柘榴雨(ザクロアメ)のレビューコレクション
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ヒビワレガラスタイトル画面BGMで既にセンスの良さが現れております。 青で塗られた背景、ひび割れたメッセージウィンドウ、 色鮮やかな登場人物たち…世界観の統一が素敵でした。 @ネタバレ開始 冒頭から目々にヤンデレの気配がしていましたが 確かに歪んでひび割れた感情を持っていつつも、 ヤンデレとは少々違う感じがしました。 好きな人を手に入れるため相手を傷つけつつも その行動を「歪んでいる」と目々が自覚しているのが、 真っ当な人間の感情に思えたからです。 ひび割れた部分から全部零れてしまうから、上手く注げない愛…。 枢への相反する感情を持って、CDを何度でも「割る」…。 まさに『ヒビワレガラス』という作品ですね。 @ネタバレ終了 関係性を割って混ざり合って、一つになれたのでしょうか。
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キミ以外の人間なんかみんなゴミだよサクッとプレイ出来る短編でもきちんと登場人物に個性を持たせ、起承転結をまとめられる所に、いつも作者様の才能を感じています。 主張が強いのに作品にピッタリなBGMを使われるのも作者様ならではと思っていますが、今作もその通りでした。 どちらのENDも拝見して、内に抱えた狂気があるにしろ表面上は甘利くんは柏木くんの良き親友になってくれそう。それはそれで良いのかも…と思ってしまいました!
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ごめんね、オタクくんオタクくんさぁ、ワンチャン私と付き合えるって思ってたわけ?自分のこと鏡で見たことある?ねぇ、釣り合わないでしょ?なのに帰り道付け回したりしてきて、キモイって思われることしてるのわからない?わかんないんだよね。わかんないからモテないんだよねwwwあーぁ。泣いちゃって、きったない顔。マジ不細工。こっち向きなよ写真撮ってやるからさwwwあは、いい顔。ねぇ、そんなに私のこと好き?へぇーー…。まっ、言わなくても分かるけど。でもさ、オタクくんには私の気持ちわかんないよね?え、わかるって?はは、ますます泣いちゃって。……ほら、わかってないじゃん。
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きみはウオズミハルタじゃない。相変わらず作者様が醸し出す、オシャレで甘やかな空気と 読みやすいのにハッとする言葉が綴られる文体が大好きです…。 ――あなたにとって大事な人ほどすぐそばにいる 音声入力しない場合の、デフォルトの歌の歌詞が ウオズミハルタくんではない「きみ」の言葉のようでした。 二人のこの先の物語も見たいと思うほど、楽しみました。 素敵な作品をありがとうございます。
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少年カンテラとハイツコール嗚呼、素晴らしいですね……。 画面を開いてすぐ世界観に引き込まれました。 グラフィック・曲・シナリオの全てが融合しており ハイツコールの世界に魅了され、どっぷり浸れます。 UIなど技術面の作りこみにも優れ、プレイしやすく、 作者様の他作品とも共通しますが、圧倒的な完成度です。 「1分」というテーマに物語が違和感なく馴染んでおり、 鏡野の住人たちの要請に応え、会話を重ねる内に愛着が湧きます。 終章のミニゲームクリアでカンテラと交わす言葉の数々が愛しいので プレイする際には、終章まで余すことなくお楽しみ頂きたいです。 罪人ばかりの住人たちですが、それらの背景や想いを 短編の中でプレイヤーに過不足無く伝えられる手腕がお見事です。 @ネタバレ開始 カンテラが梅衣子さんのお菓子を 「劇物は入っていなくてとても美味しい」と言うのに 生前の梅衣子さんの事を考えて切なくなりました。 祭里さんは「次に人生があるならもう少し優しくなりたい」と 言いますが、クロスワードの答えで既に優しさを感じました…。 敷島兄妹の互いを想い合う気持ちがとても好きでした。 壮絶な生活環境を知るほど来世で幸せになって欲しいと思います…。 でもお兄ちゃんは…地獄へ行くしかないのですね……。悲しい…。 一首まろび出る夢月さんには笑いました(笑) ただ誰かが彼を愛してくれていれば…と思わずにいられません。 五章で住人の皆でお茶会するのが微笑ましかったです。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございます。 バッジ獲得のため、後日再プレイさせて頂きます!
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巡るランドリーUIまでコインランドリーのデザインになっていたり、 別作品で選択時に出ていた言葉がEND名に使われていたり 細かいネタが仕込まれていて、ぐっと来ました。 「いま洗ってしまえば二度とここには来ない」が好きです。 刹那的な雰囲気をあらわす言葉のセンスが光っていました。 メモをして進めたので全END見られたかと思います。 どのENDも隠しシナリオも面白かったです…!
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繋ギ工芸館『ペンションおしぼり』を先にプレイしていたので、 スシさんやツトアさんにまた会えた!という気持ちです。 ドアの名前を繰り返し読んだり、 「すみません」の言葉が少しずつ変わったりと ディティールまでこだわられており、 シュールでハイセンスな世界観が強く残りました。 BADENDのあっさり加減も好みです…。 作者様の作品は一度味わうとクセになるので また次を味わいたいなぁと思います!
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ラストサマー・バケーション・イン・ザ・ダーク文字通り「夏を終わらせる」作品でした。 背景が実写なので物語がリアルに感じられて、 それだけに描かれる物語は切なかったです。 @ネタバレ開始 最後に見た葵さんの顔がすっきりしていて 本当にあの夏が一番楽しかったのだな…と思いました。 一概に良かったと言っていいのか分かりませんが、 葵さんは日向ちゃんに出会えて良かったと思います。 @ネタバレ終了
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金魚の鼓動10分程度の短編ですが、涙が流れました。 とても短い時間で人の心を動かす力のある作品だと思います。 ぼやけた背景と和風の曲の組み合わせと 色遣いも相まって、切なく訴えるものがありました。 「魚は人間に愛情表現ができない」 この言葉が印象に残っています。 @ネタバレ開始 修二を好きだから殺せない朱里。 修二を好きな気持ちしか持っていない朱里。 消えてしまった朱里。 修二はもう一度朱里に会いたいと思っていますが、 きっともう会えないのだと思います。 切ないですが、朱里はそれでも満足だった。 その気持ちは嘘ではなく、プレイヤーである自分にも 理解のできる感情だったため、染み入る様でした。 @ネタバレ終了 素敵な作品をありがとうございました。
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パラノイア・エラー少年は主人公に「キミにはボクしか居ない」と言いますが、 「ボクにはキミしか居ない」の意味でもあったのだと思います。 @ネタバレ開始 あちらの結末がトゥルーエンドではありますが、 ノーマルエンドで『やめない』を選んだ時に、 「ちょっとは素敵な、そんなシナリオ」と言ってくれた 彼は、選んでもらえたのが嬉しかったのかなと思い、 でも少年は作者の妄想なのだから、 作者が少し前向きな気持ちになれたのだと解釈しました。 そう思うと、この結末で良かったのかも……とも思いました。 @ネタバレ終了