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ヒソップのレビューコレクション

  • 深愛♡チャーハン
    深愛♡チャーハン
    可愛らしいなと楽しく読み進めていたら、liveパートの勢いの良さに大分笑わせていただきました。ティラノ上で3Dってこんなにきびきび動くんですね……。 渉くんのキレが良すぎる。リピート再生しました。 @ネタバレ開始 街中の中華屋をイメージしていたので高級店であることにも戸惑いを隠せませんでした。大丈夫チャーハンだよ! と渉君に勢いよく背中を押されるままに、エキゾチック・チャハーンを完食させていただきました(チャハーン…?)。 渉くん、お礼もキレキレですね。 @ネタバレ終了 エネルギッシュで笑ってしまう作品をごちそうさまでした!

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  • Only Dance !
    Only Dance !
    短編ながら思わずほろりとくるとっても優しいストーリーで、後半は何度見ても涙がジワリと滲みます。 ぬるぬると動く妖精のダンスが愉快で、つい家族と真似して踊ってしまいました。 シンプルで癖になる音楽もとても好きで、時折作業用BGMにさせて頂いております。 素敵なゲームをありがとうございました!

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  • ツェザリ
    ツェザリ
    『ツェザリ』をプレイさせていただきました。 文章やシナリオはもちろん、画面演出に至るまで洗練されており、登場人物の描写や二人の関係性に深く思いを馳せながら没頭いたしました。 @ネタバレ開始 ◆文章・演出 ツェザリが初めて魔法を使うシーンでは、「呪文もなく」というさりげない一言だけで、動作の鮮やかさと彼の魔法の力量が見事に表現されていました。 クモの描写における「脚を含めず体長2メートル」という表現も巧みで、ただ「全長8メートル」と語られるよりも形状のイメージにブレが生じません。それだけに、オルガが覚えた生々しい引き気味な感覚までくっきりと伝わってきました。 これらの表現に限らず無駄な文章や言葉がなく、一つひとつが丁寧に選び抜かれた作品なのだと序盤から簡単致しました。 また、ツェザリの例え話に異世界独自の動植物が織り交ぜられている点も魅力的です。 読み手にとっても未知の存在だからこそ、会話についていけないオルガと自然に感覚を共有できます。 作中人物としてのリアリティある会話でありながら、主人公と読み手の感覚を巧みにシンクロさせる手腕が見事でした。 テキストだけでなく、音やグラフィックの効果的な使い方も強く印象に残っています。研究室がドタバタと片付けられ、積み上がった本の上に紅茶のカップが置かれる場面では、SEの組み合わせが子気味良く、慌ただしい臨場感が伝わってきました。 オクスァルが一瞬だけ画面に表示される演出も、ポーズの情景が浮かぶと同時に絶妙なテンポ感があり、思わずクスッとさせられました。 とりわけ本編ラスト、転移魔法のカウントダウンからエンディングテーマへと雪崩れ込む流れは実に映像的で、大好きな演出です。 ◆本編 冒頭、オルガが助手を引き受ける導入からして、削ぎ落された描写で人物像を浮かび上がらせる手腕が光っていました。 先生の頼みを優等生ぶって引き受け、後から後悔する姿が事前に描かれているからこそ、ツェザリの強引なペースに巻き込まれた際も「この子なら嫌だと思いつつも拒めないだろう」と自然に腑に落ちます。 最小限の描写で、彼女が流されてしまう必然性を提示できているのが見事でした。 なかでも、繊細な作業をツェザリに褒められる場面は強く心に残っています。 同行を許されず「役に立たなかったのでは」と落胆した直後の承認であり、しかも読者は採取の過程として直前に体験している。 どれだけ努力しても平均止まりだと自認し、だからこそ優等生の面目を保とうとするオルガにとって、圧倒的な自由人であり天才であるツェザリからの評価は、抗いがたい甘い毒として作用したはずです。 また、その際の彼女の心理変化も巧みでした。「嬉しい」という直接的な表現や赤面などのわかりやすい身体的描写を避け、褒め言葉を反芻しながら自己の内省へと没入していく。 そして最終的に彼の傍らにある非日常的な日々の魅力を自覚することで、読者は彼女のそれまでの反応を「喜び」だったのではと着地させることができます。この感情の提示順序が実に鮮やかでした。 同時に、彼女が助手を引き受ける心理的動機にも納得がいき、まさに知りたかった心理描写が絶妙なタイミングで差し込まれた感覚がありました。 本編を通じて、オルガの感情描写には見事な一貫性があります。一人称の地の文において、呆れや不満は言葉として吐露されるのに対し、ツェザリに対する好意や照れは直接的な言葉で語られません。 例えば映画へ行く場面も客観的にはデートそのものですが、オルガの独白を文字通り受け取る限り、喜んでいるとは断定できない。しかし読者はこれまでの彼女の動揺を知っているため、「言葉通りの拒絶ではないのでは」とも読めるし、「実際に呆れている」と解釈しても論理が破綻しない。受容の幅を残した書き分けで、この表現の選択がキャラクターの心情の読解に奥行きを作っていると感じました。 オルガの好物を聞き出し唐突にアピールするツェザリは、一見すると不器用なアプローチをしているように見えます。 オルガが彼の真意を測りかねている傍らで、私も「好意だとは思うけど、彼女に執着する理由はなんでなんだろう?」と疑問を抱いていました。 しかし、首飾りを渡されるエピソードを見た瞬間冒頭の視線が結びつき、ほぼ一目惚れに近かったのだとハッとさせられました。 首飾りを巡る一連のくだりも、非常に味わい深く読み進めた部分です。 「似合っていた」という言葉を「彼は見たいものしか見ていない」と冷ややかに解釈し、しかしその後自分には不釣り合いだと感じつつも、どこかで彼の言葉に期待してしまう揺れが描かれます。 オルガはこのシーンのように、まず悪いことを先に置くことで自分にブレーキをかける理由を考える人なのだと思いました。 その背景には、自分を平凡な人間だと捉えていることもありそうです。努力していることさえ、彼女自身は能力の不足を補うために優等生ぶっているのだと説明する。 ビアリク先生が誉めていたように、恐らく彼女の自認と実際の評価は必ずしも一致していません(ビアリク先生が生徒をよく見ているいい先生だというのもあるでしょうが……)。 けれどブレーキをかけてもそれだけでは自分の気持ちを処理できない。 そのために、望みを認めるまでに一度遠回りする人物なのかなと、彼女の人となりを見ていて感じました。 パーティーでのシーンも、私が感じた設計意図と重なっているように感じられました。 彼女が首飾りを着用した真意は語られず、読者はその行間から感情を推察することになりますが、ユゼフの申し出に対する彼女の反応まで追うことで、この比喩的な対話の深みがより際立ちます。 ユゼフの言動もまた、直接的な愛好を口にせずとも本心が伝わる秀逸なものでした。 それでもなお、オルガ自身は「ツェザリに指示されたから」と言い聞きかせようと試みますが、私にはここまでの積み重ねの結果、それが素直になれない彼女らしい言い訳として響きます。 一人称の告白を読み進めながらも、真実を字面通りには受け取らせない語りの妙に魅了されました。 自習室にて、ツェザリの甘美で愛おしげな視線を寒気と評する場面。 流されてはならないという防衛本能の裏で、好きになれば苦しむと分かっている相手に抗えず惹かれ始めているオルガの危うさを感じ取れました。 映画がラウラの差し金だったという事実も面白かったのですが、ラウラがツェザリの好意をあっけなく明かした後のオルガの挙動が実に興味深いです。 彼女は「抽象的な話を、ひとまず抽象的なままにとどめておくことにした。」と思考を逃がそうとしますが、前後の対話も含めれば好意の存在は明白です。 ここも気づかなかったのではなく、自覚を回避するために見ないふりをしたのだと捉えることができ、心の描き方が繊細でした。 抱きしめてくるツェザリを描く際、「恋人に甘えるしぐさ」とも「お気に入りのぬいぐるみを抱くこどものよう」とも捉える一文が大好きです。この表現に彼の性質が鮮明に表れています。 その後のオルガの「考えても無駄だ」という言葉も突き放す意味ではなく、普通という型にあてはめるのをやめ、彼をありのまま受け止めようとする変化として読めるのが味わい深いです。 ツェザリが好意を明言して以降も、瞳と彼女自身を地続きに扱うツェザリの言葉に感性の異なる二人ならではの恋の空気を感じました。 印象的だったのは、ツェザリの嬉しそうな様子は地の文を通して描かれるのに、オルガの内心は最後まで「どうしようもない気持ち」としか名指しされない徹底ぶりです。 うつむく仕草や曖昧な会話など、単体では確定しない要素を二重に重ねることで、読者の読みでを導いていく見せ方の洗練された表現の巧みさに唸るしかありませんでした。 また、ラウラの存在が非常に心地よい清涼剤となっていました。「嫌なら毅然と拒絶すべきだ」と助言できる彼女の存在感は頼もしい限りです。 ツェザリとの関係を案じるオルガの吐露も、失うことを恐れる裏返しの不安から出ていると指摘する。オルガの恋する女の子としての側面を引っ張り出してくれるようで、彼女との会話には癒されました。 ラウラの「好きな間だけ一緒に居たらいい」という言葉は物語の総括のようで、短編として非常に気持ちのいい帰結でした。 ずっと一緒と決めつけず、先は分からないけれど今はお互い好きという着地点をとったからこそ、 この物語で二人の積み重ねてきた感情と結末がしっくりと噛み合っています。 このストーリーだからこそ美しく映える、最高の締めくくりでした。 ◆ツェザリとオルガ 会話に上がった異世界の生物を後から密かに調べて復習するオルガの生真面目さを感じられる描写が好きです。 こうした探求心や直向きさはツェザリの知的好奇心とも親和性が高く、瞳が気にいったからというのを超えてなぜこの二人が惹かれ合い、並び立つのかという必然性を補強しています。 天才と凡人という王道の枠組みに終わらない、二人ならではの固有の絆を感じさせるきめ細やかな描写でした。 番外編にてオルガへ魔法の施しをねだるツェザリの姿は、驚くほど無邪気な甘えん坊そのものでした。一方で、毅然とした態度で怒りを露わにするオルガの姿にはこの常識的な強さこそが彼を繋ぎ止めるために不可欠なのだと納得させられます。しかし、それまで傍若無人だった男がふいに見せる下手に出る態度は反則的で、思わず甘やかしたくなる魅力を放っていました。 オルガが意を決して意中の想いを口にしながらも、「困ります」と言い添えてしまう素直になれない生真面目さも可愛らしかったです。また、彼が自傷的・破滅的な行動に走らぬよう、悲しむ存在としてラウラやビアリク先生の名を挙げる場面も非常に美しい。それまで描かれてきた保護者二人との関係性が見事に結晶化する瞬間でした。 ラスト、眠りについたオルガを傍らにツェザリがラウラに向かって「僕は、君をここへ連れてきてよかったと思う」と呟くシーンも深い感銘を与えます。 ラウラへの謝意でありながら、その実オルガに対する最大級の愛情表現として響いてきました。 その言葉そのものがオルガとの出会いによって彼の中に芽生えた感情の変容を示しており、彼女の頬を愛おしげになぞる仕草も相まって、胸に迫るものがありました。 @ネタバレ終了 本作を読みながら感じたのは、言葉という檻で世界や人物を過剰に縛りつけることを慎重に避けていらっしゃるのではないか、ということです。地の文において安易な感情語を置かず、特にツェザリに対するオルガの情動が徹底して秘匿されているからこそ、読者は二人の関係性に深く想いを馳せることになります。 文章やシナリオ、UIや演出に至るまで、雑然としたノイズが美しく削ぎ落されており、十の説明を重ねる代わりに最も深く届く具体的な動作をひとつだけ置く。そして必要な描写は不足なくしっかりと残されている。そうした引き算の描写が作品の品格を高めていると感じました。 二人の変化が点ではなくいつの間にか状態が移っているように描かれる感覚や、割り切れなさを残したままこの二人ならこれでいいという納得感へ導かれていく過程も非常に魅力的でした。 無駄のない文章、感情を直接言わない語り口、余白を活かした画面構成、そして二人の未来を永遠と固定せず今はお互いが好きだから一緒にいるに留める結末。すべてが過剰に語らず、飾らないというひとつの美学で貫かれており、その洗練された世界観に深く感銘を受けました。 素晴らしい作品を体験させていただき、ありがとうございました!

