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水原梓@ルピナスパレット のレビューコレクション

  • 僕らの都市伝説
    僕らの都市伝説
    4人のごく普通の暇を持て余した少年が、非日常に足を踏み入れる物語、面白くないわけがないです。 周りから見ると性格合うのかな?と思うような男の子たちがつるんでる、というところにもリアリティを感じますし、彼らが作る絶妙に胡散臭くて、眉を顰めるような怪談も「らしい」なと思いました。 @ネタバレ開始 それぞれの個性が掛け合わさることでできる物語というのが面白く、ただの作り話から人が狂っていく、悲劇が起こる展開にゾクゾクしました。 怖さの度合いが分からなかったので、夜には遊べませんでしたが、一昔前の据え置き機のホラーゲームを思わせるような作りも相まって、やめておいて正解だったなと思います。 BGMも作品にあっていて、プレイし終わっても耳に残り、ゲーム画面が目に浮かびました。 お調子者の柳沢君、比較的常識人の田畑君、気が弱く優しい嶋君、オタク気質の寺尾君という組み合わせがまた良かったです。 彼らの掛け合いや日常が、話が進むにつれて歪んでいくのが、短いながらに伝わってきました。 人は何をきっかけに狂うのか、足を踏み外してしまうのか分からない。 後に残るのは面白半分で人の人生を狂わせてしまったという後悔だけ。 基本的にどのシナリオも後味が悪いので、怖いのと苦いのが堪らなかったです。 また怪談も流行り方や規模がそれぞれに違うのも面白かったです。 「カッパの幽霊」は特にほかの怪談と比べた時の落差がありました。 それだけに一番ぞわっとしました。カッパからここまで怖い話を作ることができるのか……恐れ入りました。 「エマラ・テッド教団」は内容からそこまで怖くないなって思ったのに、それを真に受けちゃった先生が、別人のようになって戻って来るのが怖すぎます。 あれは先生なのか、それとも別の人間なのか、人間ですらないのか……これからの4人のことを思うと一番怖かった。 「ガラガラ男」は、田畑君はなぜそこまで寺尾君が夢中になって流行らせようとするか理解できない、という感じですが、自分はなんとなく寺尾君の気持ちが理解できてしまいました。 彼からしたら、ガラガラ男は自分の創作物だったんじゃないかなと。 創作者が自分が作った物語やキャラクターを愛する、彼も最初はそれだけだったんだろうと思います。 だから噂が広まって喜び、噂が消えかければ再び火を付けようとする。 彼が作ったのがもっと健全なものであれば良かったのに、とお互いの熱量が違ったことでのすれ違いもあり、切なく感じました。 真エンドはとてもあっさりでしたが、それまでのシナリオが4人の友情が壊れてしまう内容ばかりだったので、大人になって自分たちが作った都市伝説がまだ生きているのを確認して笑い合う未来があったことに、すごくじんとしました。 末永く良い友人でいてくれと願います。 @ネタバレ終了 とても雰囲気が良く最後まで楽しめました。ホラーやオカルトが好きな方に特にオススメの作品です!

