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タマエダのレビューコレクション

  • 酸素は瓶に
    酸素は瓶に
    体験版の際にもプレイさせていただいていたので、完成版をプレイできてとても嬉しいです! 前編後編構想だったものが、前編のみで完結する構成に変更されたとのことで、なるほどふんふんと思いつつ実際にプレイしてみたのですが……結果、「後編!!! 後編はどこ!!!?」となるほど引き込まれてしまい、許されるなら後編を探しにアマゾンの奥地に飛びたいぐらいの衝動にかられました……。 体験版の頃から、主人公の視点や「彼」の視点が交錯する構成が特徴的でとても面白かったですが、今回完成版を迎えて、恋人(予定)キャラのストーリーは「彼」視点、第二の男(妙な呼び方ですみません……)キャラのストーリーは主人公視点で進んでいくようになっているのか! と改めて気づき、どういう組合せで進めるか考えるという楽しみが増えていて周回も苦ではなかったです。攻略順としては、理人さん恋人・陽第二、陽恋人・啓吾さん第二、啓吾さん恋人・陽第二で進めてきました。まだやっていない組合せも、これから随時見てみたいと思います。 @ネタバレ開始 キャラの個別の話をすると、最初のルートで恋人となった理人さんは、もう、純粋に怖……となりました。ただ単純に怖いだけじゃなく、動物・餌付けというキーワード、叔父夫婦のエピソードで一気に彼の嗜好に納得感・高い解像度を持たせられる構成にしてあるせいもあって、手触りのある怖さがあり、正直一番、怖いものみたさで幻の後編が気になるキャラクターでした。 陽は彼の幼少期のエピソードもあり、個人的に主人公の「応えなきゃ」「愛さなきゃ」の気持ちに共感してしまいました。直前で第二の男として選んでいて、ストーリーを理解していたうえに主人公視点→陽視点の流れだったため、陽はこのシーンでこういうこと考えていたのか~と感じられたこともかなり寄与してのことかもしれません。そういう点もあって周回を強めに推したい、むしろ必須といいたい作品だなと強く思います。体験版時点の推しは啓吾さんだったのですが、庇護欲をめっちゃかきたてられてしまいましたので陽に浮気しそう……。陽が恋人になってからの流れは、理人さんと「束縛」という点では同じですが、自分より強者からのもの(支配)なのか、弱者からのもの(懇願・依存)なのかの描き分けがなされていて、その点もとても印象的でした。 啓吾さんは最初からバームクーヘンBADエンドを踏んでしまってあまりのスピード感に不謹慎ながら笑ってしまいました。第二の男に選ぶと驚くほどすっきり爽やか、むしろ主人公の方が片思いしている感が強く出るのに、恋人ルートだと彼も彼でややこしいものを抱えているんだなとよく理解できるのがやはり趣深いですね……! ややこしいわりにそのややこしいものの性質もあって基本が受け身ということもあり、多分第二の男とすったもんだする構想なのではと予想される(妄想爆発ですみません)幻の後編での立ち回りがやはり気になりました。 @ネタバレ終了 選択肢とその組合せが膨大で、フラグ管理やシナリオの視点書き分け等、大変だったのではと拝察いたします。本当にお疲れさまでした! 楽しい時間をありがとうございました。

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  • ヘルメネウスの箱庭
    ヘルメネウスの箱庭
    制作中のツイートを拝見し、とても楽しみにしていたのでプレイできて嬉しいです。制作お疲れさまでした。公開おめでとうございます! プレイを開始してみて辞書を初めて開いたときは、想像以上に語数が多くて、これを全て1プレイで解読できるのだろうか? と不安に思いましたが、「ひらめき」機能や緑色の補助的な言葉はクリックするだけでOKという仕様で、初回でも「ひらめき:そこそこ」で十分に攻略が出来ました(とはいえ、イベントの回収忘れ? で辞書のクリア率99%になっていたので、また後日周回させていただこうと思います)。行動や会話も言葉の解読をしっかり意識されて作られていて、序盤は非常にシンプル・簡単なものが多かったのもプレイがしやすくありがたかったです。ゲームが進行=経過日数が経ち解読が進むにつれ、「彼」との会話も密な内容になり、序盤よりもどんどん語彙力・発想力が求められていく点も、ゲームとしての手ごたえを感じることができてゲームバランスの巧みさに唸りました……! 解読に夢中になって時間を忘れるほど熱中してしまいました。 @ネタバレ開始 文脈的に『国』だろうか、と思ったところが『山』で、けれどそれもライカンたちは数も少なく『山』にしかいないために人間と違って『国』という概念がないor希薄なのだろうな、と納得しました。そうした端々にしっかりと組まれた世界観が見えて、とても好きです……! ストーリーの根幹になっている、言葉の解読のその先の「戦いをとめる」という目的を軽く扱うことなく、その途方もなさをむしろ強調する描き方がとても誠実に感じました。 終盤近く、「箱庭」という人間の言葉を「彼」に教えるシーンがとても印象的です。「箱庭」の穏やかな日々と、その「箱庭」を出て立ち向かっていく二人の姿。最後の選択の後、淡々とその後のことを伝える文章が進んでいくのも、この作品はあくまで「箱庭」の中のことだけを描くという一本芯の表れなのかなと思ったり。 「彼」が諦観に染まっているのは、戦いの中で捕らわれたこと以前に、そもそもライカンの中での立ち位置の低さや、そうした立場で過ごしてきた人生でしみついていたものなのだろうなと感じ……そうした「今ここ(ゲーム中の時間軸)」だけでなく背景を感じられる描写がとても好きです。それだけに「私」と交流し、同じ目的を持った後では、「もう少し上の立場を目指しておけばよかった」と考えるところもまた、いじらしいというかなんというか……! とてもきゅんときました……! @ネタバレ終了 素敵な作品と素敵な時間をありがとうございました!