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  • メロウの呪い(まじない)
    メロウの呪い(まじない)
    全エンド拝見しましたので、感想を認めにまいりました。 ◆画面・音・演出 タイトル画面の優しいメロディと小さな波の音が、もう最高でした……! タイトルロゴはXで拝見したときから、めーーーちゃめちゃお洒落で素敵だと思っていました。ゲームを起動して、波の音と一緒に眺められるとそれだけでうっとりします。 ゲーム画面のあしらいも本当に素敵でした。ディープブルーに、白黒のコントラストがはっきりしたタコの足の装飾。見た目は印象に残るのに、読み進める邪魔には全くならないというのがすごい……。題材を生かしたモチーフの選び方も、それを画面にまとめるセンスも大好きです。 音楽は音数の少ないシンプルなものが選ばれていて、おとぎ話をもとにした作品の雰囲気にとても合っていました。美しい旋律の曲が多く、聴いているとうっとりしてしまいます。 フロースが歌う場面も印象的でした。歌声そのものを流しているわけではないのに、SEの音選びによってあんなに綺麗な歌を感じられるんだなあと。音で何を想像させるかというところまで素敵です。 @ネタバレ開始 ◆物語とヴェル 序盤で、妹を探すという目標と、そもそも妹が今どういう状態なのかという謎が示される。そのうえでヴェル自身も陸へ上がるかと問われる。この道しるべの置き方が明確で、物語を追いやすかったです。 一方、フレルくんの「それ以外の状態だったときに、彼女の“何”を戻したいのか…」という言葉には、そんな状態まで想定しなければいけないのかと怖くなりました。 最後まで読んだ今では、その問いが何に繋がっていたのかもわかるのですが、初めて聞いたときはまず、妹がどうなってしまっているのかという怖さが先に来ました。 岩場へ上がる場面でヴェルが自分なら登れると言ったときも、タコの足だからかな? と思った直後に説明があり、疑問を解消してから読み進められるのがありがたかったです。 海の中で傷まないように本へ呪いをかけていた、というような、この世界の暮らしがちらっと見える描写も好きでした。人魚たちが普段どう生活しているのか、そういう細部から想像が広がります。 ヴェルは品がよくて控えめでしっかりもの、それでいて流されるままにはならない、好きな主人公でした! 自分の意思で陸へ行くと決めるところを、あえて選択肢にしているのも印象的です。「私の意思」とこちらにクリックさせることで、彼女の決断を見ているプレイヤーにもその選択への責任が渡されるように感じました。 穏やかな人だけれど、自分で物語を進めていってくれるのが気持ちよかったです。 あと個人的に姉属性が好きなので、妹ちゃんとの会話も好きです。 家族との距離感の描き方も好きです。露骨に悪意を向けられているというより、家族との間に距離があり、ヴェル自身も引け目を感じている。その近づききれなさに生々しさがありました。 彼女の抱える問題も、過去にどんなことがあったのかを踏まえて描かれているので共感しやすく、この子がこれからどうするのかを追いたくなります。 そして設定資料で見た、呪われる前の尾びれの瑠璃色が本当に綺麗で……。アスピッドルートで色の話を聞いたあとだったこともあり、失われてしまったのが惜しいと思ってしまいました。今の姿に引け目を感じている彼女を見てきたぶん、自分までそんなふうに思ってしまったことに、少し申し訳なさも覚えます。 ◆アスピッド 声をかけても気づかないヴェルの肩を、アスピッドが軽くたたいて呼ぶ。初登場の何気ない仕草から、二人の距離の近さが一発で伝わってきました。相手は王女なのに、自然にそうできる人なんだなあと。登場してすぐの動作で関係性がわかる描き方がお上手です。 ヴェルが陸へ行くと決めた際も、心配しながら彼女の考えを理解し、最後には勇気を肯定してくれる。心配・同意・肯定の全部が乗った完璧な回答でした。こんなふうに応じてくれる人がそばにいたら、心地よいだろうなと想像できるし、それと同時にこの先にこれが崩れるという予兆のように感じました。 ヴェルの考えをほとんどエスパーのように察してくれて、それは彼女の側からも同じ。昔話をして笑い合える安定した関係も含めて、家族との間に距離があり、友人も少ない彼女にとって、どれほど特別な人なのかがよくわかります。 そんなアスピッドが王子からもらったブレスレットを見て一瞬妙な顔をするところが、一つ目のターニングポイントだと思いました。 嫉妬に近いものなのかなとは思いつつ、この時点で本人がどこまで自分の気持ちをわかっていたのか、つい想像を巡らせてしまいます。 呪いのために結婚を諦めていたヴェルは、これまで男性との交流はあまりなかったんですよね。 しかし陸へ上がったことで自分以外の男と親しくしている跡を初めてアスピッドが見たのだとしたら、それまで出なかった反応が出るのもわかる気がしました。 まだ恋と名づける前の、仲のよかった半身が離れていくような寂しさだったのかな、とも。 一緒に遊び、競い合ってきたヴェルを、アスピッドが自分の前から絶対にいなくならない人だと思っていたという描写にも、なるほどとなりました。 それが、彼女が危険な目に遭い傷つく姿を見たことで変わっていく。心の強さまで否定したのではなく、彼女の強さにも及ぶ範囲があると知ったのかなと読みました。 対等に競い合ってきた相手に、自分より弱い部分があるのかもしれない。自分と同じものではないのかもしれないと知る。幼なじみへの認識が書き換わる契機だったのだと感じます。 だからこそ、それまで励ましてくれていた彼から「おれの言葉が、あなたを追い詰めていたのかもしれない」と出てくるところが苦しかったです。 アスピッドが後悔する理由はわかるのですが、彼の励ましがあったから自分の行動を後悔せず、前向きにいられたヴェルにとっては、その支えごと揺らいでしまう言葉でもある。しばらく会いに来るのを控える、あまり頑張らないでほしいという言葉まで含めて、彼女にはどれほど残酷に響くのだろうな、と。 そして実際に、会えなくなったことで頑張れなくなる。 そうなると、彼の励ましが無茶をする支えにもなっていた、というアスピッドの見立ても外れてはいないんですよね。 そこから、自分は何のために頑張っていたのかを考えるヴェルが印象に残っています。正義感や、呪われたことにも意味があったと思いたい気持ちに加えて、アスピッドに褒めてもらいたかった、尊敬され続けたかったという思いがあった。誰よりも自分を見てくれる相手に、よく見られたかったのだと。 そこまで辿ると、彼を理由にしてはだめだと思うことも、どうしてそばにいてくれないのかと怒ることも、どちらも彼女から出る言葉として納得できます。それだけに、あの選択肢が大切な分かれ道なのだと感じました。 彼を理由にしてはだめだと考える選択肢では、他人を理由に動き続ければ行動の責任まですべてその人に向けてしまうのだと気づく。そうやって自分を見つめ直せる姿にも、アスピッドが認めてきた彼女の心の強さが見えた気がしました。 普段は前向きなアスピッドが、任務でのミスや父親の言葉などが重なりガタガタと調子を崩していくところにも、ちょっと興奮してしまいました……。 会いに来た理由を「おれがあなたに会いたいと思ったので」と言い直すところも好きです。彼女が求めているからではなく、自分が会いたいから来たのだと言う。 序盤からの彼の変化を、こういう言葉の選び直しで見せてくれるのがいいなあと。 そして、婚約者の話をすればヴェルの心が揺れるとわかったうえで話していたのには、思わず前のめりになりました。 この性格の幼なじみが、相手をわかっているからこそ駆け引きの言葉を使うのが……! おいしい……! 「…わかるでしょう、アスピッドなら」という返答も、好感度によってその先の意味合いが変わっていくのが好きでした。わかってくれるはずの相手に向けた同じ言葉でも、わかろうとしてくれないと責める方向へ進んでしまうと苦しくて……。 そのまま怒りを重ねた先で「そんなこと言うならあなたがやってよ」という選択肢が出たときは、うわ~! となりました。ここまで彼に怒りを向ける選択を続けてきたから、この言葉が出てしまうことに納得できるんです。 王子を刺したあと、フロースは何を間違ったのか、こんなに簡単なのにと考えるところも、王子に対する情がなく、怒りで進んできたこのヴェルだからこその感覚なのだろうなと思いました。同じ行動でも、相手にどんな気持ちを持っているかで、そこへ至る難しさがまるで違う。 END2「冷たい海の涯」は、美しいエンディング曲と一緒に見届けると、何とも言い難い気持ちになりました。寂しいような、むなしいような、緩慢な孤独というか……。 アスピッドは途中で諦めたわけではなく、ヴェルを止めようとし続け、彼女が去ったあとも消息を探している。それでも彼女の気持ちは変えられないんですよね。 二つの結末を分けたものが、彼の言葉をヴェルがどう受け止めたかにあるように感じたので、アスピッドだけでは変えられないことだったのでは、と考えてしまいました。単純なボタンの掛け違いですらないようで、この先の彼に後悔はあるのか、あるなら何を思うのかまで覗きたくなります。 もう一方の分岐で、かつてなら彼女の考えがわかったけれど、今は自信がないとアスピッドが言うところにも、これまでと同じ二人ではいられなくなったのだと彼自身がはっきり認識しているのだと感じました。わかり合ってきた幼なじみを、自分とは別の人だと知った上で選びたいと手を伸ばす瞬間がここにもあるんですよね。 そのうえで彼の手を取る結末も、ただ自分の幸せを選んで終わるのではなく大切な妹と天秤にかけ、それでも選ぶ痛みが一緒に描かれているところがよかったです。 使命より自分の気持ちを大切にすることを、いたずらに肯定して終わらせず、何を手放すのかまで見せてくれる。その描き方がとてもしっくりきました。 