作品「大正占術奇譚」のレビュー
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天凱彼岸花(テンガイ ヒガンバナ)
感想が遅くなりましたが、配信にてプレイさせていただきました。
占いを題材にしたノベルゲーム?というある意味どう物語が展開されるのか想像が難しい組み合わせというのが第一印象でした。
実際、プレイとしてやる事は単純で文字通りノヴェルを読む事と占いを「信じる」か「信じない」かを選ぶだけというお手軽さ。
マルチエンドという事で、最初は自分が素直に思うままに進行する事としました。
タイトルや概要欄にもある通り、作中で言われるノヴェルは大正時代を舞台としており言葉選び等当時を知らない者が読んでも「とてもそれらしい」と感じる雰囲気があります。
(実際には、そのまま当時の言葉を使っても伝わりやすさの観点で問題があるとして表現を変えている部分もあるとの事ですがそれもまた良い塩梅でした)
参考文献がタイトル画面から飛べる先で紹介されているのですがその数を見るに、作者様が今作の世界観を作りこむ上でどこまで力を入れたのかがわかるのですがこれはさすがの一言。
ゲーム本編も面白いのですが、個人的には参考文献と進行度に応じて解放される自己解説の項目も合わせて読むとなかなかにやりとできる部分があります。
【ここからネタバレ含む。クリックで表示】
まずは、各ノヴェルに対する感想から
き(1種類)→しょう(2種類)→てん(4種類)で、章選択画面でいう上からの順番になります。
◆奇-手相-
何故「奇」の文字かは疑問でしたが手相占いそのものは占いとしては有名なので、それに関する話かな?と読み始め。
今でいうバーがカフェーというのは初耳でしたが、使われる効果音やビールをビィルと表現する等いつか読んだ小説でもこういった今とは違う言葉の表現を見たような…と不思議と初見の物でも自然と馴染みました。
話の内容としては、カフェーに来た客に手相占いをしてもらった後に待ち受ける結末…というわかりやすい物。
首が回らないという表現も知らない点から、ヤエコは働ける年齢になってすぐに上京をしたので学習機会が減った分そういった事を知らないのだろうか?等と想像しつつ。
どうみても不安定な足場での電球交換…もうこの時点で嫌な予感しかありませんでした。
オチの、落下した際に客の首が回った事が「お金に苦労をしない(苦労する事を首が回らないという事への意趣返しと、死んだらもう苦労しないの両方を含め)」という占いが当たったとも言える結果なのは素直に「上手い」と思いました。
結果的に、女給のヤエコはお客さんのビィル代を支払う事で金には困るが長生きはできる。という点も含め初回は「当たる」を選択。
ここは読み終わった後に占い師が言った事にほぼ全面同意でしたね。
◆賞-くじ-
浅草の縁日で起きる少年が主人公の物語。
頑張って貯めたお小遣いを握りしめ、今ならソオダ水を10本も買える!大金持ちになった気分がすると子供らしい描写からスタート。
そして出てきた「必ず當たる」というフレーズを掲げたくじ屋。
ノヴェルを読む前に必ず当たるという言葉に直前で不安を持たせてから堂々と大きな文字で見せる演出…でも、今回は屋台のくじ屋という事なので少なくとも命に関わる事はなさそうかな?
そして…ある意味これはあるかもと予想もできた「四等」の文字。
実は書いてありました!1~4等のどれかは絶対当たるので外れはないですという正直一番極悪と言えるパターンだー!?
(某一番なんちゃらみたいに一番低い賞でもまだちゃんとした賞品といえる質であるならまだしもこれは悪質な詐欺としか言えない…という眼差しになり)
帰ろうとする少年に一等のくじが入っているのを見せるシーンも、外れがないならその分大量に四等のくじが入っている以上
『必ず何かが当たるから嘘はついてないが、一等が当たるとは言っていない』という即時撤退を促したい事が想定でき。
ソシャゲのような、毎回何百分の一を引き直すのと違い明確にくじが物体として存在しているのでちゃんとやる程に確率が上がるというのも前提として間違ってはいない。
でも、絶対何かトリックはあるはず…とその種はわからずとも怪しむ事しかできない。
そこでまさかの救いの女神登場!?
謎の女性が資金提供をし、最終的にはくじの細工を言い当てる事で一等をもらえるハッピーエンドへ。
まさかその救いの女神こと謎の女性が最初の話に出てきたヤエコというのも驚きでしたが、ある意味あの時手相占いで言われた「長生きはできるが金運はない」の通りだというのも奇妙な偶然なのか…もしくは占いの通りなのかと思う部分でした。
これはどちらとも解釈は可能と思えど、最初に悪意的に隠されていたとはいえゴミでも四等とされてる以上当たりはしている。
それにその賞品に価値がないとしても店が賞とついた当たりとして出している以上、実質の外れでも挑戦した時点でそれは客の主観による文句になってしまう。
(トワだって、四等の存在があるから実質外れはあっても建前として当たりしかないくじとされるのは理解した上で続けている為)
結果的にヤエコのおかげで一等を手に入れたのは運の要素が強いとしても、一応欲しい物を当てた話という点でも嘘はないと言える。
(ついでにヤエコ単体も前回から手相占いで言われた運勢が継続して当たっているとも考慮できる)
最終的にハッピーエンドではあるので「当たっている」と初見では判断しました。
◆燃-亀卜-
奇で信じるを選んだルートは全て終わらせたので次は分岐上この話へ。
信じない場合の文字が何とも物騒なのが嫌な感じはしましたし、何かを焼く占い?というのも知識にはなく。
亀卜という占いがあるのもこの作品で初めて知りましたが、古代からある方法という辺り本当に様々な占いをこの作品の為に調べそれらをテーマにした話を作るという事をされたのだなと作者様へ尊敬の念を覚えました。
登場人物から、ここでツルバが出てくるのも驚きでしたがこの話を読み終わった時に別の話で何故ツルバがヤエコに新聞は読んでないのかを聞いた理由を理解し…ルートとして合流はせずともそれぞれ大正時代にあった物語として時系列は存在すると把握。