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  • 私の声が聞こえますか
    私の声が聞こえますか
    ゲーム公開直後にプレイして、感想を書き留める間もなくクリアして余韻に浸っていたため間が空いてしまいましたので、改めて読ませていただきました。 声が小さいことに悩みを感じる主人公が出会った先輩。 彼女との交流を重ねて、少しずつ知っていく事実。 さわやかでキラキラしていて、ちょっと苦くて、少しだけ甘い。 青春ってきっとこんな色と味なんだなぁ、としみじみと感じる作品でした。 キャラクターのイラストからもそれがにじみ出ていて、すごく好きです。 高峰先輩のポニーテールとっても可愛らしい! @ネタバレ開始 お祭りの時のスチルも素晴らしかったです。 高峰先輩の横顔、あふれる涙、花火のように儚く美しかったです。 声が小さいって不便ではあるけれど、それでそこまで生きにくくなるわけでもない、それがかえって辛さに拍車をかけているというのがよく伝わってきました。 箔斗君が出会った高峰先輩、彼女にすんなりと声を聞きとってもらい、会話が成立する、当たり前のことだけど彼にとっては特別な出来事で。 初めて高峰先輩と出会うシーン、2周目なので彼女の悩みも理解しつつ読みましたが、箔斗君が魔法って言った時の嬉しそうな表情と、彼女の思いを感じ取れました。彼女にとってもまさに運命の出会いだったんですよね。 そして去り際の少し寂し気な感じも、また会えるのだろうか、会っていいのだろうか、という不安が滲み出ていました。 それがだんだんと緊張が解けてきて、自然に話している二人に心が温かくなりました。 「ハロー」のやり取り、すごく好きです。 互いに違うけれど目に見えない辛さがある繊細な人だから、相手を思いやって言葉をかけられると感じました。 「そういう考え方もあっていい」って言うのは簡単だけど、否定や自分の意見より先にそれがすっと出てくる高峰先輩が素敵です。 なかなか自分のことを話してくれない高峰先輩に、寂しい気持ちになった時、卓也君がそっと背中を押してくれるシーンもすごく好きでした。 些細なことで喧嘩をしてしまっても、すぐ謝れるかどうかが大事なんだと思います。 そうして少しずつ箔斗君が変わっていく姿、この年頃の子の成長速度の速さを見た気がしました。何かきっかけがあると目の前が開けて、ぐっと前に進めるときってあるよな、と。 高峰先輩の「誰も知らないところに行きたい」この気持ちがすごくよくわかります。 それで何かが変わるわけではないけど、知っている人がいないところの方が心が休まる気がするとき、無性に現実から離れたいとき、ありますよね。 高峰先輩に花火の夜告白した後の卓也君との会話もすごくじんとしました。 彼は本当に大人びていて、気遣いができて、周りに人が多いのはそこもあるんじゃないかと思います。 親友ってこういう人を言うんでしょうね。二人にはずっと仲良くしていてほしいです。 高峰先輩がどうして箔斗君の前から姿を消そうと思ったのか、その理由が本当に切なかったです。 自分と一緒でなければ、もっと普通に楽しめることがある、それを知っていたから、優しい彼女はいなくなることを選んでしまった。 けれども本当は誰かに自分の世界を認めてほしかった、理解してもらいたかった、そんな思いがあふれた「私の声が聞こえますか」にじんとしました。 高峰先輩も大学へ進んで、自分の声を聞いてもらえるようになり、その明るくなった姿にうるうるしました。本当に良かった。 これからの二人がゆっくり前に進んでいく姿が目に浮かびます。 自分のことで申し訳ないですが私は人より耳が悪い方です。 なので普通に会話していても聞き返してしまうことが多く、耳がいい人がうらやましいと思っていたんですよね。 この作品を読んで、高峰先輩のように聞こえが良すぎることで苦しんでいる人がいることを初めて知りました。 真逆の境遇ですが、人と違うことで当たり前が当たり前にできないこと、些細な言葉に悲しい気持ちになること、とても共感できました。 そしてきっと誰もが人と少し違う部分があって、時に悩みながらも生きているんだなと思いました。この作品に出会えて本当に良かったです。 @ネタバレ終了 青春の中に優しさが溶け合った物語、2周目でしたがやはり涙が出ました。 色んな人に読んでほしいお話です。本当に素敵な作品をありがとうございます!