それから、ここでエンドイラストが出たときは感動してしまいました! それまでスチルがないことは全然気にならずに読んでいたのですが、ずっとなかったところにぱっと一枚が出ると、やっぱり嬉しい……。枚数だけではなく、絞ってこの場面に置いたからこその印象の残り方だと感じます。 END1「あたたかな海の涯」では、移り住んだ先のカラフルな背景も、目にした瞬間に幸福が伝わってきて素敵でした。その幸福を少しの会話とともに見せてから、いつまでここにいられるだろう、いられなくなったらまた二人で旅立てばいい、と続く。手に入れたものと、捨ててきたものの両方がある終わりなのだと感じました。 恋人になっても様づけをやめないところも、かなり珍しくて好きです! 作者様にこだわりがあるのでは? とつい感じてしまうのは私がこの変化のなさを好ましく思っているからに他なりません。 幼なじみでありながら「ヴェル様」と呼ぶキャラクターの個性が最後まで貫かれていて、彼らしい独特の味わいがしてよいなと。 私は普段幼なじみという属性そのものに惹かれやすいほうではないのですが、ヨ氏さんが描かれる幼なじみの関係はやはり面白く読めました。 ◆フレル フレルくん、まずお顔が可愛いです。太い眉毛が好き~! 魔法使いという肩書きから、プレイ前はなんとなくヴェルより年上の人を想像していたのですが、実際に二人を見ているとヴェルのほうがお姉さんらしく感じました。年齢そのものは、この二人の間では些細なことなのかもしれませんが。 脚のどこが痛いかを聞かれ、見せたほうが早いとスカートを捲るヴェルと、動揺するフレルくんの場面がとても好きです。 物静かな彼が、そこで慌てるのがいい……! 人魚のアスピッドとは違う反応なのも面白かったです。 ヴェルが薬を塗る間、両脚を抱えて顔を膝に埋め、大きな尾まで体に巻きつけている姿も、想像するとめちゃめちゃ可愛くて。ものすごく小さくなっていそうでした。 そしてこの場面は単に可愛いだけでなく、二人には感性のの違いがあると序盤に示すエピソードでもあったのだと思います。 人魚のヴェルにとっては仮に与えられた脚なので、見せることに恥じらいはない。フレルくんが慌てたことで初めて、隠しておくべき場所なのだと気づく。このルートで後々考えることになる価値観の違いと、萌えるやり取りが一つの場面に収まっているのがお上手でした。 名前を尋ねられたり、呼ばれたりしたときにフレルくんの表情が緩むところも最後まで読んでから見直すとまた違って見えます。 これまでは頼られることがあっても、どこかで怖がられてもいた。 しかしヴェルはその距離を越えて、一人の相手として名前を呼んでくれたからなのかなと。 会える日時と場所を教えてくれるのも親切で、もしヴェルがほかの人のもとへ行っていた場合にも、彼は待っていてくれたのかなと気になりました。 別の用事のついでだった可能性もありますが、ヴェルがどう選んでも会えるようにしてくれていたのだとしたら、律儀というか健気というか……。 薬草採取を一緒にする間もずっと親切で、彼のものしずかな優しさにシンプルに萌えました。可愛い。 「孤独は、想像以上に心を蝕むから…」という言葉も、本人がそれを経験しているからこそ出てきたように聞こえ、実際その通りであり、ヴェルと惹かれ合うことにも自然に納得できました。 その優しいエピソードを重ねてから、血まみれの立ち絵を見せてくるタイミングもよかったです。 フレルくんがやったのだろうと察しても、まずは事情を聞こうとするヴェルは冷静ですし、フレルくんのほうも彼女が怯えていることに気づける。相手の恐怖に考えを及ばせられる人なのに、END2ではあの行動を取るのだと振り返ると、彼の中で何が優先されるのかを、また考えさせられます。 契約後、妹を連れて帰ったヴェルを家族が喜んで迎え、久しぶりに父に褒められ、姉妹たちと笑い合えるところも印象的でした。遠征から戻ったアスピッドにも褒めてもらえて、ああ、これは来たぞ、ここの場面で心残りを作るのか、と。 家族や幼なじみのいる場所と、フレルくんとその契約。 その二つを天秤にかけ、彼のもとへ行くほうに気持ちが傾かなければ、実を食べることはできない。 ヴェルはフレルくんのもとへ行くのを拒絶したつもりではなく、明日迎えが来てからでもいいと思っただけ。その認識と、彼にとっての契約との隔たりがあるのだと感じました。 食べればもう戻れなくなる実というところでは、ザクロの実が頭をよぎりました。 END2「因果応報」は、急にギアを切ってきた驚きはありつつも、不思議と怖いとは感じませんでした。 制約と誓約というか、約束を破ったヴェルへの罰については、彼の行動として納得するところがあって。 ただ、契約の当事者ではない姉妹まで殺したことについては彼の中でどういう扱いなのだろうと考えました。 ここからは私の妄言になりますが、フレルくんは姉妹をそれぞれ独立した相手としてではなく、ヴェルに属するものとして見ていたのかもしれないなと。 姉妹は、彼の基準に照らしても契約を破ったわけではない。姉妹自身を罰したのではなく、ヴェルを家族から切り離し、彼女に責任を取らせるために殺したのだとすれば、彼の中でヴェルの存在とはとても大きいのだなと。 このエンドは独特の倫理観で生きる別の生き物だからこその執着の形を感じられて、違う生き物との恋はこうじゃなきゃな……! と拳を握りました。 姉が殺されたあと、画面に血がじわっと広がっていく演出も、海の中らしくて印象的でした。 直接傷を見せるような表現ではなくても、凄惨なことが起きていると伝わり、匂い立ちそうでした。 一方、彼とずっと一緒にいられるのだと考えて実を食べるヴェルからは、ちゃんとフレルくんを選んだのだと感じられました。 移り住んだあとにフロースと再会できるのも嬉しかったです。アスピッドルートでは目覚める前に旅立っていたので、無事に生きて話している姿を見られて、よかったなあと。 ただ、また会ってくれるかという問いに笑顔だけを返すヴェルを見ると、もう会わないことを言葉にしなかったのかな、とも考えてしまいます。 そのあと、焦った顔でヴェルの腕を強く掴んでいたフレルくんには、彼女がいなくなることへの不安が見えた気がして可愛いですね。 自分の孤独を埋めるために一緒に生きてほしかったと話す彼に、ヴェルは自分も寂しかったのだと返す。フレルくんがずるいと自覚しながら持ちかけた契約を経て、二人が同じ寂しさを抱えていたと伝え合えるのが好きでした。 寄り添って生きることになった二人の結末が美しかったです。 また、ここでも出た「ありがとう。一緒に来てくれて。僕を、選んでくれて…」という選択という言葉がアスピッドルートに引き続きで印象に残りました。 ◆フロース フロース、好きです。可愛い……! ヴェルと画面に並ぶだけでぱっと華やかになる見た目も大好きでした。二人の色合いが対照的で、それぞれの可愛さが際立っていたと思います。 その天真爛漫さや自由さが、ヴェルを苦しめることもあるとわかるように描かれている。それでもやっぱり可愛いと思えるんです。短い描写からも、フロースが本当にヴェルを慕っていることが伝わってくるからなのだろうなと感じました。 彼女が王子に感じていたものは、自分に似た相手への特別な感情で、それを恋と取り違えていた。しがらみから抜け出すために人間になろうと、彼に愛されようとしていたのだと知ると、陸への憧れの見え方も変わります。 姉への思いも綺麗なものだけではなく、「姉さまの脚をみていると、自分が責められているみたいだったの」という感情があった。姉を慕う気持ちと、姉の姿を見ているのがつらい気持ちが同じ人の中にあるのが、人間らしいと感じました。 なぜその願いを抱いたのかというところに、こうした感情や欲がきちんと含まれている。それを明かしたからといって、彼女を悪い人にしてしまわない描き方が好きです。 これはフロースに限らず全員に共通する描き方で、物語そのものを信頼が高まりました。 フロースエンドでのフロースの決断にも、自分で魔法使いお契約をして陸へ行くことを選んだ彼女らしい思いきりを感じました。 そしてお揃いの脚になった二人が脚を絡める場面。 エッチな場面というわけではないのに、とても色気がありました……! 王子エンド3で、自分で城下町の働き口を見つけている姿も好きです。元王女で人魚姫という逆境があるのに逞しすぎる……! あの行動力は最後まで彼女らしかったです。 ◆メルテ様 メルテ様は、王子だな~! と感じた人でした。 ふわふわとしていて、拾ってきたヴェルにも気さくで一見王子らしくない振る舞いをしているようにも見えます。 けれどその実、血や地位に縛られ、立場もわきまえていて、そこから自由になれないと考えている。 その立ち位置が人となりや振る舞いに反映されているところが、たまらなく好きです。 私は王族には枷があってなんぼだと思っている節があるので、めちゃくちゃ好きな王子でした。 お顔の描き方も本当に絶妙です。真っ黒な瞳なのに、まつ毛と瞳の間の白が微妙~に光に見えて、顔色もいいから、ひと目で病んでいるようには見えない。 美しさと、何を考えているかわからない感じ。その間にあるデザインは、ヨ氏さんの絵だからこそ成り立つバランスなのだと感じました。下まつ毛の赤い色トレスも、すごく色気があって好きです……! 基本的に笑っていることが多いので兄王子を睨んだ際は、こんな顔もするんだなと目を引かれました。 自由に振る舞っているように見えるのに、研究者や探検家になりたかったと話したあとには、きっと許されないだろうと続く。自分の置かれた立場をわかった振る舞いをしている人なのだと感じました。 身分を示す入れ墨が首だけでなく、両手首や足にもあるとわかったときも、それはもう手枷足枷では……となります。ここから逃げて好きなことをすればいい、とは簡単に言えない立場なんですよね。 それでもヴェルが、なってしまえばいいと言い切るところが好きでした。 ヴェル自身、引け目や使命感を抱えながら誰かに憧れられるような自分であろうとして生きてきた人です。 