SHIAのレビューコレクション
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薫るは御舟、煤けた岸辺昨年のフェスでも素晴らしい文章力で作品世界に引き込まれましたが、今作もとても素晴らしく、一気読みしました。 三日前から始めたピアノで伴奏賞をいただいた主人公の、言ってしまえば「昨日までは大衆の一人だったのに今日から大衆の中から飛び出た存在」になった様子が緻密な情景描写で描かれており、長編小説を読んでいるような満足感がありました。 突如として現れた才能(正確には才能と呼ぶべきではないものかもしれませんが)が周囲の空気や人生を一気に変えてしまう、その奔流の中にいる自分もまた無関心ではいられない上に、良くも悪くも人の性を正面から見なければならない姿に読んでいて度々心苦しくなりました。 新聞部のインタビューに始まり、主人公が直面している「彼女が自分たちと違う理由がほしい」といった人間の性がこれでもか!と緻密に書かれていて「人間怖い…」と途中で少し怖くもなりました。 また、主人公の御舟さんの周囲にいる人物たちのそれぞれの価値観や人生も丁寧に描かれていたので、彼らの抱える葛藤なども御舟さんの心や考えとはまた別にひしひしと伝わってきました。 物語の終わりは全く異なるもので、どちらも納得のいくものでした。 自分の人生に深く根付いているもの、自分の根幹をなすものだからこそ、息ができなくなるほど苦しかったり、そこに救いを見たり…「人間」の持つ複雑性がこれほどに美しく力ある物語で見られたこと、素晴らしい経験になりました。 素敵な作品をありがとうございました!
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消えない痣の治し方誰しも顔面に特徴的な痣があったら気になる…のかもしれませんが、周囲の反応によって本人の心は良いほうにも悪いほうにも向かってしまうのが、とても細やかに描かれていました。 @ネタバレ開始 最後に鏡を覗き込んだ時に、一瞬痣がほとんど消えて微笑んでいる純平くんが映ったのは、主人公の心の痣も癒えたという意味でもあったのでしょうか。 本人自身が一番気にしていたことが、舞浜くんや柳川さんたちとの付き合いで変わったことで、彼自身が囚われていたものから解放されつつあるのかな、と。 ずっと難しい顔をしていたので、最後のこの一瞬は彼の心に芽生えた希望を見た気持ちにもなりました。 @ネタバレ終了 純平君がこれから先も彼を理解してくれる人たちに囲まれて、たくさん笑って、そしていつかまったく気にならなくなるといいなと思いました。 ありがとうございました!
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アクジキ=エコロジーTHE RPGの王様を肌で感じるような画面、アクジキにエコロジーとはなんぞや?とプレイさせていただきましたところ……キツネノテブクロ様の作品はやはり一味違うと思う結末を迎えました。 大事よね、「いただきます」。 @ネタバレ開始 ミイラ取りがミイラになる……という言葉がサーッと浮かんでくる結末に「まあ、でも…こうなるよね!」と吐瀉物を食べ始めたあたりからもう魔法使いさんの未来がチラチラ見えていました。 「あ、これ、逆に世界をAll毒毒毒に変えていくやつ…」とお察し。 魔王をもパクパクし、ディストピア世界の神みたいな存在になった魔法使いさんですが、この後に誰かまた世界を浄化する勇者は現れるのでしょうか…もしそんな人が現れても、こんどはミイラ取りがミイラになる第二のアクジキ=エコロジーにならないといいなと思いつつ。 魔法使いさんが少しずつ変わっていく様子がとても細かく描かれていて、ひたひたと迫ってくる恐怖のような戦慄を感じました。 フォトショ先生で加工されたドット背景含めたドット絵世界、とても面白かったです! 魔王はもちろん、どんどん容体が変化していく魔法使いさん、魔法の演出など細部まで素晴らしいグラフィックでした! @ネタバレ終了 魔法使いさんの行く末を前情報なしで多くの方に見届けていただきたい、色々な意味で大どんでん返しな物語です。 素敵な作品をありがとうございました!