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  • 落とし屋・麒麟
    落とし屋・麒麟
    イケオジが見られるという噂を聞きやってきました! さあ、私のイケオジはどこだ!!! タイトル画面からすごくおしゃれな香りが漂ってきます。 タイトルだけでなくデザイン全体がとても凝っていて、思わずあちこち見て回ってしまいました。 デフォルメされた藁人形ちゃん(君?)、とてもかわいらしいです! @ネタバレ開始 最初の選択肢で「信じない」を選んだら、なんか微妙な呪いにかかりました! ちょっとかわいい…! そして呪いたい相手がいなくても微妙な呪いにかかりました! でも必ず1円足りないの、かなりぐぬぬってなりますよね。私はなります。 ここまでくると変な呪い全部見たいよね!? という気持ちで代償を遠慮したら、飲み物飲むとむせるようになりました。このご時世むせるの辛いんですよ、咳とか、ね…。 人を呪わば穴二つとは言いますが、自分が呪われちゃ世話ねぇぜ! けどイケオジが拝めるなら呪われても悔いはない…まったく悔いはない…。 そしてめちゃくちゃタイプノイケオジきた!! ちょっとけだるそうな雰囲気としぐさがたまりません…。ああ呪われてよかった。 笑ったお顔も最高にチャーミングだ……ずっと画面を見ていられる。 亥角さん……お名前しかと胸に刻みました。 あ、ウインクはだめです。私のハートに響く。 でも誰しも呪いたい相手の10人くらいいると思うんですよね。 けど自分の手は汚したくない、さすがにこれであいつを呪える!!とはならないですよね。 ただし、呪われてイケオジとお話しできるなら、と思う女子は案外多いのではと思ってしまうのでした。 そして、亥角さんの個人情報を知ることができて本当に幸せだぁ!! 作者様ありがとうございます!! ピアスが多いの…セクシーポイントですね。 恋人がいるのか非常に気になります……。 セリフの端々が色っぽかったです。 ギャラリーで無限イケオジできるの、最高としか言いようがありません。 御礼イラストのタバコもよかったです。似合いすぎます。 @ネタバレ終了 最高のイケオジゲーがここにあった。 イケオジが好きな人は絶対やるべし、イケオジそこまで興味ない人もはまること間違いなしの神ゲーでした! あまりの良さに語彙力がいつもより少なくて申し訳ないです、ありがとうございます!!

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  • 異種間エンパシー
    異種間エンパシー
    ずっと大切にしてきた弟が去っていき、傷心の亜子さんと共感能力に優れたバイオノイドのアル君との物語。色んな感情を抱きながら読みました。 アル君の見た目に関して、バイオノイドという設定が見ただけで伝わる、綺麗だけれどどこか人間味の薄い、それでいて繊細なイラストが設定に合っていてとても良かったです! @ネタバレ開始 そして時折笑ってくれる微笑みの顔や、涙を流すところにはドキッとしました。 これは人間と見間違えてしまう…。 イラストとしてではないかもですが、メインシナリオのアイキャッチデザインがとても好きでした。壁紙にしたい、センスが素晴らしい。 お話に関しては、弟代わりとしてやって来たアル君に、弟ではないと分かりながらも、亜子さんの中に家族として彼を大切に思う気持ちが芽生えていく様子が短い中にしっかりと描かれていました。 アル君のお客さんである亜子さんに寄り添うような反応を見せつつも、弟という設定がちゃんとあって、一織君の気持ちにも共感して亜子さんをたしなめるところが人間らしくて好きでした。 アル君自体めちゃくちゃ好みなんですけど、エンド2の金髪になった彼がすごく良かったです。色っぽい…大人な雰囲気が…。 けど、アナザーストーリー2の彼が本当にかわいそうで、健気で。 金髪アル君のご褒美スチル満載なのですが、心が辛かったです。 特に最後の表情、穏やかそうな顔なのに涙が出ているのが。 アナザーストーリー1のその後が気になりすぎます。 一度はお別れしたアル君と再会し、彼の中の記憶がよみがえって、これからという時の悲劇。相変わらず優しいアル君、彼の中から亜子さんとの記憶がなくなってしまっても、もし目覚められたら今度こそ幸せな生活が待っていると信じて。 アナザーストーリー3では、亜子さんがちゃんと一織君と仲直りできて本当に良かったと思いました。 そしてアル君の髪変化スチル!! 最高のご褒美じゃないですか!! アル君はこれからきっと色んな感情を自分で感じながら覚えていって、そのたびにたくさんの表情を見せてくれるようになるのだろうな、と思えるラストでした。 戸惑うこともあると思うけど、アル君と亜子さんにとって心地よい生活を続けていってほしいです。 @ネタバレ終了 短編だとは思うのですが、スチル量が豊富で本当に眼福でした。 どこかでまとめて見れたらよかったなと思うほどです。 さくっと読める内容ながらも奥深く、アル君の変化の一つ一つを感じられるお話だったと思います。素敵な作品をありがとうございました!