それでも彼女からこの言葉が出たのは、王子の「自分がどう思うかを軸にすべきだ」という言葉に心を動かされたからなのかなと考えました。同じことを言った本人が、自分については諦めたように話すことに、腹が立ったのかもしれないな、と。 そしてヴェル自身も、これは誰かに言いたかったことをぶつけているだけなのではと気づき、謝る。 個人や感情を何より優先する人が無邪気に自由を勧めるのではなく、普段はむしろ立場や使命を重く受け止めているヴェルから、それでもこぼれた一言として描かれているところがとても好きでした。 閉じ込められている人がいたら助ける、というヴェルの返答も、ここまで見てきた彼女そのものでした。 妹やアスピッドに胸を張れる自分でいたいという気持ちは、それに頼りきってしまう危うさがある一方で、そういう自分になりたいと願うこと自体は悪いことではないのだと思います。 なりたい姿を自分に課すことは、そこへ近づこうとする力にもなる。自分に課してきた理想も、彼女の善良さと切り離せないものなのだろうなと感じました。 いつ怖い目に遭うかもわからないことについて尋ねられたときの、メルテ様の答えも好きです。怖くないとも、何も感じないとも言わず、怖い目に遭ってから怖いと思うと答える。 怖いと感じる人間らしさがあるのに、切り離している部分もある。 不気味の谷のように、全く想像もつかず共感もできない思考の相手より、少しだけ普通と感覚がずれているというほうが得体が知れなさを感じます。 立場があっても幸せになれるわけではないと言いながら微笑むことができるのに、その一方で声には元気がなく、ちゃんと消耗もしている。 そうしたひとさじの人間味まで含めて、彼の人物像は一貫しているように感じられました。 そのメルテ様の金髪からフロースを思い浮かべ、誰よりも何でも持っているはずの人も、そうではなかったりするのだとヴェルが考えるところも印象に残っています。彼を知ることが、妹もそうだったのだろうかと考えるきっかけになっているんですよね。フロースがメルテ様に自分と似たものを感じていたと知ったあとでは、ヴェルも彼を通して妹の境遇に目を向け始めていたのだなと思いました。 そんな読めない彼が赤くなって「やばい!降りて!」と慌てるのも可愛くて思わず笑い声が漏れました。 ヴェルが目を閉じたから焦ったのでしょうか? 途切れて聞き取れなかった「俺、…で…だ」も、結局何と言っていたのか、今も気になっています。 この時点で彼女にどんな気持ちを持っているんだろう、もう好意が芽生えているのかな、と考えるのが楽しくて仕方ありませんでした。 後半を知ってからだと、顔を覗き込んでいた行動にも別の意味が見えてくるので、ますます気になります。その後は王子のほうから呼び出されるようになるので、この一件が二人の関係の転機だったのでしょうね。 市場へ行った先でのやり取りも好きでした。 隙が多そうだと言われて「あは、そう見えるなら、それは良いや」と返す、その「あは」がめちゃくちゃ好きです……。そう見えるほうが都合がいい、ということなのかなと、含みを深読みしてしまいます。 かと思えば「俺のほうが多少全体的に長いよ!」と喚くのはめちゃくちゃ可愛い。変にうるさいとこ、可愛いですね〜……私ずっと可愛いと書いてますね。申し訳ない。 ヴェルが何か食べるところを見たかった、というのもそういう性癖なんですか……?と勝手な言いがかりをつけたくなります笑 実際は何かを確かめたかったのでしょうか? ほかの人にも同じことをしていたのかもしれないと気持ちをしおれさせるヴェルからは、もう王子に情が移り始めているのだと感じました。 一方で、二人の間で交わされる、助けた・助けられたという言葉にはおそらく噛み合っていない。 ヴェルは小屋から助け出したことを指しているけれど、王子が指しているのはそれよりずっと以前のことで……親しくなっていくやり取りを楽しみながら、彼の言葉に別の意味がないかを追うのも面白かったです。 そして、「刺す」の選択肢がひとつだけ出た瞬間は、めちゃくちゃ口角が上がってしまいました。 これをこちらに押させる、ある種の意地悪さが大好きです。 血を浴びたヴェルの立ち絵が変化していくところも印象的でした。陸に上がると人間に近い部分も変わるのかなと、テキストから薄々想像していたのですが、実際に目の前で姿が変わると本当に変わるんだ……!と(設定資料をみて驚きました)。 そこから王子がまくしたてるのが怖くてブチ上がりました。最高ー!! 冒頭でヴェルが呪われた経緯に出てきた「幼い子が泣き叫ぶ声」が何かの伏線だろうと気になっていたので、途中でメルテ様の母親が溺れたという話を聞いたときには、あの子は王子なのでは……と思っていました。その記憶が、母を殺して自分を救った、というあの言葉へ繋がっていく。 海から流れ着いたものを集めることも、人を助けて連れてくることも、すべては自分を救った相手を探すためだった。追ってきた謎の答えが、あの狂気の爆発と一緒に示されるのが素晴らしかったです。 読めなかった人が内側をさらけ出す瞬間も、さらけ出されてもなお理解しきれない相手なのだと思い知らされる瞬間も、とてもとてもいいものだと思います……。 同じ場面でも、低好感度のヴェルは恐怖でいっぱいなのに、好感度を上げて進んだ先では「怖い。恐ろしい。とても正気とは思えない。なのに、惹きつけられてしまう」となる。その気持ちにも、ものすごく説得力がありました。危ういのに妙に色気があって惹かれる男の描き方が、本当にお上手です。立ち絵自体に説得力があることと、そこへ重なる言動の積み重ねの両方があるのだろうなと思いました。 END1・2では、ヴェルは助けた女性が、化け物を見た恐怖から衰弱して亡くなっていたと知ることにもなるんですよね。 呪われるきっかけになった選択を間違いにしたくなくて、人を助け続けてきた彼女には、生き方の根元まで揺らぐような事実なのではないかと考えてしまいました。それをメルテ様は、自分が救われた出来事として捉えている。母親との間に何があったのかまで気になる言葉でした。 だからこそ、ハッピーエンドではヴェルはこの真実を知らないまま進むんですよね。この事実をヴェルが知ってしまえば、しこりになる可能性が大いにあるのかなと。 監禁エンドでは、迫られたときは恐怖でいっぱいだったヴェルが、閉じ込められたあとには怖くなくなり、会いに来てくれるのを待っているようにも見えるのが印象的です。 気づきそうになった何かを振り払うのは、彼を愛し始めている自分に気づきたくなかったのかな、と。 もしここから王子を愛したら人間になれるのか、それとも薬を飲んで人間の姿をしている間でなければだめなのか。愛してしまったのに人間にはなれないとしたら、それはまた地獄みがあってよいな……と、先のことまで考えてしまいます。 END2のタイトルの後ろに出る、檻の向こうのタコの足の画像も、ものすごくお洒落でエンド画像の中で1番印象に残っています。あの見せ方、大好きです。 このエンドを見てから好感度が上がる選択肢を選びつつもう一度読み直す王子ルートも、とても面白かったです! 海に関する本が多いという蒐集部屋に、ヴェルの境遇を思わせる物語がある。 彼の探している相手を思わせる話だから、手元に置いていたのかなと考えられます。読んだヴェルの顔色を見て尋ねた言葉まで、探りを入れていた可能性があるのかな、と。 顔をじっと覗き込む仕草も、ヴェルが自分の探している相手なのか確かめようとしていたと読めますし、市場での果物に対するヴェルの反応も、あの場では普通に会話が続いたけれど、彼にとっては手がかりになっていたかもしれない。 何かを隠しているキャラの、読み直すと新しく見えるものがある面白さがたまりませんでした。 END1「人魚の眼」では、人魚になったメルテ様が、えれーー美人でびっくりしました。 フロースと同じ色の瞳、ダイヤ形の瞳孔が華やかで可愛いのに、あの展開と一緒に見ると、どこを見ているのかわからない怖さもある。綺麗だからこそ、じっと見てしまいます。 王の証を彼が持っていることで、父や姉妹たちが納得している様子にも、フロースが窮屈だった理由を改めて感じました。大事にされていても、見られていたのは証だったのだなあと。 だからこそ、証だけでなく彼女自身を見ていたであろうヴェルを、フロースが慕っていたことにも納得します。 その結末を見たあとで「刺さない」が選べるようになったときは、ハピエンへの道が……! とテンションが上がりました。 王子ににとっても、ずっと探していた人と、それとは別に親しくなった人が同じ相手だったのだから、そりゃ離したくないですよね。彼にとって、こんなに都合のいいことはない。 その必死さがとてもよかったですし、「これでも無い頭ふり絞って考えたんだよ」という台詞には、思いがけず切なく感じて突然涙腺を刺激されました。 兄のほうが頭も体も上で、自分は何の脅威にもならないはずだと言っていた人から出る言葉なんだなと思うと、思った以上に自己評価が低い。この人は自分を諦めていたのだなと……。 そして問われるのが、人魚である妹を取り戻したいのか、それともどんな姿でもいいから会いたいのか、ということなのも、証だけをを取り戻した王子人魚エンドの反転になっていてよかったです。 父に言われたからではなく、自分が妹に会いたいから。そう選ぶことで、人魚でいたくなかったフロースを、彼女の望みに沿う形で取り戻せたのだと感じました。 ヴェルが人間になったことを、フレルくんの「本当に魂が流れこんだの、僕は初めて見たかも」という言葉と、それまでずっとあった脚の痛みが消えたことで伝える表現も語らずみせる奥ゆかしさを感じます。 二人は愛し合っている、と直接書くのではなく、この世界で何が起きればそうなるのかを読み手が知っているから伝わる。その表し方が素敵です。 結末でメルテ様が海辺で探し物をすること自体をやめたのも、本当にあの相手を求めて集めていたのだと、改めて感じられました。 スチルの使いどころという意味では、ほかの三人がエンドの場面なのに、メルテ様は刺されている場面なのが少し面白くて、でもものすごく納得のチョイスでした。