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快亭木魚[mokugyo games]のレビューコレクション

  • 点鬼簿行路
    点鬼簿行路
    サムネからしてすごいオーラを放っているとは思っていましたが、実際プレイしてみてやっぱりすごかったです。思わず点鬼簿の意味や『ロンドン橋落ちた』の歌詞まで検索しました。 個人的におお!っと思ったのは音声と画像を意図的にずらしている箇所です。耳から入ってくる情報と目から入ってくる情報が異なるので、自然ときちんと読もう、きちんと聞こうという気にさせる、その演出の妙。 @ネタバレ開始 クリア後のトップ画面は人形の頭がとれていて人影も消え彼が涙を流している。そういうところもぬかりないのはもちろん。 ニュースサイト画面からTwitterで拡散できるところもしびれました。よりによって、このシーンを拡散のきっかけにするのかと。 どちらのエンドでも先輩は死んでしまう。ええ!と衝撃をうけつつも、「でも、あなた自身が死んだニュースを拡散したでしょ。事実にしたでしょ」と言われているように思えたのです。劇中劇に登場人物が参加し、さらに画面外の自分が選択肢と情報の拡散で参加している。自然とプレイヤーを共犯者にしていく構造が、人を惹きつけるのだなと思いました。 さりげなく昭和要素を混ぜることで、時間的なスケールを感じさせるところも巧みですし。何より、額に入った絵で彼の感情を表現しているシーンや、ラストの首の目の開閉の違いに表れている絵のみでの説明があること。また文章のみ、音声のみでの説明があることで、説明を分散させているところがすごいなと思いました。

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  • 兄よ!1分でハッピーにしてくれ!
    兄よ!1分でハッピーにしてくれ!
    兄との共作ということで、短いながらも強引にハッピーエンドに続いていく力技にスケールを感じました。これはバッドとハッピーの応酬でさらに物語を広げることができるんじゃないかと長編化の可能性まで感じます。 そして「人喰いフラミンゴ」のアイデアがすごいですね。フラミンゴの長細い足やピンクの色からホラー展開はなかなか思いつかないのでは。人喰いフラミンゴだけで色々出来るのではないかとこれまた可能性を感じました。

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  • 深夜徘徊のための音楽 beats to relax/stray to
    深夜徘徊のための音楽 beats to relax/stray to
    こういう作品は作りたくてもなかなか出来ないと思うのです。自分自身が過去に「コンビニに行って帰ってくるだけの話」を確か2回くらい短編小説で挑戦しているのですが、今作ほど素敵な感じにはなりませんでした。それほどに狙っているところは難しい。 例えば「彼との一瞬の交流に終止符を打った」という表現。例えば「本当に欲しいものって、得てして望ましい形では手に入らないからね」という台詞。こういうするどい表現がさらっと出てくるところが今作の魅力であり、深いながらもさらっとさりげなく見せている点にすごさを感じます。 『アンティキティラ島の機械』に関しては、わざわざ検索しました。古代ギリシアのものなんですね。勉強になりました。かなり小さい話の中にこういった時も空間も超えるスケールがするっと無駄なく入ってくるのが本当にすごいんですよね。画面に映し出される夜の風景と妹の表情、そしてぴったりマッチしている音楽に気を取られてしまうから。 何気ない日常会話を続けているように見えて、実は街や兄妹の過去をしっかり説明している。さらにラスト展開の伏線になっている。そしてその巧みさをあえて感じさせないのが今作のすごさだと思うのです。 「すべての美術には意味があるはずだからさ」と言える大人になりたい。

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  • アンタなんて愛してない
    アンタなんて愛してない
    テンポが良く親切設計!このスピード感は大変魅力的でした。 死に方のパターンがたくさんあり、しかもリストまである! @ネタバレ開始 初見で隠しシナリオにたどり着けました。 時計がまさかのあの人からの贈り物だったとは。 この展開は予想してませんでした。 実は彼女は時計の効果を知っていた →実は彼が死ぬはずだった →実は時計は敵にあたる人物からの贈り物だった という段階的な真相の見せ方にうなります。 短い中にここまで色々詰め込むことができるのだなと勉強になりました。

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  • 可惜夜のからくり屋敷
    可惜夜のからくり屋敷
    思わず夢中になる脱出ゲームでした。ゲームオーバーの際の演出も好きです。 無事に何度も死にました。 序盤の楽しい雰囲気から一気にホラーになる展開も良かったです。 画面内の情報の見せ方、仕掛けが面白く勉強になりました。