現在レビューを書きながらゲームで該当の話を読んでいるのですが、今見ると奇の話で台詞だけあった警察とカイハラ警部の文字色が同じだったのだなと。
ツルバが別の話で引継ぎをした等発言はしていたのでカフェーの一件の際に出てきたのはカイハラ警部の方だとは思ってましたがこういう部分に注目するのも面白いですね。
そしてプライベートでヤエコにそっけない態度をしていただけでなく仕事すらやる気のない公務員!?というツルバにお前そういう奴だったの?と衝撃。
今時の若者は~という意味合いのフレーズは昔からあったと言われますが、出世欲のあるカイハラ警部からすればツルバは確かに異質に見えるなぁとも。
カイハラ警部の年齢がわかりませんが、発言から察するに明治の方が良かったというのもある意味概念的な年寄りっぽさを感じます。
しかしまぁ、出世欲というか仕事に意欲的でその結果として故郷に錦を飾りたいというなら押し付けられるのは迷惑でも悪い人ではないのかなと。
それに水を差すように「平和が一番です」と間違っていないけど…!ともはや漫才のような返しをするツルバとのやり取りが面白いですね。
そして本題として、連続放火事件が起きている…燃が文字として選ばれたのはここにも関係があるのかな?と物騒と思いながらもなるほど?となり。
4件目までは割と被害が出そうな場所なのに対し、5件目はやる気があるのかを問いたくなるような場所。
なので、何か法則性があるし次の放火もありえるというカイハラ警部の推理は納得できました。
そうなると先回りとして街の見回りしか対処法がないのもわかるのに「気が向いたら行きます」というツルバにこいつ…と呆れ。
「タバコを一服いかがですか?」
これ自体は日常的な台詞で代わりにマッチを提供するツルバも含めよくある光景でしょう。
結末を知った上で書いているので内心「あぁぁぁぁ…」という声が出ているのをさておけば。
そして6件目が起き、もう少し東にいけば建物が並んでいるのにあえて川のそばという場所への放火。
やはり5と6に関しては明確に何かを燃やしたいという目的はなさそうだしツルバの推理通り円を結んでいるのでそれが犯人の目的なら終わりでも不思議はない。
画面が暗転し、そして次の放火が起きたという旨の文章が出る部分がまるで「翌日、誰々が無残な姿で発見された」と出る人狼ゲームにおけるまだ人狼(犯人)は見つかっていないメッセージのようで個人的にはそちらを想起するのもありある種の恐怖演出でした。
犠牲者が出なくなるまで終わったのかわからない。
犯人や意図がわからない犯罪に怯えるという点ではある意味似たような物だなぁと…。
何て個人的な話をさておき、いよいよ最後の放火現場(予定地)での決戦。
犯人にとって意味のある形にしたい、そしてカイハラ警部の家は武田信玄から連なるのでそれに関する家紋である。
肝心の家紋がどんな形か知らなかったのでグーグルで検索をかけてからゲーム内で表示される図形を見て答え合わせをしましたが、この亀卜というワードを出してから実はそれがフェイクであり別の形にするのが…というのはなかなか上手い持って行き方だと感心しました。
結果として放火事件を解決する事による手柄が欲しかった事と、ついでとして出世が叶うか亀卜占いをし家紋の形になるよう行った。
拳銃で追いつめられツルバが危ないと思いきや、まさかの先手を打って落とし穴を用意していたというギャグかな?という程ハマった展開。
放火に使う予定だった油を確認する、これは証拠を確認するという意味でわかりますが何故カイハラのいる穴に流し込んでいるのだろう…。
そしてここから、前にもあったけど今とその時では状況が違う!!と叫びたいあの台詞。
「タバコを一服いかがですか?」
…え?と思考がフリーズし。
新聞を見るツルバとそこには連続放火の現場で殉死したとして二階級特進をしたカイハラの写真が……。
確かに、軍隊なんかだと死んだら二階級特進するとは聞いた事があったし警察でもそうなのかぁ~…じゃなくて!!
ツルバさん待って?それはあなた明確に殺人ですよね…?落とし穴からカイハラが出られないなら応援を呼んで逮捕すればよかったのでは???
奇で信じるルートを全て見終わった今、実はその裏でツルバが犯人を止める為とはいえ殺人をしていたという衝撃で「私は一体これからどんな顔をしてツルバの事を見ればいいんだ…?」ととても困惑しました。
ある意味、隠しシナリオを除けば一番衝撃度が高かったのはこの話ですね。
もう、占いを信じるどうこうよりツルバが裏で人を殺していたという方に全てが持って行かれました。
ツルバが素面で人を殺す事に躊躇いがなかったというのも嫌だし、占い成就の為で無意識の内に動いていたとしてもやった事が事なので嫌すぎる。
どうしても選べというなら全て見えざる何か…占いの力のせいのがまだ比較的マシという意味で「信じる」を、という判断。
◆天-星-
ここで初めて八月という詳細な時期について触れる書き方がされているのは印象的でした。
星占い自体は主人公も触れている通り有名な物なのでイメージもしやすい。
そして気になったのは「あんたは、まだツルバを知らないんだね」という占い師の言葉。
後の発言も含め、他の話に出てくる人物でありこのルートだとここで初見になる人物というのはわかりました。
しかし、何ともメタイ発言だなぁとは純粋に気になり。
話の内容としてはヤエコとツルバのデートのようなもの。
今までの話で確かに和装だったヤエコが洋装をしているのは珍しいですね、ツルバも普段のヤエコの姿しか見えていないなら気づかないのも当然なのかな?
というかこの二人の関係って何なんだろう…という疑問。
最初に二人の立ち絵から、徐々に背景が足され最終的に目的地である浅草十二階が表示される演出がなかなか粋ですね。
巡回という言葉から警察である事と、そっけない物言いをしながらもヤエコに付き合って頂上まで上ったりとツルバも何だかんだ付き合いが良いのか、それとも内心ヤエコに気があるのか?
