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冬瓜のレビューコレクション

  • まちがい勇者とテキトー天使の迷宮パズル
    まちがい勇者とテキトー天使の迷宮パズル
    パズル好きなのでノベコレに珍しいパズル作品を見かけて飛びつきました。 ルールは文章で厳密に書くとややこしいですが、要は敵をうまく誘導して階段までの道からどかせばクリア。幸い敵は賢くないので、慣れてくると意のままに敵を操れる感覚があって楽しい。 第2部ではギミックが追加されてやや難易度上昇。しかし基本は同じなので、試行錯誤を重ねることでパズルが得意な方でなくても問題なくクリアできるでしょう。 この試行錯誤がパズルゲームの要で、本作では操作に対するレスポンスもよく、詰んだ時のリトライもスムーズなのでストレスを感じることなく攻略していくことができます。ゲームオーバーになっても長々とした演出を見せられることなく再挑戦できるので安心していろんな行動を試せます。 パズル得意と自認する私は、2部のワープギミックの攻略を編み出すのに少し時間を要しましたが20分ほどでオールクリアできました。2-12とかは結構難しかった気がします。 シナリオの筋はシンプルですが、毒舌気味の天使とツッコミ役(?)のアカリとキャラが立っていて気持ちよく進みます。クリア後に再プレイしようとするとシーンやステージを選んでプレイできるのも嬉しいですね。 普段パズルをやらない方も是非挑戦してみて欲しいです。

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  • おいしいコロッケをつくろう!
    おいしいコロッケをつくろう!
    2025年10月。私は予想だにしなかったある出来事に強い衝撃を受け興奮していた。あの伝説的個人サイト「私的似非ベジタリアン」のティラノ進出である。 『すっぺらぴっちょん』 Flashゲーム愛好家なら聞き覚えがある方が多いのではないだろうか。この謎の台詞こそ本作の代名詞といえるだろう。 ただコロッケを作っていただけなのに、神と和解したり魔王の手先と戦ったり、奇声を上げ続けアブダラ様を召喚したかと思ったら、突然極刑に処されたり。一体何が起こっているのだろうか。疑問は尽きないが、これは「考えたら負け」というやつだろう。 展開の理不尽さという意味でこれを上回る作品はないと思っているが、原作Flashと比較したときの忠実さという意味では理性を保っているのもポイントが高い。あの頃のインターネットの情景が目の前に浮かぶようだ。 2000年代からのフリゲプレイヤーならなつかしさに浸るつもりで、初見プレイヤーならこの世界のありえない不合理さを笑いに変える勢いでプレイしてみて欲しい。きっとあなたの脳みそに深く刻み込まれる作品になるに違いない。 個人的には、ゲームを開始するとすぐ現れる女の子とジャガイモに話しかけている息子の正体が気になるが、この謎が解ける日は永遠に来ないだろう。

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  • Eat-Tsuke!
    Eat-Tsuke!
    テキストのみの作品を久々に集中してプレイできたと思います。 1周目は、よくある怪談といった感じでしたが、主人公が掲示板にアップしたくなる心理が良く描かれていて、ネット掲示板で語られる話という設定にマッチしていたように思います。淡々と振り返るような語り口も演出として成功している気がします。それにしても陳腐な暴言にたった3文字加えただけであれだけ怖くなるんですね。 そして2周目、こちらの方が怖かったです。オカルトチックなところとかはないですが、代わりに人間社会の怖さというか残酷さが濃縮されていて震えました。前半を読んだあたりではめっちゃいい話じゃんと思ってたのにどうしてこんなことに……。特定のキーワードで過去のトラウマがよみがえってしまうとか、実のところ中身は変わっていなかったとか、説得力が凄いです。この理不尽が自分のところに襲ってきたらという想像をして寒気がしてしまうような話でした。 ただ1点、バックログは用意してほしかったかなと思います。背景や音楽無しなのは演出としてありと感じましたが、直前の文章を参照できないのはやはりちょっと不便に感じました。

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  • 星を食べる子
    星を食べる子
    不思議なタイトルと何とも優しい雰囲気のサムネイルに惹かれてプレイしました。期待にたがわず童話的な心温まる物語で良かったです。 登場人物は二人ともとても健気で魅力的です。特に天使がかわいい。3つのエンディングではそれぞれ違った一枚絵が見られますがどれも素敵でした。 子供の頃に読んだ絵本のようなワクワクを味わいたい方に、おすすめです 。

