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水原梓@ルピナスパレット のレビューコレクション

  • 夢限のヤミ
    夢限のヤミ
    突如届いた一通の手紙、それを破ってしまったら…気付けばそこは真っ暗な世界、ヤミと名乗る少年と二人ぼっちの始まりでした。 @ネタバレ開始 知らない場所に知らない人と、というとホラーなのですが、ヤミ君がその見た目に反して明るく、こちらに気を遣ってくれる優しい子なのでまったく怖いとは思わず、むしろ居心地の良さを感じます。 闇は怖いイメージが先行してしまいますが、優しい暗さは落ち着くんですよね。それが見事にハマっていて、彼と会話をしていると不覚にもずっとここにいたいなーという気持ちになりました。 ヤミ君の表情がまたコロコロ変わるのですが、寂しそうだったり、嬉しそうだったり、悪戯っぽかったり、色合いが短調でも、とても表情豊かで親近感がわきます。 部屋にあるものを色々見せてくれるのですが、時折見せる寂しそうな顔が、とにかく印象的です。 ついに外に出られる、ヤミ君と別れてしまったけれど、彼にもお迎えがやってきました。 本当の名前と両親…彼は一体何者だったのか、謎が深まる終わりでした。 二周目の途中から、太陽という人物が(人ではないけど)現れます。 ずっと黒の世界にいたので、その明るい髪が強く残るとても綺麗な人です。ヤミ君のことを気にかけている様子、また謎が増えました。 今度は出て行かない選択をしましたが、まだまだ分からないことだらけ、しかしタイトルに変化が。 今度は間違えるな、太陽に言われてもう一度ヤミ君の元へと向かいます。 最後に、今度は一緒にここを出て行くことを選べるように。 ヤミ君はーー光り輝くような、綺麗な少年でした。その笑顔が本当に眩しくて堪らなくて、ああ良かったと、約束を破ってくれたことを嬉しく思いました。 悪魔に魂を狙われてしまった少年と、彼を守るためにこの世界に連れてきた太陽、二度目の闇の中でも思いましたが、太陽はヤミ君が本当に大好きなんですね。 けど『やくそく』を破ってしまったことで、契約はおしまい、もう太陽の役目は終わり、大切な彼は本当の光の元へ出て行ってしまった。ずっと見守っていたかった、その言葉が胸にただただ残ります。 プレイヤーはヤミ君にとっての何者なのか…ヤミ君を連れ出したそれは善なのか、それとも。 ヤミ君がプレイヤーに対し、悔しいと言ったことも気にかかるし、考察が捗る作品ですね。 @ネタバレ終了 進行状況で変化するストーリーやイラストがよく、白と黒の対比がとても印象的でした。 バッジ取得後、アルバムに空白があるので気になって選択肢まで行きましたが、その仕掛けといいますか、そこでもとても良いものを見せてもらったなと思いました!

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  • ブラックコーヒー
    ブラックコーヒー
    一度読了後、ショートケーキを読んで戻ってまいりました。 チャプターを読むごとに出てくるアイコンもオシャレですし、コーヒーをいれる音が印象的です。 それぞれの作品で視点が別になりますが、それがとても良かったですね。ショートケーキの『君』の視点から、あの時のことが語られるのがまたよいです。 @ネタバレ開始 誕生日のこと、運命と感じたあとの再会。 二度の偶然は運命、そして運ばれてきたケーキへの思いが重なって必然だなぁと感じました。 二人にとって、あの出来事は忘れられないものだったのだと思い、変わってしまう中に変わらないものがあってよかったです。 それでも、初恋は実らないーーというジンクスに、一歩を踏み出せずに終わる。これもまた、ある意味リアルでしんみりしました。 二人揃って二次会を断り、思い出のあの店へ。 彼の目線の新郎新婦の話を聞き、新郎が新婦にずっと思いを寄せていたと知り、例のジンクスに対する考えが変わっていくのがいいですね。 大人になった二人はコーヒーを注文。 飲み慣れていないコーヒーを前に緊張する私に、ブラックコーヒーはショートケーキと合うのだと教えてくれる彼。 最後の一文が、とても素敵ーーきっとこの恋は甘い身をつけるでしょう。 @ネタバレ終了 二人の微妙な距離感と会話、変わるものと変わらないもの、それらが繊細な文章になって綴られている作品でした。 ショートケーキとのマリアージュを楽しんでほしいと思える素敵な作品です!