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  • ひつじさんへっどふぉん ふしぎな島のなかまたち
    ひつじさんへっどふぉん ふしぎな島のなかまたち
    とても画期的な作品でした! まるでパソコン画面が紙芝居になったような感覚とともに、優しい声の読み聞かせもあって、とても温かいきもちになりながら読み進められました。 いったい何枚使われているのだろうと思うほど、デフォルメちっくなオリジナルイラストも満載です。 キャラクターのデザインなども素敵で、角をヘッドフォンに見立てるところなども可愛らしいと思いましたし、UIやゲームの全体的なデザインが世界観にマッチしているのにも感動しました。一切の妥協がない! 可愛らしく柔らかなタッチの動物たちがぴょんぴょん跳ねたり、動きも取り入れられていて、ほっこりしながら読み進められました。 @ネタバレ開始 お話の内容も、見た目が違っても仲間になれるという一貫性がきちんとありました。 つののあるひつじさんが、見た目が変わってしまったことで、それまで仲間と見てもらえなかったひつじたちと本当の仲間になれるという流れが良かったです。 ひつじさんへっどふぉんさんの、仲間がほしくて頑張るところや、自分も困っているのに助けを求める声が聞こえたら躊躇いなく手を差し伸べる優しいところが好きです。 ねこさんののんびりしつつ、どこか謎めいているところも可愛らしいです。個人的にねこさんのケモノ姿も見てみたかった! ラストの木が走っていくところでは、思わず笑ってしまいました。オチまで可愛い。 エンディングの動画と歌も素晴らしかった! 作者様のこだわりとセンスに脱帽です。 @ネタバレ終了 こんなに完成度の高い作品を、ただで読んでいいのですか!? と始めから終わりまでずっと興奮しっぱなしでした。 人を選ばない作風なので、大人から子どもまで楽しめます。 あっという間に読み切ってしまいましたが、濃密で贅沢な時間を過ごすことができました。本当にオススメです!

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  • ナニシテモイイコ
    ナニシテモイイコ
    しっとりとした雰囲気が味わえる作品です。 イラストは色鉛筆で描かれたどこか暗くもありながら優しさが滲むタッチで、イチコさんの立ち絵も素晴らしかったですし、スチルはどれも見ていてうっとりしてしまいました。 白いワンピース姿のイチコさん、本当に美しい! またイチコさんの声がとても良かったです! 感情は控えめで、時々大人っぽい口調が混ざっていたり、かと思えば少女のように可愛らしく笑ってくれるところにドキドキしました。 @ネタバレ開始 ワケアリの主人公が、ワケアリの店で、ワケアリの女の子と出会い、生きる意味をなくした彼が惹かれていく姿がリアルに描かれていました。 イチコさんにお触りしたりした時の反応にはエロスを感じてしまいました。ニヤニヤするというより『いけないことをしてる』感がありましたね。殴った時のすごく痛そうな声にも、もうやめて…と思ったり。 (自称)人畜無害な人間なので、一周目はずっとイチコさんと話していたのですが、最後の日に彼女に嗜められたの結構刺さりました。見透かされている感じが堪らなかったです。 エンドは3から6までは自力でたどり着けましたが、1と2がどう頑張っても分からず、エンドリストからヒントが見られたのでありがたくもそちらを見てコンプしました。 エンディングによっては確かに『陰鬱』な部分ももちろんあるのですが、エンド1と2でイチコさんが主人公に話しかけてくれる場面は、どれもぐっときてしまいました。 最初は主人公のことも、好きな人ではないとしているイチコさんですが、それが次第に母性愛になっていってるのが伝わってきて、もう一人の息子のように接している姿に愛を感じました。まさに彼女が恋愛ではないけど、愛情はあると言ったそれなんだなぁ、と。 イチコさんが最後の夜に言った『今日を楽しめた君が、明日を捨てるのはまだ早すぎる』という言葉が特に良かったです。思わず涙が出ました。 彼女は、いつか良いことあるみたいになってしまったと言いましたが、そんな当たり障りない言葉ではなく、主人公に寄り添った温もりのある言葉だったな、と。 主人公は本当にイチコさんを愛していて、彼女もまた主人公を想っている。エンド1の呪いの言葉を囁き、一人落ちていく彼女の姿が目に焼き付いて離れませんでした。 これからの彼が、イチコさんにかけられた呪いを胸に生きていってくれることを願います。 サブエピソードを見て、受付のお兄さんもまた人形として仕事をしていて、そんな彼がイチコさんを好きだったことや、大切な人を主人公に託したことが分かって、彼に対して一気に感情移入してしまいました。 いろんなエンドやエピソードを見ることで徐々に詳細が明らかになっていく作りで、少しずつ秘密が紐解かれ、繋がっていくところが楽しく読み耽ってしまいました。 世界観にどっぷり浸って楽しめる作品でした、ありがとうございます!