と思いきや実はあのキーワードやヤエコが事件遭遇率が高いという理由から誘いに乗ったというまさかの情報。
でも、最終的に地上に降りてからももう少し付き合うという辺りやはり関係そのものは良好なのかなぁ?と思えば…
ここで出てきた、本にも記されていたこの物語がいつの事かという情報。
八月であり、同時にツルバの発言から最終日である三一日と判明。
「明日何が起こるか、分からないのですから」
というヤエコの台詞で唐突な終了。
時期が重要なのはわかっても具体的に何があったのかわからなかった為、その翌日が関東大震災であったという情報に思わずぞわりと。
ヤエコの台詞自体は『今日という日を忘れない』という部分も合わせ『今日をたっぷり楽しむ』という前向きな物に取れましたが…。
まるで、明日に起きる事を実は知っていたからこそ今を楽しもうとしていると解釈ができてしまう不吉な物にも取れました。
肝心の占いの内容も相性最悪という事で今回ばかりは外れたかなぁと思いきや、占い師から正しい知識を知る事で実はツルバが照れ隠しで嘘をついたと判明。
だったら、教えられた結果は嘘でヤエコもそれなら占いを信じないと言ったけど結果的には当たっていたんだなぁと見方が変わるのが面白く。
結果的に星占いで見た相性は良いのだからこれは「当たり」と判断しました。
◆典-花-
今ではメールやアプリ等ですっかり見かけなくなりましたが、典には手紙という意味がある事。
大正時代では文通が流行っており、顔も知らない相手とやり取りをするのが当時にとって楽しみの一つであった事。
そういう文化があったと私が初めて聞いたのは母が経験した昭和頃の話でしたが、便利なツールがなかったのが同様である以上大正時代からそういった文化が続いていたと思うと案外最近まであった事なのだなと不思議な気持ちになります。
物語としては、先程賞の時にも出てきたトワとヤエコが登場人物に。
場所もカフェーという事で、前回の別れ際ではどこのカフェーか特定できないのではないか?と思っておりましたが結果的にまた出会えたようでほっとしました。
本来はお酒を飲むお見せという事でつけヒゲをして大人のフリをしようとするトワくんを微笑ましく思い。
どうやらヤエコに相談があるという事で出されたのはどうみても恋文という物。
熱烈な内容ではあっても宛名違いですでに2通きているなかなか奇妙なものであり、このゲームでは重要ワードである『必ず当たる』の文字もある。
花占い自体はメジャーな物ですが、種がわかっていれば狙った結果を出せるので結果の操作はしやすいと思いますが…。
そしてここで天では知り合いとして出てきたツルバが初対面の人物として登場してくる流れに。
彼が警察なのは天の時点で知っていたので、現役警察が協力をしてくれるのは頼もしい限りなのとこれで「あんたは、まだツルバを知らないんだね」と以前言われた占い師の言葉にも合点がいきました。
周回前提であれば初手で占いを信じなかった際に行く燃か今と同様のルートで先に典を経由してツルバを知っている可能性はありえたでしょうから。
問題は、この占い師の言葉がまるで全てのノヴェルを主人公が読む事を前提とした発言をしているところではあれど…。
奇の時点では不明でしたが、やはり取り調べをしたのは同じ警察の人間でもカイハラの方であった事がヤエコの発言からも確定。
ツルバの新聞は読んでいないか?という発言も初見では燃より先に典を読んでいた為、文字通り異動(新聞になるのなら栄転?)になったのが新聞にあったのに見てなかったのか?
と受け取れましたが、燃を知った後だと…二階級特進こそしてもすでに亡くなっている事や手を下したのがツルバである事を知っている為また何とも言えない顔になりつつ…。
ようやく確認できる肝心な手紙の内容は
第一の手紙は恋する乙女として恥じらいつつも行動を起こさずにはいられない純粋な物。
第二の手紙も気持ちは強くなるばかり、しかし流れが変わったのはここで花占い…それも必ず当たる花占いが出てきた事。
そして、花占いの結果コガレという人物も自分の事が好きだと喜びながらまた手紙を書くという締めくくり。
好きな人に恋文を書くという状況に舞い上がってしまうのは同性ならこう、共感性羞恥というか…恋するってこうなるよね…!
と見ているこちらが少し恥ずかしくなるような、けれど当人にとっては大真面目だからこその気持ちが読み取れてきて。
手紙の置き場所は、初回は下駄箱の中でありちゃんとトワの名前がわかる所だった事。
この時点で間違えて入れたという可能性は低そうであり、次の手紙は何故か掃除用具入れの中に?
置き場所としては変だと思いましたが、トワが今週の掃除当番であり確実に見る場所とわかっているなら候補としては成立しなくもない。
でも、イレギュラーが起きて誰かが先に掃除用具入れを開ける可能性も考慮するなら…隠すタイミングも結構絞られるような?
(当日トワが急に休んだ場合や、掃除の時間より前に何か掃除道具が必要になる事が起きた場合に違う人の手に行くリスクも踏まえ)
ツルバの推理通り、非常に近い所にいる人物なのは違いないでしょう。
学校で花占いが流行っているかどうかについても、割といつの時代でも規模に違いはあれ流行っていそうと思いましたがここから辿るのも難しそう。
第三の手紙は、背後で女性が花占いをしているイラストがとても印象的で好きです。
今日もお話ができましたわね、とある以上間違いなくトワはこの手紙の差出人と接触はしているはず。
(ストーカーがそう思い込んでいるホラー展開でない限りは…)
そして本日も行われる花占い、結果は好きというその相手が望む結果が出ています。
ツルバが解説する通り、花占いは任意の答えを出せる以上もし手紙の差出人がそれを知った上でやっているなら結果は必ず欲しい結果が当たるはず。
それを2回連続でしてきているという辺り、初回は試した結果が当たった事が喜ばしくて思わず書いたと想定できますが…連続でその件を入れるのはそう思いたいか思いこませたいか。
どちらかというと言い聞かせるように、自分にとって聞きたい物だけを受け入れるようにという印象が強くなりますね。
(そもそも、法則を知らずとも偶然当たる事もあり得て。手紙に書いてないだけで実は当たるまでやった結果という可能性も0ではない)
ここで出てきた手紙の状態から導かれる十年前という重要ワード。
そして、もう時間がないかもしれないというツルバの言葉。
手紙の置き場所がだんだんトワに近づいている事や、最新の手紙にはまた手紙を書くという事が書かれていない。
「次は、本人が目の前に現れる」
それが誰であれ、そうなれば一体何が起きるというのか。
手紙の内容からできる推測だけでは人違いにも関わらずここまでトワに接触をしようとする辺り簡単に引いてくれる相手にも思えず。
何となく、嫌な予感もするのでヤエコの危惧する発言に同意でしたね。
けれど、ツルバはすでに相手が誰かわかった様子?
そして事件になるならさすがに現役の警察が介入しないとも考えにくいはず。
トワ自身も、これは自分が何とかしなきゃいけないと決意をしている辺りきっと大丈夫と信じはしたい。
朝の授業前にした調べ物のせいかまた授業中に先生に叱られるトワ。
またか…と思いきや、今度は計画済みの作戦だった…!?