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  • ショートケーキ
    ショートケーキ
    分岐が一つの掌編、ブラックコーヒーを読んでそれからこちらを読ませていただきました。 こちらを読むことで、よりブラックコーヒーの深みが出る、互いに引き立て合うショートケーキとブラックコーヒーの関係性のような作品でした。 主人公と君の少し喋るくらいのクラスメイト、という関係性が絶妙に表れていて、いちごみたいに爽やかで甘酸っぱい味わいの文章に、久しぶりに学生に戻った気持ちになれました! @ネタバレ終了 今は、注文している飲み物が紅茶であることに、続編でここから二人が大人になった、ということが出ていて良かったです!  @ネタバレ開始 短いながらも、とてもよい作品でした。

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  • 少女の時空皆既日食
    少女の時空皆既日食
    面白そうな内容と可愛らしいキャラクター、気になってゲームをプレイすると、見やすくおしゃれなタイトル画面が出迎えてくれます。 メニューの画面も、本当に綺麗で本編のワクワク感を高めてくれるのがいいです! 細かいところながら、こだわってる作品は素敵ですね。 また、作者様の他作品でも感じましたが、短い中にもスチルが豊富で没入感が高いです。 @ネタバレ開始 ややシャイな印象の主人公陽介くん、彼が出会ったのは夜空のような女の子メリーちゃん。ボーイミーツガールで居候、イイ! 小さな女の子がちょっと偉そうな口調で喋るのが、たまらなく可愛い! 威嚇のポーズも可愛い! こんな可愛らしい来訪者なら私はいつでもウェルカムですよ…! スマホのやり取り、これはすごい! ぬるぬる動いてる…いろんな作品でスマホのメッセージ表現を見てきましたが、これには感動しました。 陽介君、事情があるようですが、頑なに外に出たがらない。学校にも行っていないようです。 ゆづきちゃん…笑って何かを隠す癖があるのかな。 本当は陽介君が心配なんでしょうね。 メリーに連れられ街に出かけた先で、人懐っこい笑みの少年に出会います。暦君、すごい可愛い!  暦君には多少話せる陽介君、誕生日を祝われてちょっとだけ嬉しそうでホッとしました。 右目が見えていない…その時の表現が、システム画面のものでここもすごくよくできていると思いました。 関係ないと突っぱねる陽介君に、みかただというメリーちゃんの言葉が沁みて、思わずほろりとしました。 メリーちゃんの強引な提案により、ゆづきちゃんと暦君に連絡することに。 ゆづきちゃんをお招きしましたが、ゆづきちゃんのお洋服とっても可愛いデザイン! 月の満ち欠けがモチーフでいいですね。 ぎこちなかった二人の会話が徐々に自然になっていくのが、と思ったらゆづきちゃん、いじめられている!? え、許せん、こんな可愛く健気な女の子をいじめるとは、不届きものめ!! そう思った矢先に暦君がゆづきちゃんに詰め寄っている場面にでくわしてしまいます。 自分が蓋をしてきたものに気付き、悩み始める陽介君、3人の関係が壊れてしまったのが本当に悲しくてたまらないです。 メリーちゃんに、あんまりうまく育てなかったと、そう言って笑う陽介君、切なすぎる。 でも、メリーちゃんと出会えて、前向きな気持ちが持てた陽介君。きっと未来は明るいです。 多分こちらがノーマルエンドかな?と思ったので選択肢を変えてやり直してみました。 ゆづきちゃんをいじめるなんて!! 池に落とされてしまった彼女を助ける陽介君、暦君も3人が一歩を踏み出せたこと、メリーちゃんとの出会いでギクシャクしてしまった関係が変わって本当に良かった。この辺りはボロボロ泣いてしまいました。 縁は、絆は大事にしてほしいですね。たくさんの人の中で、出会えたことは奇跡ですから。 メリーちゃん、ずっと宙から見守っていてね。最後のスチルがとても良かったです!  @ネタバレ終了 とにかく細かなところまで行き届いていて、世界観を画面いっぱいに伝えてくれます。デフォルメのアイキャッチも可愛らしいです。画面を見ているだけでいろんな発見がある作品でした。 優しい気持ちに、温かい思いに包まれる、素敵なシナリオを堪能しました。ありがとうございます!

