かつ面白すぎて、次はどんな陽太くんと兄(僕)が出てくるのか楽しみでした。 ストーリーのハイテンション&パワー&スピードは柘榴雨さんの作品一で、いい意味で完全に振り切れている流れがとても面白かったです。 突き抜けたシナリオが本当に凄まじいパワーと魅力を持っていました。 @ネタバレ開始 「人語が話せない僕」が出てきた時は「あ、兄ぃ……!!(´;ω;`)」と画面の前で同じ顔になっていました。 もうただただ困惑するしかないお兄さんは借りてきた猫そのもの……!! そして、いよいよホテルの部屋の電気が消され……ああ、ついに始まる禁断のLove Story…と思っていたら、一転、突如黒き穴(画面)に挿し込まれた(言い方)過去のストーリーが涙を誘うもので、兄弟の苦労と葛藤が分かって、そこから急に陽太くんを見る目が変わりました。 具体的に言うと「イロイロナ イミデ イッチャッテル弟」くらいのポジから「なんて兄想いな弟くんなの!!」くらいの180度の転身を遂げました……陽太くん、君みたいな弟は他にはいない!(やっぱり色々な意味で) @ネタバレ終了 この二人がこれから幸せになれますようにと願いつつ、陽太くんの明るさがあればどんな困難があってももう大丈夫だろうと信じさせてくれるところが本当にすごい、宇宙一兄想いな弟くんでした! 陽太くんの俳句のセンスは脱帽の一言です! とても面白いゲームをありがとうございました!!

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  • 非実在都市伝説の作法 Imaginary Fakelore
    非実在都市伝説の作法 Imaginary Fakelore
    ほんのりダウナー系ノベルというと少し語弊があるかもしれませんが、現実の仕事に対するもやもやとして鬱々とした部分なども余すことなく書かれつつも、自分の中の譲れないものを芯に置いて生きていく二人の姿に共感できる人も多いのではと思います。 無駄話がめちゃくちゃ多いと書かれていますが、この無駄話に本作の魅力がたっぷり詰まっていて、煮ても焼いても何も生まれなさげな会話ですらも現代を生きる私たちに通ずるリアリティが滲み、都市伝説の部分とともにしっかりと楽しめる部分でした。 グラフィックも奇抜な色合いなどはなく全体的に落ち着いていて、ドット風に加工された背景なども本作にとてもマッチしていて良かったです。音楽もどれも耳にスッと入ってくる印象的な楽曲たちばかりでした。 今まで路地裏というものをあまり意識していませんでしたが、本作で路地裏の魅力が少し分かったような気がいたします。 素敵な作品をありがとうございました!

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  • アルティメット桃太郎
    アルティメット桃太郎
    私の知ってる桃太郎と違う(笑)と思ったら、そうでした、アルティメット桃太郎でした!! ストーリーが良い意味で奇抜すぎて、画面の前で色々と声に出してツッコミたくなること間違いなしです。 頭を空っぽにして楽しみたいときに抜群の効果がある恐ろしい童話……童話? @ネタバレ開始 桃の香りだけでおじいさんたちになにかヤバイものがキマッてしまっているとか、いざ桃から出てきたゴルゴ13顔の赤ちゃんにつける名前がーー!!とか、桃太郎の成長に待て待て待て整形したのかとか、雉だけマジ雉とか色々とツッコミを入れながらの読破でした。 「腐った桃」に腐ってない、それは腐ってない!! 腐ったのではなく、いい感じに熟成したのです!!とツッコミながらも始まらない桃太郎を含めて、すべてのエンドを楽しませていただきました。 @ネタバレ終了 色々な意味でアルティメットなゲームでした、ありがとうございました!

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  • 覚えておいてくださいね
    覚えておいてくださいね
    ループものの物語にプレイヤーに実際にメモを取らせるという工夫がとても面白いです。最後の最後に出てくる謎解き要素の部分は実際にメモ帳アプリなどにメモしたものから導き出そうとしましたが、私のメモの取り方が悪かったです。 メモの取り方が悪かったせいで答えなど見つかるはずもなく……攻略サイトに頼らないとクリアは無理でした……。 同じシーンの繰り返しでありながら『覚えておくべき言葉』によって繰り返される世界に徐々に変化が出てくる様子が大変面白く、中盤以降もループして言葉を入力していくのがまったく苦になりませんでした。 @ネタバレ開始 メモを横一列に取ったことが敗因でした……あれでは分かるはずもなく。 出揃ったすべての単語、1行目もなんとなくそれっぽく読めますが、それでは意味が通らない……となり、ハッと気づいたときには慌てて入力に行きました。 最後はハッピーエンドになって良かったです! ヒントに感謝です! @ネタバレ終了 プレイヤー自身が二人のいる世界に干渉するという発想がとても面白いゲームでした。 ありがとうございました!