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  • 【短編・スチル20枚】平穏な?魔王の日常
    【短編・スチル20枚】平穏な?魔王の日常
    平穏な魔王の日常、というタイトルに反し、なかなかにシビアな世界観で繰り広げられる物語でした。 少しでも書くとネタバレに繋がってしまうため、あまり多く語れないのですが、決して鬱々としているだけのお話ではないので、バッドエンドや鬱展開が苦手な方にも遊んでほしい作品です! @ネタバレ開始 子どもと魔王という組み合わせからも、導入部分からも、悲しいエンディングになるのかなと思っていたので、覚悟を決めるべく先に「助けない」を選択したのですが、魔王様が自分で考えて選び、友人であるエイル君を助けたところが本当にかっこよかったです。 作者様のあとがきにもありましたが、これまでアロウズさんや自分の血筋から、自分で選ぶ機会を奪われていた彼の「選択」と、その力を託されたエイル君、そしてタイトルの清々しい表情の魔王様と、思いもよらぬ爽やかなエンディングになっていました。 裏部屋の「助けない」を選択しているのに魔王様がエイル君を助けた理由にも、なるほど! と納得しました。作り込みが半端じゃないです。 逆に「助ける」を選択したらバッドエンド…? とも思ったのですが、こちらはこちらで良い終わりですね。エイル君が装置を壊す流れや、彼を信じる魔王様の姿に惚れ惚れしました。 魔王様と勇者様(?)の冒険も見てみたかったです! 2つのエンドを見た後の「ifエンド」と「?エンド」まで読みましたが、どちらも展開が面白かったです! 特にアロウズさんがメインになっているifエンド。彼は彼なりの苦労や辛さがあったのだなと伝わってきて、根が悪い人ではないので、きっとハンカチを返しにいった後でエイル君と交流していくんだろうと思いました。 もしかしたら最後に魔王様も感化されて、3人で国を良くしようとしたり、楽しく冒険してくれるのでは…? というところまで想像できてしまうほど。 それだけ作品の中にキャラの個性が詰まっていて、愛着が湧いたのだなと思いました。 @ネタバレ終了 短いながらにスチルや立ち絵がしっかりあって、キャラクターの表情が生き生きとしているところも、とても良かったです! 素敵な作品をありがとうございました。

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  • 3MEN6P!
    3MEN6P!
    タイトルから滲み出る作者様の圧倒的センス、それをこれでもかと浴びることができる作品となっています。 前作がとても面白くてゲラゲラ笑わせてもらったのですが、今作も手軽に遊べて面白く、分岐するシナリオが良い味を出していました! ぬるぬる動くイラストも素晴らしく、細かいところまで作り込まれていて、余すことなく堪能させていただきました! @ネタバレ開始 サムネイルを見た時の「面子ちゃん、おっぱいでかいな!? でもちょっと柔らかくなさそう」というセクハラ的違和感は、プレイ開始直後に回収されました。 そうか……乳ではなく肘だったのか、そりゃ固いよ、うん。 先生もじっくり見ちゃう(というか、他の生徒がモブオブモブなので自然と目がいくまである)のも仕方ない話。 ですが、この先生……見た目に寄らずゲスである。 威張り散らすために教師になるとか、器が小さい! 気も小さい! 個人的に先生が好きでした。 その後、家庭訪問に行くわけですが、この時の一枚絵がすごかった! 語彙力がなくて申し訳ないのですが、書き込みが素晴らしい。 しかも時折キャラの表情が動いたりして、見ているだけで楽しいです。 ネタバレなので伏せてますが、このイラスト見るだけでもプレイの価値があると思いました。カラフルでエスニックな味が出ていて見とれました。 そして面子ちゃんの谷間から覗く、お狐様が可愛かった! でも、それでは誤魔化されんやろ!!(笑) 最終的にモブたちが鬼化し微妙に個性を得て、3人も圧倒的個性を得て、鬼をちぎっては投げ、ちぎっては投げで、めでたしめでたし――ですが元に戻れなかった! 面子ちゃんとママはなんとかなるとして(なるか?)