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  • Re:quiem[Aster]
    Re:quiem[Aster]
    前作を読んでから随分経ってしまいましたが、ようやくこちらも読むことができました。 謎を残したまま終わった前作でしたが、短いながらもしっかりとした世界観と、謎を綺麗に回収し、彼女のこれまでとこれからをしっかり見せてくれるお話で、最後にはじんと胸が温かくなりました。 @ネタバレ開始 リーリちゃんと小百合ちゃんの関係性については、なんとなく理解していましたが、彼女の過去についてと、月の世界がどんな存在だったかを知ることができ、小百合ちゃんが進んでいく時間についていけず、けれどもこのままでもいられないことに対して戸惑いを覚える様子が伝わってきました。 リーリちゃんを取り巻く人たちは、現実世界で小百合ちゃんが大切に感じている人たち、その人たちがまた自分のせいでいなくなってしまうのではないか、そして自分のせいで失ってしまった大切な人を想うと、自分だけが幸せになることをどうしても受け入れられない気持ち、胸が痛くなります。 大切な半身を失ってしまった小百合ちゃん、彼女を受け入れられなかった両親、それが月の世界と女神様に集約された世界観だと感心しました。 トゥルーエンドのロザリオとのやり取りや、彼の言葉、そしてもし小百合ちゃんが自分より先にいなくなってしまっても、自分は前を向いて歩いていくと語る彼を思い出し、そして母親である女神様と向き合い、その胸に抱かれた小百合ちゃん…。 月の世界は彼女にとって大切な居場所、大切な人がいる場所だから、忘れなければずっとみんなはそばにいてくれる。 切なくも、前向きになれるお話でした。 @ネタバレ終了 長さに反して、立ち絵やスチルがとても豊富で、その優しく温かいタッチが作風にマッチしていて、あらゆる意味で完成度が高いと感じました。 ラストまで読み終えると、作品紹介の「忘れたっていい。でも時々でいいから、思い出してね」という言葉の意味と、その温かさが広がる、優しい物語。 前作とあわせて、たくさんの人に読んでほしいです!

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  • 死と月は寄りそって眠る
    死と月は寄りそって眠る
    実はずっと気になっていたのですが、なかなかプレイするタイミングがなく今日に至ります。 これは絶対に涙腺が危ない作品だと分かっていたので、気にせずストーリーを楽しめる時まで待っていた形です。 冒頭だけは以前読んで、そこからこの作品の雰囲気は理解していたのですが、ルナが現れてからの引き込まれては尋常でないですね。 @ネタバレ開始 森を豊かにする代わりに、生贄を欲する謎の大樹に生贄を捧げ続けてきた一族の末裔モルス。 彼は感覚が麻痺してしまった村や一族とは違い、なぜ生きるのか、なぜ死ぬのかを求め続けている。そんな彼に、誰も応えてくれない。 自分自身にすら失望した彼が出会ったのは、今にも死んでしまいそうな奴隷の少女。 普段ですとおじさんと少女の組み合わせ尊い、至高、などと言う場面なのですが、少女がなぜ生きているかと問われ『名前を与えられ、自分が生きていた証がほしいから』という言葉にもうそれどころではなく、ただただ落涙するばかりでした。 可哀想、胸が苦しい、ということではなく、この2人の巡り合わせに感動したのだと思います。 奴隷としてしか扱われたことがない彼女からすれば、本当に切実な願いだと思いますが、モルスはきっと答え以上に自分と同じように考え、話せる対等な相手がほしかったんじゃないかな、と考えました。 彼女に与えたルナという名前、本当に似合っていますね。 