巴田コウのレビューコレクション
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ラストサマー・バケーション・イン・ザ・ダークさくっと読める短編ながら、胸にしっかりとした余韻を残していく作品。会話のテンポがよくとても読みやすかったです。テーマの重さと相反するようにイラストは爽やかで、明るい日向さんの表情と、眩しい夏の風景。このギャップが見事でした。 以前他の作品を遊ばせていただいたことがありますが、ギャグからシリアスまで実に多彩、作者さんの多才さには驚かされます。
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想い出のナツハナビ完璧なまでに練られたドラマ的作品。10分とは思えない濃さです。 イラスト、効果音、音楽、シナリオ、間、声優の方の迫真の演技。これらのすべてが最大限に活かされており、プレイヤーをぐいぐいと引き込む強い力を感じました。制作時間16時間とは思えない緻密さです。すごい。 個人的に、セリフが視覚的にカットインする演出が大好きなのでぞくぞくしました。
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7日目の花嫁美しくまとまったお手本のような和風恋愛ファンタジー。 気さくだけど、時折やっぱり神様なんだと思わせる龍神様。健気だけど悲観的ではない、愛くるしい主人公。キャラクターの描き方がとても丁寧で、二人のやり取りを見ているこちらまで、穏やかな気持ちになりました。しかも贅沢なフルボイスで大満足! チャプター区切りで表示する影絵スチルが素敵です。後書きも必読(必聴)。
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カラノイロ色鮮やかな物語、というのがこんなにしっくりくる作品はそうないと思います。選択肢によって主人公の世界に色彩が灯るという文字通りの演出ですが、これが眼前で展開したときは感動しました。ふわりと色づく効果がとても気持ちいいです。 自分に自信を持てない和花さんのキャラクターも、卑屈すぎず、思わず応援したくなるようなちょうどいい塩梅。面白かったです。
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ときかけさんちのあさごはん洗練されたデザインと、ずっと浸っていたくなる世界観。 誰かと食事を共にする幸せを、ゲーム内で味わえるとは思ってもみませんでした。ときかけさんの家を探検するなかで時折覗く不穏な要素も、物語のいいスパイスになっています。ついときかけさんと手を合わせちゃうノーラがかわいい。 それと内容からは外れてしまいますが、ゲームファイルがとても軽くさくさく動きます。これ本当にありがたい。遊ぶひとへの配慮が行き届いた傑作でした。
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巨大靴下の女の子と真夏の雪遊びあらすじに惹かれてプレイし、あらすじ通りの内容に脱帽しました。 これは!ホラー!ですね!?読者の違和感をリードする語りが絶妙です。靴下の女の子への警戒を解きかけてきた頃に、明らかになる真相。ひやりというよりはぞわぞわしました。
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大きなのっぽのメイドロボ胸がじんわりと温かくなる物語。 えもふりを用いたリーシャさんの動きがとても上品でした。エンドロールは勿論、終始丁寧な演出が目を引きます。彼女をロボットたらしめているのは、機械の体と、かわいらしい駆動音と、語尾のカタカナだけど、それらがなければ……と考えさせられました。 最後の一文、その表情をあえて描写しないところに圧倒的なセンスを感じました。自分だったら中途半端な一枚絵で台無しにしちゃうかも。すごい。
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公衆電話めちゃくちゃ面白かったです。 途中からメモを片手に打ち込んでいました。将来公衆電話ボックスに閉じ込められて30円で打開しなければならないときが来たら、きっとこの経験が役に立つと思います。楽しい作品をありがとうございました!
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ティラノフェス2018オープニング
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「ステッチ・ガール」影のあるモチーフを扱いつつも、丁寧な描写であたたかな結末を描いた作品。しかも膨大なイラスト(かわいい)と豪華なフルボイス。物語への没入感が段違いでした。 個人的に、創作において、短く美しくまとめることは至難の業だと思っています。そして、それを華麗に提示してみせた作者様には脱帽です。 後日談も拝読いたしました。不器用な二人の幸福を祈らずにはいられません。素敵な作品をありがとうございました。