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彷徨う空腹 –サマヨウ クウフク–ホラー系の「いい意味で気持ち悪いグラフィック」が魅力的な短編、過去作同様に今回も作者様のカラーを感じながらとても楽しく最後まで読ませていただきました。 立ち上げてすぐに日常が非日常へ転げ落ちていく予感がしていましたが、今回はかなりのスピード感で大変なことになり、主人公がどうなっていくのかハラハラしながら……BADEND沼へ落ちました!!(BADEND直進なら任せてくれなチキンです) @ネタバレ開始 「家族」のために頑張る主人公の終わりを無事に見られましたが、そこに辿り着くまでにガブガブガブー!!と何度もやってしまいました…。 主人公が感染してから短時間で症状が出て空腹に眩暈を覚えるところなどが「主人公、それはダメや!!」と正にゾンビがごとくでした。 傷口のグラフィックが怖かったです。 なにかの寄生虫がのたくっているようなグラフィック、とても味がありました。 ラーメン屋の裏でゴスッ!!はい解体!!のシーンも残酷かつ奇妙な光景が淡々と進められて、主人公がいかに今までと違う世界に来てしまったかが際立っていました。 このシーンは、とてもインパクトがありました。45Lゴミ袋の威力!! @ネタバレ終了 追加シナリオもリリースされる予定とのこと、楽しみにしています! ありがとうございました!
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手をつないで墓場まで恭一くんの「長い長い日常」を垣間見るお話、ここで書くとネタバレになってしまうので何も書けませんが…前情報なしでプレイしてほしい作品です! @ネタバレ開始 恭一くんの無限ループな長い長い日常のお話、戦慄しながら読ませていただきました! 確かに「埋めたからといって終わりではない」物語でした。 もう恭一くんにとっては殺して…いえ、埋めるところまでで一セットの日常、正気と狂気との境界線が完全に失われたような一日が繰り返されることに、ぞっとしました。 彼にとってはこの日常が終わることなく延々と続けられた方がいいのか、それともある日「あれ、なんでだ? あいつがいない」となったほうがいいのか…たとえ後者になってもそれはそれで彼の姿を求めて彷徨い続けそうな気もしますが…もう恭一くんの生きている毎日こそが墓場みたいです…。 もう本当に「手をつないで墓場まで」な物語でした! @ネタバレ終了 恭一くんのいる世界が理解できた時、その世界の在り方と異様さにぞっとする物語でした。 ただ、その中でも春生くんの恋する気持ちは陰影の強い本作においては間違いなくある意味で光だと思いました。 素敵な作品をありがとうございました!
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誰でもいいから私の話を聞け「私と付き合うと一週間以内に死ぬわよ」「僕今から死にます」というとてもインパクトのある告白で一気に物語に引き込まれ、そのままとても気の良い黒男くんのやさしさと素直になれない白雪さんのちょっとハラハラする物語から始まる最後の収束まで、一気に読みました。 主人公の黒田くんが本当に本当に心の底から白雪さんのことが好きだーーー大好きだーーー!!という気持ちがあらゆるところから感じられて、読んでいてとても気持ちが良かったです! 途中で電車にはねられそうになったりトラックに轢かれそうになったりと心配なシーンもありましたが、それ以上に彼自身が白雪さんに向ける想いに頬が緩んでニコニコしてしまいました。 たとえ見た目がストーカーっぽいと言われても! 黒田くんは良い男です! ハッピーエンドで幸せそうに笑う白雪さんがかわいい! お幸せに! @ネタバレ開始 なんて、ここで終わるはずがなく。 ‥‥‥七日目を無事に終えられたの? 父親からの手紙はなんだったの?と色々と思い、ここで終わりなはずがないとさらなる物語を期待していたので、お話の追加が出たときは思わず「キター!」状態でした。 物語の途中で出てきた灰村さん、彼女があまりにも怪しすぎて「捕まってないストーカーって実は君では?」という目で見ていたので、彼女には彼女の事情があると知り「ごめん…!!」という気持ちになりました。 タイトルに同じ女の子が2人いるように見えた理由も「ああ、そういうことか!」と腑に落ちて、それと同時にやはり人の心の複雑さを痛いほど感じました。 話の構成がとても巧みで、読み進めれば読み進めるほど大どんでん返しの連続で、最後の収束まで目が離せませんでした! @ネタバレ終了 今から読む方にもどうか黒田くんと白雪さんの物語をとにかく最後まで読んで―――そして、収束まで一気に駆け抜けてほしいです! タイトルの意味は最後の一行まで読み終えた人のみが本当の意味で理解できるものかと思います。 素敵な作品をありがとうございました!