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  • 異種間エンパシー
    異種間エンパシー
    以前からTL上でお見かけし気になっており、ついにプレイしました! メインストーリーの最後の方で選択肢による分岐があり、選択肢に応じたENDに到達。その後、解放されるENDに対応したアフターストーリーで世界観が広がるような構成で、どちらかというとアフターストーリーのほうが作品の核という印象を受けました。 人ならざる存在として、いろいろな制約や人との差異をかかえつつ、高い共感性を持つがゆえに人と同じように生きたいと望むようになるバイオノイドのアルの姿が健気な一方で、アフターストーリー2の姿とその結末にもいろいろと胸に来るものがありました……! 素敵な作品をありがとうございました!

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  • 異世界転生したら大魔法使いの推しになりました
    異世界転生したら大魔法使いの推しになりました
    おかっぱ三白眼に釣られてプレイさせていただきました! 序盤から推され押され甘やかされでめちゃくちゃニヤニヤしてしまいました。ラザレス様のスパダリ度が半端ない……なのに子どもっぽいところがあったり、不摂生で世話焼き甲斐があったりで最高ですね……! @ネタバレ開始 星空の下、1つの毛布にくるまりながらのシーンがとても好きです。 ずっと昔につらかった時にかけてもらいたかった言葉を、今目の前にいる人から受け取り、泣いてしまうミネアの気持ちがとてもわかる……こんなんラザレス様に惚れてしまう……! 辛いことは癒されない限り、無意識であってもずっと心のどこかに残ってしまうけれど、ラザレス様の言葉のおかげでミネアはどこか救われたんだと思うと、あたたかい気持ちになりました。 あとがきの「無糖・微糖」の記載は驚愕でした……こ、これで微糖?! まさに砂糖未体験の原始人の気分。糖度しっかりありだったらどうなってしまうんだ……と思いながら後日談を読み無事昇天しました…… @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました!

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  • フロスパヴァーヌ
    フロスパヴァーヌ
    おねショタ! しかもサムネイルのショタの泣き顔が妙に色っぽいぞ?! とワクワクしながらプレイをスタートしました。 @ネタバレ開始 導入時点ではオーソドックスな魔界世界観のファンタジーを想定していたのですが、話が進むにつれ、より俯瞰的に世界のこと、魔王様たち神族のことが解説されて、良い意味で予想を裏切られるとともに、生まれたてのセサさんと同じ、何も知らない状態から知識が増えていって世界の輪郭をつかむような体験ができるよう作られていて、おぉっ! となりました。魔王様の外見上の年齢に見合わぬ色っぽさの理由もめちゃくちゃ納得です。合法ショタ……ショタジジイ? 単純な長寿というだけではない神族ゆえにしっくりくる言葉がないですが、セサさんの外見おねえさん中身生まれたてと真逆の2人の構図が非常にグッときます……! @ネタバレ終了 立場もあって抱え込んじゃいがちな魔王様を、これからもセサさんに支えていってほしい……! 素敵な作品をありがとうございました!

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  • みそっかすファンタジア
    みそっかすファンタジア
    ファンタジーな世界観とは裏腹に、それぞれの世知辛い事情がテンポよく畳みかけるように語られ、現実と重ねてしんみりするのを上回ってむしろ笑えてしまう、そんな落語的な魅力のあるお話でした。 @ネタバレ開始 魔王戦のリアルタイム視聴と同時に始まる勇壮なBGMや、ミラさんの「子の保育園が取れず将軍を引退」、笑いをこらえられませんでした…… 本編時点では世界の片隅にいるような3人が、この後の時間軸ではメインのお話に食い込んでいく、という終わり方も、ただ世知辛い現実だけで終わらず、目の前の細々とした日々から繋がる未来があって爽やかさのあるプレイ後感でした。 @ネタバレ終了 この面白さで5分とはおそろしい……! 楽しい時間をありがとうございました!

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