絵としても場面としても、あそこは忘れられません……! ◆全エンドを終えて 人魚姫のモチーフや設定をしっかり踏襲しながら、独立した物語になっていて、プレイ中は元のお話との対応を意識するより、この人たちがどうなるのかを追っていました。 世界観や雰囲気が大切な童話モチーフの作品を、絵も画面も音も含めて、抜群のセンスでまとめられていると感じます。 中編でありながら、攻略対象がなぜヴェルに惹かれたのか疑問に思うキャラが一人もいなかったのもさすがでした。 特に好きなのは王子とフレルくんです。王子ルートは、彼自身の読めなさを物語の進行と一緒に追う形だったので、謎を知りたい気持ちと萌えの両方で先へ進みたくなりました。そして、あの開示場面が追いかけてきたものへの答えとして十二分に期待に応えてくれたので、満足度がとても高かったです。 ほかの苦い結末を見てからでなければ辿り着けないハッピーエンドがあることも、最後の嬉しさに繋がっていました。 全体を通して選ぶことが繰り返し大切にされていると感じたのですが、最後まで読んでからは何を選ぶかだけでなく、相手の何を選ぶのかを問う物語でもあったのかなと考えています。 序盤にフレルくんが尋ねた、妹の何を戻したいのかという問いが、最後にはどんな姿でもいいから会いたいのかという問いになって返ってくる。ここは、最初の問いが戻ってきた! 円環! となりました。 改めてフレルくんからヴェル自身の選択を確かめられることも含めて、すごく大団円を感じる流れでした。 この視点から振り返ると、アスピッドとの関係についても考えが進みました。 フレルくんルートでのヴェルは孤独を感じています。 初めはアスピッドがそばにいられない状況であったり、ヴェルにとって彼が自分と同じ存在だったから、一緒にいても別の誰かに孤独を癒してもらうことにはならなかったのかな、と考えていました。 しかし二人は孤独を感じさせないほど自分と相手の境界が曖昧で、だからこそ彼のルートで起きたのは一人ではなかったと知るというより、隣にいた相手は自分ではなくずっと別の人だったと知ることなのかなと。 アスピッドにとって、ヴェルは傷つくことも、限界にぶつかることも、自分とは違う判断をすることもある相手だった。その相手を改めて見つけ、同じものではないと切り離したうえで、もう一度一緒にいることを選ぶ。 互いを理解し尊敬し合っていた二人なので、その関係を揺らすものはほかのルート以上に外からやってきたように感じます。 だからこそ、一緒にいるために捨てるものも一番多くなったのかなと。幸福なエンドにも苦みが残ることまで含めて、色々と考えたくなる関係でした。 対してフレルくんとは最初から別の生き物で、考え方も違う。好意が深くなっても、彼の倫理観がこちらと同じものになるわけではない。それでも、寂しかったという気持ちは重なる。 アスピッドが、同じだと思っていた相手が違うと知る恋なら、フレルくんは、違う相手なのに同じものを持っていると知る恋なのかもしれない。この二つを並べて考えるのも面白かったです。 また、どのキャラクターにも綺麗なだけではない動機があるところが好きでした。 褒められたい、尊敬されたい、責められているように感じる場所から逃げたい、孤独を埋めたい。 そうした弱さやずるさを、だれの中にもあるものとして描いている。かといって、それがわかったから偽善だったと片づけるのでもなく、その気持ちを認めた先でどうするのかまで追ってくれるので、人物を身近に感じられました。 綺麗ではない動機を取り除いて正すというより、その欲も含めて何を選ぶのかを問われているように感じます。 人魚か人間か、美しい尾びれか蛸の足か。王の証を持つ娘、王子、魔法使い、従者。これだけ姿や役割がある中で、それと本人は同じなのかを何度も問い直しているように見えます。 与えられた姿や役割だけでなく、その下にある欲も含めて、自分はこの人と、この生き方を選ぶと決める物語だったのかなと。最後にヴェルが、証でも人魚の姿でもなく、フロース本人に会いたいと願うことが、その問いへのとても素直な答えに感じられました。 @ネタバレ終了 可愛い、綺麗、怖い、好き……と反応しながら読み進めて、結末を知ってからも、あの言葉はどういう意味だったのだろうと何度も振り返りたくなる作品でした。 素敵な物語をプレイさせていただき、ありがとうございました!

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  • イキリョウー南雲探偵事務所・怪異ファイル
    イキリョウー南雲探偵事務所・怪異ファイル
    『イキリョウ』、遊ばせていただきました! 公開前からSNSで南雲さんをお見かけしていて、「この方、たぶん好きだな……」と思っていたのですが、やっぱり好きでした笑。 遊び終えてみると南雲さんだけでなく、南雲探偵事務所のメンバー全員を好きになっていました! ◆画面・演出 まず、パキッとした蛍光グリーンのUIがお洒落でした! 鮮やかで目を引く一方、少し危険そうな雰囲気もあって、これからどんな事件が始まるんだろうと思わせてくれます。 最初にCHOOSE STORYを押して、チャプターを選ぶ形式なんだなとわかったのですが、各話のボタンにイラストがあるのも素敵ですね。ひとつのお話を読み終え、次の絵を見てから新しい章に入る感覚が、漫画やアニメを一話ずつ楽しむようで、この作品の雰囲気にとても合っていると感じました。 そして、場面に合わせて次々に出てくる立ち絵やCGの数々にびっくりしました……! 人物同士が顔を見合わせる様子まで、立ち絵の向きや配置でしっかり伝わってきます。 おんぶをしている姿やソファで寝ている姿にも専用の絵があり、この場面のための絵まであるんだ!? と何度も驚かされました。ソファで寝ている絵は二話のお兄さんの分まであって、ここにも! と笑。 電話をかける場面にも、それぞれ電話を持った差分があるんですよね。表情だけでなく、そのとき何をしているのかまで絵で見られるのが嬉しかったです。 依頼人から事件の説明を聞く場面でも、スチルで状況を見せてくださるので、その人が体験した出来事を一緒にたどるような臨場感がありました。 依頼人の立ち絵のリアクションも大きくて、立ち絵の動きやポーズそのものから個性が伝わってくる感じが好きです。 @ネタバレ開始 小物では、クラフトコーラの瓶のデザインがお洒落で可愛かったです! 終盤で皆さんが着るTシャツも、通販で買っていたものをここで着るのか~! と楽しみました。全員違うデザインなのも凝っていて、柄も可愛く、それぞれ見比べたくなりました。 お茶を淹れる場面で、注ぐ音がちゃんと水ではなくお湯の音だ!。と気づいたのも嬉しかったです。こういう細かな音の使い分けも好きです。 そして、ピザの宅配のお兄さんにもボイスがついていて、「ここまで声があるんですか!?」と驚いて思わず笑ってしまいました。 ◆物語・事件 それぞれ異なる霊能力を持った人たちが、その力を使って事件を追っていくところが特に面白かったです! 南雲さんは匂い、蔵良ちゃんは味と、霊感がひとつの感覚に特化しているので、同じものから得られる情報も違う。 この人には何がわかるんだろうと、皆さんが能力を使って調べる場面にわくわくしました。 ひとつの感覚に特化するという発想そのものが面白いですし、それを実際の捜査に生かせているのが良かったです。 序序盤で清尾さんの悩みを聞くパートは、生霊と死霊の違いの説明がすっと入ってきて、わかりやすかったです。清尾さんがどういう現象に悩まされているのかと合わせて、あっというまに世界観に乗ることができました。 また、各所でちょこちょこと出てくる、雑学をきっかけに広がっていく会話も好きです。ちょっとした雑学から会話の起点を作るのがお上手ですし、そういうときの説明のさせ方もわかりやすいんですよね。 雑学と雑談のつなぎ目が滑らかで、読んでいて面白く、そうした話を聞くのも楽しみのひとつでした。 一話で特に「お、来た来た!」となったのが、お茶からコーヒーの匂いがするところです。 いつも口にするものが知らないうちに何かに侵食されている感じがして、これは嫌だな……と。食べ物が侵食される怖さって、根源的なところに触れてくる気がします。 身近なものの変化だからこそ、自分の感覚とつながりやすく、自分だったらと想像してぐっと話に入り込みました。怖さが自分に届いてきたことで、ここからどうなるんだろうとテンションが上がった場面でした。 清尾さんのお部屋に家族写真らしきものが飾ってあったり、喫茶店で買った茶葉でお茶を淹れていたりするところも、普段の暮らしや人となりが少し見えて好きでした。 ご両親に挨拶に行くシーンでも、あの写真を思い出して、家族仲が良いんだろうなという予想が当たって嬉しかったです。背景の小物ひとつから、そういうことを想像できるのがいいですね! 探偵事務所の一階に喫茶店があるのも、鉄板の組み合わせですがやっぱり好きです! 手描き背景だからこそ、こうした細かな小ネタを仕込める良さも感じました。 ご両親の娘を想う気持ちが、守りになるかもしれないというお話も良かったです。人の想いが誰かを害するだけでなく、大切な人を守るほうにも働くかもしれない、というのが嬉しかったです。 事件ごとに、真相への近づき方が違うのも毎話違う楽しみがありました! 一話では恵利さんかと思ったら違って、お父さんの可能性も出てきて……と、容疑者が変わるたびに、では誰なんだろうと予想をしながら時間を追う面白さがありました。 一方、三話では生霊を飛ばしている相手はわかっているものの、その人が失踪していて、居場所を探すことに。同じ捜査パターンの繰り返しにならず、各話で違った展開が味わえて飽きることなく楽しめました。 一話のカレンダーでは、読むことに集中していたら不意に推理の選択肢が出てきて、少し慌てました笑。終盤のトランプの謎解きも最初は「えっわからんが??」