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親愛なる彼女の痕跡爽やかな恋愛系を想像してプレイしたら、意外や意外のドロドロ系で驚きました。 人によって譲れない一線というのはあると思うので、主人公の場合はこれがそうだったのかなーと思いつつ、梨央奈さんがとても可愛かったです! 物語冒頭から途中までは「この子と仲を深めて恋人同士になっていくんだね!」と期待してプレイしていましたが「あれ!?」と先行きが怪しくなっていき…最後まで読了となりました。 思春期らしい物語で、刺さる人には刺さる物語だと思いました。 ありがとうございました!
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ユグドラシルPROJECT3シリーズ初めてのプレイとなります。 HSPってHighly Sensitive Personのこと?とふんわりした気持ちで入り、最後まで読ませていただきました。 性格などに関する専門用語やその意味を難解にすることなくさらりと物語に交えていて、最後までスルスルと読めました。 バッドエンドだと大変なことになってしまいますが、それを回避するとさらに話が進み、いざトローチさんの相手と対話しているときはちょっとハラハラしました。 自分が現実にこうした方につきまとわれたら、かなり怖くて狼狽えてしまうと思いました。 無事に解決してよかったです。 キャラがとても個性的でとてもかわいく、アジアンテイストな音楽も耳に残る素敵な作品でした。 ありがとうございました!
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ひとを×すなんてできない突如放り込まれたデスゲームに「なぜこんなことをするのか、人なんて殺したくない」と叫ぶ主人公を尻目に次から次に死んでいく人たち…主人公は生き残れるのか、そしてこのゲームの真相は…と、手に汗握る展開でした。 @ネタバレ開始 ……まさかの仮想空間送り!! これには「まあ、うん…急に日常っぽくなったけれど、そんなことありえるわけがない」とは思っていましたが、まさかの展開でした。 こたえあわせの各ストーリーを見ると、何があったのかや誰がどんなことを考えているのかなどがさらに理解できて面白かったです。 特にモモさんが自死するきっかけとなった出来事に関しては、正直ちょっと言葉も出ませんでした…。 正しさという狂気は誰かを殺す中でも、最も殺傷能力の高いものの一つだと思いました。 「正しいこと」とやらが「正しい」ということを証明することはできるか? なにをもって正しいを善いことと言えるのか? こうした矛盾点を考えさせられました。 @ネタバレ終了 正しいこと、自分は正しくあろうとすることは本当によいことなのか?…を改めて考えさせられるストーリーでした。 素敵な作品をありがとうございました!
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そして誰もいなくなったら面白くないですかー?前半を読んでいる段階で「犯人も大変なんだな…いやいや、それにしても今回も作者様のとんでもないパワーを感じる作品!」と後半が始まる前から既に本作の持つ犯人パワー(?)を堪能していたら…後半はもっとすごかった!! 歴代最強のシーンがありました! @ネタバレ開始 後半の「黒いシルエットの~」×たくさんが画面に現れたとき、思わず飲んでいた紅茶を噴き出しそうになりました。 ラ・フランスのフレーバーティーでラ・フランスの香りがするPCになるところでした(笑) 歴代最強のシルエットシーンに、笑いが止まりませんでした。 そして、この後次から次にきっととんでもないシーンがダムが決壊したように怒涛の勢いで押し寄せてくるのだろうと、期待度MAXでした。 はい、期待通りでした!! 画面に黒タイツしか映ってないシーンを数十分見続ける日が来るとは…しかも微妙にみんなそれぞれ個性があって、でゅふふとか笑う黒タイツ初めて見ました。 警部と探偵さんたちが次から次に論破していく姿は、もう「これはどういうことなんや、工藤…」と思わず関西弁にもなってしまいます。 どれを選んでも安心の仕様なので、「これだ!」と思うものを選んでいくのはとても楽しかったです! それにしてもストーリーの色々な意味で破綻しているような気がするようなでも整っているという運びが天才的すぎました。 @ネタバレ終了 今回もとてもたくさん笑わせていただきました! 素敵な作品をありがとうございました!