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  • 僕らのノベルゲーム
    僕らのノベルゲーム
    ノベルゲーム制作にかけるとっても熱い思いがストレートに伝わってくるいい作品でした。 主人公新平は隠れノベルゲーム製作者で、今回文芸部の活動としてもノベルゲームの共同制作をすることになるのですが、その際のテンションの上がり方が凄い。そしてプロジェクトが動き出してからは、リーダーとしてより良い作品にしようと必死に頑張る。その熱量がそのまま私を物語にひきつけるエネルギーになりました。 シナリオの前半では、文芸部の各部員と順番に企画実現への課題を解決していき、部員のキャラクターが分かってきます。後半ではちょっとした行き違いから文芸部全体の人間関係の問題が発生し、新平は創作における理想の追求との両立に悩むことになります。この時の新平の心情や、部員の行動が前半で描かれたキャラクター性としっかり結びつき、説得力があります。私はいつの間にか文芸部を全力で応援していました。新平が希望を取り戻してからの追い上げは圧巻です。そのきっかけを与えることになった彼もいい人ですね。完成して本当によかった。 私が好きな場面は、夏休みに合宿に行って流星を見ているシーンです。ノベルゲーム製作に直接関係ないシーンがきちんと描かれ、部員たちとの会話が交わされることで登場人物の性格や考えが生き生きと表現され、それが後半の感情移入度につながっているように思います。ちなみに、好きな登場人物は遥先輩です。ちょっとミステリアスな雰囲気を持ちながらいたずら好きの一面があったり、それでいて文芸部全体をしっかりとまとめて決断を下せる素敵な先輩ですね。 また、文化祭当日にノベルゲームの感想をもらった時の新平の様子を見ると、私も良いと思った作品にはしっかり感想を届けてあげたいなという気持ちになります。作者さんのエネルギーになれるなら私もうれしいですし、新作が出たらぜひプレイしようという気になります。 創作への様々な思いの詰まった面白い作品でした。ぜひプレイしてみてください。

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  • わたしのしたい
    わたしのしたい
    ショッキングなタイトルと幻想的できれいなサムネイルが目に留まってプレイ。 きれいなのはタイトル画面だけではありませんでした。何というか、作品全体の雰囲気が美しいんです。文章表現もそうですし、要所で表示される一枚絵もそう。そして、サクと愛子、2人の"ぐちゃぐちゃな"感情が自然に溢れ出てくる来るような台詞回し。重いテーマを扱いながら、堅苦しさのない幻想的な雰囲気になっており、読者を引き込むのに成功していると感じます。 そして、時折ホラーチックに挿入される演出がまた一段とこの作品の印象を強烈にしていると思いました。これがあるからこそ、2人のぐちゃぐちゃな感情が自然に受け入れられたのではないでしょうか。これから2人が世界にあふれるトクベツなものを見つけていけることを祈ります。

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  • 女のフリしてゲーム作ったら、女装することになりました
    女のフリしてゲーム作ったら、女装することになりました
    楽しい作品でした。たくさん笑わせていただきました。 私はもともとコメディが好きなのですが、この作品はLive2Dで良く動く立ち絵とボイスがギャグメインのシナリオにぴったりマッチしていて最高でした。時折ゲスい本音を漏らしたと思ったら、次の瞬間には全力で女の子を演じていたり、とギャップが凄い。そして本性を現した玲香が怖い!しつこく同じ選択肢が何回も出たりするのも、玲香の有無を言わせぬ圧力とそれに屈する間瀬の心情を表現しているようで良かったです。しかし間瀬、結局はやり切ってるし、玲香の部屋にあった薄い本を楽しんでたり、「僕、脱いじゃってもいいんですか!?」とか、結構適性あるんじゃないですかね(笑)登場人物全員(方向は違うが)キャラが濃い! 女装した間瀬がやたらアソコを見せようとするのはツッコミどころでしょうか(笑)他に何か手段があるんじゃ…… コメディ好きの方はハマるの間違いなしだと思います。楽しい作品をありがとうございました。