もっとルナと対話したいと考えたモルスは、彼女と過ごすようになりますが…奴隷としての生き方しか知らない上に、名前をもらったから幸せなうちに死にたいとまで言うルナ、2人のやりとりが微笑ましいと思いました。 何かあるとすぐ外に出て行こうとするルナに、モルスはもう奴隷ではなく家族なのだと告げる。 流れとしてはありがちでも、書き方が違うとこうも新鮮に、リアルに感じられるのだなと、説得力のようなものがありました。 ルナがどうして一般的な人間としての生活が分からないのに、生死の観念を理解できるのかも、奴隷として過ごすうちに、考えることを覚えたのだなと思うと、なんともいえない気持ちになります。 場面の間に挟み込まれる用語解説に、住民の目にモルスが幼女趣味だとうつっているのに笑ってしまいました。 何かあるとすぐ外に出て行こうとするルナと、料理するのにツルギを出すモルスーーなかなか良い家族です。感想欄にあった『ツルギがあればなんでもできる』はこれか! と感動しました。 そして、文字通りツルギをすべての家事に活用するモルス……さすがです。 ようやくツルギを使わなくてもいいものが与えられ、どんどん吸収していくルナ。でも一枚絵で描いてるの、ツルギ…ですかね、親子だなぁ。モルスがだんだんと父親の態度、父親の言葉を使うのを見て、また胸が熱くなります。 それでもやることは変わらず、ルナを置いて奴隷を買いに街へやってきたモルス。やはりルナが特別なのだと再認識。 けど、ルナのことが伝わってしまっているのが分かり…これまでの雰囲気から一転して、暗雲が立ち込めます。 モルスがいない隙にルナに暴力を振るうクソ野郎どもが、入り込んでいました。私ですらその燃え盛る暖炉にぶち込んでやろうかと思ったぐらいですので、モルスの怒りはどれほどのものかと想像もできません。 ルナは生まれ育ちが奴隷から始まってしまっているので、色々と麻痺している部分が目立ちますが、綺麗事で覆い隠していないので、とても人間らしく見えます。 その後に現れた奴隷を見逃したことで、ルナの提案により屋敷には人が増えていきます。ルナの言うとおり、奴隷たちは考えたことがないから、なぜ生きるのかに答えられないだけで、人間らしく生きるうちにそれぞれの生に対する答えが出てくるんでしょう。 ここからどんな話になるのかと思ったのですが、モルスが年老いて、物忘れがひどくなり、自分の両親のようになっていく…まさかそこに行き着くとは思いませんでした。 最後に自分自身が求め続けた生死の意味を残し、全てを忘れてしまう前に…と考えるモルスを強く引き留めるルナ、完全にお互いの立ち位置が入れ替わっています。 10年後のルナは、モルスを失った痛みから完全に立ち直ることができず、自らもアニマの樹に呑まれようとしますが…死してなお、娘を守り続ける父親の姿、それに対してただひたすら感謝の言葉を述べるルナ、これを愛と呼ばす何と呼ぶのかと思いました。 スタッフロールのイラストで語られるその後、そしてタイトルの意味、本当に何もかもが深くて、印象的なお話でした。 生と死の意味は、人の数だけある。自分にとってのその意味を知るため、考えることをやめてはいけない。2人の姿に、そう教えられた気がしました。 @ネタバレ終了 プレイ時間としては短めではありますが、そこに詰まった想いと願い、確かにそこに生きた人の証と意味があり、代え難いものを残してくれる作品です。 後日談ともなる内容を含め、しっかりした土台を作った上で語られている物語なので、すべて読み切ってほしいと思わずにはいられませんでした。 素敵な作品をありがとうございます。

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  • 涙恋花2~徒花の恋慕~【完全版】
    涙恋花2~徒花の恋慕~【完全版】
