同人サークル『Nutrients』のレビューコレクション
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対象She-11に関する記録終わった世界から始まる物語。 いきなりのクライマックス的展開に引きつけられ、一気にプレイしてしまいました。 感想としては、とにかくテキストが綺麗で、読んでいて心地よかったです。 SFらしく、短編にしてはかなり細かく世界観が作られているのですが、ヒロインであるシェルの可愛さと世界観の説明が、綺麗なテキストの中にバランス良く散りばめられていて、スルスルッと気持ちよく頭の中に入ってきました。 「シェルとの日常シーンをもっと見たかった!」という点が残念と言えば残念ですが、この短いプレイ時間の中で物語をしっかりと展開させた上で、日常シーンが見たいと思うくらいキャラクタに愛着を抱かせるのはすごいなと思いました。
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僕らのノベルゲーム合作でのノベルゲーム制作を描いたゲームです。 一見かなり爽やかそうに見えますが、楽しさと辛さの両方がふんだんに描かれていて、プレイ中に自分が合作をしている気分を味わうことができました(自分も複数のサークルで合作してきましたが、身に覚えがあるやり取りがいくつもありました)。 @ネタバレ開始 プレイ前の予想として仲違い→仲直りという流れなのかなと思っていたのですが、タツとの仲違いのシーンを読んで、「ここまでこじれてしまっては、もう元には戻れないだろう。どうするんだ。。。」と先の展開が読めずにドキドキしました。 実際に元の関係には戻れなかったわけですが、新平とタツの両方の想いをしっかりとくみ取りつつ、納得感のある展開になっていてすごいなと感じました。 内容について解釈しきれていないのは、遙先輩の言動についてです。 遙先輩の言動は全てサークルメンバーのことを思ってのことだったのでしょうか? もし裏設定とかあれば谷口さんの件のようにヒントが欲しいですね。 それはともかくとして、1サークルに1人遙先輩がいれば、ゲーム制作の頓挫率は激減しそうです笑 @ネタバレ終了
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フィルム・ラプンツェルキャラクター(特に天音)のビジュアルと、文章が醸し出す雰囲気が、独特の世界を作り上げていて、その世界にゆっくり浸かるようなプレイ体験でした。 決して心地よい物語ではありませんが、キャラクターたちの様々な感情に揺さぶられながら、最後まで熱中してプレイすることができました。 ゲームの説明にNBLと記載されていますが、NLとかBLとかキレイにジャンル分けできるような物語ではなく、こういった良い意味で位置づけの難しい物語を体験できるのが、同人ノベルゲームの醍醐味だなと改めて思いました。 @ネタバレ開始 エピローグは残念ながら、うまく解釈できませんでした。 フィルムが破損することでラプンツェルと王子は再会できるということ??? また、最後の「白、天国、聖女、カラス、卒業、天使」をクリックできませんでしたが、仕様でしょうか? @ネタバレ終了
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パーソナル・スペース宇宙を舞台にした壮大な物語が、二時間弱のゲームにギュッと凝縮されていました。 普通に一本道のゲームとして作ったら十時間程度のプレイ時間になってしまうのではないでしょうか。 時系列をバラバラにするというギミックが、 1. 常に新鮮なプレイ感覚を与える 2. 壮大な物語から重要なポイントをピックして凝縮する 3. バラバラの物語を繋げる作業が、物語自体のテーマと繋がっている という3つ(以上?)の目的に使われていて、感嘆しました。 @ネタバレ開始 キャラの中では(あとがきで予想されているようにw)ラズリが好きでした。 「ミッションの成功率を上げるためにシロエと真逆の性格にした」という設定も良いですね。 気になったのは、ゲームの構成上どうしても主人公が傍観者となってしまうため、主人公の行動を起点としたカタルシスを感じることができなかった点です。 何か構成を変更することで、今の構成の美しさを維持しつつ、よりカタルシスを与える展開にできないものか。 そんなことを悶々と考えてしまいました(言うは易し行うは難し)。 @ネタバレ終了 それはともかく、ノベルゲームの特徴を最大限生かして、良質な短編SFを新しい形で体験することができる作品であり、プレイして良かったと思いました。