と一瞬うろたえましたが、自力で解けてほっとしました。 一話では蔵良ちゃんの出番を顔見せにとどめているのも、構成が好きです。全員を一度に活躍させず、登場人物を整理して見せてくれたので混乱することなく順番に好きになっていけました。二話のチャプターイラストに蔵良ちゃんが登場したときには、「次は蔵良ちゃんのお話だ!」と嬉しくなりました。 細かいところになりますが、一話の最後でブロッコリーを食べる口元のカットインが入り、初めはわざわざ絵があるのってどういう意味なんだろうと疑問に思いました。 しかし二話で蔵良ちゃんの能力がわかったところで、あの絵はそういうことだったのか~! と大変納得すると同時に良い伏線だなあと感じました。能力を説明する前に口元の絵を挟み、次の話でその意味がわかるようにしているという演出が良くって、プレイ後にも印象に残ったカットとしてよく覚えています。 終盤でブレスレットが届く直前に、霊感のある皆さんが一斉に反応するところも好きでした。 それぞれ違う感覚で、同時に異常を察知する姿に、能力を持った人たちが集まっているんだなとわくわくしました! 冒頭の神社での振る舞いが、後の調査のヒントになるところも印象に残っています。三話の終わりで出てきた南雲さんの手話も、これは……伏線だな!? と思っていたら清尾さんにクイズの答えを教えるために使われて、あれをここで使うのか~! となりました。 また、逃げたIZUMOさんの捜索を警察に託すところは、個人的にかなり好みでした。 霊能力を使った捜査を楽しんできたうえで、逃走した相手の捜索は警察に任せる、という現実的な判断をしてくれるのが良かったです。 それぞれの領分で動いていると感じられる、こういうしっかりしたリアルさは好きです。 ◆キャラクター 私にとって、この作品でいちばん大きな魅力だったのは、メインキャラクターの皆さんの描き方です。南雲探偵事務所のメンバーを全員好きになれたことが、物語をグングン読み進める大きな力になっていました。 お互いをいじったり、いじられたり、呆れたりしているやり取りは、終始楽しく見ていました。 「人口密度が4人を超えると勝手に出前を取るクセ」のような、細かい面白セリフが多く、普段からこんな調子なんだろうなと想像できる話も好きです笑。 皆さん賑やかですが、事件に向き合うときにはそれぞれの能力を使って頼りになるところも良かったです。誰かが足を引っ張って危機を招くこともなく、ふざけているときの可愛さと仕事をしているときの頼もしさの両方を楽しめました。 ・南雲さん やはり一番好きなのは南雲さんです! 初登場でまず印象に残ったのが声でした。 いい声だな……と思っていたら、バイクで登場する姿もかっこよくて! 1話での彼の彼の印象はかなりカッコいい寄りだったのですが、どんどんおもしれ―男になっていき……。 話し方は初対面から敬語も丁寧語も使わない人なんですが、不思議と失礼な印象はなく、相手を気遣う言葉も自然に出てきて基本的にとてもいい人なんだなと感じられるバランスが絶妙だと思いました。 その一方で、清尾さんのお父さんに初手でビンタされるスチルには笑ってしまいました。ビンタの音にエコーまでかかっていて、絵だけでも面白いのに、音でもさらに笑わせにくる……! お父さんも、誤解がわかればちゃんと謝れるところが良かったです。 清尾さんに惚れる前と後の両方を見られるのも楽しかったです。一話では、リアクションは大きいものの基本的にはクールでいい人で、公開前に抱いていたイメージと少し違うかも? と思っていました。ところが清尾さんに惚れてからは、想像していた通りの南雲さんになって、この人、恋をするとおかしくなる人だ……! と笑ってしまいました。二話以降、恋に振り回されているのが面白可愛かったです。 カラオケから帰ってきたときも、辱められた乙女みたいになっているなと思ったら、清尾さんの歌をかみしめていたとわかって、そっちだったのか! と笑。 二話でずっと猫を探しているのもなんだか可愛くて、清尾さんの手作りハヤシライスを食べられたときには、よかったね……! という気持ちになりました。 普段のクールないい人ぶりと、恋をしているときの面白可愛さのバランスが、とても好きです。 ・清尾さん 適度な行動力と控えめさのある、素直でいい人な主人公でした。清尾さんも好きなキャラクターだったので、最後に南雲さんとカップルになったのが大変おめでたく、全力で祝福できました。 ぺこっとお辞儀する立ち絵が可愛かったです!  左下のメッセージ横立ち絵にもかかわらず、ちょっとした仕草まで見られるのが嬉しく印象に残っています。 南雲さんと初野ちゃんが漫画のネタで盛り上がっている横で、よくわかっていない清尾さんも好きでした。 周りは楽しそうにやり取りしているけれど、本人は元ネタを知らない、というあの感じが可愛くて笑。こういう、オタクではない方の反応が好きです。 また、幸田さんから、罪を償ったら友達に、と言われたときに、「それは、難しいですね」とはっきり答えてくれたところは安心しました。相手の話は聞いても、その後の付き合いについてはきちんと断ってくれたのが良かったです。 ・初野ちゃん 最初の巫女姿と、事務所に来てからの印象がずいぶん違って驚きました! 明るくて、騒がしくて、ちゃっかりしていて、それでいて有能でいい子なのが好きです。こういうキャラクターはトラブルメーカーとして置かれることも多い印象なのですが、初野ちゃんはずっと有能で、足を引っ張る役にならなかったのが良かったです。賑やかなやり取りを楽しませてくれるだけでなく、事件では頼りになるところも嬉しかったです。 だからこそ、三話で怯えているスチルが出たときには、あの初野ちゃんがこんな顔をするなんて、何かまずいのかも……と感じました。普段の明るさを見てきた分、あの表情がとても印象に残っています。 ファンだったIZUMOさんの正体がわかってから、ずっとショックを引きずって、ぴーぴー泣いているのも可愛かったです……! 本人には気の毒なのですが、泣き顔のパターンが多彩で、まだ立ち直れていないんだなというのが、その都度伝わってきました。「ずっと泣いている」をいろいろな表情で見せられる、差分の豊かさがあってこその表現だなと感心しました。 ・蔵良ちゃん いわゆる口の悪いタイプのキャラクターですが、不思議と不快に感じる場面が一度もなく、ずっと可愛かったです。遠慮なくズバッと言う、その口の悪さも含めて可愛いと思えたのが印象に残っています。探偵事務所には優しい人が多いので、蔵良ちゃんのはっきり言える性格が、皆さんとのバランスとしてもとても良かったです。 恵利さんに対しても遠慮なく言ってくれるところは、頼もしかったです笑。かと思えば、ロイヤルミルクティーが飲みたいとわがままを言うところも可愛くて、こういう日常のやり取りも好きでした。 蔵良ちゃんは、カットインの綺麗さにも惹かれました。特に妹さんの手を取る場面は、手がめちゃめちゃ綺麗で……! 顔だけじゃなく手元も美人なのか! と、イラストが印象に残っています。 ・恵利さん サブキャラクターでは恵利さんが一番好きでした! SNSでお見かけしたときから、性格のきつそうな見た目が好みだったのですが、登場したら性格も高飛車で、やっぱり好きなタイプの方だ……! となりました笑。高飛車な女性が好きなので、あの感じがとても好みでした。三話のチャプターイラストも可愛くて、再登場が嬉しかったです。 恵利さんの場面では、カードケースを持つ手元のカットインがとても好きでした。「アタシも電話ローラー、手伝ってもいい…?」という台詞とあの手元が一緒に表示されるだけで、どういう気持ちから出た言葉なのかがすっと伝わってきました。 セリフの意図を文章で補足しなくても伝わりますし、読者が想像するところを文章で先回りしないのが、とても良かったです。あの台詞に添える絵として、演出の補助が的確だと感じました。 その後、恵利さんから昇さんの居場所がわかったという電話を受けたときの、事務所の皆さんのスチルも良かったです。少し上から全員を見渡す構図で、カメラの位置もそれまでより少し近いのが印象的でした。 それ以上に、居場所が判明して「事態が変わった」という切り替え地点にあの一枚が入ったことが、大きかったのだと思います。画面が切り替わることで、物語が動いた感覚が伝わってきました。この短い場面のために一枚描くのは手間だろうな……と思うのですが、実際に効果を感じたからこそ、あえてここにスチルを用意してくださった手間暇が素敵だと感じました。 電話のときの恵利さん(と葉月さん)のデフォルメイラストも、ものすごく可愛かったです! 小さな絵なのにめちゃくちゃ好みで、グッズにしたくなってしまいました……。 最後には可愛いところも見られて嬉しかったです。昇さんとは、この先よりを戻すのかな……? どうなるかはわかりませんが、ふたりがまたいい関係を作っていけるのなら、それは幸せなことだなと思います。 ほかでは、IZUMOさんのキャラクターデザインも良かったです! ◆エンディング エンドロールで各話の登場人物が一言ずつコメントしていくのも良かったです。事件を振り返りながら、関わった人たちにエンドロールのその先でもう一度会えるようで嬉しくなりました。 エンディングテーマの歌唱もスカさんが担当されていて、歌もお上手でびっくりしました……! そして最後、南雲さんがちゃんと自分から告白して、清尾さんにも応えてもらえたのが嬉いと同時に、南雲さんが元気いっぱい叫んでいる姿に笑ってしまいました。 おめでとうございます! お幸せに! お付き合いが始まってからも、南雲さんにはぜひ事務所のふたりにばっちばちにいじられていてほしいです笑。 清尾さんの言動に一喜一憂する南雲さんと、それを見ている皆さんのやり取りが、まだまだ想像できてしまいます。 @ネタバレ終了 それぞれの能力を使った捜査にわくわくしながら、南雲探偵事務所の皆さんの頼もしいところも可愛いところも、たくさん楽しませていただきました。 遊ばせていただき、ありがとうございました!