    花言葉になぞらえた数々の悲恋、切ない恋、作者様の深いこだわりが随所に感じられる作品でした。 エンディング分岐が分かりやすく、セーブもすすめてくれるので、コンプもしやすくストーリーを楽しめます…! 前半追加組、後半追加組で1人ずつ、ストーリーを読ませていただきました。 @ネタバレ開始 ◆陽太君ルート 突然ですが、私は関西弁が好きです(笑) 陽太君の自然な関西弁、癒されますわ〜。 紫陽花は綺麗な見た目と裏腹に毒があったり、怪談話にも用いられる花ですね。まさに悲恋の花。 ヒロイン勉強のためと言いつつ、芸人さんに会えるかな…なんて思って大阪へ、そしてお隣さんはイケメン! 何とも羨ましい。 しかも漫才をやっているという、しかしとんでもないどマイナー。そして極貧。 それでも面倒見も良く、優しい人で、なんとなく放って置けない感じがします。 そんな彼が、どうして人間不信になってしまったのか、踏み込むこともできず、距離も遠くなってしまう…。 その中に、彼のファンだという人が会いたがっているということで、一緒に陽太君を訪ねます。 相方さん女性なのもびっくりですが、めちゃくちゃ美人さん…。けど、性格は悪いし、しかも陽太君の子どもがお腹に!? 嘘やん!! なんとか彼に本当のことを聞けて、相方のついた嘘も発覚、ヒロインを巻き込みたくないという陽太君の優しさにまたキュンとします。彼もまた、ようやく信じられる、信じていいと思える人に出会えて、心を開いてくれました。 2人で引っ越して、新生活を始めて、別の事務所で働き始めて、ここからどう落ちると!? 先に迎えにいくを見ましたが、こっちがトゥルーと思いきやハッピーエンド(待っててって約束したやんか! と怒られるのかと…)幸せそうな2人の姿ににっこり。 そしてトゥルーエンド、やっぱり元相方が暴走してしまいました。こういう人が簡単に諦められるわけないもんね…。家族も友人も、誰も信じられなかった陽太君がやっと見つけた光、それを思うと胸が痛くなります。 ◆四葉君ルート こんなに小さな子の悲恋とは…と気になってプレイしました。 四葉のクローバーの花言葉は、幸せなものもあれば悲しいものもあるので、結構印象的でそれもあって選んだところもあります。 弟を亡くしてしまった主人公が出会う、弟によく似た男の子との運命の出会いから、全てが始まり。施設に帰る時間になると不穏な表情を見せる彼、けれども先生に対して怯えるそぶりがないから、最初は分からないのですが…。 運動会のくだりから、徐々に不穏な感じになり、彼を保護することに。案の定、虐待を受けていたわけですが、終盤に四葉君が先生も助けてほしいと感じていたというのに、本当にこの子は純粋なのだなと思いました。 この作品はおそらく通常ではバッドエンドと呼ばれるルートが、正規ルートなわけですが、初回は耐えられずハッピーエンドをみました。20年越しに成長した四葉君と再会できてホッとしました。 その後、トゥルーエンドを見ましたが…。 スタッフロールの後の、先生の悲しみと苦しみ、ただ真っ直ぐに彼女を慕う四葉君の姿に、余計に悲しみが募りました。もちろん、悲しい物語に変わりはないのですが、あとがきにあったように、四葉君はヤンデレの素質がありそうなので、ハッピーエンドが幸せかと言われると…やはりトゥルーエンドはこちらなのだなと、納得してしまいました。 @ネタバレ終了 お二人とも声もとても素敵でした! ルート中に現れたイケメンさんが、前作のキャラクターなのですね。続編ならではのお楽しみ要素ににっこり。 トゥルーエンドにだけスタッフロールが流れるところもとても良かったです…! 作者さんのキャラクターへの深い愛情と、切ない恋への想いがぎっしり詰まった力作でした! 悲恋を味わいたい方はもとより、ハッピーエンドが好きな方にもオススメします…!