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モブだけど、主人公くんを好きになってもいいですか?白崎と一緒だと安心する。栞と話すとドキドキする。 まるで美少女ゲームを始めたばかりの頃のように感情移入しながらプレイさせていただきました。 そんな風にプレイできたのはたぶん、再会した初恋の人とか、ノリのよい男友達とか、バイト先の先輩とか、そういう懐かしさを感じさせるキャラクタたちのおかげだと思います。 そういう意味では、いわゆるモブだけでなく、栞すらも含めて"モブ的な安心感"みたいなものを感じられるのがこのゲームの魅力なのかなと。 と言っても、ただ懐かしさを感じるだけのゲームというわけではなく、演出面などかなり洗練されていると感じました。 特に、メッセージウィンドウとビジュアルノベル形式を使い分けて、シーンによって描写の密度を変えるなどの、まるでノベルゲームと映画の中間のような演出には他の娯楽と可処分時間を奪い合う今の時代にマッチしたノベルゲームの新しい可能性を感じました。
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空の果てからこんにちは独特な設定が、コメディとストーリーの核心の両方にしっかりと生かされていて、最初から最後まで楽しめる作品でした。 メイラとリコの立ち絵が並ぶあの絵面は、今までのノベルゲームには無かったものだと思います。 その上、その設定が出落ちで終わらずに、ストーリーの核心と少しずつ結ばれていく過程にはドキドキしました。 また、シリアスになり過ぎず、コメディで和ませながら話が進んでいくため、最後まで軽快に楽しくプレイできました。 二人のヒロインもとても魅力的でした。 特に、本作のようなメインヒロイン+幼馴染の構成だと、幼馴染が不人気になりがちな気がしますが、どちらのヒロインにも魅力を感じながらプレイすることができました。 @ネタバレ開始 個人的にひそかに気に入っている点は、あのルートを「メイラBad」と名付けた点です。 その粋さというか、思い切りの良さに驚きました。 @ネタバレ終了
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BRADLEY(ブラッドリー)とても雰囲気のよいゲームです。短いので、一文一文噛みしめるように読むとよいと思います。 なんとなく読み流してしまうと内容を掴めないままエンディングを迎えてしまうので、最初から色々補完して自分なりの結論を出すつもりでプレイするのがオススメです。 このゲームがもっと広まって、色んな人の考察が読めるようになるといいなと期待してます。
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Please call me…?英語ジョークや伊勢物語を絡めながら展開される不思議なお話。 まさかあんなラストになるとは! どこに行き着くのかドキドキしながら読ませていただきました。 とにかく田中さんのキャラが良くて、こんな友達がいたらなーと、ちょっと羨ましく思いました。
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肉まん葉集~例えばこんな桃太郎のお話~いろんな意味でヤバイ作品です。 まず、「これどうやって作ってるのん……」と驚愕してしまう映像表現。画面の端から端まであらゆる部分が凝って作られています。 ティラノで作品作りをしている人はプレイ必須でしょう。 そんな映像表現で展開されるぶっ飛んだストーリー改め、ハートフルお下品乙女触手桃太郎パロディ。 なんかよく分からないけど、プレイすれば幸せな気持ちになれるはず(たぶん
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臨界天のアズラーイール「麗美さん最高ー!」な方も「ん?」な方も、最終的には物語の世界に引き込まれてしまう吸引力の強い作品です。 序盤の展開をどう受け取ったかによって、その後の展開に対する受け止め方も随分と変わりそうで、そういう意味でも面白いと思いました。 自分は断然アズ派なんですが、それでも麗美のことを思い出して「うぅ…」となってしまうので、うまい作りだなーと。 次回作も楽しみにしてます。