手紙の差出人は担任の先生であり、かつて恋した同級生にトワがそっくりだった事。
当時の先生は手紙を書いてもそれを出す勇気もなく、同窓会になってもコガレとまた会う機会はないままだった…。
差出人の正体は、実在するとも、しないとも言えるような奇妙な存在。
かつて恋心を隠したままだった女学生が、大人になった今あの頃の気持ちのまま綴られた手紙を出していたなら確かにこれは腑に落ちました。
確かに動機は何であれ、教え子に恋文を出していたとなれば教師としては問題行動となってしまうでしょう。
だけど、恋する心やかつてそっと胸にしまった想いがまた何かのきっかけで燻ってしまうのはそれだけ先生にとってこの恋が美しくも大切な物だったからだと思えてしまったから。
いくら忘れたいと思っても…どれだけ時が過ぎようと忘れられる訳なんて、ないんです。
その結果起こした行動はどうあれ、その想いは誰が否定していい物でもない。
だからこそ、最後に罰としてこれからカフェーでソオダ水をおごってもらいましょうかと落としどころを持ってきたトワが少し大人に感じた事。
彼は、先生の行いを問題行動として訴えるつもりもないのだろう事が察せたのに救われました。
物語を読み終わり、花占いそのものは本来狙った結果が出せる事。
しかし、たった二年で成長したトワのように必ずしも同じ種類の花であれ突然変異等が起きた個体を使用すれば狙った答えが100%出せるとは限らない事。
限りなく100%に近いのに、僅かに紛れ込む不確定要素。
花占いをかつての女学生の恋の話として描いた事もですが、賞の次に成長したトワの物語を見る事で違った一面…変わらないものはないというのを良い意味で感じ取れた事。
これが最初から毎回100%固定であれば占いでなく結末の決まった手品のような物と言いきれたのに、それでも当たるのなら占いとして外れる可能性も残されているのが絶妙な塩梅ですね。
先生が何度も花占いをしていた事に関しては、正直どちらとも取れるし当人のみぞ知る部分とは思います。
ただ、私の推測としては彼女は信じたかったのではないかとは見ます。
どうせもう届かない恋なのだから、せめて両思いであったという結末にしたかった事。
それを自分に思い込ませるように、繰り返し行っていたのではないかと。
本物のコガレは現在、きっともう先生の事も覚えておらず違う人の隣にいるのかもしれない…としても。
美しくも大切な恋心を諦めきれなかったからこそ、行動に起こしてしまったとすればその結末が悲恋だったなんて占いの結果であれ見たくないでしょうから。
◆店-夢-
夢占い自体は私も気になった夢を見た際によく調べるので個人的にも馴染がある内容ですね。
ただ、このゲームに出てくる以上何かしらただ事では済まないのがお約束ではあれ。
主人公は起承転結の当て字として今回はてんに店を入れただけ?と疑問に思っている様子。
確かに夢占いと店だけでは繋がりがわからないのでこれも本編を読んで確認するしかない。
そして、これも天と同じく時として大正十五年という記載と季節の設定まで書かれているのが特徴的でした。
天の時は翌日に震災が起きるタイミングだったとすると意味はありそうですが全くわからず。
占い師の説明で、大正最後の年であり昭和元年になる頃合いと教えてもらい本当に大正の時代は短かったのだなと思いました。
その次の昭和が64年と長すぎたのが特例だった事を置いておいても、30…いや、20年もないのは短すぎる…。
そして、店という言葉は夢を売る店という言葉で正体が明かされ。
どんな店なのかはさておき、言葉の響きだけを聞くならそんなに悪そうに感じませんが…不思議であり、どこか踏み入ってはいけない何かのようでもあり。
登場人物はツルバであり事件解決の為に仕事をする内容のよう。
ある者は、ありえないほど素晴らしい夢を見た結果現実の生活に意味を感じなくなり。
ある者は、とても条件の良い結婚相手がいたのに夢と比べた結果破談となり。
そしてとうとうある者は、それまでの自分の人生がむなしいものと思った結果、時間が取り戻せない絶望から自殺に至ってしまった。
この時点ですでにカイハラはいないのが確定ですが、やはり『地に足を付け、お国のために働いてもらわないといかん』
という発言を上司がしている通りこの時代は今以上にそういう風潮なのが当たり前だったんだろうなぁ…と時代を感じます。
後から気になったので確認をしましたが、燃や典の際にはつけていなかった眼鏡をツルバがかけるようになった事にこの大正の物語における時間の流れを感じました。
時系列としては、大正十一年である典の翌年が大正十二年になる天であり、天の時点で眼鏡をかけていた所からも全て占いを信じる事を選んだ人は眼鏡をかけたツルバが初対面となります。
後に、直前の分岐を選び直し典を見た際はヤエコとも面識がないのを含めまだ若いツルバという印象になるんだなぁと(先に天を見てから後に燃を見た場合も、カイハラの生存を含め時系列を感じる仕組みとして好きです)
そして物語本編へ戻り。
店の位置は判明しているとの事で急いで現場へ!
『占ひ 當たる』という文言が扉に貼ってあるのも合わせここで間違いはないでしょう。
店主が顔を出すや否やいきなり抑える現物の証拠がないとはいえ発言で自白させる展開!?
潜入調査って何だっけ…?え、何か怪しい事をされそうになったら取り押さえると思っていたのに…!?
それまでのツルバとは結構ノリが違う喋り方なのが印象的ですが、この人その気になれば無能な演技もできるから…多分相手を見て押し切れると判断したんだろうなぁと苦笑。
どうやら前日まで入っていた前の店が犯人のようで、現在は睡眠に助言をする…今でいう快眠サポートのようなお仕事のお店が入っているようでした。
仕方なく移動しながら調査をしているとどこかから聞こえる声。
夢、空を、だって占いで、必ず当たる、空を飛ぶ、現実に
占いは必ず当たる
断片的な言葉を抜き出すならこのような内容でしょうが、直前に立ち入った店で聞いた空を飛ぶ夢の話で予約を入れた客についての話題も含め何となく嫌な予感が…。
そして人々の騒ぎに視線を向ければ、屋上から飛び降りる人!?
夢占いはあくまで見た夢の内容からどういう心理状態かを判断する物のはず…ならば、その影響で死人が出るとは考えにくいけれど……。
ツルバも飛び降りをした人の言葉から占いと飛び降りの因果関係を推理していますが、被害者が亡くなっては事情聴取もできやしない。
さらに突然配られる号外、目の前で人が死んでいるだけでも悲鳴物だとは思いますが号外を読んでの悲鳴?
一体何が起きたのかツルバの確認する内容をプレイヤーの視点からも確認すれば…
「大正時代が、終わったか・・・」
この店のノヴェルでは季節が指定されており、あえて占い師が昭和元年にもなる年であると言った事からも予想しようと思えば想定はできたかもしれません。
大正時代に起こった事件は、大正時代のうちにケリをつけたかった。
だが、もはや時代は過ぎた。
もしこれが現実ならば、年号が変わったとしても犯人を追いかける事はできたでしょうがあくまでこのノヴェルは大正時代の物語。
「そうだよ、もう物語は終わってしまった。
大正時代は終わったんだ。さっき読んだだろう?」
このゲームのタイトルが大正占術奇譚であり、主人公に提供されるノヴェルが全て大正を舞台とした物語である以上確かに大正時代の終わりは物語の終わりを意味するのでしょう。
しかし、あまりにあっけない幕切れというべきか。
本来ならここから調査が進んで犯人を追い詰め終わるのが筋ではないのか?
不完全燃焼な気持ちを残したまま物語は終わり。
◆転-拳銃-
焼の時点で文字が不吉と思ってはいましたが、今度は漢字こそ昔の表記であれ「転」という起承転結における本来の文字という珍しい話へ。
それだけならまだここから持ち直せるか?と思いきや「拳銃」という文字にやっぱり駄目だったか…と心の中で貧血を起こしました。
しかし、下宿を舞台に二人の男の物語が行われる…とだけ聞くと意外と普通?な印象へ。
物語としても暇な友人が下宿先を訪ねてきたという始まり。
家でごろごろしているのが一番というのはある意味今も昔もそう考える人はいたのかなぁと少し笑み。
借りた本の内容が面白かったのでそれについての話をしたかった、そしてそれは内容からしてロシアンルーレットで確定。
拳銃というワードが早速回収されたな?と思いきや、まさかの実際にそれをやってみるという展開へ…!?