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  • その恋、暫定につき、
    その恋、暫定につき、
    超ハイクオリティな恋愛ゲーム…フリーゲームの進化を垣間見ました。 綺麗なだけでなく、ユーザーに親切な作りです。 また、こういったヒロインごとのルートがあるゲームだと、ど好みのキャラをクリアしたら満足したがちですが、このゲームはメインルートから遊ぶようになっていて、その流れから無理なく全ルートを勧めてくる感じで、気付いたらコンプしていました(笑) ストーリーは学園恋愛ものとして、入り込みやすい内容と読みやすいように小さな区切りが設けられてスルスル読めます。左上のパーセント表示も親切ですね。 前作未プレイではありますが、ストーリーを辿ると今作だけでも十分に楽しめる内容だとになっています! 王道でありつつ、恋愛応援委員会にはじまる独特な設定(お遊び委員会でなく、本格的な活動をしていてびっくり)と、おそらく地元民にはたまらない小ネタも満載で、いろんな方面から楽しめます…! @ネタバレ開始 翼ちゃんルート 今作のメインヒロインである彼女、口癖の『にひひ』が可愛らしい、勝利の女神様。 普段はポニテですが、部屋着姿だと髪を下ろしているのが分かってるな…という感じでした(笑) 好きなことと好きな人に全力投球、でもボーイッシュなわけではなく、年頃の女の子らしさもしっかりある正統派なヒロインと感じました。 おうち看病シチュエーション好きとしては、あのスチルはたまりません…ごちそうさまです。 結婚式のシーンは本当に綺麗になってしまって、天神さんがウルウルしちゃうのも分かります。 野球のあと、消えてしまった場面は不覚にも涙が出ました。経緯が複雑だし、彼女は亡くなってしまったのだから仕方ない、としても…。 けど、翼ちゃんには幸せになってほしい! と思っていたので、彼女の笑顔が守られてホッとしました。 にしても、大野城会長、何者!? 私的に、きっくんのこと、本当に好きだったのでは、と思ったり思わなかったり。次作が楽しみです。 和子ちゃんルート 翼ちゃんルート以前から気になっていた和子ちゃんの秘密が…。 クールであまり笑顔が見られない和子ちゃんの穏やかな寝顔スチル、これを見かけた時からもう彼女のことが気になって気になって仕方なかったんですよね。 なぜか何度も部活に現れる彼女、印象的な金髪とフードを取ったら…あら素敵な黒髪少女。 ひょんなことで自分を取り巻く環境が変わり、しまいには嫁げと言われ、普通の女の子が急についていけるわけもなく、そりゃあそうなるよね、と。お見合いや決められた結婚が悪いものとは思わないけど、本人の意思を尊重してほしい。 柳川君の左手の後遺症と、和子ちゃんとの関係性が分かり…和子ちゃんの気持ちが痛いくらい伝わってきて、でも今の柳川君には彼女がいるし、もどかしい気持ちになります。 高校生活を一生の思い出にするーーそのための、そのための合宿!! そのためだから、隣で寝ちゃうのも仕方ないですね!! ご褒美!! でも、小澄さんの名前が出るたびに和子ちゃんがシュンとしてしまう…。辛い。 玉砕覚悟の告白、でも彼女にとっては永遠の恋。 心も体も強く成長した和子ちゃんに頑張れ!とエールを送りたくなりました。 メイちゃんルート そしてラスト! 男主人公の中で一番気になっていた剣道部部長…! 鈍い、鈍すぎる! そして小澄さんもだめだ!! 差し入れにドキドキするわけないでしょう!!  速攻で告白される剣道部部長、こういう人にはこの手しかないですよね。分かるーーと思ったら何と、彼氏役!? そこでモヤモヤしちゃう部長が可愛い。 そう、デートといえば水族館! 水族館ですよ、分かってらっしゃる。メイちゃんお魚好きなのですね、2人のデートはほんわか和みます。 これが俗にいう、もう付き合っちゃえよってやつですね。 まだメイちゃんは完全に意識してないし、彼女にも色々あるようですが、今時こんな好青年おらんよ!? 前向きに考えてほしい、と強く思いました。 天神さんに惑わされずまっすぐメイちゃんに向かう、彼女のどこが好きかちゃんと言える部長に痺れっぱなしでした。メイちゃんに合わせて、彼女が悲しむことは言わない…まさに漢。 それでも、2人の歩幅で一緒に過ごす未来に繋がってホッとしました。 @ネタバレ終了 推しは二転三転しましたが、メイちゃんに一票!! いかにもヒロインちっくな女の子なのに、悩みが等身大で、そして性格がとても可愛らしくまっすぐで応援したくなる! でも、ヒロインみんな素敵でした! それから、柳川君はくそ顧問呼ばわりしてますが、普通に守恒顧問好きですね(笑) 立ち絵やスチルも美麗ですが、背景も美しくイラストや作品の雰囲気とマッチしていましたし、学生恋愛の甘酸っぱさや、色んな恋がたっぷり詰まっている作品、恋愛ゲーム好きにはオススメです! 次回でシリーズ完結のようで、寂しくありますが高校生のいろんな恋を見せてくれる、素晴らしいゲームの最後、応援してます!