、千手観音という名のえぐい背面を得てしまった先生の教師ライフはどうなるのか!? それにしても面子ママの変化後が素敵でした、谷間とか。拝みたいです。 動画も力が入っていましたし、おまけもどれも見ごたえがありました! クリアごとにタイトルがコロコロ変わるところなんかも芸が細かい! 特に好きだなと思ったのがエンディング回収リストにもネタがあって、ここだけでしか見られないイラストまで見られる仕様です。面白いが止まらない仕掛け満載でした。 また没になったネタたちも良かったです。お蔵入りネタが見られるの嬉しい! 先生マッチョになっても教頭に勝てなさそう……とか思ってしまいました。 @ネタバレ終了 エンディングは6つありますが、選択肢までのスキップ機能などもあり、作者様そのものが仏なのでは……と思うほど快適にプレイできました。 ゲームをプレイする手が止まらなくて、いつもなら区切りが良いところで感想を書き留めるのですが、それをする間もなくクリアしちゃいました! 秀逸で唯一無二の作品をありがとうございます!

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  • ゼロから奏でる七奇譚
    ゼロから奏でる七奇譚
    これまで人並みに良い子だった主人公が、大学内の問題児3人と一緒に理不尽(自業自得)な学校へと復讐する青春ドタバタコメディー。 主人公含め全員が怒られても仕方ない問題児なわけですが、彼女たちの復讐の情熱は止まらない! 学校に自分達の手で怪談を作って流してしまえ、ということで3人の問題児と共に怪談を作ることになった主人公。彼女に平穏は訪れるのか!? @ネタバレ開始 とにかく問題児たちのキャラが濃くて、わちゃわちゃ騒ぎながら、しょーもない怪談を作る姿を見ているのがとても楽しかったです! 野球部がないから野球部を作ったのに追放されてしまったレジェンドとか、学園長の身内で好き放題する暴力系お嬢とか、よくこんなに濃ゆいキャラクターを作り上げたなぁと感心しました。零ちゃんだけは若干正体不明な感じがあるのと、学園長の行動も少し意味深に思いながら、馬鹿馬鹿しい怪談を作る4人を微笑ましく見守るノーマルエンドたち。 思わず笑いがこぼれる短いシナリオは、最後の可愛らしい一枚絵と併せてとても楽しく読み進められました。 なんとか学校を恐怖のどん底に叩き落としてやろうと奮闘する3人とそれに付き合わされる主人公ですが、どれもこれも逆に学校や学長、生徒を喜ばせたり、すぐにバレてお説教されるようなものばかり。 何気に廊下の変態幽霊と開かずの教室以外、喜ばれている、気がします! これは学長の巧妙な罠では!? あと、基本的に物理と努力でなんとかする姿に、じんとしました…。 いいなぁ、青春っていいなぁ。 そしてついに最後の七不思議、恋愛成就のオルゴール! さらにこれまでの学校への復讐が功を奏し(?)ペナルティも免除でラッキーと思いきや、七不思議が独り歩きを始めて…。 零ちゃんには秘密があるのだろうなと思ってはいましたが、なんと生贄となった昔の巫女だったとは。 外に出ることができて、仲間に出会えて、この楽しい時間がずっと続けば良いと思ってしまった彼女。 ですが、彼女の願いを叶えるわけにはいかず、お嬢先輩と黒川先輩の力を借り、なんとか零ちゃんを止めようと頑張る主人公。この時の先輩たちのセリフ、どれも名言すぎて痺れました。 零ちゃんの回想シーンは本当に辛かった。 実の親ですら、役目を果たすことしか望んでくれなくて、そこにたった一言でも『行かないでくれ、生きていてくれるだけでいい』という言葉があったら、彼女もここまで世界を憎むこともなかったのに、と思ってしまいました。 一人ぼっちの彼女の元に差し込む光、差し伸べられる優しい手、このスチルと表現がとても好きです。 自分を大切に想ってくれる人たちの未来のため、これまでの自分を否定せずにあり続ける、そう決意した零ちゃん。 これからもずっと彼女の想いと残したものは受け継がれていくのだろうなと思う、感動的なエンディングでした。 @ネタバレ終了 シナリオのコメディと友情物語のバランスが良かったです! またメインもサブも含めキャラ一人一人が面白く、クスッと笑ったり、じんとしたり、感情を揺さぶられる作品でした!

