快亭木魚[mokugyo games]のレビューコレクション
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ティラノフェス2020オープニング開幕おめでとうございます。今年、2作品で初参加です。宜しくお願い致します。 オープニングもゲームで表現するという洒落た演出。非常に分かりやすく、興味をひきやすく、関わっている方々の情熱を感じ取りました。 作る側、遊ぶ側双方が盛り上がれる仕掛けの数々。バーチャル空間まで作るんですね。お疲れ様です。 オープニングゲームの中に自分の作品を見つけただけでテンションが上がりました。 @ネタバレ開始 最後まで見るとおつかれさま会まであり、表情を選択できてかつスポンサー募集までとべるというお得感。脱帽です。 すみません、コメントを誤って削除したので再投稿となります。
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不死身の英知サムネから想像するイメージから超えてくる熱い作品でビックリしました。この予想のつかない方向に走っていくドライブ感は素晴らしいと思います。 ドクターの顔に味があり、殴られながらまた考察してしまうドクターのキャラクターも面白いです。 @ネタバレ開始 老婆、いかつい男、サングラスの男といった後半に登場するキャラクターの顔つきが魅力的。非常に味わいがあり、作品世界を深いものにしていると感じました。エンディングで歌と共に走っている姿が強烈に印象に残りライブ2Dでキャラクターを動かす醍醐味を感じます。 考えてみると、結構殺伐とした世界観で出てくる人もひどい人がいたと思うのですが、最後までプレイして強烈な生命力を感じました。この展開の面白さは、これぞ人類が生きていく上の英知なのではと感じるほどです。Hから英知の当て字になる展開も熱かったです。 ギャラリーであとがきやライブ2Dモデル集まで観ることができるサービス精神もすごいと思いました。
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最終電車すぐ読み終えることができました。今作は、他の方も言っているようにタイトルの妙が光っています。最終電車という言葉のイメージと始発電車をむかえる状況を意図的に対比させていること。そして物語の始まりに「終わり」をイメージさせ、物語の終わりに「始まり」を想起させていること。この構造でプレーヤーの印象に残る作品になっているのはすごいと思いました。 自分が何でも詰め込むタイプなので、音楽や効果音をおさえて最低限で使用しているところも勉強になりました。
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ろりこんとてつもないスピード感でした。このスピード感をもたらしているのは「聞いて真っ青。」「さらに真っ青。」というようなリズミカルな表現なのだと思います。勉強になります。 壮大な音楽、可愛いいらすとや、お洒落なUI、そしてギリギリを攻める姿勢。この絶妙なバランス感覚が独自の世界観を作り出しているのだと思いました。タイトルから受ける印象と内容のギャップ。勉強になります。 「あそこの地方首長が」のくだりは元ネタが分からなかった為検索しました。大変勉強になりました。
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昏き三伏の秤《ED追加ver》台詞回しのセンスが圧倒的。「鬱陶しい坂道が。斜面性コンクリートが!」という最初の叫びの時点でしびれました。 坂道を「斜面性コンクリート」と表現する小学生。どう考えても小学生の語彙力ではない。だが。自分が小学生だった頃は、語彙や人生経験が乏しい為にうまいこと言えなかったが、もしかしたらこんなことを考えていたのではないか。そう思うほどの説得力でした。 今作が素晴らしいのは、子供が大人の真似をしているのではなく、子供が子供の世界の中できちんと生活している点。にも関わらず意図的に子供らしい言い回しをせず(しているキャラもいる)、人として描いているところです。そしてこの小学生らしからぬ豊富な語彙力、会話センスが彼ら彼女らの生きにくさや置かれている状況を端的に表している。 「肉体のみならず人格や人生そのものを親の遺伝子に左右される子供の苦労を分かち合えるのは、子供だけだ。」という劇中の表現があり、これが今作の肝ではないかと感じました。本土から離れた島の閉塞感、大きい力の影響下にある無力感を表現する為には小学生である必要があったのではないかと思います。そしてそんな彼らの考えや心情を的確に表現するにはこの圧倒的台詞回しが必要だったのではないかと思うのです。 キャラクターデザインも魅力的。特に、目。大人の心を見透かしているような、諦念があるような、内心色々抱えているような目が良いです。日本の漫画アニメはよくも悪くも子供の目を丸く大きく描きがちなので、この表現は新鮮でした。 @ネタバレ開始 特にお気に入りの台詞 「うまい飯がたちまち鉛に早変わりじゃねえか。その勢いで大工に転職しろ、大工に」→食事中に言いたい 「凛々しいね~。言うことだけは武士みたいだ。無抵抗で殴られっぱなしだった百姓とは思えないね~!」→煽りで使いたい 「言われてみれば、肩書は親でも実際は他人なので信頼しないという選択肢があるにはあるのか。」→この表現は日本社会の中ではなかなか出てきにくいと思いますが、でも確かにあるにはあると思わされました。 「小学生のうちは頭を色んなところに打ち付けるもんなんだ。要は叩いた分だけ強くなんだよ。人間の子供は全員“鉄“なんだ」→子供は鉄の子だったんですね 「時間帯を横に並べて串刺しにすんなよ。しかもそれ、俺のだろ。まだ未知数の晩まで見透かした気になってんじゃねえよ」→予定を伝える際に使いたい 「スーパーは古臭えジジババが忍者顔負けの暗躍しまくったせいで休憩スペースに小学生がたむろ出来なくなったしな」→忍者顔負けの暗躍で現実の公園も子供が遊びにくくなっているのだなと 「弱肉強食の世で生きた祖先の遺伝子が全て原因なので、俺のせいではない。子供には責任能力がないから。」→暴力行為の言い訳に使いたい 現段階でできたのはプロローグまででした。ここまでで十分面白かったです。今後、更新される予定があるようなので、登場人物達が海を眺めていたように気長に待ちます。お疲れ様でした。