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  • ぼくと死神
    ぼくと死神
    これはハートフルな作品の予感…と思い、遊ばせていただきました! しらたまちゃんがとにかく可愛いし、死神さんのキャラが本当に刺さりまくりました。 @ネタバレ開始 吐血する死神さん、青汁が出る死神さん、叫ぶ死神さん…とにかく尊い。こんな可愛らしい担当ならいつでもウェルカムっ!!  アニメーションで動く死神さん最高です。 コミカルなキャラクターとコメディでありつつ、心温まるストーリーも素晴らしいですし、なによりキャラグラがすごいです。 表情差分の量がえぐい!(褒め言葉です)それにサブキャラにもみんな立ち絵があるんです! これはすごいっ! キャラクターたちの表情と動きが細かく作られているので、吹き出しと相まってまるでアニメや漫画を見ているようでした。イキイキとした、デフォルト調のキャラクターたちが本当に可愛らしいです。 上でも書きましたが、ストーリーもとても良かったです。 好きなものに自信が持てない、人に言うのが恥ずかしい、そんなはじめ君と彼としらたまちゃんへのラブでいっぱいな死神さんのやりとりが好きでした。 もっと自信を持って! 好きなものは好きでいいんだよ、というメッセージに心の中で大きく頷きました。 そして私はそんな死神さんが好きだあああ!!! 悪魔ちゃんも天使ちゃんも可愛いし、みんな集まると賑やかでほのぼのします。 悪魔ちゃん視点の死神さんが良すぎて、思わずそこでセーブしました(笑) 最後のしらたまちゃんと死神さんのイラストも、本当に素晴らしい。 2人への優しさと好きが溢れていて、この見せ方はたまらないです。 @ネタバレ終了 テンポ良く、ほんわかした作風に大変癒されました。 ちょっと自信がなくなった時、ちょっとしょんぼりした時、ちょっと仕事で失敗して上司に細切れにされた時(?)にオススメな作品です。

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  • スクールシャーク
    スクールシャーク
    パニックホラーで生き物をモチーフにした洋画を見るのが好きだったので、面白そうだなと思いプレイさせていただきました! サメはその中でも王道ですが、それが陸地、しかも学校に現れるーーホラーの王道×王道の組み合わせに期待が高まります。 @ネタバレ開始 と、ここまでが事前情報で感じたもので、ここからが実際のプレイで思ったことになります。 なんというか、最初から最後まで、いい意味で裏切ってくれる素晴らしい作品でした! サメ×学校という斬新な組み合わせは、ギャグかと思わせておいて、そんなことは全くなく、グロテスクだったり、恐怖を煽る描写こそ少ないですが、サメの登場シーンはなかなかに手に汗握るものでした。 いきなり現れたサメが受け持ちの生徒を食べてしまったことから始まるストーリーですが、とにかく描写が丁寧で、渡辺先生の教師としての苦労がひしひしと伝わってくる、リアルな文章も見応えがあります。 サウンドノベル形式の作品なので、登場人物のビジュアルこそないですが、それがまたジャンルと合っていてよいですし、そこも含めただのパニックホラーに収まらない内容で良かったです。 怪異を研究している怪しげな男、浅井もまたいい味を出しています。意気揚々とサメが潜む学校にやってきて、中の下ですね! なんて言いながらあっさり逃げ帰るシーンが特にすばらしい(笑)彼がぐちゃぐちゃにしたものを、翌朝片付ける描写もリアルですね。 こういう胡散臭いキャラクターが大好きなので、最終的に物理で解決させるところや、面倒くさい上司がいる組織に属してるなんてところも含め、解釈一致でした。 サメがただのモンスターに留まらず、怪異であったという展開や、それが渡辺先生が願ったから生まれてしまった、という流れは実によくできていて、面白いと感じました。 ちなみに、いつ教頭が食われるかワクワクしてましたが、こういうヤツに限って長生きしたり、逃げ延びたりするので、ちゃんとサメが食べてくれてホッとしています(笑) 渡辺先生、ここまでかと思いきや……今度はショッピングモールか病院でのご活躍を期待してます!! @ネタバレ終了 ネタバレになるので伏せましたが、学校でサメって……どんな話なの、と思われている方、ぜひ読んでみてください!  オカルト系や、ホラー混じりのサウンドノベルが好きな方にもオススメです!

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