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  • 梅見月会長の華麗なる一日
    梅見月会長の華麗なる一日
    妄想乙女ゲー攻略対象化計画の関連作品を遊んでいるうちに、梅見月会長のことが気になって仕方がなくなり、こちらもプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 開幕から梅見月会と桜夢副会長という、タイプの違う美形男子二人がアップで登場しいきなりどぎまぎしてしまいました。並んだお二人を見たかったので嬉しかったです! 会長にさらっと「可愛い」と言えてしまう副会長との会話から、二人の距離感やそれぞれのキャラクターがすっと伝わってくるのもよく、全体でもこのイントロがとっても好きなシーンのひとつです。 そして、子猫ちゃんが本当に猫ちゃんしていて可愛かったです~! 穂月こはるさんによる鳴き声は、そのときどきの感情がきちんと伝わってくるのに動物としてもまったく違和感がなく、つい耳を傾けたくなりました。メッセージウィンドウ横で、喜ぶとお耳としっぽがぴこぴこ動くアニメーションが細かく付いていたのもたまりません。眺めるたびににこにこしてしまいました。 おまけ画面でも、オンマウスするとにゃんにゃん鳴いてくれるのが可愛くて、用もないのに何度もマウスを乗せてしまいますね……! 午前と午後で会えるメンバーが変わるため、次はどこへ行こう? と考えながら学園内を巡るのも楽しかったです。他作品でお会いした皆さんの姿も見られ、それぞれの反応から細かな発見がありました。 頬を染める恋斗くんはとても可愛かったですし、断ったときには顔に傷が付くなど、選択に合わせてグラフィックが変わることにも驚きました。 武彦くんの「この子が怖くないから」という言葉は霊感と関係しているのかな、あきらくんの「?」という反応を見るに、そのことを知らないのかな……など、これまで遊んだ作品で知ったことを思い出しながら読める楽しさもありました。 まこちゃんとの場面では、「梅見月会長にも苦手な人がいるんだ!?」と、意外な一面を見られて嬉しかったです。陽ちゃんへの振る舞いには「なんてことをするんだ……!」となりつつ、二人と別れた後の会長の呟きから人前とそうでないときで会長の態度が少し違うんだなと気づきました。 最初に一緒にいたのが副会長だったので気が付きませんでしたが 、副会長の前ではそれだけ素に近い顔を見せられるだと思うと絆を感じられて良い関係だな〜! とと思いました。 また、会長を前にしたすがりくんの反応も、会長信者だと伺っていたぶん「これが実際の……!」と嬉しくなりました。 そんなすがりくんの隣で、ちょいちょい会長をいじる副会長もとてもよかったです。この二人に挟まれている会長、すごく好きです! ほかにも、揃ってむきむきな塁くんとキウイくんに目を奪われたり、有弾院先輩の怒りんぼなところをここでも発見して好きだなーと思ったりと、短い会話の中にもそれぞれらしさや発見が詰まっていてくまなく校内を回ってしまいました。 そろそろ全員と会えたかな? と感じたあたりで選択肢が一つしかった箇所を怪しみ、もう一度行ってみたところ、無事に会長に飼ってもらうことができました! ちょうどよいタイミングで辿り着けたので、「やったー!」と猫ちゃんの気持ちになって喜んでしまいました。 エンディングで、猫を飼うために奮闘する会長のイラストがはちゃめちゃに可愛かったです! 普段は隙のなさそうな会長だからこそ、慌てているところがちらりと見えるとたまりませんね……。猫ちゃんと末永くお幸せに! さらに驚いたのが、きっちり乙女ゲームモードまで完備されていたことです! 第三夜の会長のスチルがめちゃくちゃ綺麗で、美人……! 紫色の光が乱反射するような画面が会長の色気によく似合っていて、右手のあたりで髪がくしゃっと乱れているところも好きでした。そして、このスチルを見て改めて気づきましたが、会長、唇がセクシーですね……! スチル閲覧モードにも、本編で見たものだけでなく描きおろしが混ざっていて、ここまであるの!? とびっくりしました。しかもボイスまで付いているという豪華さで、思わず商業ゲームか?となりました。 眼鏡姿の会長もめちゃめちゃ似合っています。眼鏡会長、大好きです! 穏やかに子猫の里親を探す可愛いゲームだと思っていたところへ、本編以外にもたっぷり楽しめるものが用意されていて、作者様のサービス精神に驚かされました。 崇められている会長と、副会長を相手に素で話しているように見える会長。 真逆の姿にそれぞれ別の萌えがあり、私はどちらか片方だけでは満足できなかったのだと思います。 その両方をたっぷり見られて、気になって仕方がなかった会長にようやくお会いできた!」という喜びでいっぱいです。 @ネタバレ終了 楽しく可愛く、ときめきもたっぷりの一日を過ごさせていただきました。素敵な作品をありがとうございました!

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  • 劇愛ユーサネイジア
    劇愛ユーサネイジア
    リュネット研究所さんのゲームを遊ぶのは、本作で4作目! 今回はどんな展開が待っているのだろうと、楽しみに始めました。 もう冒頭の数文から雰囲気がとても良かったです。簡潔で美しい地の文と椿さんの独白、細かく入れ替わるカットイン、名前の呼び方でキャラクターがわかるルート分岐の選択肢。特殊な設定も最小限の説明ですっと頭に入り、一気に物語へ連れていかれました。この時点で「これは絶対に面白いぞ!」とワクワクしました。 アイキャッチや注意事項の画面も、色数を抑えたレトロな椿の意匠で統一されていて素敵でした。背景に重ねられたヘリンボーンのようなテクスチャも作品の空気によく合っており、画面を眺めているだけでもうっとりしました。フォントの選び方やフェード、ルビの入り方なども読みやすく、文章を読むうえで細かなストレスがないのもいつも通り大変嬉しいポイントでした。 @ネタバレ開始 最初は妹ちゃんルートから。登場したばかりの椿ちゃんは、お嬢様らしいわがままさと気の強さがバチバチに出ていて、いきなりかわいい!となりました。 酔った清嗣さんが椿ちゃんをアヤネさんと間違えて抱きしめる場面では、清嗣さんとアヤネさんは恋仲だったのか、それとも清嗣さんの片思いだったのかと気になりましたが、まさかの二十年もの片思い……! 想像以上の執着でした。修羅になると決めながらも、母親と重ねられることだけは嫌だという椿ちゃんの感情も理解しやすかったです。 まずは過激そうな選択肢から進んだのですが、椿ちゃんがお母さんのふりをし始めた瞬間には「あっ!」と声が出ました。重ねられることをあれほど嫌がっていた椿ちゃんが、それでも自分の望みのためにこの手段を選ぶ。その行動には、歪んでいても彼女なりの覚悟を感じました。END1は、ふたりの行く末を思うとぞくぞくする結末でした。 もう一方の展開では、椿ちゃんとカヤちゃんが悪だくみを進めるコンビ感が、だんだん癖になってきました。そして清嗣さんの婚約者のお名前! ここで清嗣さんの駄目なところが一気に見え、椿ちゃんの評した「意気地がなくて、傲慢」という言葉にも納得。だからこそ、その後に待っていた結末もしっくりきました。 END2では、三者三様の苛烈な女性たちをたっぷり堪能できました! なかでも、成長した椿ちゃんの女主人ぶりがすさまじく、かっこよかったです。屋敷を出た後に積んだ経験があるからこそ、ここまでできるようになったのだろうと思えるのも良かったです。お嬢様ぜんととして登場した椿ちゃんが、主導権を握る女性へ成長した姿は、事前に想像していた以上に好みでした。 兄としての清嗣さんは、お母さんへの想いを長年抱えながらも、それを露骨に表へ出していたわけではありません。そのため、最初は妹にも執着されて大変だな……と思っていたのですが、読み進めるほどに本人の駄目なところがぼろぼろと出てくる! その欠点が物語の展開にもきちんとつながっていたので、ただ可哀想なのではなく、ほどよく因果応報を感じられるところが面白かったです。 続いて、お姉さんルートへ。椿お姉さまは妹ちゃんよりもさっぱりとした男前な話し方で、清嗣さんもこちらではだいぶおもしれー男になっており、印象ががらりと変わりました。お父さんのことなど、物語の土台となる設定には共通する部分があるからこそ、ルートごとの違いがいっそう際立って見えたのも面白かったです。 椿お姉さまは、子どもの頃から本当に男前。生まれたばかりの清嗣さんを救った経緯を知ると、彼がお姉さまへ執着するようになるのも、そりゃそうだよなあ……と(読み進めながら思っていたらあとがきでも言及されていて嬉しかったです)。 体に椿の花が咲くようになった事情も妹ちゃんルートとは異なるようで、その違いがどこへつながるのか気になりながら読み進めました。 絢音ちゃんと清嗣さんの仲が進展しているように見え、少しずつ揺らいでいく椿お姉さま。そして「この屋敷で絢音と夜を過ごす」ところまで想像し、ついに決壊してしまう姿には、そうだよな~! 最初にきりっとしていた女性は土壇場で崩れるよな~!と大いに納得しました。 それにしても、最初からふたりをくっつけるために動いていた絢音ちゃんは怖い! 十六歳とは思えない肝の据わり方でした。作家らしい狂い方だよ……。 忠嗣さんが予想以上にまっとうに椿さんを心配してくれていたのも嬉しかったです。人を褒めるのが得意というのも、とても素敵な特技だと思います! END3は、先に妹ちゃんルートで倫理観を揺さぶられたせいか、ものすごくまっとうなハッピーエンドに感じました。イントロでは拗らせた弟なのかと思った清嗣さんが、執着を抱えながらも一線を越えない行動を取ってくれたため、ふたりの距離感を気持ちよく見守れました。想いが通じてからは、素直にお幸せに!、と応援できるふたりでした。 もう一方のルートでは、私も椿さんと同じく、清嗣さんは喜んでジャムを口にすると思っていました。そのため、難色を示したことが意外で、何かあるのだろうかと気になりました。 これは妖の気配を感じ取っていたとか、姉を攫っていってしまう予感とかそういうものだったんですかね。 そこから辿り着いたEND4は、ルートの推奨順があのようになっていたのがよくわかる内容でした。 設定について最後まできっちり説明してもらえるので、疑問を残さず、とてもすっきりと終わりを迎えられました。プロローグの文章がEND4でもう一度現れ、最初と最後が円環になっているのも美しかったです。椿の精を経て生まれ変わり、兄弟ではなくなったことで、いろいろと捻じ曲げれば籍も入れられるようになったのか……!と、設定の行き着く先にも驚きました。ここでも忠嗣さんがいい人で、最後まで好感度が上がり続けました。 椿お姉さまは、さっぱりとして行動力のある人だからこそ、感情が崩れた瞬間がとても印象に残りました。生まれたばかりの弟を救い、家への感謝を抱き、最後には自分の存在も記憶も世界から消してまで身を捧げる。とても献身的な人だと思います。こういうお姉さんを力づくで引き止める年下男子との関係がとても好きでした。 弟の清嗣さんも、プレイ前の予想よりずっとちゃんとした人でした。欲を含めた想いを必死に押し込めている姿や、好きだと口にしなければ自分が壊れてしまうという危うさなど執着する人物でありながら、好感を持って見届けられました。 バランス感が絶妙でとても好きな執着弟でした!! エンドコンプリート後のタイトル画面変化後のイラストもとっても素敵でした! エンドリストからそれぞれの解説を読めるのも嬉しく、プレイ中に私が感じていたことにも触れられていて、何度も頷きながら読みました。 @ネタバレ終了 愛憎を描いた兄弟間の禁断愛ということで、始める前は少し身構えていました。しかし、キャラクターがなぜその行動を選ぶのか納得でき、倫理の扱いにも配慮されていたので、最初から最後まで楽しく遊べました。妹ちゃんとお姉さま、それぞれの強さと弱さのバランスも絶妙です。骨格のしっかりしたシナリオに、攻撃力と防御力の両方を兼ね備えた作品でした。 とても面白かったです! 今回も素敵な作品をプレイさせていただき、ありがとうございました!