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  • 偽りの夢
    偽りの夢
    これはすごい。久々にこんなに読後感の強烈な作品を読んだ気がします。 独りで小説を書いたり読んだりするのが好きな修司と、やや素行の悪いグループに属している香澄。2人は校内では決して交わることはなかったが、電車の中でだけは趣味の話に花を咲かせて本心から楽しむことができた。ここまででも十分物語に惹きつけられましたが、これだけでは普通の青春物語。本作が凄いのはここからです。後半からは修司と香澄の関係に暗雲が立ち込める。そしてそこから急展開を迎える物語。修司の書いたファンタジー小説と、橘さんから聞いた修司と香澄のその後、それを聞いた主人公の心情がリンクしてくる巧みな構成。これが本当にうまくて、読み終わった後ですぐに2周目を読み始めました。 そして作内で唯一の一枚絵が綺麗で使い方も効果的。もう一度言いますが、凄い作品でした。ほろ苦いけれども微かな希望を感じられるエンディング、その感動をぜひ味わって下さい。

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  • ありすすいーぱー
    ありすすいーぱー
    マインスイーパー(というかパズル全般)好きなのでとりあえずプレイ。 「ありすとーく」では立ち絵も声もなかったありすがこんなに可愛く!とびっくり。可愛さにこだわってますね。特に、クリア後におまけからギャラリーを見て、ステージ間のカットがこんなにたくさん用意されていたんだと知って感心しました。そしてボイスも実に様々な場面で挿入されてすごい。 また、ステージ失敗時のありすが……大胆な構図ですね(笑) 「ヒトナツの夢」で何十回も缶ジュースを放ったことを思い出しました。

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  • ショート・ショート・ショート100
    ショート・ショート・ショート100
    素晴らしい作品でした。 17人もの作者さんが合同で作ったというコンセプトだけでもうすごい。多くの作者さんの様々な色が含まれているので、こういった企画のものでないとわざわざ自分で探してプレイしないだろうなというジャンルの作品もあり、読んでみると意外と面白かったり、知らなかった作者の方に興味を持てたりしました。 特に印象に残った作品をいくつか挙げます。 「イモーショナルリアクション」 この話は純粋に素敵でした。もう少女漫画レベルですね。素晴らしい青春の一ページに悶えました。もちろんあとがきで述べられている通り(※ただしイケメンに限る)なのですが、だからこそフィクションの世界ではこんな恥ずかしくなっちゃうような話を読みたい! 「恐怖のしょう斗さん」 しょう斗さんに狙われてしまった主人公はどうなるのか、ドキドキしながら読み進めました。え、主人公いい子過ぎない?でもそれじゃあ……からのあの展開、最初はよく意味が分からなかったのですが、後でちょっと考えて仕掛けが分かった時、本当にうまいなと思いました。 「あのとき助けていただいた者です」 え、ゴキブリが恩返しに来ることがある?微妙な気持ちだなあ、と思っていたのですが、その恩返しの内容になるほどと思いました。続く蜘蛛も料理の共通点に笑ってしまいました。そして最後、あのオチはさすがです。そんなうまい話はないということですね。 「ミュージックプレイヤー」 一番共感できる話でした。音楽の力ってやっぱり大きいもので、普段何気なく聞き流すものでも、それに気分が左右されたりしますよね。逆に気分に応じて脳内で勝手に曲が流れだすのもよくある。そうだよな、自分だけじゃないよなと嬉しくなりました。 「聖キャラ学園なんでもありか!」 聖キャラ学園シリーズの総集編として、ツンデレ・ヤンデレと一緒に物語を作るのですが、これがパロディだらけのまさに"なんでもありか!"状態。超有名作のパロディで分かりやすかったですし、何より私のツボにハマりました。 「アブダクション~ゾンビ~」 舞台は終末世界か~怖っ→えっこれコメディだったの?!→やっぱり怖いわ→とかいいつつほのぼのエンディングなのか→いややっぱホラーだこれ、という風に感想がころころ変わりました。教訓じみたところもあって考えさせられる話です。こういうの、好きですよ。 「最高の蛇足」 これも共感できる話でした。私は創作活動をしているわけではないので前半部分に関しては正直、そんなものかという感じでしたが、あとがきに人柄が出るというのは実体験をもってうなずけました。あとがきを読んだり作者の方のサイトに行ってみたりすると、作品から想像していた人物像にぴったりだったり全然違ったり、そんなところまで含めて作品を楽しみたいです。というわけで本作読了後にはぜひあとがきも読むことをお勧めします。もちろん、同時に解放されるマスターの昔話(おまけシナリオ)もお忘れなく。スッキリと読める、後味良好の作品です。

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