会話が進むたびに背景で回る弾倉。
空…空…空…と表示が切り替わり、アサキは非日常の興奮を求める熱のこもった誘いをするが面白いと言ったがやるなんて言ってないと怯えるススダ。
ススダが自身はどうしたいかを口にしようとした場面でとうとう背景の弾倉には死の文字が入った、実弾の入った場所がきてしまい…。
ここまで、あくまで拳銃の銃創が回転するのはイメージ映像で実際の拳銃は机の上にあると理解してても「ここでやると言えば死んでしまう」
そうイメージができてしまう素晴らしい演出だと思います。
そしてここでまさかのネタバラシ。
拳銃は縁日で手に入れたおもちゃであり、おまけの遊びとして証文も用意がされていた。
雰囲気位は出るかなと両者のサインがされ、後は日常会話に戻りこのまま何事もなく終わると思いきや…何やらススダの様子がおかしい?
すると実はさっきの拳銃の話の応用問題として、実はススダの飲む方のお茶に毒を入れていたというアサキ。
「自分の命を賭けて楽しむほど、俺は狂人じゃない」
「この世界で一番の楽しみは、自分の身の安全をちゃあんと確保したうえで、他人を陥れることだ。相手にだけ確実に毒を飲ませればいい」
いや、退屈が動機としても充分狂人の行動ですよ!?
安全位置から他者を陥れて楽しみたいというと、デスゲームの主催者みたいな感じだなぁ…しかも相手が参加者とも知らせてない分こっちの方がタチは悪い。
そして、おまけの遊びだったはずの証文には確かに命をかけた遊びをするとあったけど何を使うかは書いてなかった。
罪には問われても減刑される為の準備まで仕込んでいたとは……と思いきや
「簡単なことだよ。茶を入れ替えておいたんだ」
アサキが何故か容態急変し、毒によって倒れたはずのススダが急に起き上がりアサキの考えはススダにはお見通しだったと告げられる。
話の序盤にあった「僕らは似たもの同士」という台詞がまさかここで繋がるのか…と。
最初は退屈を理由に友人を計画殺人しようとしたアサキでしたが、実はススダの方がそうなるように仕組んでいてアサキがそれに乗るとわかった上での事だった。
友人なのに他人の命を奪う事に罪悪感のない間柄だったという事がわかる、これはある意味何よりも怖い話でしょう。
(ツルバショックがなければこれがどんでん返しを含めた構成も含め一番怖い話でした)
そして、主人公がノヴェルを読む前に出されたお茶。
すでに飲み干したそれに実は毒が入っていたら?少しぞわっとする…本題に入る前からの仕込みを含めて特に完成度の高い話と思います。
エンドについても全て語ろうかと思いましたが、諸事情により占いを信じ切った場合と絶対信じなかった場合である2つについてのみ。
◇決エンド
最初に見たのがこのエンドでした。
全部信じるとなったのはさすがに素直すぎたか?となるもそう思ったのだから仕方ないと思いつつ。
脚本ありき、どんな物語かすでに決まっている映画…活動写真に面白い作品があるように運命が決められているとしても面白い物かもしれない。
そして帰宅する主人公、これらは全て実は活動写真であり恐らく天のラスト台詞より後にヤエコとツルバが見た作品だった。
ノヴェルを読んでいると思っていた自分こそが実は活動写真の登場人物だったという結末は驚きましたし、翌日震災が起きると知った後な為ヤエコとツルバが無事にこれを見ているという事に内心ほっとした部分もあります。
今思うと、ここまでがもう少し付き合う発言から後になる31日内の出来事で翌日に震災はあった…とする方が自然かもしれませんがみつ豆を食べに行くという発言から多分さらに後日なのかなとも。
終わり方としても意外性があり美しくこれは初回で一番良いエンドを引き当てたかな?と思いましたね。
◇血エンド
下記の「人はみな、物語の中に生きている」の部分でも語っておりますが悪い意味で明日は我が身であるとなった故の終わり。
主人公は占いの結果を聞かなかった為「けつ」がどんな文字だったかわかりませんが左下には「奇・燃・転・血」の四文字が…。
血とつくエンドの時点で良い終わり方はまず想像できず。
日常的にしているだろう動作、イヤホンをして音楽を聴きながら家に向かうという行為。
だけど今回ばかりはそれをしてはいけなかったという事。
「丑寅の道に血塗られた災いあり。避けるべし」
血の文字はこの警告を意味しており、鬼門を通った事で通り魔に刺されてしまった。
しかし、このルートでは占いを信じないスタンスなのでもし結果を聞いても信じないで結果的に刺される可能性はあったかもしれない。
でも、もしかしたら…
そのまま帰らずに話を聞くという行為で通り魔と遭遇する時間がズレ、結果的には助かっていたかもしれない。
それもひっくるめて、運と言えばそれまでかもしれません。
当人も占いなんて運だと言い切っていた事を踏まえ。
だからこそ、ラストのニュースコメントで占い師が書いた「運が悪かったんだね」という一言が凄く皮肉な締めですね…。
最後に占いを信じる場合は別の運命(エンド)になるので通り魔には刺されない。
もし、血エンドに入っても直近にあった「人はみな、物語の中に生きている」明日は我が身であるという事を理解し、警戒していればまた違ったかもしれないのに。
後味の悪さで言えば一番はこのエンドでしょうが、転本編→選択前の会話内容→血エンドの流れが完全にコンボとして繋がっているのでその意味では美しいとも言えますね。
◇ここからは幕間というか、各ノヴェルを読む前後でされる会話より
・この手相の話は本当の事か作り話なのか?