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  • カノジョクイズ
    カノジョクイズ
    かわいいかわいいカノジョから出題されるクイズに答えると……え、待って、カノジョ……さん……となり、思わず周回プレイを何度もしてしまいました。1周約1分、全部で3分~5分ほどでクリアできるのでオススメです。 すべてのエンドを見ると、〃カノジョ〃を見る目が変わりました。 @ネタバレ開始 名前を「教える」の「え」の字が逆転していたり、教えた後でカノジョさんがどう考えてもキケン存在に反転してしまったりと、とても短いストーリーの中にゾクゾクするポイントがいっぱい詰まっていました…! カノジョさんが倒れて中からカノジョさん(この表現しか思いつかない……!)が出てきた時は「あーー!!!(ホラー苦手なチキンによる恐怖の絶叫)」となりました……すべての設問に正解したときの「いいなぁ」にこめられたとてつもない重みが怖かったです……あなたこそ誰ですかーー!! カノジョ!? それはそうなんですけれどっ……!!! @ネタバレ終了 とてもとてもかわいいカノジョさん……なのですが、すべてのエンドを見た後だとゾクッとします。 素敵なゲームをありがとうございました!!

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  • けもがたり ビューティフルライフ
    けもがたり ビューティフルライフ
    もふもふではなくもちもち喋るかわいいメンターなケモノたちとのまったりほのぼの日常……と思いきや、中盤からシリアス路線に入り、どうなることかと2人の友情の行方をハラハラと見守りました。 それにしてもかわいらしいケモノちゃんたちです! @ネタバレ開始 2人の間に入って喋る賑やかなケモノちゃんたちがとても可愛らしく、シリアス路線に入ってからも相談相手として活躍していたり、ストレス値が最高潮になったときには時を止めてケモノ会議を開いて解決したりと、頑張る姿に癒されました。 すれ違っていた2人が無事に仲直りできてよかったです。 そして、2人を混ぜて村田で呼ぶのには笑いました。 確かに村瀬と内田で村田ですね(笑) @ネタバレ終了 かわいいケモノたちと過ごす素敵な一時を、ありがとうございました!

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  • この愛は誰のもの?
    この愛は誰のもの?
    サウンドノベルの真骨頂ここにあり!!という言葉が相応しい、サウンドノベルの面白さが詰まった作品でした。 大仰な演出などを一切排除し、音とシナリオの力を前面に押し出していくこのシンプルながら圧倒的なパワーを持っているスタイルが、「これこそサウンドノベル!!」と最初から最後まで過不足なくガッツリ楽しめる「読ませる」ゲームでした。 シナリオのテンポが本当に軽快で、言い回しなどもとても面白く、あっという間に読破しました。チョコレートほど甘すぎることのない、ブルーベリーやイチゴのような甘酸っぱさを感じる青春物語でした。 音楽も奇をてらったようなものがなく、あくまでサウンドノベルとして文章に対する夫婦役、相棒、伴侶という立ち位置で煩くなくどんどん盛り立てていくBGMチョイスで作品に没頭できました。 「この愛は誰のもの?」の解決部分のシナリオは読んでいて、とても爽快感がありました。 次から次にトントンと出てくるわ出てくるわ真実―――巧みに編まれたストーリーに、もっと読んでいたいと思うくらいでした。 それにしても主人公はモテないと言いながら(※言ってない/それは別の人が言ったんや!)しっかりモテてるなぁとほのぼのしました。 とても素敵なゲームをありがとうございました!

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  • さよならをセカイに
    さよならをセカイに
    かわいい女の子と明るくポップな青春を過ごす楽しい楽しい物語―――ではなく、初恋の苦さと一人の人間との関係が完全に思い出になった瞬間の寂寥をなぞるような、しんみりした淡い恋の物語でした。 ご都合主義やお約束の展開を一切入れず、ありのまま、等身大のままを緻密に描き、子どもから大人になっていく二人の「さよなら」を描いた物語は、ただただ秀逸の一言に尽きる丁寧な物語でした。 @ネタバレ開始 お揃いのキーホルダーを紛失してしまった際に、どうして素直に「落としてなくした」と言えないのかな?と画面の前の大人な自分は思うのですが、それは自分が大人だからこそ簡単に最適解として言えるのであって、自分がこの年齢でこの状況なら果たしてどう言うだろうかと考え、ストーリーがどこまでも等身大の心に寄り添っていて秀逸でした。 ここから夏樹くんと南さんがすれ違っていく過程も、大人になって関係性が変わっていく過程も非常に細やかに描かれていて、心に残りました。 一度、高校生の文化祭のあたりでもう一度何かが始まりそうな予感を匂わせながらも、そうはならないところに、もう既に二人の関係性は小学校の頃とは何もかも違うと、成長と時の流れを感じるところがリアルで、読んでいて一種の爽やかさも感じました。 そこから先も過ぎ去っていくすべての時間が過去になっていきもう元には戻らないということ、人の心は変わっていくということなど、ビターでありながらもう一口と味わいたくなる切なさがあり、最後まで一気に読みました。 @ネタバレ終了 この作品が持つ独特の空気は他の作品にはないもので、壮大な感動や大逆転といった展開に頼らずに、誰しもが子どもから大人になる過程で経験した心に残るチクッとした小さな痛みや寂しさで感情を揺さぶるようなリアリティが素晴らしい作品でした。 ありがとうございました!

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