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  • ふんどしメモリアル#妄想乙女ゲー攻略対象化計画
    ふんどしメモリアル#妄想乙女ゲー攻略対象化計画
    「妄想乙女ゲー攻略対象化計画」のキャラクターたちに一度に会えるということで、皆さんをもっと知るための入門として『ふんどしメモリアル』を遊ばせていただきました! ……が、入門編と呼ぶには、あまりにも魔境すぎたかもしれません笑 噂にたがわぬ濃さと勢いで、最初から最後まで大いに笑わせていただきました。 @ネタバレ開始 まず、ヒロインであるイオンちゃんの苗字が「ジャスコ」という時点で、開始早々このゲームがどういう作品なのかを叩き込まれた気がします。イオンちゃんは恋する乙女という言葉だけでは収まらないほどパワフルで、あらゆる場面で激しくボケ倒していくデンジャラスガールでした。 最後には自らガッと襲いにいき、力強くハッピーエンドをもぎ取っていく剛腕ぶりが素敵です。 安心して一緒に老いを重ねられる彼氏ができて良かったね、イオンちゃん……! ふんどしくんについて何も知らずに始めたので、「老人ホームのボランティアには必ず行く」「女性の教頭先生が退職したときには、泣きながら花を渡した」という優しいプロフィールが、まさかの性癖由来だとは思いませんでした。 熟女を愛する人だと判明する前と後で、それまでの会話がまったく違って見えてくるのが、何も知らずにプレイした故の楽しさでした! オールクリア後にもう一度冒頭へ戻ると、恋斗くんの「あんまりにも美化しすぎてる」という言葉にも心の底から納得できました。END1は……40年かかっちゃったか……! これだけ大勢のキャラクターが登場するのに、短い出番の中でそれぞれの濃さがしっかり伝わってきて、ネタの詰め込み方がすごかったです。 台詞だけでなく、突然の激しい動きや登場の仕方、音の使い方まで、あらゆる方向から笑わせにくるので油断できません。いまだに耳に残るプロテインをふるシャカシャカという小気味良い音……。 ちょっとしたアニメーションもキャラクターの印象によく合っていて、次は誰がどんな姿で現れるのかと、会いにいくたびにワクワクしました。 全員に会ったあとで登場人物紹介ページも読ませていただきましたが、こちらだけでも楽しかったです! リンクが完備されているのも、これだけの人数がいるので本当に助かりました! ・すがりくんと恋斗くん イオンちゃんの猛烈な恋心に押されて「どうしよう……」「どうしようもないよ……」となりながらも、なんだかんだ協力してくれるのが優しい……! 「宝くじ&埋蔵金&ツチノコを合わせたくらい確率が低い」という、すがりくんの容赦ない評価には笑いました。あまりにも厳しい言葉ですが、否定できないのが悲しい……。そして、身長が5mあるという情報を当然のように出されるのにもびっくり。 出会う人々があまりにも濃いため、サイズ以外は比較的常識的な二人のところへ戻ってくると、妙な安心感があって癒されました。 ・武彦くん 糸目のお顔立ちがとても好みです! イオンちゃんからの扱いが少々悪く、そこはかとなく漂う不憫な気配も気になるところ。そんな印象で見ていたところに、突然のう〇みちゃんの目! 驚きと笑いが一緒に来ました。 ・六先輩 虫絶対殺すマンでありながら、きょろんとした可愛いお顔なのが良いですね。 いただいた食虫植物が、イオンちゃんのもとで普通に大活躍しているのにも笑いました。会長とのスチルでは、思わずメッセージウィンドウを消してじっくり鑑賞。可愛らしい六先輩と、周囲に従えた凶暴なお花とのギャップがたまりません。 ・会長 眩しすぎて姿が見えない時点でもう好きでした。「世界一美しい懐中電灯」という表現もめちゃめちゃ好きです。別の場所でお会いしたときにも惹かれた方なのですが、今回もやはり好きだったので、いよいよご本家様へ会いにいくしかない……! 副会長に続き、会長までイオンちゃんからはストレスが溜まっていると判定されているようで、この学校の生徒会執行部は本当に大変そうです。 ・えいじ先輩 会長と敵対しているという立ち位置が面白い美形の先輩。 この学校でなんとか正気を保っていそうな様子が、かわいそうでもあり可愛くもありました。 召喚獣のあひるがいるくらいなら、この世界ではもう十分に愛嬌の範囲ですよね。 ・葉詩くん 音楽室の額縁に住んでいる後輩……という時点で、頭に疑問符がいくつも浮かびます。イオンちゃんから「恥部をボロンした」というあまりにもひどい言いがかりをつけられたのに、それでも彼女を庇ってくれる優しさよ……。額縁に住んでさえいなければ、本当に普通の良い後輩なのに……! ・那寿菜先輩 動きの激しさと軽快な音楽、さらに動いている理由まで合わさって、とにかく愉快な方でした。 何があってもめげない全肯定男子ぶりも好きです。 そこへ突然現れる「殴る」の選択肢。あれは選びたくなってしまいます……ごめんなさい! 場面をさらに賑やかにしていた音楽もお気に入りで、あの動きと一緒にいつまでも聞いていたくなりました。 ・まこちゃん 何を言っているのかわからない文章にも謎の勢いがあり、そこから突然意味のわかる会話へ切り替わる瞬間が妙に好きです。 キャラクター紹介を読んだあと、ご本家の情報も拝見しにいったのですが、待っていたのは想像以上の世界。 震えながら帰ってきました。 ・陽ちゃん イオンちゃんへ協力してくれる女友達ポジションの子がいたのが、新鮮で嬉しい! 本人はふんどしくんのことを少し苦手そうにしているのに、イオンちゃんの恋を無理に止めず、適度な距離から見守ってくれている。その距離感が良い子だなあと思いました。 ふんどしくんへのちょっぴり辛辣な態度もクールで好きです。 ただ、陽ちゃんが動揺していた会話がどういう意味だったのかは掴みきれず……。あの反応は何だったのか、気になっています。 @ネタバレ終了 あまりにも濃い人たちが次々と現れ、何が起こるのかまったく予想できないまま駆け抜けた三つのエンディングでした。ギャグに振り切った作品ならではの勢いが最初から最後まで途切れず、これだけたくさんのネタとキャラクターを一作の中で楽しめたことにも大満足です。企画への入門どころか、気になるキャラクターがさらに増えてしまいました! たくさん驚いて、たくさん笑える楽しい作品を、プレイさせていただきありがとうございました!

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  • 金青町雑屋日録
    金青町雑屋日録
    全エンドを見終えたので、コメントを書きにまいりました! 起動して最初に流れる曲が切なくもシンプルで、ウィンドウのひらがな+ドットフォントとも相まって、昔遊んでいたゲームの空気がよみがえるようで、開始早々たまらない気持ちになりました。 背景もUIもキャラクターも、とにかくビジュアルが良いです。 キャラクターはデフォルメが効いていて可愛らしく、レトロな雰囲気に合うのに、ちゃんと今っぽい。 ムメイくんは緑一色のデザインですが、単色でここまで魅力的に仕上げられる方は、本当に尊敬してしまいます。 背景もとても印象的で、抜け感と奥行きがあり、雰囲気がとっても良いです。 場所を移動したときにフレームの色が変わるのも効いていました。街ではオレンジが夕暮れ時を思わせ、海では青が水の気配を強めていて、それぞれの場所の空気を引き立てているように感じました。 @ネタバレ開始 ムメイくんはきっといい子なんだろうと思いつつ、久しぶりに会った相手に借金の相談をしてくるので、初手は警戒してしまいました。人を疑う悪い大人で申し訳ない……。 けれど全エンドを見たあとでは、本当に純粋ないい子だったんだなあとしみじみします。END4で商人になったという、その後のたくましい姿もぜひ見てみたいです。 廃墟で出会うケムリさんは、第一印象から「あやしい陽キャ」という感じで。 というか、斧を持っているの、普通に怖いですよ!? 「ピンチのときはマッチを擦れ」と言って、マッチとたばこを持たせてくれるのは、「ケムリ」だからかなと思ったりしました。選択肢で何を言っても、つっこみつつ会話を回してくれるのがいいですね、ケムリさん。 フウライさんは、たたずまいが優しいなあと思いながら見ていました。 そのケムリさんの正体が警察……警察!?!?!? 事件解決後に、裏で何が起きていたのかを詳しく教えてもらえるのも嬉しかったです。 これがEND2で、「なんだか順番に見ている気がするぞ」と気づいたのもこのあたりでした。 フウライさんと、まさかの刑務所で再会。そこで出てくる大声演出の選択肢にも驚きました。 ここに来て初めて見る形だったので、インパクトがありました。 エンディングが刑務所の面会室なのも、「明日はムメイが来ます」というセリフも、すごく良かったです。 いい終わり方だったな……。 残りのEND4を探すために、借金を返すのを遅らせてみたら、めっちゃイベントがありました。 それぞれのエンドを迎えたあとということもあって、「会話をたくさん見られるの、嬉し~!」と、会話がなくなるまでポチポチし続けました。 エンディング曲もめちゃくちゃ良かったです。「これ、エンディングごとに曲が違うのかな?」と気づいたのは3周目でした。 どの曲も作品によく合っていて、プレイ中は終始心地よく世界観に浸れました。 物語には想像を広げられる余白がありつつ、住人たちの生活を偶然覗き見たり、彼らから断片的に話を聞いたりすることで、少しずつ自分で世界の輪郭を見つけていく感覚がありました。古いゲームを遊んでいるときのような、心地よいノスタルジーを感じます。 おそらく、このゲームでいちばん惹かれたのは、この余白のなかで世界の手触りを知っていく感覚だったのだと思います。 主人公は本当にフクノカミだったのか、それとも異様に目が利く子だったのか。どちらだったとしてもおいしいですね。 @ネタバレ終了 とても心地よい体験でした。 素敵なゲームを遊ばせていただき、本当にありがとうございました!

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  • ティラノフェス10オープニング
    ティラノフェス10オープニング
    フェス開幕おめでとうございます! 大規模なフェスの運営、本当にお疲れ様です。 プレイヤーとしても制作者としてもたくさん楽しませていただきます。

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