ノヴェル(小説)自体は一般的にフィクションが大半とは思いますが実話をもとにした場合もあるので確かにそれは気になり。
しかし、占い師の返答は予想外であり…なのに核心をついている事に大きく感心しました。
「大事なのはね、その話を読んで、あんたがどう思ったか」
ウソの話で涙を流したとしても、それを聞いて流した涙は本物である。
ウソの話…我々の身近なもので言えば世に出ている映像作品や小説といった架空の物語。
確かに人はそれが作り物の物語としても涙を流せるしその時にあった感情に嘘はない。
その上で、主人公の中に起きた感情から判断し占いを信じるかどうかを選ぶ。
このゲームを進める上で重要なポイントであり、物の捉え方としても強く共感できる所でした。
・賞の前にある、必ず当たるの件
概要欄にもある「その占ひは、必ず當(あ)たる」という言葉もですが、作中でも強調してきたなぁと。
これは主人公も述べていますが占いが当たるとしてもその結果が良い物と限らない、ならむしろ外れてくれた方が助かるまであるよなぁと。
このフレーズ自体はこの作品全編を通して重要な物ではありますが一旦ここで切り。
・人はみな、物語の中に生きている
これは直前の話、転における自分は安全位置からの傍観者であり人が苦しむ様を楽しむ観客である。
そう思っていたはずのアサキこそが実は物語の中で苦しむ様を見せ、殺される登場人物だった。
その解説でもあり、しかし本質的には現実の誰にでも言える話という点で語られているのが好きな部分です。
どこかの国で戦争が起きたという話をニュースで聞いたとしても、自分はそれを安全な観客席(平和な国)から見ている観客である。
もっと身近な例として災害や交通事故のニュースだって、現地から遠い人なら自分には関わりのない事でありそのニュースを見ているだけの傍観者だと思い込んでいる。
けど、それはいつ誰に降りかかってもおかしくない以上本当にただの観客でいられる者は存在なんてしない。
この後の選択肢で主人公が「信じない」を選んだ場合がまさしくそれが本当だったとわかってしまうエンドになる事含め良い繋ぎと思いました。
そして個人的には、明日は我が身であるという話をあえて物語の中に生きていると例えるセンスがとてもツボです。
さて、ここまででもかなり長くなってしまいましたが
ここからはこの作品の最深部である+αの部分についてからの感想となります。
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◆■-■■-
やはり、初見で辿ったルートの段階から周回前提の発言であった通り占い師としても主人公がここへ到達する事は予想済みだったようで。
確かに棚の上に置かれていたノヴェルは一見すれば全て読み終わった。
しかし、最終的な結末はぼかされたままであり。
大正時代の終わりという形で、店の結末があえて言うならそれに該当するのかどうかという状況。
彼らはノヴェルの中の人物かもしれない、けど…彼らがその後どうなったのかを知る術はないのか?
ここは占い師の言う事も理解はできます。
現実の物事はね、物語みたいにはいかないものさ。
いつ始まったのか分からないまま始まって、
いつ終わったのか分からないまま終わっていくものだ。
誰かの人生という意味なら、生まれた時が始まりであり死を迎える事で終わりがくる。
だけど世界は、世の中はそれでも続いている以上何を始まりとし終わりとするかは難しい問題でしょう。
だから大正時代の物語として描かれたノヴェルにとっては大正時代にあった事が全てであり時代の終わりが物語の終わりとなる。
けれど、それならばこそこのカウンターだって通るのです。
でも、これはノヴェルなんでしょう?
あなたが言った通り、これはノヴェル。
だったら、もっと納得のいく結末を見せてほしい
現実でないのなら、後日談という形で物語の続きはあるのかもしれない。
ここまで読んだプレイヤーとしても、この先があるのならそれを見届けたい気持ちは同じです。
そして、画面が反転し出現する最後の一冊。
タイトルも書かれていない、黒い本。
占い師曰く、最後の物語でなく終わった後の物語とされる物。
中身を確認すれば、そこには見慣れた大正の文字はなく昭和四年という時が記されていた。
大正が終わった後の、昭和の物語。
場所は違えど登場人物はお馴染みの面子でありきっと望んだ物が読めるのかもしれない。
そして、伏字になっている■(けつ)-■■-にどんな文字が入るのかがわからなければ大変な事になってしまうかもしれないという状況。
ここでちょっぴりギャグっぽいノリになりましたが、割と冷静に読み直せば最後の事を「尻」でけつと呼ぶ事はある事。
だけど、これが『最後の物語』なら終わりという点で該当したかもしれないが『終わった後の物語』という前提で考えると発想は良くとも前提は違うのに納得しました。
正直、レビューの為に再プレイをするまではギャグ色強めなやりとりと思っていたのですが…改めて読む事で結構納得している自分がいます。
問題は、けつに該当する漢字と今までの傾向からどんな占いを使用されるのか?
ここがわからない事にはいけないのは大前提でしょう。
白い逆三角形の角に光る白い点とタイトルの文字。
モノクロなのも相まってどこか不気味な雰囲気がありますね…。
◇ここからノヴェル本編へ
場所こそ変われど、ヤエコが働いている店に集まるトワとツルバ。
かつての思い出話をしながら、あのくじでの出来事の際払ってもらった30銭で一生ヤエコ姐さんに頭が上がらないことになるなんてと言うトワもお酒を飲める程には大人になったのだなと…。
昔話が楽しく感じるのは、いつの時代の人も同じなのでしょう。
翌日震災こそあったものの、ヤエコにとってはツルバと行った浅草十二階での事も。
おぼえていないと言いつつ、勝手に記憶を改竄されている部分にツッコミを入れるのもやはりツルバらしいなぁと思えるやり取りで。
震災後、ヤエコが新宿の方に避難してから今のバーを始めたという点やツルバも職場が変わった事。
あの大正時代における最後の事件となった夢占いの店は場所が明記されていなかったと思うので、恐らくこちらに来てから起きた出来事なのかなと。
かつてヤエコとトワの出会いのきっかけとなり戦利品として手に入れたおもちゃも震災で燃えてしまった事。
震災を起点とした約8年の間に時代は暗い方向へと流れ、時事ネタとして有名な小説家の自殺も一昨年の事として話題にあがる。
この当時の状況がどこまで酷かったのか、今を生きる者としては当時の事は文献等から推測するしかありませんが近年でいうリーマンショックによる就職氷河期等や自殺者の増加や不景気に就職難という点だとある意味近そうかなと想像するのがやっとではあります。
悪い事が起きて、景気が悪くなれば…今の状況に不満があればこそ昔は良かったと言いたくなる気持ちもわかりはします。
「ソオダ水を飲んでいた頃が一番、ってことか」
ヤエコの言い分はわかれど、まだ20歳位だろうトワくんにも夢を持てというには少々酷なご時世でしょうね。
そんなしんみりした中で、ようやく出てきた占いの噂に関する話題。
もうお決まりと言える『必ず当たる占い』という重要ワード。
今までのノヴェルで起きた占いに関する騒動は全て、今主人公の目の前にいるのと同一人物に見える占い師が裏で手を回していたという形でようやく物語全体が線で繋がる。
これまでと違い、姿を見せてすでに何人も犠牲者まで出している状態で…。
その事件に興味を示すツルバと彼の現在の地位がかつて悪事をしてでも出世をしたかったカイハラの求めていた位置だった事。
出世欲のないツルバが結果的にその位置になっているのが何とも皮肉めいているというべきか。
(ただ、能力としては優秀と思うのでそれ自体は妥当と思えど)
もうこのルートを読んでいる時点でプレイヤーは把握していますが、ツルバは知らないはずの作中に出てきた全ての占いが候補として羅列された事。
水晶は現実で今使用こそされていてもノヴェルの中では使用していない為除外はされますがいよいよ大詰めといった流れです。
そして肝心の占い方法については
ただ特定の言葉を聞いただけで相手は死んでしまった事。
『あんたには』に続く言葉が何なのかこの時点では候補が多すぎて全く絞れません。
ツルバの言う通り使いやすい言葉としては『あんたは』の方が繋げる言葉も楽でしょうし『あんたには』という部分が重要なのは違いないでしょう。
そして踏査に向かうツルバと、危険地域だっていうのに活動写真を見に行くと呑気なトワ。
変装すれば大丈夫では?という提案で鼻眼鏡をつけられまたギャグパートだなぁ…と、気の抜けない状況ではありますが同時に彼らの日常を見ていたい気持ちはあるのでこういう冗談めいた事もまた和む部分はあります。
そして、鏡を確認しなかったの!?と心の中でツッコミを入れつつまさかの鼻眼鏡姿で浅草を満喫しているトワ。
さらにもうお約束とわかっていたけど…!と占い師にはトワである事はばれていた。
もうこれおしまいでは…?と思いきや、入院こそすれど命は助かった…!?