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  • おいなりっ!
    おいなりっ!
    夢に向かって努力する女の子友音ちゃんと、依り代を失ったオワリノミコトことタマさんのほんわかストーリー。 ふわふわの尻尾を揺らし、耳をピコピコさせ、感情豊かに動くタマさんが本当に可愛らしく、またアクターさんの演技も作品を盛り上げていて、とても完成度の高い作品でした! ところどころに挟み込まれる動画などの演出も印象的でした。 @ネタバレ開始 恩師と呼べる人との出会いが切っ掛けで児童福祉士を目指し頑張る友音ちゃん。ですが、その夢がいつの間にか「叶えたいもの」ではなく「叶えなきゃいけないもの」に変わってしまい、お母さんや兄弟たちとの関係も上手くいかず、自分でも気付かないうちに自分を追いこんでしまっていて。 タマさんがその悩みに触れ、逃げても良いと助言したことで、改めて自分らしく生きられるようスタートが切れた友音ちゃんの姿に、じんとしてしまいました。 子どもの頃の夢って、人によっては何となくの憧れから始まって、気付かないうちに忘れてしまうものだと思いますが、友音ちゃんにとっては特別な夢で、だからこそその現実と他に目指したい夢ができたことで、苦しんでしまったのだろうなぁと感じました。 ひたむきで優しい彼女の性格からも、その辛さを察するとともに、タマさんがいてくれて良かったと思いました。 タマさんが汚い神社にお引越しせずに済んでホッと一息ついたところに、タマさんと因縁がある鳥塚さんと遭遇……! 神様尽くしの環境に店長も神様? と考える友音ちゃんへの店長の返しが面白かったです。髪の毛、気にしてるんですね。強く生きて。 鳥塚さんは、かつて自分が関わったばかりに辛い目に遭わせてしまった琴音さんのことを気にして、友音ちゃんにもそうなってほしくないと、タマさんと縁を切ることをすすめます。 でも、いつか別れの日が来ても、その時の思い出を良いものとして抱いていくためにも、やっぱり自分が納得できるお別れがしたいと思う友音ちゃん。鳥塚さんとタマさんの関係も少し改善され一件落着! ですが、鳥塚さんが危惧していたことが起き、友音ちゃんのために一度は出会いをなかったことにしようとするタマさん。 それでも夢を目指すきっかけをくれ、背中を押してくれた彼女の存在はちゃんと友音ちゃんの中に残っていて。 「おぬしだけの神になることを我は望む」 はっきりとそう言い切るタマさんが、本当に美しくて頼もしくて、二人の友情が、思い出が無くならずによかったと心から思いました。 友音ちゃんが、これからもタマさんや鳥塚さん、姫奈ちゃんたちと幸せな時間を送れますように! メインを見終わってからサブを見たのですが、どの話もとても見ごたえがありました。 鳥塚さんのV配信はすごく面白かったです。真面目クールなお姉さんが可愛い声で配信してる、そのギャップが!! タマさんとのタッグも可愛い! そしてタマさんが「飽きた」というオチつき。 バイトを経験し「人草マジ不敬すぎて我耐えられんかった」というタマさんの悲痛な心の叫び、申し訳ないけど笑っちゃいました。接客大変だよね。 @ネタバレ終了 サイドストーリーまでじっくり楽しませていただきました! それぞれのキャラが深堀されていて、本編の補足的なお話や意外な顔が見られて良かったです。 時折ナウな話し方をするタマさんが本当に可愛らしかったです! 私ももふもふに包まれて眠りたい……。 また、食べ物や飲み物の描写が本当に美味しそうで、お腹が空いている時だと飯テロになりかねんと思いました。 人間の女の子と狐神様の『縁』の物語、とても感動しました!

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