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とある惑星の記録(No.S-01)オープニングの映像がSF感あり、カッコいいです。このチョイスは興味を掻き立てられます。本編は、惑星というより人の話なのだという印象を受けますが、最後まで進めると、きちんと惑星の記録となっていました。このタイトルと物語構造に必然性があったのだと思います。 @ネタバレ開始 「この世界は知識と腕前、生きるという覚悟がある限り、そう簡単にくたばりはしねーよ。あんたが死ぬとしたらそれは運が無かったというだけさ」 という台詞があります。どんな世でも生きる上で知識、腕前、覚悟、運が必要なのだなとあらためて気付かされました。例えば前3つが欠けていたとしても運で生き残るものだなという説得力。 「いつになったら争いのない場所にたどりつくのかねえ」と銃を持った女性が言います。現実世界も争いばかりなので、代弁してもらえました。 自分に置き換えた時。なぜ誰にも読まれない日記で日々の出来事を記録したり、誰の目に留まるかも分からないノベルゲームを制作しているかと言えば、醜い争いだらけの惑星の隅っこで、ほんの少しでも自分が美しいと思った瞬間、楽しかった記憶、印象に残ったことなどを誰かに向けて残したいからなのだなと。気付かされました。
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食卓戦隊調味レンジャー~入隊編~曜日ごとに選べる選択肢が変わり、エンディングも何パターンもあります。まさに調味料を選ぶかのごとく、プレイするごとに辛い展開になったり、甘い雰囲気になったり。このバリエーションの豊かさがすごいと思いました。また、選択肢の選び方によっては「またお前かよ」的同じキャラ連続登場展開がくることもあり、そういう意外性も「調味料をかけすぎて味が濃くなった感」があり、面白かったです。 調味料棚に調味料が増えていくのもお洒落。棚の調味料を選ぶと、またいい味付けがしてあるんですね。凝っています。 @ネタバレ開始 個人的に可愛いと思ったのはケチャップです。マヨネーズと兄妹なのかと。確かにケチャップとマヨネーズは一緒に使うこともあるなと妙な説得力。 そして面白かったのが塩。塩対応ではない、意外と優しい雰囲気。しかし、その言葉に誘われたまま進むとしょっぱい展開が待っている!誘惑されても塩分を取り過ぎてはいけないと学びました。
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サイレンとサムネをクリックした瞬間からゲームが始まっていたのだと思いました。なぜ『サイレンと』というカタカナ+ひらがな表記の紹介であるにも関わらず、ゲーム内タイトル画面では『SILENT』表記なのか。この違和感は読み進めていけば解けていきます。 例えば『SILENT サイレンと』というふりがなのような表記にもできたはずなのにそうしていない。あえて説明を省き、違和感を作ったのだと解釈しました。物語自体が違和感、言葉をまともに認識できない感覚を表現しているので、この違和感をプレーヤーに体感させる為にサムネをクリックする瞬間から仕掛けられていたのだと思っています(そういう意図ではないかもしれませんが)。 ともすれば説明が増えていくものですが、コンフィグ画面からして記号で表現し説明を省くスタイルを貫いているはすごいと思いました。
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チームワークだ クイズ大会「男サ!」「男なのサ!」からの「なんなのサァ!?」という語尾のクセ、グラサンをかけたイカツイじろうの第一声が「おはよあそばせ」であること、この冒頭の勢いで心つかまれます。一人称「あちき」も最近ではなかなか見かけないので、新鮮でした。「おだまり!」と唐突オネエ風になるのも笑いました。 回答方式もメンバーと相談して決めるという方法で、ひねりが効いており面白いです。裏切者が潜んでいるので、これを予想するサスペンスな要素もあります。 このメンバーの見た目、口癖、表情の変化を見ているだけで面白いので、正解が分かってもあえて間違えて反応を見たりしました。 彼らのやりとりで他のストーリーも出来そうな可能性も感じました。
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旅人とほのぼのカフェまず「ほのぼのカフェ」「ほんわか草原」「なごみ町」「にょろん草」といったネーミングからして、ほのぼの世界を貫いていてすごいです。 旅人が代金や鍵を気にしており、「ほのぼのさんの負担にならない言い方にして」話したりするバランス感覚が絶妙だと思いました。 「流れ星と書かれた缶詰」はこの字面だけでロマンがありますね。「水パン」も食べてみたいです。 青、緑、金など色に関する描写が多く、想像力を掻き立てられます。 @ネタバレ開始 特に感心したのが、風船から落下しても大丈夫なように鎧を着ている理由があること、風に乗った食べ物の香りが風の精の助けであった点です。不思議な恰好や現象にきちんと理屈がある。優しく不思議な世界観にすると、どうしてもそういった理屈が省かれがちなので、こういった細部が豊かな世界を作り出しているのだなと思いました。 「この世界は寿命で天に還る時まで、ずっと飽きずに楽しめる最高の楽園だからさ」 言ってみたい!こういうことを言える大人になりたいと思いました。 自分が店主で灰色の客が来たら速攻で追い返したと思います。ほのぼのさんの寛大な態度、しびれました。 「人それぞれ人生の台本は違うからね」と言える人間でありたいです。