今までの犠牲者は全員もれなく死んでいるのに、何故トワだけは助かったのか。
ここにも重要な意味はありそうですが、ここで発覚する重要なヒント。
『あんたには■■■■■いる』
最後の2文字が確定と、その間がそのままの計算でいいなら5文字の言葉という貴重な情報です。
そして、まだ謎はとけていないにも関わらず占い師に立ち向かうツルバ。
今までのツルバは割とクールというか、あまり感情的になった場面のないキャラでしたが弟みたいな存在であるトワの事で怒りを隠し切れなかったというのは図星なのでしょう。
そうでなくとも、この占い師を早く逮捕しないと被害者は増える一方なのだから野放しにはできやしない。
トワと同じ言葉を言われても何とか持ち堪えはしましたが、発砲してもあてるのは難しい状態だろうツルバ。
それでも諦めずに発砲していれば、さらに追加の言葉が…
「しかし、まるで■の■■だね。
でもね、あんた・・・■■悪■■」
最初の言葉とは違う!?
けど、伏字が入っているという事はこれも聞いたらまずい内容なのは違いない。
結果的にはツルバも倒され病院行へ…。
しかし病院に人が増える度に、最初は部屋の中央に1つだけだったベッドが均等に2つ置かれた構図になっているのは何ともシュールでした。
いよいよ残るのはヤエコのみ。
音楽も相まって、最後のヒントを手に入れる為に行くと宣言はしても怖いものは怖い状況なのもあり胸が締め付けられます。
「花は、最も美しい時にその命を刈り取る。
わたしは、今かしら?それとももう過ぎた?」
失敗するにもせめて華々しくという言葉と、この台詞で心の涙腺がもう駄目でした。
確かに若さに美しさを見出すのならもう少し早かったのかもしれない。
だけど、ヤエコは占いの結果長生きを約束されている以上その時期を過ぎても生き続ける事が約束されていたとも言える。
いや、それでもヤエコさんまだ30代だよね?若いよ…髪型の印象で大人びているけど充分若いよ…。
そして、大正時代は楽しかったと独り言をこぼすヤエコ。
このノヴェルに入ってから、世界は灰色だったのに思い出の中にある大正時代は…あの時代のシンボルとも言える女性像は何と鮮やかな色なのか。
ここはヤエコの発言が全てなのでしょう。
「思い出すわ、あの時代はすべてが輝いていた」
まだ若い頃から上京して、カフェーで働きながらも綺麗な思い出を積み重ねていたであろう事。
「あんなに輝かしい時代は他になかった」
大事な人たちがいて、自分もまだ若い感性の中色んな刺激が楽しくて仕方ない年頃で。
「もう十分美しいものを見たんだから、決死の想いで占い師に挑まないと」
だけど、生きていればまだまだ楽しいと思える物に出会えるかもしれないのに…そんな悲しい事を言わないで欲しい。
それが第三者の勝手な想いでしかないとしても。
そして、ハチマキ等気合の入れた格好をして占い師へ挑むヤエコ。
自分の頭では謎を解けないとしても、それでも情報を持ち帰ればツルバが…トワだって手伝って必ず正解してくれる。
それを信じて本来なら一言で人を殺せるだろう言葉に何度も耐え続けるヤエコ。
とうとう病室に並ぶベッドも3つというシュールさがさらに加速した光景を見つつ。
ヤエコの頑張りにより最後のヒントは手に入った。
結局、ノヴェルの内容としては3人は謎が解けないまま終わりを迎えようとしており…。
この状況を打開できるのは、主人公しかいない。
この結末を変えるには占い師が何をしたのかを暴かなければ進まない。
そして主人公、マブキは何か思いついたようだけど…
待ってくれ、私はまだわかってないんだがどうしようこれ…!?
ここまでが謎解きパートまでの前半戦感想であり、ここからは謎解きに関する苦悩を含めた感想となります。
わかるまで約1日かかりました。
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私は全くわかってませんが、謎一覧の確認やもし謎を解くで間違えても一発アウトではない事。
ヒントを再確認したければ戻るボタンもあったので熟考する時間が取れました。
ただ、配信としては答えがわからないまま一旦パートを区切り。
翌日の配信時間までにわからなかったらどうしよう?と思いつつも、謎一覧をメモ帳にも記載。
そしてこれは前半のシナリオにあった重要そうな部分も再度見直した方が良いと思いこちらもメモ帳に必要そうな事を記載。
よく見ると、ツルバに対して占い師が言った言葉がシナリオ中とヒントでは違う文面になっている…?
だけど文字数が同じなら恐らく意味は同一と考えるのが自然。
まず、言葉で人を殺せるというインパクトに持って行かれていますがあくまでこれは占いでありその結果として相手が死んでいるというのは忘れてはいけない。
まだ作中で出てきてない占いに何がある?見た限り、道具は使ってない。
相手を見ただけでわかる占い?そしてその結果で人を死に誘導できる言葉?
それらしい言葉を考えつつ、最初にわかったのはトワへの言葉でした。
何故、あえて使いにくそうな『あんたには』から始まるのか。
そして最後は『いる』という断言する言葉での締めくくり。
「あんたには 死相が出て いる」
これだ!?
相手の見た目で占う事ができて、死期を伝える事で誘導が可能。
そして、あんたには…という始まりから想定できる答えはこれしかない!!
そうすると、ツルバも「まるで■の■■だね」
これが「鬼■■■だね」と文字数は同じで『鬼の』なんとかと入れればいい。
「まるで 鬼の形相 だね」
間違いない、これは顔についての情報に触れているから人相占いで確定だ…!!