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  • タイトル無し
    タイトル無し
    タイトルも画も音楽も無しというスタイルに挑戦した時点ですごいと思いました。何を書いてもネタバレになりそうで絶妙なところをついてきていると思います。バッチを手に入れることも出来ました。この作品ならではとバッチだったと思います。 @ネタバレ開始 例えば「500歩は歩いている」というような表現で、空間を想像出来ました。無いことで想像が膨らむという人間の想像力に気付かされたところがあります。また、実際に様々なものが「無い」、無くしていくストーリーなのでタイトルの時点できちんと伏線が張られているのも見事だと思いました。 思いのほか選択肢やエンドのパターンがあり、この題材でこれだけ広げることが出来るということも発見です。 考えてみれば自分の目があるからスムーズにストーリーを追うことができて、手があるからクリックしやすく、言葉を持っているから意味が分かり、ティラノフェスがあるからたどり着けたわけです。様々なものが「有る」ことを前提にし過ぎているのだなと気付かされました。そういう気付きを与えてくれた時点で「感想有り」に導かれました。

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  • 薬を作ろう!
    薬を作ろう!
    画の力が非常に強く、プロローグのコミック演出からプレーヤーを引き込む見せ方の妙を感じました。短くすぐに遊べる点が良いです。薬草のネーミングも面白く、キャラクターの表情も細かく用意されており、どのような薬ができるか想像する楽しみがありました。例えば移動の際にはい、いいえが出る点も含め、プレーヤーに対して親切であると感じる点が多かったです。

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  • ごめん、待った?(背後から爆発音)
    ごめん、待った?(背後から爆発音)
    コメディでありつつ、タイトルでオチを言っており「いかにしてこのオチへ向かっていくのか?」というサスペンス要素もある作品です。このコメディとシリアス、荒唐無稽さとリアリティのバランスが絶妙だと思いました。 @ネタバレ開始 ネットの友人がアフガニスタンで戦っていたと言うがにわかには信じがたい。冗談なのか本当なのか。この出だしからウソか本当か?をプレーヤーに考えさせる絶妙な匙加減が凄かったと思います。 PTSDのボケのパターンの数の多さ、9000から50万になってるインフレ、お風呂タイムアタックの記録を更新というちょっとした小ネタを頻繁に挟んで細かく笑いどころを作る。そしてテンポいいスマホ上での会話と主人公の行動や心情を描くモノローグを併用することで、ギャグとシリアス、荒唐無稽さとリアリティのバランスをとっているのだと感じました。 会話上で使われるスタンプがおそらく彼らが出会うきっかけとなったネットゲームに関するものではないかと思わせる点も良いです。音楽のチョイスもお洒落。 例えば、「私」が新幹線の窓側の席に座り座席のコンセントに充電器を突っ込むという描写があります。ちょっとしたことですが、「私」と「スノウ」が会うまでにまだまだ物理的距離があること、スマホで会話しているから充電を気にしていることが分かります。キャラクターの行動に必然性とリアリティがある。こういったコメディでは省かれがちなところをさりげなくきちんと描いているところが人を惹きつける点なのだと思いました。 思いのほか壮大になっていく終盤の展開を含め、結構難しいところを狙った意欲的な作品なのではないかと思います。

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  • 【脱出ゲーム】プリンセス・ブレイク
    【脱出ゲーム】プリンセス・ブレイク
    謎解きの難易度とボリュームがちょうど良かったです。自分は謎解きが本当に苦手なので、これくらいの難易度とボリュームだと楽しく進めることが出来ました。攻略サイトも非常に助かります。 姫のキューピーのようなポーズも可愛く、世界観が魅力的。タイトルがそもそも『プリズン・ブレイク』のパロディである点で笑いました。 可愛いキャラクターデザイン、練られたシナリオ、世界観にそった謎解き。どれも素晴らしかったです。ですが、個人的にすごいと思ったのは @ネタバレ開始 王子をアイテムとして所有できること。笑いました。さらに、攻略用のアイテムとして実際に使用でき、ストーリー展開まで変わってくる。感動しました。笑い+攻略アイテム+ストーリー分岐の要のコンボをさらりと見せるセンスに脱帽です。ちょっとした笑いが実はストーリーの根幹に関わってくる伏線であるという構成に憧れます。 絵本のストーリーから、もっと涙涙の展開にできた可能性もあるけれど、あえてそうしていない。終始楽しい雰囲気で進み終わるのも、とてもとても素晴らしいと思いました。魔王はきっと過去に悲しい目にあっているだろうけれど、その過去はあくまでもプレーヤーの想像の中だけにとどめるという姿勢が本当に良かったです。

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  • バンパイア・ローズ
    バンパイア・ローズ
    まずサムネのお店のイラストが魅力的。 キャラクターの表情や服装、背景や音楽の素材のチョイスが的確で短い中にきちんとした世界観が作られていると感じました。 @ネタバレ開始 中盤の手紙の内容も魔女や植物というワードも伏線になっており無駄なく簡潔にまとまっているのも好印象。 ラストで作品にする=文字通り額に入れて飾るところにインパクトを感じました。額の外にはみ出している下半身はどうなっているのか、彼の肉体に防腐処理がほどこされているのか、そもそも腐らないのか、想像力をかきたてられます。

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