(ヤエコのは「血相を変えて」…いや、違うな?で断念)
後はけつの字だけど…これはもう片っ端から該当する読みの漢字を探すという荒業が残っている→からの、早期に欠で正解を引き当て拍子抜け。
同日の夜に続行して考えるには難しかったですが、一晩して情報を整理すればどうにか…。
という絶妙な難易度でした。
配信内では何故この3人のみ生存できたのか?という理由も大真面目に推理していたのですが完全に的外れな事を言ってましたね…。
トワ→(漢字にした際の永久の言葉の意味から寿命が途切れないみたいな解釈)
ツルバ→(鶴というワードから鶴は千年のような長寿の意味合いより?)
ヤエコ→(八重という言葉が数(この場合は寿命?)の多い意味で、それ以前に占いで長生き確定と言われているので?)
ざっくりと上記のような理由だったと思いますが。
名前は別の由来があると後で知り「ソッチカー」とポン推理をした事実に苦笑しました。
一晩かけて謎解きの答えらしきものを思いついた所で、いよいよ解答編へ…
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◆欠-人相-
言い当てる事ができた結果、先程と違い白と黒が反転した画面からシナリオ本編へ。
最初はこれが何かわかりませんでしたが、人は点が3つ顔のような配置で置かれていると勝手に脳内で人の顔が見えると認識してしまう。
そういう現象があったと記憶していたのですが、今思えば欠けているのが顔である点を含めこれは巧い仕込みだったなと思います。
そして、ノヴェルの中にいるヤエコたちには顔が描かれていないというのは当然の事として受け止めていた結果盲点でした。
表現の手法としてよくある物という先入観に囚われていましたね。
けど、あの世界の中で生きてる彼らには外にいる我々からはわからないだけでちゃんと表情が存在した。
だから変装や人相が変わる要素があった結果助かったというのも納得でした。
全ての謎が解けても、ここから解決するには主人公であるマブキがノヴェルの中に入り攻略法を伝えないといけない。
ノヴェルの中にいるヤエコ達には絶対にわからない謎である以上、外部から干渉しなければ結末は変えられない。
だからこそ、マブキが行かなければいけない。
占い師の言う通り、本来であれば正気とは言い難い行動を取ろうとしているのでしょう。
あの世界がノヴェルである以上、結末を変えたとしても現実とは何の関係もない。
にも関わらず自分を、命なんて曖昧なものでなく顔を失いノヴェルの世界へ入るというのかと。
それでも納得のできる結末を手に入れる為ならば…。
プレイヤーの立場としてはもう、応援するしかできませんがマブキに任せるしかない。
ちょうど、これから占い師の所へ向かおうとヤエコが鏡を見る場面での接触に成功。
占い師そのものは倒せずとも、これで犠牲者も増えずみんなは助かった。
代償として、マブキはもうノヴェルの世界から出る事はできずとも…。
そして、ここまでが占い師にとっての計算通りだった。
最後の作品が完成したという点までを踏まえると占い師が求めていたのは全ての結末を知った上で、謎を言い当てノヴェルへ介入したいと思うような人物だったのか。
正直なところ、この占い師ならそこまで含めて占いの結果であり全て掌の上だったと言われても否定できる要素はありません。
マブキはヤエコ達を救えた事で帰れなくとも満足と言いますが、それでは彼らが納得する訳もなく。
ツルバの推理は実際物書きをしているとその通りな事が起きるので内心(もしかして、小説書いた事あるのか…?)という視線を今だと向けてしまいますね。
彼にそういう趣味があればそれはそれで面白そうだという意味で。
実際、キャラクターが勝手に動いて思い通りにならなかったり。
題材は良いと思ったけど思うような物が書けなかったりとボツの作品が大量にできる根拠には納得しかなかったので、本にもなっていない原稿用紙がある事にも説得力があり。
個人的には、憧の占い-鏡-はホラー好きとしては面白そうな題材と思うのでこれはこれで1本小説として読んでみたいあらすじ予想でした。
「あなたたちみんな、本当にいい顔をしている」
ようやく元の世界に戻るきっかけを手に入れ、発せられるマブキの台詞。
これはプレイヤーからはわからない。
自分の顔を捨ててでも、彼らを救いにいった彼女にしか知り得ない情報なんでしょうね。
そして、ある意味このゲームにおける重要なテーマであろう疑問
このゲームをプレイする
大正占術奇譚
評価
17

「その占ひは、必ず當(あ)たる」
占いに興味を持つ主人公は、占い師から「奇」の物語を見せられる。
時は大正七年、場所はカフェー。
「あんた占いを信じるかい? 信じないのかい?
その選択によって、あんたの運命が変わる、かもしれないね」
■概要
大正時代を舞台にした、占いにまつわる奇妙な話を描いた
架空のノヴェルゲエム
■ストーリー分岐
複数エンド(8つ+α)
(どこかのエンドをクリアすれば、分岐直前から再開が可能な
仕組みにしています)
■プレイ時間
1ルート30~40分。
全エンド回収まで約2時間。
■注意
・本ゲームは大正時代を舞台にしていますが、分かりやすさを優先しており、
時代考証は正確でない部分もあります。
あくまで大正浪漫のフィクションとしてお楽しみください。
・占いはモチーフであり、占いそのものの解説を目的にするものではありません。
■ゲーム難易度
8つのエンド回収までは、とても簡単(占いを「信じる」か「信じない」かの二択のみ)。
+αのエンドを見るには、謎を解く(文字入力)が必要。
■攻略(2024.1.28追記)
noteに攻略方法をまとめました(ネタバレあり)。
https://note.com/enuenu_game/n/nf469aea03160
■実況
大歓迎です。
(スムーズに動作するダウンロード版を推奨)
■素材
以下の素材をそれぞれ使用させていただいています。
BGM「甘茶の音楽工房(https://amachamusic.chagasi.com/)」様
SE「効果音ラボ(https://soundeffect-lab.info/)」様
フォント「内田明 Oradano明朝GSRRフォント
(https://www.asahi-net.or.jp/~sd5a-ucd/freefonts/Oradano-Mincho/)」様
フォント「MODI工場 黒薔薇ゴシック(http://modi.jpn.org/font_kurobara-gothic.php)」様
テクスチャ「フリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)」様
■更新履歴
2023.8.29暫定版公開
2023.10.3完全版公開
2024.1.5以下の点の修正版にアップデート
・チャプター選択画面から飛んだ際、メニューボタン(四角い青)が表示されなかったため
表示されるように修正
・誤字脱字の訂正
・キャラごとのセリフの色の誤りの訂正
・チャプター選択画面で飛ぶ先の誤りの訂正
・既読を示す青色がキャラの色とかぶって分かりにくいため、既読は色変更なしに修正
・謎解きのセリフの伏字部分で整合性がとれていなかったものがあるため修正